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2024/07/01

ユーロチヌ(ユーロニンフスタイルによる落とし込み・ヘチ釣り・チヌ・クロダイ釣り)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 

フライフィッシングで釣るクロダイに関しては、浜名湖をはじめとするシャローフラットでの釣りが王道かつ主流であることは誰も否めないだろう。いまでこそサイトでクロダイを釣ることが当たり前になっているが、それ以前はルアーフィッシングをマネてポッパーで狙ったり、落とし込み・ヘチ釣りをマネて重いイガイ・カニパターンをフライラインを使って当たりをとる釣りを行っていたと思う。

前者は主に関西方面で行われていたが、近年東京湾でも通用することがわかり、クロダイが多いエリアではルアーフィッシングだけでなくフライフィッシングでも行われるようになってきた。後者はどうか?ルアーフィッシングでは後述するクロダイの増加と投げ釣り禁止問題に伴い、ガンクロゲームや壁チヌといったスタイルが徐々に浸透しつつあるが、残念ながらフライフィッシングとしては以降の発展は乏しく、ほとんど誰もやっていないのが現状だろう。

「シーバスに代わる東京湾奥のターゲット(クロダイ)を、オカッパリかつ釣り方の制限がある中でフライフィッシングで釣るにはどうすれば?」という問いに対する現時点での最適解

近年、東京湾奥ではシーバスの数が減って、クロダイが激増中である。壁沿いにシーバスが着けなくなるほどクロダイが増えた。一方で、投げ釣りが禁止されてしまったエリアが増えつつあり、ルアーはもちろんフライを振ることも難しくなってきた。サイドキャストに関してギリギリ黙認でOKというところが多かったが、場所によっては明確にNGとされ、アンダーキャストかつ自分の前だけにキャストする場合のみOKになっている。もはや、ルアーフィッシングもフライフィッシングもオカッパリでは絶望的な状況と言えるのが東京湾奥だ。

夜な夜なフライでシーバスをオカッパリで楽しんでいた私は、東京湾でオカッパリができなくなってしまうと自宅から短時間で釣行可能な貴重なフィールドを失ってしまう。そこで、この状況の変化を悲しむのではなく、「どうにかして楽しむ方法はないか?」と考えた。

軽く細いタックル・ラインシステムがキモ

そんな中、昨今のユーロニンフの流行と、ガンクロゲームで使用するリアルではない擬似餌(「ルアー」ではなく、あえて「擬似餌」と書きたい)からヒントを得て、ユーロチヌというスタイルを考えた。もちろん、私が考えたというのはおこがましく、おそらく他の誰かも試みている(いた)と思うが、公な情報がないのでこのエントリで紹介したい。

他の方はご自身の考えがあると思うが、私は、

(1) 8フィート以下の短く張りのよいフライロッド
(2) ゲーム性を高めるためなるべくなら特に何かに似せたものではないフライ
(3) 昔行われていたフライラインを用いた落とし込みではないモノフィラの細いラインシステム


この三つを基本としたユーロニンフのスタイルを軸にしている。

ナイトゲームでのUV効果は絶大

(1) に関しては4−5番程度のトラウトロッド。日本の渓流向きの柔らかいものでは合わせのパワーが伝わりにくくファイトでのされてしまうので(それはそれで楽しい)、海外製のトラウトロッドやパンフィッシュ用のロッドがベスト。私はEchoのGeckoを多用している。足元から海まで護岸が張り出していたり、水面までだいぶ高さがあったり、階段状に深くなるポイントが多いエリアの場合は8.6フィート程度あってもよいが、9フィートだとさすがに長過ぎるうえ細かい操作がやり辛い(ただし、前打ち的な釣りをするならアリ)。

(2) に関してはサイト用より小さ目、たとえば伊勢尼7-8号にUVマテリアルを使用したもの。ティペットを4X程度、あるいは、グラスなど柔らかいロッドを使用する場合は、小さめあるいは細軸のフックのほうがバランスがよい。形状はなんでもよいと思うが、ナイトゲームの場合はUVの入ったマテリアルを使用するか、イレグイマーカー(ケイムラクリア)で着色すると効果大。私はUVのシェニールをぐるぐる巻きした簡素なものをメインで使用している。具体的にはこちら。落ちていくものに反応するので、カニやイガイ・ミジガイのイミテーションはもちろん、それこそ消しゴムやスポンジを削り取ったものでもよいが、ナイトゲームで使用するならUVを入れるかマーカー着色を行いたい。

夏も冬もシーズン通してブラックのUVシェニールぐるぐる巻だけで釣果は出ているが、イガイが落ち始める時期と重なるためか、盛夏を過ぎたあたりから秋口にはブラックの反応が悪い時がある。反応が悪いと感じた場合は、フジツボを意識したホワイトやフナムシ・カニを意識したブラウンやグレーのカラーをおすすめする。潮が濁っている場合はチャートリュースがよく効く。冬から春にかけて海苔のような藻が壁沿いに付着する時期は、ダークオリーブもおすすめしたい。

それから、ユーロニンフといえばタングステンビーズだが、テンションを掛けたいナイトゲームでは特に有効。ただし、沈下スピードが速すぎる嫌いがあり現場での重さの調整が難しいので、軽めのダンベルアイやチェーンボールで巻いておき、ガン玉で調整するほうが汎用的。もしタングステンビーズを使用する場合はあまり大きくないものをおすすめする。たとえば、伊勢尼8号で4mmをMaxとして、3mmだと入らないことが多いので、その場合はチヌ針もしくはユーロニンフ用やジグ単用のフックを使用する。現場で重量調整を頻繁に行う場合は、フライをノンウエイトで巻いておき、タングステンビーズを中通しにしてテキサスリグのようにして使う方法もおすすめ(この方法だとビーズの穴とフックの太さとゲイプカーブやカエシの張り出しが適合しない場合でもOK)。

UVについて少し補足したい。クロダイはUVに好反応。デイゲームやナイトゲームでも明るい場所ならよいが、真っ暗なポイントでフライを認識させるために夜間でも微量に降り注ぐ紫外線を最大限に有効活用したい。そのため、夜間はUVの入ったシェニールを多用している。

なお、ガン玉での調整の有無問わずフライ自体を重くしたい場合は、より重いダンベルアイを装着するのではなく、レッドアイやレッドワイヤー、板オモリ、ガン玉や割ビシをフックに挟み込んでプライヤーで潰すなどしてボディ内部にウエイトを持たせたい。5/32を超えるような3/16や7/32といったサイズだとどうしても出っ張りが多くなり、閉じたクロダイの口の中に引っかかりフッキングが甘くなりやすいからだ(アイの上にガン玉を打った場合はフライとの間がフリーになるので、3Bや4Bといった大きめのガン玉でもフッキングが悪くなるようなことはほぼ感じない)。フックサイズ(ゲイプ幅)が小さめだとそれが顕著だが、3/16や7/32といったサイズを使いた場合はフックサイズを上げたりロングシャンク気味のフックに変えることである程度回避できる。

(3) は落とし込み・ヘチ釣り用の道糸もしくはユーロニンフ用のサイターがベストで、太さはストラクチャーの多いところでは3号とし、万能なのは2.5号。3Xや3.5Xのティペットを多用するなら2号のほうが親和性がよい。フライラインは使用しないので、バッキングラインに直接接続でよい。もちろんユーロニンフのようにユーロニンフ用のラインを使用してもよいが、ユーロニンフのように放り投げる(前打ち)スタイルを行わない限り専用ラインとしてはほぼ意味がない。なお、カラーはお好みでよいが、ナイトゲームでは圧倒的にホワイトが見やすい。

次にリーダーシステム。サイターとティペットはスイベル(スペイ用の極小スイベルがおすすめ)を介して結ぶ。ティペットがよれて回転しやすいカニやイガイ・ミジガイパターンのようなフライは警戒されやすいためだが、ほとんど回転しないフライならティペットリングやスプリットリングでもよい。ナイロンのサイターとフロロのティペットなど、素材の異なるモノフィラ同士を直結すると抜けたり切れたりすることが多いのでノットはしっかり締め込みたい。

ティペットはナイトゲームでは2X-2.5Xで、デイゲームの場合はワンランク細くが基準。澄み潮の場合も細くする。ティペットの長さは2フィートあれば十分で、長くても3フィート。なお、水面直下で当たる場合はティペットが沈みきらずにサイターが視界に入らない。そのためナイトゲームでは1フィートにしてしまうこともある(デイゲームではサイターがクロダイの視界に入るのでNG)。

ナイトゲームの場合はケミホタル必須、ただしラインの位置と沈下スピードの確認が主な役割

そして、ナイトゲームの場合はサイター側にケミホタル(25)を装着したい。常夜灯カンカンの下ではサイターが見えるが、明暗の影になっている場所や常夜灯のない場所ではサイターがほとんど見えないので、明るい場所以外では必須と考えてよい。ただし、後述しているとおりケミホタルそのもので当たりを取ることは少なく、ラインの位置と沈下スピードの確認が主な役割。

次に釣り方。落とし込み・ヘチ釣りのようにエサ+オモリの重さでリールを逆回転させて沈めるようなことはしない。フライリールではその釣り方はマネできないし、ユーロチヌはクロダイが上ずっている夏場を中心とした釣りなので、原則としてフライロッドの長さより深い場所は狙わない(狙えない)。もうおわかりのように、ティペットにフライを結んだ状態でフライをロッドのグリップエンドまで引っ張ったときに引き出されるサイター+ティペットの長さ、つまりフライロッドの全長のラインシステムだけで釣りをする。つまり、リールを逆回転させて落とし込まない場合のヘチ釣りと同じ(潮間帯を狙うタナ釣り)。ただし、足場が高く海面まで距離がある場合は、リールからサイターを引き出して調整する。

具体的な釣り方はこうだ。

(1) 最初にラインシステムをフライロッドの長さと同じ状態まで引き出す(ナイトゲームの場合は後述するケミホタルのセッティングを行う)

(2) ポイントに対して垂直に落とす(デイゲームの場合はフリーフォールまたは軽めのテンションフォール、ナイトゲームの場合はガン玉やジンタンで重さ調整をしつつ軽めのテンションフォールで行い、水面すぐ上のサイターに視線をフォーカスしつつケミホタルまでの間を視界に入れておく)

(3) 違和感(糸がたるむ、糸が横に動く、急に引っ張られる、コツンと当たるなど)を感じたら合わせる

(4) ロッド一本分(ケミホタルを装着している場合はケミホタルが水面に着く程度まで)落とし込んだらカラ合わせ(水切り音が出ない程度に「アタリを聞く」ように軽く合わせ、重さを感じたら追い合わせ)

(4) のあと1-2歩(1m前後)前に進んでから(2)へ。あとはその繰り返し。(2)は壁際ギリギリが鉄則だが牡蠣殻やイガイが密集している場所だと引っかかりやすいのでナイトゲームなら少し離してもよい。垂直護岸だと理想は5cm以内だが、現実的には10cmほど離れてしまうことが多い。15cmまでなら許容範囲で、20cmだと怪しくなってきて、30cm離れると厳しい。強風時や波っ気のある場合は揉まれて落ちるので、多少離れていてもなんとかなる。水面付近で壁から離れていても、フライ付近は壁に寄っていたりするからだ(もちろんその逆も然り)。ゴミ溜まりの場合は壁沿いにこだわらなくてもOKで、ゴミ下に落とせば普通に食ってくる。

なお、(4)でかかることも多く、当たりを取るのが難しい釣りだとつくづく痛感するが、(3)のあたりを掴めず(4)に期待すると極端に釣果が落ちるので要注意。

このあたりは落とし込み・ヘチ釣りの情報を参考にしてほしいが、少し違うのは(2)の落とし方。ナイトゲームの場合は当たりが非常に取りづらいので、風も波もなく潮もほぼ止まっているような場合を除き、ガン玉やジンタンを追加して意図的にリグ全体をやや重くしてテンションをかけながら落とす方法だ。この方法により糸ふけや手に感じる当たりを格段に捉えやすくなる。

ケミホタルは直接見ておらず水面側(水面の上)のラインを注視している

使用するロッドの長さにもよるが、7.6-8フィート程度ならロッドティップからフライまでラインを約2mほど引き伸ばした状態からスタートする。レンジが深めの場合は2.5mほど引き伸ばすし、足場の高いポイントや潮が下がって水面まで距離が出てきた場合も同様に長めに垂らす。反対に水面直下での当たりが多い場合は手返しよく探るためため2m以下まで短くすることもある。フライリールではエサ+オモリの重さでリールを逆回転させて沈めるような釣り方ができないため、狙うレンジ・潮位・足場の高さに応じて臨機応変に長さを調整したい。なお、ケミホタルを使用する場合は一番下までフライを落としたときにケミホタルが水中に入らない程度の位置にセットしたい。水中に入ると光が拡散されるためか、警戒されやすい気がする。

ケミホタルを付けてもそれを注視することは少なく、ケミホタルと水面の間の水面側(水面の上)のラインの変化を感じる(「見る」というより「感じる」が適切)ようにしている。ラインに変化があればケミホタルにも伝わり光の揺れを感じるので、ケミホタルは視界の中になんとなく入っていれば十分である。

はじめての場所では状況がわかるまで探る間隔は一定でよい。よくあたるポイント・ここぞ!というポイントは探る間隔を狭くし、ぱっとしないポイントは間隔を広くして探る。あまり時間のない短時間釣行ではめぼしいポイントのみ探ることもある。また、明らかにうわずっている場合は水面下1メートル程度にし活性の高い魚だけを狙ってテンポよく進むことも考えよう。数百メートルある護岸のストレッチを細かく切り刻んでいくと、端から端まで2-3時間は余裕でかかってしまう。短い時合にアジャストするためにテンポよく探っていくには、横の幅(フライを落とし込む間隔)と縦の幅(フライを落とし込む水深)をうまく組み立てることがとても重要だ。

横の幅(フライを落とし込む間隔)と縦の幅(フライを落とし込む水深)をうまく組み立てる

一度探った護岸を折り返して探ることも有効で、その時に居なかった魚が入っていたり、探っていたレンジに居なかった魚が上がってきたりすることが多い。先行者が多くて前に進めない・エリアを変えても先行者が多い可能性が高い場合は積極的に行おう。なお、復路では往路と異なるレンジと間隔、別のリグ(フライやガン玉の重さを変える)で探ってみるのもおすすめ。あたりが頻発した場所は時間をおいて再度探るとやはりあたることが多い。

フライの重さについてあらためて解説する。メーカーや銘柄によって多少差はあるが、ダンベルアイ1/8でジンタン3号(約0.25g)、ダンベルアイ5/32でガン玉Bの重さ(約0.5g)の重さなので、まずはその基準でダンベルアイまたは同じ重さのチェーンボールを装着したフライを用意し、風や波、潮流など必要に応じてジンタン3号(約0.25g)〜ガン玉3B(約1.0g)程度を追加して調整する。基本は魚に違和感を与えないような微妙に糸がふける程度の重さがよく、重くするよりは軽くしたい。だだ、ナイトゲームかつ暗いポイントだとあたりを取るのが難しいので、慣れないうちはやや重めにすることをおすすめする。

私の場合、風もなく凪いでおり潮も動いていない場合はダンベルアイ1/8のフライ+ジンタン3号もしくはダンベルアイ5/32のフライにガン玉なしが多い(つまりどちらもダンベルアイ+ガン玉orジンタンで約0.5g)。風や波っ気があり潮も速い場合はダンベルアイ5/32のフライ+ガン玉B〜3Bが多い(ダンベルアイ+ガン玉で約1.0g〜1.5g)。実際にはこれにフライフックやマテリアルの重さが加わるが、リグ全体で2.0gを超えてくるようだと細かい当たりが取りにくなり、フライを喰ったときに吐き出されるのも速い気がする。ガンクロゲームやエサの場合はリグ全体がもっと重くなると思うが、フライ(ユーロチヌ)だと重いリグでは繊細な釣りができない。

それから、釣りをしている最中はタモの柄やリール、フィッシュグリップなどを柵に当てないようにしたい。ガン玉とダンベルアイを装着したフライが当たる音もとても響く。当たったときに響く「カン!」「コン!」はとてもスプークしやすいので最大限に気をつけたい。魚が見えているときに確認するとよくわかるが、人影や足音以上に警戒される。

全体を通して細かい話はいくつかあるが、大雑把に書くとこんな感じだ。

いかがだろうか。

なお、これは現時点での私の見解であり、今後経験値がさらに増えることでまた違った考えが出てくる可能性は否めない。明日は180度違うことを言っているかもしれないので、その点はご理解ご了承いただきたい。

ユーロニンフ自体が否定されることもある昨今、これをフライフィッシングと呼ぶかは各々の考え・価値観次第なので、ここで言及も議論もするつもりはない。

ユーロチヌ、これはフライフィッシングなのか?

特筆すべきは、デイゲームだけではなく、ナイトゲームでもデイゲームと遜色ない釣果を得られることだ。いや、むしろナイトゲームで楽しむものかもしれないと思うほど夜によく釣れる。真夏の灼熱の東京で真っ昼間のデイゲームは辛いものがあり、また昼間はヘチ釣り師が多くポイント争いになるのと観光客で気が散るので、ナイトゲームがおすすめだ。言うまでもなく真っ昼間でも釣れるが、人混みが嫌い、静かに釣りたい、都会の中での釣りに気が引けるなら、静寂な夜をおすすめしたい。夏は蚊の対策も忘れずに!

もともと、夜間の短時間釣行という湾奥のオカッパリシーバスと同じスタイルでクロダイを釣りたいと考えていたが、ユーロチヌはそれに見事にハマった。

ただでさえ当たりをとるのが簡単ではない夜の落とし込み・ヘチ釣りスタイルで、匂いも味もしないフライ、しかもガンクロゲームで使うルアーより小さ目で軽くアピール力のないものを使用してクロダイを釣ろうとするのだから、側からみたらエキセントリックな釣法に映るかもしれない。

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サイトで使用するような6−8番ロッドだとクロダイをかけてもヒットからランディングまでずっとリールファイトになることはほぼないが、ユーロチヌで使用するロッドは柔らかく、ロッドの真下で掛けるためにラインのスラックがまったくない状態でファイトがスタートする。したがって、毎回最初から最後までほぼリールファイトになる。Geckoだと40cm程度のクロダイでもバットから曲がり、強引に止めるとティペットが簡単に切れてしまうので、毎回ヒヤヒヤする(意訳: 楽しんでいる)。

<2025/07/29追記>
最近はグラスの4番で遊んでいる。40cm1枚で腕がパンパン(笑)

以下余談。

私はサイトフィッシング中毒者なので、ガイドではないプライベートではサイトでの釣りを最優先にする人だ。渓流はドライフライ専門だし、湖も基本引っ張らずに浮きものしかやらない、南の島のフラットもサイトしかやらない。ライズやテーリングを狙ったり、魚体を直接目視して魚を釣りたい人である。とはいえ、サイトが難しい時間・条件・場所で釣りをしなければならないことだってある。

浜名湖より釣れるのは事実なので、フライで手軽にクロダイを釣りたいなら強くおすすめしたい

夜しか空いていない、遠出する時間がない、でもフライでクロダイが釣りたい、サイトが理想だがブラインドでも許す!というような人(そう私だ)にとってはユーロチヌ@ナイトゲームは救世主。時間あたりのヒット数だけで言えば浜名湖の数倍釣れる。

クロダイが急激に増えている東京湾とはいえ、実際に急増しているのは内湾と呼ばれる湾中(湾央)と湾奥。外湾と呼ばれる湾口は以前からクロダイが多いとされる三浦半島や内房に位置するが、クロダイの数は増えているものの湾奥と比較すると急増した印象はあまりない。湾口エリアの河口や干潟でも思っているほど数は見られない(目視できるようなシャローがあまりないという理由もある)。西日本と比較すると見える魚影は薄く、浜名湖や瀬戸内、九州のようなイメージでシャローでのサイトフィッシングを期待するとうまくいかないことが多い。東京湾のオカッパリでクロダイをイージーに釣りたいのなら、湾口のシャローゲームではなく、湾中(湾央)や湾奥でのユーロチヌをおすすめする。

皆様、特に東京湾奥までさほど遠くないソルトフライフィッシャーはぜひ試してみて欲しい。ポイントや釣り方など勝手がわからない方向けにガイド 「湾奥クロダイ@フライフィッシングガイド」も行っているので、お気軽に!

2023/06/07

南の島でのフライフィッシングによるトロピカルフィッシュ五目釣りのコツ


Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 

奄美や沖縄本島、宮古島石垣島など、南の島フラットでの本命はトレバリーであり、対抗としてトリガーだろうか。どちらも簡単ではない上に、ガチで狙っても遠征中に1匹も手中に収めることができないという結果になることも珍しくない。

勝手がわからない方向けに南西諸島のフライフィッシングガイドも実施しておりますので、ぜひどうぞ!

トレバリーのクルージング待ちやトリガーのテーリング待ちで手持ち無沙汰のときに相手してくれるのが、フラットに生息する小型魚だ。多くは20-30cm程度、まれに40cm超程度のサイズということもありどうしても外道扱いされることが多いが、南の島特有の色彩豊かな魚種が楽しませてくれる。潮位が高めの場合はブラインドが主体になるが、干潮前後や状況によっては魚体を確認できるので、サイトフィッシングでも楽しめる。

ムラサメモンガラ、マトフエフキ、カンモンハタ…癒やしの五目釣り

ムラサメモンガラ、マトフエフキ、カンモンハタ、モチノウオ、オジサン、コーフ...何が釣れるかわからないのも魅力である。十数センチほどの魚もたくさんいるが、フライをかなり小さくしなければならないのと、そこまでしてわざわざ狙うほどのサイズではないのでここでは対象外としたい。

フラットにはサンドフラット、マディフラット、リーフフラット、それらの混在など、ボトムのマテリアルに応じて多彩なポイントが広がり、明るい水色も相まって魚がたくさんいるように感じる。南の島なら簡単に釣れるだろうと思ってしまうが、実際にはそう簡単ではない。 サンドフラットでもマディフラットでも魚はいるが、サンゴやウィードなどの混在ボトムを除き五目釣りにはあまり向かない。いかにもといったトロピカルフィッシュを釣りたい!と思うならリーフフラットを強くおすすめする。サンドフラット、マディフラットよりポイントを絞りやすく、魚種も豊富だからだ。おそらく皆さんの頭の中で想像している南の島での釣りのイメージそのものになるだろう。イメージは南の島での五目フライフィッシングをどうぞ!

フラットでは「変化」を狙おう

コバンアジやコーフのように移動を繰り返す魚もいれば、ムラサメモンガラやカンモンハタのように定着性の強い魚もいるのでポイントを一括りにはできないが、どちらの魚を狙うにしても最重要要素として考えなければならないのは「変化」である。

潮の流れや潮目(ウェーディングしているときに感じる水温の変化やスカムラインで判別できる)、岩やサンゴ、ウィードなどのストラクチャー、カケアガリや窪み、ボトムマテリアルの違いなど、これらすべて「変化」として捉えたい。その「変化」に潮の流れが加わっていれば一級ポイント間違いなし。潮通しの良い場所は良型の強い魚が多い。

「変化」というと何やら難しく思えてしまうが、渓流や湖でのポイントの見極めと全く同じ。南の島だとどこにでも魚がいるように錯覚してしまうので、いつも以上に「変化」を意識したい。

魚が着くのはこうした「変化」なので、フライを投入するのは「変化」に絞りたい。適当に投げても釣れないことはないが、無駄なキャストが増えることで魚が警戒してしまうのでおすすめしない。

また、ポイントに近づきすぎるのもよくなく、10メートルは離れて狙いたい。渓流以上、フラットのサイトフィッシング未満の距離感といえばイメージしやすいかもしれない。もっとも、コントロールできる範囲で距離は取ったほうが有利なことは間違いない。

ド干潮以外では魚影を確認するのが難しいことが多いのでアプローチは気が緩みがちだが、五目釣りと舐めてかかると痛い目に遭う。移動するときはバシャバシャ音を立てるのではなく、ソロリソロリと足を運びたい。活きたサンゴが多い場所では踏み潰さないように、サンゴの間を縫って歩いてほしい。サンゴの上には決して乗らないこと。このあたりは通常のフラットフィッシングと同じ。

強すぎじゃないか?と思ってしまうが8番ロッドが最適

タックルに関して。サンドフラットやマッディフラットならほぼ根もないので6番で問題ないが、いかにもといったトロピカルフィッシュが生息するリーフフラットでは8番は欲しい。リーフに生息する多くの魚種はファイト中にサンゴの穴やウィードに突っ込もうとするのと、フッキング直後のファーストランをかわすためにもバットパワーが必要だ。トレバリーやトリガーを狙っている合間の五目釣りならそれ相応のロッドを使用していると思うので問題ないだろう。

ラインはフローティング、リーダーはナイロンで全長は9-12フィート程度、ティペットはフロロ20ポンド一択でよい。経験上ティペットを細くしたところで釣果が変わる印象はない。根掛かりや根ズレ、歯による損傷を考えると魚の大きさに対して太めを推奨したい。トレバリーやトリガー狙いならティペットそのままでフライだけ変えれば済むという理由もある。なお、ド干潮あたりのスネ下潮位の場合は、クリアティップのラインもしくはリーダー長めをおすすめしたい。

ロッド8番+ティペット20ポンド+小さくても太軸のフライフックなら不意にトレバリーや大型トリガーが現れてもそのまま狙うことができるので、安心して五目釣りに専念できる。

なんでも釣りたいならフックは小さめがおすすめ

フライは太軸の#8前後が理想。ゲイプ幅でいうとTMC811S換算で#8、管付き伊勢尼換算で7-8号あたりか。それより大きいサイズ、例えば#4や#2でも食ってくるフエ系・フエフキ系やハタ系のような魚はいるが、ムサラメモンガラやモチノウオのように魚体の割に口の小さい魚も多いので、特に狙う魚が定まっておらずとりあえずなんでも釣りたいなら小さめをおすすめする。

また、口の硬い魚も多いので細軸フックは避けたほうが良い。細い分刺さりは良いが、ファイト中やフックを外すときに折れたり曲がったりするのと、根掛かりした場合の回収率が極端に下がる。小さくても8番ロッドを絞り込むパワーがあるので侮ってはいけない。

サンドフラットやマッディフラットではなくリーフフラットの場合はフライにガードは必須。サンゴは想像以上に引っかかりやすい。エダサンゴはとても折れやすいので、エダサンゴに引っかかっているとわかっている場合は、ラインを引っ張らずに手で外しに行こう。

使用するフライや狙う魚、ポイントにもよるが、スースー、チョンチョンのような喰わせの間を入れる単純なリトリーブでよい。サンドフラットやマディフラットならボトムトレースでよいが、リーフフラットはボトムを取る必要はないのでストラクチャー脇の中層を泳がすイメージでよい。

なお、リーフフラットの場合はサンゴや岩のすぐ脇を通したい(サンゴの窪みを狙う場合はエッジ付近の窪み側)。ウィードの場合も脇でよいが、ウィード上端と水面の間がある程度ある場合はウィードの真上も通すこともおすすめしたい。

魚種別のポイント違いだと、ムラサメモンガラやマトフエは砂地にウィードとサンゴや岩が絡む場所。モチノウオやオジサンもムラサメモンガラやマトフエと同じようなストラクチャーにいるが、ムラサメモンガラよりやや潮通しの良い場所を好むので、流れのあるチャンネル付近やリーフエッジに近い沖目がよい。ムネアカクチビも潮通しのよい場所。カンモンハタは潮間帯より下に多いので、波っ気の少ないやや水深のある根を狙おう。リーフエッジ付近の根にはイソゴンベが多い。

また、下げからド干潮はボトムの窪みに魚が溜まりやすく、上げのときはチャンネルから魚が差してくるので積極的に狙いたい。それと潮位が若干高めのときに現れる潮目付近も重要で、ゴミが集まっている筋や水温が急に変わる付近は魚が溜まりやすい。

潮位的には低めが狙いやすく、個人的にはナーバスウォーターを出しながらストラクチャー周りをウロウロするムラサメモンガラをサイトで狙いやすいド干潮潮止まり前後が一番楽しいと感じる。

きちんとターンオーバーはさせること

いずれにせよ、テーリング狙いのようにアキュラシーに神経質になる必要はないが、きちんとターンオーバーはさせたい。浅い分ループが乱れたままの着水はやはり警戒されやすいのと、落パクで喰ってくるときもあるからだ。

バイトは比較的明確で、ゴゴゴ!やドスン!という感じで手元に来るので、そのまま2-3回ストリッピングで合わせてからロッドで追い合わせするイメージでよい。バイトの瞬間にロッドを立てるとバレることが多い。このあたりはテーリング狙いのクロダイ、トリガーはもちろんのこと、湖での引っ張りと同様。リーフフラットの場合はフッキングしたらすぐに寄せにかからないと根に入られるので注意、ランディング寸前までは油断できない。

歯の鋭い魚や棘のある魚が多いのでランディング時はフィッシュグリップを使うか、余裕があればネットで掬いたい。毒魚もいるので同定できない怪しい魚がつれたら直接触らないようにしたい。

根掛かりした場合は糸を切らずに可能な限り回収してほしい。五目釣りの場合は潮位が低いときに行うことが多いので、フライを回収することは容易だ。 

ストラクチャーに逃げ込まれた場合はラインのテンションを抜いてしばらく放置していれば魚のほうから出てくるので、無理に引っ張らないようにしたい。どうしても出てこない場合は魚体を掴んで引っ張り出そう。ムラサメモンガラのように棘のある魚は棘で、カンモンハタのような根魚は胸鰭で引っかかっているので、棘や鰭を掴んで折りたためば抜ける。

なお、手で引っ張り出す場合、魚が確認できているなら問題ないのだが、見えない場合は噛まれないように注意。フッキングした魚以外にも攻撃してくる魚や毒魚などもいるので注意してほしい。少なくとも素手ではなくグローブを嵌めた状態をおすすめする。

貴重な資源なのでリリースしてほしい

それと、強要するつもりはないが、いずれの魚もリリースを前提としてほしい。特にカンモンハタのような成長が遅くテレトリー意識の高い魚に与える影響はとても大きい。

いかがだろうか。

標準的なタックルに関しては上述したとおりだが、各々好きなタックルで楽しんでほしい。特にフラットシューズを履いた状態でくるぶしくらいの低潮位の場合は5番前後の軽いラインのほうがラインインパクトも少なく場を荒らしにくい。私自身、4番のグラスロッドで楽しむこともある。

よいポイントに当たると連発するので、トレバリーやトリガー狙いの合間だけに留めず、トロピカルフィッシュを専門に狙うのも大いにありだ。観光ついでに短時間で楽しめるので、ガチ釣行がなかなか叶わないお父さんが家族サービスの合間にチョイ釣りをしたり、普段渓流しかやらない人にも最適だろう。そうした釣りなら管釣り用の5番前後のタックルで十分楽しめる。沖縄出張ついでの「出釣」にも相性がいい。

南の島での五目フライフィッシングをどうぞ!

トロピカル五目釣りに限った話ではないが、最後に注意点をひとつ。

多くの場合はレンタカー含め車での釣行になると思うが、車を停める場所に注意したい。南西諸島は観光地化が進み私有地への違法駐車や海岸への乗り入れが問題になっている(特に宮古島・伊良部島、石垣島)。首都圏近郊の漁港ほどではないが、以前駐車できた場所が駐車禁止や進入禁止になったり変化が激しい。

不安ならポイントから離れた場所でも公共の駐車場に停めるか、近くに止められる場所がないならいっそ諦めるくらいの心構えで挑んでほしい。

「ここいい感じだなぁ〜」と思っても近くに車を停める場所が見当たらないことも多いので、現地住民に訊くのもありだ。その方が釣りをする人なら有益な情報も聞き出せるかもしれない。

2022/09/20

フライフィッシングによるバチ抜けシーバス考察(東京湾奥運河筋限定のお話)

 

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

バックスペースや飛距離、低いアピール度などルアーフィッシングと比較して制約の大きいフライフィッシングにおいて、スレっスレの東京湾港湾部かつオカッパリでシーバスを釣るのは難易度が高いといえる。ルアーで何度か釣った経験のある人が実績のあるポイントを攻めるのであればそれなりに結果が出るが、ルアーでのシーバスはもちろんソルトFFもやらずにいきなり港湾部オカッパリシーバスFFで結果を出すのは相当難しいと思う(ボートシーバスはイージーなので、まず1匹ならガイド付きのボートフィッシングをオススメ)。

バチ抜けシーズンはオカッパリでもっともイージーに魚を手にすることができる時期

港湾部でのオカッパリによるシーバスフィッシングにおいてバチ抜けシーズンはもっともイージーに魚を手にすることができる時期でもある。特にフライフィッシングで狙う場合、バチ抜けシーズンは絶対に見逃すことができない。シーバスフィッシングにおけるお祭りといえばバチ抜けなのは間違いないだろう。特に港湾部の運河筋で起こるバチ抜け水面勝負になることが多く、エキサイト極まりない。

ここではそんなバチ抜け時期のシーバスをフライフィッシングで狙う場合のヒントをお伝えする。

なお、ここで話すのは東京湾奥の小規模運河、具体的には東京湾の江東区〜品川区にかけての運河筋におけるバチ抜けフライフィッシングの話であり、河川(隅田川や荒川、江戸川や中川、小櫃川や養老川など)や干潟(盤州干潟、三番瀬など)のバチ抜けに関してはシーズンもバチの種類も釣り方も変わってくるため割愛する。

バチの生態やバチ抜け全般の話に関してはルアーフィッシング系の雑誌・ムックやネット上の記事が詳しいため、そちらを参照してほしい。2022年4月号の『つり人』の特集がまさに「バチ抜けから始める!春シーバス超入門」なのでぜひ読んでほしい。少し(だいぶ?)古くなるが、2008年発刊の別冊釣り人『バチ抜け地獄』はかなりの良書なので、古本で手に入るならオススメしたい。いずれもルアーの記事が基本で『バチ抜け地獄』に関してはイマドキのスタイルとは多少異なるが参考になる情報が満載なので、バチ抜けあるいはルアーによるシーバス経験のない方は読んだほうがよいだろう。

本題に入ろう。

ミミズやゴカイ、ナメクジやヒルなどの生き物が大嫌いな私が、キモいのを承知でバチ抜けシーバスにとち狂うのは、その高いゲーム性にある。もちろん、単純に釣りやすい時期・パターンだからという理由もあるが、一見簡単そうに見えてフライパターンやレンジ、アクション(ドリフト)が魚のお気に召さないとまず釣れないという、渓流のスレッカラシヤマメのライズゲームと全く同じシチュエーションと難易度を体験できることが最大の理由。ドライフライに出ても乗らず、ドリフトやフライパターンが決まったときはすんなりフッキングするという、まさにそれである。

渓流のライズゲームが好きな人なら絶対にハマる

渓流のライズゲームと同じといってしまうと「バチ抜けシーバスは難しんじゃないか?」と思われてしまうが、バチ抜け時期のシーバスは固まっていることが多く、パターンにハマれば連発するので、渓流魚より数は出しやすいかもしれない。筆者の経験だとフライパターンと魚の数・活性が高ければ、一晩でツ抜けすることは決して珍しいことではない。

他のシーズンだとルアー有利だが、バチ抜けに限ってはフライが断然有利。飛距離不要、水面あるいは水面直下勝負、フライはルアーと違ってスレにくいという点が大きい。バチをイミテートしやすいからという理由も間違ってはいないが、実はここにバチ抜けフライで皆がやらかしてしまうミスが潜んでいる。

引き波を出さないバチや釣り方の場合を除き、実際にイミテートするのはバチ本体ではなく「引き波」である。ボディの形状やカラーにこだわる前に、引き波をうまく演出できるようなパターンに注力すべきだろう。引き波をうまく演出できれば程度の差はあれどどんなフライでもバイトを誘う。これはフライに限ったことではなくルアーも同じ。

引き波系バチでの釣りは「引き波」の演出で結果が分かれる

逆にどんなにリアルにバチ本体を表現できたとしても、引き波に違和感があればバイトの数が激減する。

バチに対するシーバスの捕食を明るいところで観察するとよくわかるが、バチの後ろを着いてきてバイトするケースとバチの下から突然突き上げてバイトするケースに二分される。

この2パターンを考えると、リアフックを付けてボディ中程にもフックを付けたくなるが、これで効果があるのはフライを疑うことなくバイトしてくる場合と考えてよい。リアフックなしでヘッド付近のみにフックがあるパターンよりフッキング率は確かに向上するが、それでもバイトの数に対してフッキング率は低いままだろう。

事故的フッキングの改善はフック位置ではなくフライの泳ぎの違和感をなくすこと

多少動きがおかしくても(=スピードや引き波が不自然でも)コンディションがよいと何発もバイトを得られるが、そのような違和感を醸し出していると信じられないほど乗らない(トップウォータの釣りはもともと乗りが悪いがそれを差し引いても、である)。残念ながら引き波をうまく演出できなければフライを変えても何も変わらないことが多い。

この引き波はフライパターンによってでき方が変わってくるが、鋭角的な波、喩えるならクロダイのナーバスウォーターのような角が立った状態が好ましい。ボラのナーバスウォーターのように丸っこい波やハクの群れのようなチラチラした小さい波が出てしまうフライパターンだとバイト率が落ちる。

さらに難しくするのは引き波だけでなく動きだ。本物の引き波系バチの泳ぎを観察すればわかるが、種類よって多少異なるものの一定のスピードでジグザグに水面をすべるように泳ぐ。さすがにジグザグを演出するのは難しいが、フライを一定のスピードで引くことには最大限こだわりたい。ラインハンドだけでのリトリーブだとこれができない。

コツとしてはロッドを脇に挟んだ状態での両手でのハンドリトリーブ。ただ、運河に多い柵からの釣りだと足元がやりづらいので、両手でのハンドリトリーブで手前まで引いてきたら最後にロッドをスーッっと動かしてフライを引きながらピックアップしたい。リトリーブの途中で止めたり急な速度変化を与えたりするのは厳禁で、そのような泳ぎだとフッキング以前に極端にバイト率が落ちる。

合わせは魚の重みが乗ってからで問題ない。ザバっ!と水面が炸裂するとびっくりしてロッドで合わせたり手が止まったりするが、出ても乗らないことのほうが多いのでそのままリトリーブを続けることが重要。乗らなければ追い食いしてくるし、何よりリトリーブを止めると見切られてスレてしまうし、ロッドであおってしまうとラインで水面を荒らしてしまう。湖の引っ張り同様にそのままリトリーブして魚の重みを感じたらラインを引きながらロッドをあおって合わせる。

バチが広範囲に抜けているときはオープンウォーターに適当に投げても出るが、足元に明暗がはっきり出ているポイントではピックアップ寸前に水面が炸裂することも多いので最後まで気を緩めないでほしい。

潮がかなり速い場合はほっとけメソッドでアップクロス〜ダウンクロスで流すことでもバイトを得られないこともないが、流れがそんなに速くないあるいはほとんどない場合はほっとけメソッドはあまり効果がないので要注意。河川や干潟に生息するバチは遊泳力のない水中流下タイプのバチのためドリフトが効果的だが、積極的に泳ぐバチがメインの運河では単純なドリフトでの反応が鈍い。

引き波パターンにはもうひとつ重要な点がありそれはレンジだ。引き波バチには大きく分けると2種類おり、水面から頭を出して蛇のように泳ぐタイプ、あまり顔を出さずに泳ぐタイプがいる。前者は目立つので多少暗くてもすぐにわかるが、後者はある程度明るい場所でないとわからないかもしれない。この2種類が混在して抜けている場合もあるし、どちらか1種類がメインという場合もある。シビアな状況だと引き波を合わせないと反応が鈍い。大きく引き波が出るタイプ、あまり出ないタイプというように、フライパターンを準備して挑みたい。

クルクルバチパターンを制するものが運河筋のバチ抜けを制する

さて、ここまでは主に引き波を出すタイプのバチパターンについて解説してきたが、重要な話をしていない。そう、クルクルバチだ。

バチ抜けシーズン後半になると、水面下をクルクル回る小型の遊泳力のあるバチが幅を利かせてくる。引き波バチが出る前や出終わった後、小潮や長潮といったダルい潮回りでもこのクルクルバチは出現するので時合が長い。特にシーズン後半の運河筋では最重要種のバチになるのでこのパターンは必携としたい。

水面を泳ぐこともあり、その場合はごく小さな引き波を発生させているが、基本的には水面直下〜やや深めのレンジをクルクルまわりながら忙しなく泳いでいる。その予測できない泳ぎからトリッキーバチとも呼ばれる。大きさは1-4cmほどで、水中にいるときはピンク・オレンジっぽく見えるが、見慣れていないと小さなベイトフィッシュにしか見えないだろう。

このバチを捕食しているシーバスを通常の引き波系パターンで釣るのは難しい。釣れないわけではないが格段にバイト率が落ちる。ボイルはあるけど激しくない、シーズン後半、引き波系バチが抜けるタイミングの前後、あるいは、水面直下でシーバスが反転しているようならクルクルバチを捕食していると思ってほぼ間違いないが、時期的にアミの場合もあるので、渓流のライズゲーム同様に捕食物はよく観察したい。

クルクルバチパターンは小さいこともあり、ボイルしたところにダイレクトにキャストしないと気が付かれず反応しないことが多い。シーバスが群れている・あちらこちらに散っていると思われる場合は引き波パターン同様に適当に投げても食ってくるが、シーバスが固まっていると思われる場合はボイル狙い撃ちを原則としたい。

クルクルバチパターンは少し速めのショートストロークをメインに、時々ロングストロークやリトリーブスピードの強弱をつけながらリトリーブする。狙うレンジは水面直下で問題ないので、着水後すぐリトリーブしよう。引き波パターンのように一定のスピードでゆっくりリトリーブする必要はないが、リトリーブ中のポーズの時間はできるだけ短くしたいので(つまり、停止しない減速→加速のイメージが正しい)、やはり両手でリトリーブをおすすめする。ラインハンドでのリトリーブがNGというわけではないが、その場合は手が止まっている時間を作らないようにしたい。スースースーという動き、あまり止まらないベイトフィッシュのような動きを意識するとイメージしやすいかもしれない。

バイトはゴン!ドスン!ガツガツ!のように手元に伝わるので、引き波パターン同様にそのままリトリーブして魚の重みを感じたらラインを引きながらロッドをあおって合わせる。引き波パターンと比較してフッキング率はかなり高い。

このクルクルバチパターンを制する者が運河筋のバチ抜けを制すると信じて疑わない。
クルクルバチパターンUNDERWATER ONLINEで!

リーダーやティペットは引き波パターンのときはナイロン一択、クルクルバチパターンはナイロンでもフロロでもOK

バチ抜けのときのラインシステムだが、水面勝負の引き波パターンはもちろん水面下を引っ張るクルクルバチパターンもフローティングラインで問題ない。リーダーやティペットは引き波パターンのときは沈ませない理由とショートバイトでのフッキングミスを避けるためナイロン一択、クルクルバチパターンはナイロンでもフロロでも構わない。

オフシーズン中のエントリになってしまったが、来春はぜひともバチ抜けシーバスを楽しんでほしい。なお、漁港も同様だが運河も立入禁止や釣り禁止や投釣り禁止(この場合はオーバヘッドキャストは不可なので、ペンデュラムキャストのようにループをアンダーで作るかロールキャストもしくはテクトロに限定される)が増えているので十分注意してほしい。Underwaterではバチ抜けシーバスのガイドを行っているので、勝手がわからない方はぜひどうぞ!

2022/01/29

フライフィッシングにおけるリーダーの長さについて私的見解(渓流編)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

渓流におけるロングリーダー・ロングティペットシステム(以降、ロングティペットシステムと呼ぶ)が提唱されてからかなりの年月が経過した。

私がフライフィッシングをはじめたころは7.5フィートや9フィートのリーダーが全盛期で、先端が短くなったら同じ太さorワンランク細い糸を継ぎ足していた。それでも、短くなった分だけ足す程度で、リーダー全長が12フィートを超えるようなことはほぼなかったと記憶している。少なくとも私はそうだった。

ヤマメは毛鉤を咥えてから吐き出すまで0.2秒

しかし、このシステムだと魚は出てもフッキングがうまくいかないことが多く、それを補うためにどうしても早合わせ気味になってしまう。当時は「ヤマメは毛鉤を咥えてから吐き出すまで0.2秒」とテンカラ師の間で云われていた時代。フライをはじめる前からエサやルアーでかなりの数のヤマメは釣っていたので、すばしっこい魚だとは理解しつつも自分のフライ経験の少なさやテクニック以前に釣り方が噛み合っていない気がしていた。

そんな中、某氏をはじめとするロングティペットシステム提唱者がこぞってメディアで発信しはじめ、それに触発された私もいつしか「長いリーダー」を扱うようになった。メインだったロッドをオービスから国産のスローな柔らかいものに切り替えたのもこの頃だ。

しばらくはロングティペットシステムの意味をほとんど理解しないまま「長いリーダー」であればよいのだろうとターンさせることに躍起になっていたが、ターンせずにフワリと落ちたとき、具体的には当時の感覚としてプレゼンテーションをミスしたときのほうがフッキングがよいことに次第に気づくようになっていた。自らの経験に基づき導き出した答えは、、、「必要なのは長いリーダーではなく長いティペット」ということ。

もはや当たり前になっている周知の事実であるし、それなりに長い渓流経験のあるベテランなら「はっ?」「えっ?」と思うだろうが、笑わないでほしい。

いまと違って情報量の少ない時代にタイイングもキャスティングも誰にも教わったことがなく我流でやっていた私にとっては、このことが大きな発見だったのだ。

「ロングリーダー・ロングティペット」というキーワードの「ロング」ばかりに気を取られ、「全体を長くする」という意味と捉えてしまい、本質を見失っていたのだと思う。

当時の私と同じようにいまでも誤解している方もいると思うが、「ロングリーダーではなくロングティペット」が重要。

誤解している方、Underwaterのフライフィッシングガイド・フライフィッシングスクールに参加してモヤモヤを解消!

ロングリーダーではなくロングティペット

なぜ「ロングティペット」なのか。

言うまでもない、本物のエサが流れるようにドライフライを流すため。上述した「吐き出すまで0.2秒」はあながち嘘ではない。主な原因は魚がニセモノと疑って警戒しながら咥えているからだろう。いまでこそテンカラも自然に流す風潮があるが、昔はそうでもなかったはずなので、その点でも不自然さを醸し出していたのだと思う。不自然さをなくせば、慌てて咥えることもなく、離すまでの時間も長いし、飲まれることも多い。

以降、ドライフライフィッシングの話に限定して記述する。ドライフライ以外でも通じる話もあるし、ドライフライでも意図的にドラッグをかける釣り方もあるが、ここでは深く言及しない。

不自然さを醸し出す原因の多くは二つ。 一つ目はフライそのものが不自然な場合、二つ目は流れ方が不自然な場合。

前者はフライパターンやサイズ、フライを流すステージ(水面ぽっかり、水面張り付き、水面ぶら下がりなど)が原因なのでそれを解消する必要があるが、後者はリーダーシステムとプレゼンテーションの改善が必要。

後者の対策としては水の抵抗が少ない細いティペットを長くとることだ。理論上細ければ細いほどよいが、実際の釣りでは限界がある。フライラインの先端からフライまで一直線にして水面に落としてしまうと細くて長いティペットの意味がなくなるので、通常はプレゼンテーションでティペットにスラックを入れたりカーブさせたり、場合によってはリーダー全体やフライライン先端付近も曲げて落とす。

スラックの入れ方も狙うポイントの流れの状態と自分の立ち位置、ドリフトの距離や使用するフライによって変える必要があり、直線的にスラック(イメージとしては縮れ)を入れる、V字に折って落とす、U字曲げて落とす、場合によってはティペットを団子状にして落とすなど様々な方法で対処しなければならない。

このようなことを行うにはティペットが細く長くないと難しい。

ただし、これは渓流でのドライフライフィッシングかつ釣り上がりにおいて有効な話で、渓流でもダウンでのライズ狙いや流速差のあまりないフラットな本流域での釣りやドライフライ以外の釣りではまた異なる。

本題に入る前に話が逸れてしまうが、そもそも何をもってロングティペットシステムというかの定義は難しい。上述したとおり重要なのはティペットの長さであり、リーダー全長だけではロングティペットシステムかどうか判断できない。リーダー全長に対してティペット部がどの程度を占めるかが重要になる。もっというと、考え方は人それぞれなのでそんな定義など不要だろう。あくまでもマーケティング的要素、他人に説明する上でのキーワードでしかない。

リーダーシステムが全体的に長めになっている昨今あえていうのであれば、バット+テーパーの12フィートに4フィートのティペットを繋いだ16フィート程度だとロングティペットシステムというのは少し無理があり、バット+テーパーの12フィートに6フィートのティペットを繋いだ18フィートやバット+テーパーの14フィートに6フィートのティペットを繋いだ20フィートのような長さがロングティペットシステムになるのだろう(ただし、市販のリーダーはバットやティペット部をある程度カットして使うことが多いと思うので、パッケージから出した状態のママ使うことは少ないと思う)。ロングリーダー・ロングティペット提唱者だと、ティペットが6フィートあっても全長18フィートだと許せないのかもしれないが(笑)

私は「リーダー全体が長い」とういうロングティペットシステム一辺倒な人ではないので、フリーストーンの釣り上がりに関しては川の規模に応じて全長7フィート程度から21フィートくらいまで使い分けている。長さに幅があるのは、ドラッグを回避できるだけの必要最低限のティペットがあればヨシとしているからだ。その根底にはリーダーシステムに限らず、フライフィッシングにおいて「トラブルを可能な限り減らしたい」という考えがある。

極端にいうと、バット部がほぼない。もちろん全体が長めの場合はバット部はそれなりに取るが、バット部やテーパー部に対してティペットを長くとるシステムにしている(#1といったウルトラライトラインを使う場合は、そのライン径からフライラインそのものをリーダーのバットと見なすこともある)。具体的には「ヘビーショートリーダー(テーパー)」+「ロングティペット」が自分の中でスタイルとして確立されている。

ただし、この「ヘビーショートリーダー(テーパー)」+「ロングティペット」のシステムはターン性の強いラインだとフライライン先端〜リーダーのバット・テーパー側が水面に突っ込みやすいので、力加減には注意したい。ラインを置く位置もよく考えないと水面を荒らしやすく流れにも食われやすいので、フライだけでなくライン先端までの正確なコントロールが求められる。このシステムの場合は横のメンディングはあまり向いていないため、縦にロールを入れるかラインの先端を上に跳ね上げるメンディングを多用する。

広い川で複雑な流れであればリーダー全長が長めでティペットも長めの20フィート前後くらいのほうがドラッグは回避しやすいが、広い川でも水面から頭を出している石がたくさんあって少しでも長く流そうとすると石で引っかかりドリフトの邪魔をするような川ではティペットは長めでもリーダー全長は短いほうが扱いやすい。通常のドラッグ回避のように石の上にラインやリーダーを置くようにキャストすることで長いリーダーでもドリフトしやすくなるが、そもそもの話しとしてもしそうするなら必要以上に長いリーダーは不要で、素直に石の上にラインを置けばよいしそのほうが圧倒的にトラブルが少ない。 

ロングティペットが本当の意味で有効なのはフリーストーンのラフな水面のみ(私的見解)

ダウンでのライズ狙いや鬼怒川のように広い川でもフラットなポイントが多い場所だとティペットはあまり長くせず、リーダー全長も12フィートや14フィート程度にしてドンと投げて小細工せずにそのまま流すことも多い。鯉釣りの場合も同様。忍野のような流れでライズを狙う場合はドリフト距離を極力短くしたくリーダー全長9フィート程度のときもあるほどで、対岸のピンポイントをロールキャストで狙う場合は6-7フィートのときもある。ボトムに張り付いている魚や極端にスレた魚を引き出す場合は長めのドリフトを必要とするが、やる気のある浮いている魚なら短いドリフトでドラッグが掛かる前に勝負したい。

(ザワザワした流れでなく、波が立たないフラットな水面での話になるが、)なぜなのか。

アップ(+クロス)でもダウン(+クロス)でもフラットな流れ(に限ったことではないが...)でシビアなライズを狙うときはフライ先行が原則。スレていない魚ならあまり関係ないが、フラットな流れのスレた魚はティペットそのものや屈折によるティペットの影(このことについては別のエントリで話したい)を見破るので団子状のスラックは禁物。そうなると、ダウンだとストレートやカーブ気味でフライ先行、アップだとU字やV字でフライ先行にすることがどうしても求められる。

ダウンの場合は必要以上にティペットの長さはいらない。長いドリフトでライズ地点まで流し込むような釣り方、具体的には魚の視野に入らない距離からフライを流さないと喰わない場合や立ち位置の都合上そのようにしか流せない場合などもあるが、水面がある程度安定している場所やフィーディングレーンにフライからライン先端まで乗せられるような直線的な流れがないと難しいことが多い。安定した流れであればティペットが暴れにくいので、長いティペットにスラックを入れて長い距離を流し込むことは可能。ただし、ただ単に一直線に流すなら長いティペットはあまり意味がない。フライラインの存在を遠ざけるなら意味はあるが、その場合はティペットの長さというよりリーダーの長さやリーダーとラインを置く場所の問題だ。

必要以上に長いドリフトはティペットがナイロンだろうがフロロだろうが、ライズ地点に到達する前にドラッグがかかってしまったり、ライズ地点を通過する際にティペットが団子状になってしまうことがある。つまり、水面の微妙な流速差でティペットの至る所が右往左往し、フライ先行にならない状態でドラッグがかかる。スリックウォーターだとこれが顕著で、そうなると長いティペットもあまり意味をなさない。

アップの場合はダウンよりは長めのティペットが有効だが、フラットな水面ならフリーストーンで使うような長いティペットはいらない。ダウンの場合はフライがフィーディングレーンの延長線上を少し超えるようにキャストし、着水直前(フライの浮力や魚への影響が少なければ着水後にでも)に少し引き戻してプレゼンテーション位置をコントロールすることも多いが、アップの場合にこれをやると当然ながらティペットが張ってしまいスラックが入らずフライ先行にもならないし、そんなことはまずやらないだろう。したがってV字かU字で落とすことになる。あくまでもダウンと比較してというレベルでの話になるが、アップの場合はティペットを張りながらプレゼンテーションすることがほぼないのでフライの着地地点をコントールしにくい。そのため必要以上にティペットが長いとライズ地点までのレーンからズレやすくなるし、長いドリフトもダウンの場合と同じ懸念がある。

結果、フラットな水面でのライズゲームは釣り上がりのときよりティペットが短くなり、それに応じてリーダー全長も短くなる。ただし、その場合でもティペットがピンと張った状態でのドリフトは好ましくない。ドラッグ回避は勿論だが、魚がフライを咥えたときにティペットに緩みがあったほうがフッキングしやすい。水の抵抗が少なく吸い込みやすいからだ。特にダウンだとすっぽ抜けしやすい。

川の規模に関係なくリーダーやティペットの長さがほぼ固定の人もいると思う。考え方は人それぞれなので否定はしないし、遊びなんだから好きにやればいい。私の極端な?スタイルも上述したが、あくまでもそれは私の好みであり、私の考えが正しくて他がダメだとは微塵も思わない。

ただ、、、少なくともフライをはじめて間もない人が無闇に全長18フィートを超えるようなロングリーダー・ロングティペットシステムを使うのだけはおすすめしない。特に小渓流・狭い川では論外だ。ロッド先端からラインが出ていない・出せない状態でのキャスティングを強いられるシチュエーションが多く、相当難儀するだろう。硬いロッドなら尚更。慣れていないからこそ長いティペットの意味を理解できるよう、適材適所で調整したほうがよい。それを経て、自分のスタイルに合ったリーダーシステムがわかってくる。

フライをはじめた人に対して最初からロングリーダー・ロングティペットを使わせる風潮には異議を唱えたい

フライをはじめた人が魚を釣る前にリーダーシステムのトラブルで戦意喪失してしまうことが「めんどくせー、もうフライやーめた!」にも繋がりかねないと本気で危惧している。長いティペットの効果やドリフトの重要性などを未経験および経験の少ない人に説いてもすんなり理解できないはず。難しいテクニックや方法論は慣れてからで十分間に合うし、そのほうが実体験として理解しやすい。

主観が入りすぎて!?話が逸れたのでまとめる。

一般的な渓流におけるロングティペットシステムの釣り方に限って言えば、重要なのは自分が必要とするスラックを入れられるだけのティペットの長さであり、リーダー全長の長さではなくバット+テーパー部とティペット部の比率の問題。別の言い方をすると「ターンオーバーさせようと思えばできるが、あえてしない」を実現できるシステム。このことを理解していないと「釣れないのでとりあえずバットもテーパーもティペットも含めて全体が長いリーダー」という短絡的な考えで釣りをしかねない。

メンディングしたときにフライが動かない長さがあれば十分

慣れないうちは適切なティペットの長さがわからないと思うが、「メンディングしたときにフライが動かない長さ」で考えれば目安になるだろう。プレゼンテーション後にメンディングを多用する人もいればほとんどしない人もいるが、ドラッグを回避しようとラインやロッドを動かしたときにフライが引っ張られなければよしと考える。更にいうと「使うであろう最大サイズ(最大空気抵抗)のフライをターンさせられる長さ」ともいえる。

そもそも、ライン側をカーブさせたり(具体的にはシュート時にラインごと前方に送り込んで先端数フィートを曲げる)、スラックを巧みに入れてドラッグを回避している人もいるとおり、テクニックさえあれば必要以上に長いリーダーやティペットを使わなくても釣りは可能だし魚も問題なく出る。個人的にはこのほうがテクニカルで好きだ。

車で喩えるのであれば、、、

<ロングリーダー・ロングティペット>
→AT車。投げられさえすれば特に何もしなくても魚が出る。

<ショートリーダー・ショートティペット>
→MT車。ライン操作がうまくできないと魚が出ない。

<ショートリーダー・ロングティペット>
→パドルシフト付きAT車。そのままでも魚を出しやすいが、適材適所で積極的にライン操作。

だろうか。

ロングティペットシステムはドラッグを回避するためにもっとも簡単で効率的かつ合理的な最適解であり、扱いに慣れてしまえば魚を引き出しやすいシステムなのは紛れもない事実。ゆえに、現代の渓流FFにおける(おそらく、)「マーケティング上の」メインストリームではあるが、皆が皆、長いリーダー+長いティペットで釣りをしているわけではないので注意したい。

ちなみに個人的に考えるロングティペットシステムのデメリットとしては、キャスティング時のトラブルより、ショートロッド(7フィート以下)で近距離を釣るときの合わせにある気がしている。たっぷりスラックが入っている場合、リーチの足りない短いロッドで近距離だと合わせのパワーがフックまでうまく伝わらず、慌てて追い合わせのようにラインを引っ張っる羽目になり、どうしてもワンテンポ遅れがちになる。特にファイバーグラスのロッドで顕著。結果バレやすい。もっとも、このようなロッドを使うシチュエーションでは必要以上に長いティペットは使わないと思うので、懸念として挙げるほどではないかもしれない。

誤解を招くエントリなので念のため追記しておく。

ロングリーダー・ロングティペットを否定しているわけではない。何が何でも全長がやたら長いロングリーダー・ロングティペットではなく、適材適所で使い分けるべき、ということ。そして、重要なのはリーダー全長の長さではなくティペットの長さということ。上述したとおり私自身はロングリーダー・ロングティペットのときもあるし、ショートリーダー・ロングティペットのときもあるし、ショートリーダー・ショートティペットのときもある。

人それぞれ十人十色、マーケットやメディアの情報を鵜呑みにせず、各々の考え方や好みで自由に楽しめばよい

そのうえで、「必要以上に長いリーダーはトラブルが多くなるが、長いティペットは有効」という考えがあるので、自分の中で基準とする最適解としてヘビーショートリーダー(テーパー)+ロングティペットに落ち着いたということ。極端に狭い川や広い川、特殊な釣り方の場合を除き、具体的には(市販の7.5フィートのバット部カット or 市販の5フィートそのままの)5フィートリーダー+結び代スペーサー1フィート+ティペット6フィート(結び代スペーサーを入れない場合はその分ティペットを長く)の全長12フィートが基準で、状況によってティペットの長さを4フィート〜8フィートとしている。つまり、リーダーシステム全体の長さが10フィートから14フィート。この長さだと必要以上にスラックが入らないのでのけぞるような大げさな合わせは不要だし、狙ったところにスパスパ入るし、何よりトラブルレスでストレスフリーなのが気持ちいい。

普段ロングリーダー・ロングティペットを使用して、釣りをしている時間より絡まったリーダーシステムを解いている時間のほうが多い人、騙されたと思ってショートリーダー+ロングティペットを試してほしい。トラブルが減って、プレゼンテーションの回数が増え、アキュラシー精度も高くなり、釣果Up!(笑)

推敲しないままのなぐり書き状態かつ読みにくい文章かつ長文で失礼しました!

ここで解説した内容は身をもって体験するのが最も効果的。Underwaterのフライフィッシングガイド・フライフィッシングスクールではフライフィッシングのトレンドは勿論のこと、トレンドやメディアに左右されない基本の「キ」も!

一方で、ロング"ティペット"ではなく、ロング"リーダー"が効果的な場面がある。その多くは湖やソルトウォーターになるが、これについてはまた別のエントリで解説したい。

2021/10/11

八重山列島(石垣島〜西表島)でフライフィッシングをやる場合の参考情報

<2024/01/22追記>
第一航空株式会社による石垣-波照間便が再開されました
https://dai1air.com/
https://dai1air.com/images/company/ishigaki_20231226.pdf
 

前回の宮古列島の続き、南西諸島における陸っぱりソルトウォーターフライフィッシングについてのお役立ち?情報。

今回は八重山列島(石垣島・西表島)の情報をお届けする。


Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

宮古列島のさらに先にある八重山列島。台湾に近いこともあり、ここまで来ると日本のはて感がある。宮古列島と同じくサテライト的な島(竹富島、小浜島など)が群がっているが、宮古列島と異なり橋でのアクセスはできず、各島間の移動は船を利用することになる。橋でつながっておらず島が隔離されていることから他の島の影響をあまり受けておらず、それぞれの島の個性が際立っている。フライフィッシング対応のガイドサービスも二、三あるので宮古列島と比較してフライフィッシャーは多い印象。それでも、奄美と比較するとかなり少なく、ガイドとゲストの組み合わせがほとんどで、ソロのフライフィッシャーに出会うことは少ない。

勝手がわからない方向けに南西諸島のフライフィッシングガイドも実施しておりますので、ぜひどうぞ!

多彩な環境が特徴の八重山

八重山列島の特徴はその多彩さにある。石垣島や西表島には山が存在し、マウンテンアクティビティも盛ん。西表島はいわずとしれた秘境でもあり、海岸線の半分は道がなく陸路でのアプローチが難しい。また、石垣島と西表島はそれなりの河川が海に流れ込んでおり、河口部付近の海はやや透明度が落ちる。一方、竹富島に代表されるサンゴで形成される平坦な島もあり、宮古島同様、島全体に美しいサンゴに囲まれた透明度の高い海が広がる。ただし、宮古島某所のようなホワイトサンドの広大なドシャローは期待しないほうがいい。

まずは、石垣島から。

石垣島の北半分は山なので意外と雲が湧きやすい

宮古島同様ここも離島バブルによって観光客が激増した印象がある。新型コロナ禍でここしばらくは落ち着いているとはいえ、シーズン中は有名な飲食店への予約無しでの訪問はまず不可能なレベルだ。リゾート開発が進んでおり八重山の渡船基地でもあるため宮古島より観光客が多い印象があり、ハイシーズン中はリーフまわりも水遊びの観光客が多く釣りがしにくくなる。

さて本題の釣りに入ろう。

宮古列島と同様にドシャローで広大なフラットはあまりなく水深のあるリーフが多いが、感覚的な部分が多いとはいえリーフに関しては宮古島より立ち込みやすい印象がある。対象魚も宮古列島と同様にトレバリー、トリガーフィッシュ、クロダイ系、ハタ系、フエ系(フエフキ・フエダイ)になる。河川の河口付近や港周辺、マングローブ帯ではターポンが狙える。クロダイ系に関してはミナミクロダイとナンヨウチヌになるが、ミナミクロダイが多い印象。それでも、奄美や沖縄本島と比較すると数は少ない。

沖縄県最高峰の於茂登岳を抱える石垣島。西表島ほどではないが、山が多く雲が湧きやすい傾向にある。エリア別の特徴として、北側から南側にかけての島の東側はリーフエッジがしっかり発達したサンゴ帯が広がるため、カスミや大型トリガーは狙い目。また、小規模ではあるが途中いくつか存在する河川流れ込み付近にサイトがしやすい砂州や干潟のフラットが広がるので、リーフの潮位が高いときにおすすめ。西側は有名なビーチ付近を除きリーフエッジの発達していない海岸線が多く、比較的急深な箇所が多いが、フライで狙いやすい広いシャローもいくつか点在する。

島西側に広大なシャローが広がる

ドシャローフラットでのサイトフィッシングをメインにするなら西側の超広大な湾、超有名な某湾付近のシャローに絞るか、各所インリーフ内にいくつか存在する流れ込み付近の砂州がよいだろう。西側の湾は大潮のときの干潮時に広大なシャローが広がり、太陽の角度や風向きに合わせてポジションも取りやすいので、私はここに一日入り浸ってしまうことも多い。ここはミナミクロダイとフエ系、トレバリーがメインになる。この広大なシャローは大潮の干潮時には数百メートル沖まで歩けるが、潮が完全に引ききらない場合は広すぎ+単調ゆえにポイントが絞りにくいので初見だと苦労するかもしれない。2024年6月現在、チャンネル付近は全体的にウィードが短くなってしまい、泥をかぶって枯れてしまったような様子。しばらくすれば復活するだろうが、五目系の魚影が薄くなってしまった印象をうけた。

なお、上述したが、インリーフでの釣りは宮古島よりしやすい(と思っている)。潮位次第だが、砂州や干潟のフラットでの釣果が思わしくないなら、島西側北向きのインリーフか東側のインリーフで五目釣りをしつつ、トレバリーのサイトフィッシングに勤しむのもよいと思う。ゴマモンガラやカスミを狙いたいならむしろこっちがメインと言える。

いずれのエリアも対象魚は豊富で、インリーフではトロピカルフィッシュの五目釣りも楽しめる。タックルは好みだが、ここも例にもれずロッドは#8前後としたい。ミナミクロダイの数は多くないので、宮古列島同様にクロダイ系を専門に狙わない限り#6ロッドは不要だと感じる。

ちなみに、石垣島に限ったことではないが、少々規模のある河川下流域やマングローブ帯は陸路でのアプローチが困難なことが多く、カヌーやカヤックがないと釣りにならないポイントも多い。干潮時には河口から歩いていけるが、河川のチャンネルを読み違えると潮位が高くなったときに陸路で帰れなくなるので、地形と退路を把握している場所以外ではおすすめしない。ヤブを突っ切るのはハブ遭遇の可能性が高い。なお、大きめの河川は大潮の下げで激流になるので注意してほしい(激流の中にも魚がおり、トップで喰ってくる...)。そもそも、マングローブ帯は潮が引きすぎると釣りにならないため、大潮は向いておらず、後中後半〜小潮がベストと感じる。

ボトムのマテリアルは宮古島より複雑

河川の流れ込みが多いため宮古島よりボトムのマテリアルが豊富だが、奄美ほど複雑ではないので通常のフラットシューズで問題ない。とはいえ、万能なのはやはりフェルト底のシューズ。慣れていない人orケガが心配な人限定だが、サンゴの多いリーフではスネを守るため夏の山岳渓流で使うゲーターを履くのをおすすめする。なにを大げさなと言われてしまうが、サンゴには刺胞毒がありサンゴ皮膚炎になることがあるので油断できない。ウェアは典型的な南の島ソルトFFスタイルでなんら問題ない。宮古島同様に沖縄本島より若干暑く水温も高い。

リーフでの立ち込みは十分注意してほしい

奄美編でも宮古列島編でも触れているが、リーフでの釣りは経験者との同行をおすすめする。宮古島と比較して深く切れ込んだリーフギャップ(スリット)の数が多いので要注意。慣れてくればソロでもいけるが、山岳渓流と同じ程度のリスクはあるので、十分な安全対策とリーフに関する知識は頭にインプットしておいたい。シュノーケリングに適したビーチは岸近くまで生きたサンゴが多く、魚種が豊富で魚影も濃い分釣りには適しているが、ここもやはり海水浴シーズンでの釣りは難しい。

飲食店に関しては、中心部はもちろん各所に散らばっているので困ることはないと思う。ただし、最北端付近には少ないので注意したい。自販機も困らない程度にはあるが、集落を離れると皆無なのでドリンクは買い込んでおいたほうがよい。ちなみに北端の平久保エリア東側の道路は原則としてゲートで閉められており、レンタカーでの走行は厳しく、アプローチが困難なので対象外エリアとしてよいだろう。

なお、奄美や宮古と比較して漁港が少な目なので、フラットの釣りが思わしくなかった場合などの夜のチョイ釣りはあまり期待しないほうがよい。

次は西表島。

西表島は駐車スペースが少なくエントリーが難しい

いかにも熱帯雨林的な様相は、やんばる@沖縄本島や奄美が好きな人にはベストマッチな島かもしれない。説明するまでもないと思うが雨が多い。少なくとも私が訪れた際、スカッと晴れたことが一度もない。

陸路かつショアからのウェーディングではこの島の魅力とポテンシャルの半分も理解できないまま終わるだろう。残念ながら私もそうだ。

まず、道路が島半分(南東側から北西側)しかない。そのため、道が通っていないエリアは捨てることになる。道路がないエリアは船でしかアプローチできない干潟とリーフがほとんどで、南岸は断崖絶壁かつ陸付近にかろうじてリーフがある程度なので、船を使わず足で稼ぐショアからのフライフィッシングに限定すれば無視しても問題ない。

また、集落以外の道中で車を止められる箇所がほとんどないのと、海まで出られる小径もあまりないことから、エントリーポイントが限られる。そのため、エントリーポイントから大きく横移動してしまうと、潮があげてきたときに陸へあがるルートが閉ざされてしまうことがあるので注意したい。特に大潮のときは油断できない。

南東から北側にかけては手前がマディフラットで奥がリーフフラットといったポイントが多く、北西側は比較的手前からサンド→リーフが多い。

大きな島なのでポイントは多いのだが、遠征組がふらっと訪れて安心して釣りができるポイントは意外と少ない。個人的に安心して釣りができると感じるのはその北西部のリーフと北西部集落手前の干潟、その手前に各所ある北向きの干潟〜リーフ。干潟ではナンヨウチヌやミナミクロダイ、オニヒラアジのテーリング狙い。リーフではトロピカル五目とトレバリー、トリガーとなる。ちなみに、北西部集落手前の広い干潟は大潮の干潮になるとほぼ水がなくなり釣りにならないので、ド干潮を外した下げ7分〜上げ2分〜がおすすめ。

西表島はインリーフやフラット、干潟でのサイトフィッシングを楽しむ島というよりは、マングローブを船(カヌーやカヤック)で攻める島だと感じる。そうなると自艇を持ち込める人以外はガイドフィッシングがメインになるだろう。私はフラットでのウェーディングを好むためカヤックフィッシングの経験がなく詳細はわからないのだが、ナンヨウチヌやミナミクロダイ、マングローブジャックやターポン、メッキあたりがメインになるのではないかと思う。ソルトな魚にこだわらなければ、川を遡ってオオクチユゴイもターゲットになる。カヤックフィッシングをはじめとして様々なスタイルで釣りをするのならともかく、南の島感たっぷりのインリーフでの釣りを望むなら西表島は外してもよい。ただし、ナンヨウチヌを狙いたいならほぼ西表島一択になるので、その場合は西表島を外すことは考えられない。

ちなみに、島の規模に対して飲食店はとても少なく、その多くは北西部に集中している。自販機もかなり少なく、ドリンクは事前に買い込んでおくか飲食店でまかないたい。それと、西表島は御存知の通りイリオモテヤマネコの生息地であり、車による交通事故も多い。セマルハコガメも道路にいるので、時速40キロ以下での走行を心がけたい。西表島で本気で釣りをしたいなら、石垣島から日帰りで訪島するのではなく宿泊を前提としたほうがよい。船の時刻表的には十分日帰り可能だが、後述する欠航のリスクがあるので弾丸釣行はおすすめできない。

西表島マナーブック

そして、竹富島。

竹富島はリゾート感たっぷりで釣りをする雰囲気ではない

いわずとしれたリゾート島、竹富島(支払い義務はないが、入島料300円)。ここに来る人の多くは某高級リゾート目当てに宿泊するか、石垣島に宿泊して日帰りで訪島するかだろう。宮古島と同じくサンゴ礁が隆起してできた平坦な島であり、周辺の海はとてもきれいだ。そのため、観光客と水遊び客がとても多く、ロッドを振るのをためらってしまうシチュエーションが多い(ただし、騒がしいのは最終の船便が出るまでの昼間だけ)。シャローが多いためサイトフィッシング好きにはたまらない環境だが、近年観光化が著しく、個人的には釣りのため(だけ)に訪島することは避けたい島だ。西側と東側の一部を外せば人は少ないので、どうしても釣りがしたいならそのあたりになるだろう。

なお、港のある北東から東の端からは対岸の石垣島の人工物(ホテルや船舶)が目につくので、ロッドを振っていてあまり気分はよくない。南側のリーフはやや深いので、潮がやや高めのときに手前の手前の岩盤にあがっている魚を狙うか、大潮の干潮付近で深場を回遊する魚を狙うかの釣りをおすすめする(立入禁止区域注意)。同じような地形・釣り方は黒島で可能なので、落ち着いて釣りをしたければ黒島をおすすめしたい。

飲食店は石垣に囲まれた雰囲気のよい中心部に集中しており、困ることはない。ただし、自販機は多くないので注意したい。

そして、一部界隈で注目度が高まっている黒島。

黒島は潮位が高くても(≠水深が深くても)サイトでのフライフィッシングが成立するポイントが多い

竹富島よりは圧倒的に観光客が少ないので釣りはしやすい。黒島は同じ隆起サンゴの島である多良間島よりワンサイズ小さく、人口も少なく、のんびり感が強い。多良間島と異なり船舶でしか渡れないが、往路に朝便を利用して復路に夕方便を利用すれば、石垣島からふらっと日帰りで攻められる。ただし、多良間島と同じで羽田含む遠方からだとフライトスケジュール的に石垣島来島初日に黒島で昼間の釣りをするのは難しいので、移動で1日消費せざるを得ない。

しかし、この島はインリーフの岩盤の高さが絶妙で、100cmといった一般的にはフラットのサイトフィッシングに適さない潮位でも十分釣りになる場所があり、干潮前後2時間を外した時間帯でもチャンスはある。一般的な隆起サンゴのインリーフのように、潮位がある程度下がらないと釣りにならないのではなく、徳之島や沖永良部島の一部、喜界島に多く見られる満潮時でも被らないほど隆起(沈降?侵食?)しているポイントでもなく、岸寄りのボトムが潮位変化との絶妙な位置関係にある。

なお、その絶妙な地形のもとになっている満潮時に水没する岸寄りの岩盤は、西側のサーフを除き島全体に広がっている。あまり波に侵食されていない琉球石灰岩に砂が被った状態で、場所によっては起伏はそれほどないものの表面の突起(ゴツゴツ)がすごい。多くの隆起サンゴの島にある、波で侵食された岸の岩そのものが水中に埋まっているイメージ(この地形は徳之島にも多い)。くるぶしの覆われていないマリンシューズや水陸両用サンダルでは怪我をするだけでなくそもそも痛くて歩けないので、しっかりとしたものをおすすめする。

エントリーポイントは西側と北側がメインで、南側と東側はわずかしかない。後述するが、南側と東側で干潮時にウェーディングする場合は、上げ潮のスピードに常に気を配ってほしい。エントリーポイントに戻れなくなった場合は、ゴツゴツした琉球石灰岩の岩を延々と歩き、ヤブを漕いで抜けるしかなくなる。黒島にもハブがいるので要注意だ。多良間島は割としっかりとしたホワイトサンドのサーフからはじまるポイントが多いが、黒島はしっかりとしたサーフは西側の1kmほどだけで、サーフ→岩盤の距離(幅)があまりなかったり、ほぼ岩盤から、というポイントが多い。

本命は島北側に広がる広大なフラットだ。ここは伊良部島の某フラットと同じで、下げ始めると切ると一気に魚が居なくなるので、潮位が100cmを切ったらウェーディングしながら奥に進んでしまったほうがよい。50cm以下になるまで待つと遥か彼方まで一気に歩かされる。下げは所々にあるくぼみに魚が留まっているのでサイトで狙っていきたい。多良間の北側にあるフラットとは異なりリーフエッジからのスリットが不鮮明で、どちらかというとくぼみが連続してつながった感じだ。上げはその連続したくぼみから魚がさしてくるので、ルートを塞がないように待ち伏せして狙いたい。ゴマモンは下げでも上げでもよく見かける。小型のサメ(ツマグロネムリブカ)も多く見かける。基本的には攻撃してこないが、注意はしたほうがよい。

なお、このフラットの東側はやや浅めで、中央から西側に深みが多い。西側に馬の背の帯状の浅場が岸からフラット先端まで続いているので、干潮時に位置を確認しておくことをおすすめする。西側先端付近で釣りをしていて潮位が高くなってきたころに岸に戻ってくるときは、この浅場を利用できる。伊良部島の某フラットよりはハードボトムであり、多良間島の北側フラットよりはサンゴ感はずっと少ない。フトユビシャコはかなり多い印象。

もう一つの有望場所は島の西から南東にかけてのガチなリーフ。ここは潮位高め(100cm-50cm)のときに岩盤上の水深がウェーディングしてサイトで狙いやすい50-60cm以下になる。ここもゴマモン多し。注意したいのは上げで、潮位100cmを超えてくるときは撤収ルートを意識しながら釣りをしてほしい。このあたりは南西〜西を除きエントリーポイントが少なく、満潮になると岩に阻まれて戻れなくなるので要注意。

なお、大潮で完全に干上がる頃にはシュノーケリングで有名な某所にリーフエッジに容易に出られるルートが出現する。GTやカスミを本気で狙いたいのならおすすめするが、ダイビングのスポットになっており、ダイビング船が目に入るので落ち着かない。このルートのリーフエッジ側に三角点のような目安石があるので、それを目標にルート取りと潮位変化を確認してほしい。リーフエッジは左右に長く伸びているのでテクテク歩いていけるが、岸まで容易に戻れるルートはほかに一つ二つあるかどうかなので、絶対に遠くまで行かないようにしたい。ここは大潮ド干潮でも礁池がかなり深く、潮が動いているときは流れがとても速いので、「戻れなくなったら泳いで帰る」ことはかなり難しいだろう。くれぐれも事故のないように。

飲食店はいくつかあるが、営業日と影響時間に注意したい。日帰り訪島や昼間ならなんとかなるが、朝夕は絶望的。泊まりなら食事付きプランを強くおすすめする。商店は二つある。一つは島中心部。もうひとつは民宿が集中しているエリアの無人販売店。いずれもほっこりするので、用がなくても!?行ってほしい。自販機はほぼない。ドリンクは港の自販機で購入するか、商店で購入するか、宿泊先で購入するかだ。島での移動は基本的に自転車なので、宿泊先でレンタルするか、港の呼び込み業者(送迎車)に声を掛ける必要がある(一部業者では予約が可能だが、よほどのことがない限り飛び込みで借りられないことはないと思う)。他の島と比較して道幅が狭めで木が張り出しているところが多いので、ロッドを継いだまま自転車移動する際にはロッドティップを木に引っ掛けないようにしたい。

それから、その他の島々。

他のサテライト的な島は観光ついでならともかく釣りメインでいくほどではないかも

申し訳ないが、鳩間島、小浜島、波照間島に関しては私自身釣りはしていないので情報は持ち合わせていない。他にも小規模な島があるが、一般人が気軽に行けない島だったり立入禁止区域があったりするため対象外としてよいが、誰も来ないところで釣りがしたいのなら上陸ツアーを利用してみるのもアリ。最後に与那国島。ここは私にとって未踏の地なので情報がない...。島の周囲のほとんどは断崖絶壁だと思うので、フラットでのフライフィッシングの対象にはならない気がする。フロンティアスピリットの持ち主ならガチ探釣もアリだと思うが、観光に訪れたときにサーフ付近で竿を出せるかもしれない程度と考えてよいだろう。

北風による船舶の欠航に注意

八重山列島は各島が橋でつながっていないため、宮古列島のように気軽にポイント移動することはできない。そのため短期遠征で島々を巡って釣りをするのは難易度が高いが、石垣島からの船がしっかりあるので、スケジュールをうまく組めば2泊3日程度でも2-3島は制覇できるだろう。ただし、石垣島だけでも1日でまわるのは難しいので、まずは石垣島をくまなく回ってみて、次回の遠征から足を広げていくパターンをおすすめしたい。波照間島も欠航が多く計画が立てにくいが、延期となっている石垣―波照間路線の運航が再開すれば再開されたのでアクセスが容易になるだろう(ただし便数は少ない)。

なお、石垣島宿泊基準で各島を日帰り渡島する場合、荷物はできるだけ減らした方がいい。西表島以外はレンタサイクルやレンタバイクが基準で、場合によっては徒歩になるからだ。私はスペアロッドもラインバスケットも持ち込まないことが多い。フェルトスパイクのようにピンを打ってあるシューズは船のデッキを傷つけるので、必ず脱いで乗船すること(ウェーディングシューズはポリ袋か何かに入れて乗船)。それと、ウェーディング直後のびしょ濡れ状態では乗船拒否されるので、日帰り弾丸渡島の場合は復路の時刻から逆算してウェアが乾く時間を確保しておく必要がある点も忘れてはならない(この理由から、大雨のときはウェアが乾かないので、日帰り弾丸渡島はあまりおすすめできない)。

海のキレイさとスカッと晴れた南の島を味わいたいのなら、河川が多くまた雲がかかりやすい石垣島と西表島ではなく、竹富島や黒島、波照間島などの隆起サンゴで形成された小規模な島をおすすめする。宮古ブルーが好きな人には共感していただけると思う。

なお、船は天候による欠航や最終便繰り上げが多い。石垣島へ帰島できなくなり訪島した場所で強制1泊(では済まない場合も...)を強いられる可能性もあるので、スケジュールには余裕を持たせたい。特に10月〜4月頃までは北風が強く吹く気圧配置になることが多く、西表島の場合は北向きに開けた港から北ルートで航行するルートは高い確率で欠航になるので十分注意したい。北ルートが欠航になると南ルートでしか帰れなくなる。北ルートで帰島する予定で北西部で釣りをしている場合、北ルートで予約していても南ルートで帰るために島半分を走行して南側の港まで移動しなければならない。思っているより時間がかかるので(時速40キロ以下で!)、釣りをしている最中も欠航情報(メール登録 or Twitter通知)には常に目をやりたい。

このようなケースが多いことから、レンタカー会社によっては予定していた営業所への返車ではない営業所への返車(たとえば、南ルートで訪島して北ルートで帰る予定の場合は北ルートの港付近の営業所への返車となるが、南ルートでしか帰れなくなった場合に元々の営業所へ返車)も可能としている。これはいわゆるワンウェイだが、離島ならではであり、特に西表だと頻繁に発生するのでそれが普通になっている。ちなみに、北ルートも南ルートも海が荒れてなくてもそれなりに揺れるので、心配な方は酔い止め薬を忘れずに。

運航状況メール配信サービス@安栄観光

運航状況@八重山観光

個人差はあるが、日差しが強く立ち込んで寒くないと感じるのは5月からで、10月になってもウェットウェーディングは余裕で楽しめる。ただし、ここも10月に入ると気圧配置が変わり、日によって北風が吹き出すことが多いので、北向きのポイントが集中している西表島は特に厳しくなる。どういうわけか南西諸島の島々は北向きにフライ向きのフラットが広がる傾向があり、夏場は順光追い風で釣りやすいが、秋冬はポイント選択に苦労する。

八重山とはいえ常夏ではないので、冬場に訪れても寒くないグアムやサイパンのイメージで行くと失敗する。真冬はフラットに上がってくる魚が少ないため厳しくなるが、秋は11月いっぱいくらいまで、春は3月くらいから釣りになる。ただし、この早期・終盤の時期は天候次第で寒さを感じることが多く、個人的にはおすすめしない。いわゆる熱帯の島でのソルトFF感を味わいたいのなら暑さを感じる5月〜10月が適しており、基本的に私が好んで通うのはこの時期だ(正しく言うと、南の島FFは暑くないと気分が乗らないので釣欲がわかない限り基本的には行かない笑)。これまでは海水温上昇と観光客の問題から8月は避けていたが、ここ2-3年の海水温を考えると台風後を除き7月も厳しくなってきた印象がある(シャローはほぼお湯)。今後の状況次第では7月、特に後半に関しては避けるかもしれない。9月は台風に悩まされるが、引っ掻き回されて水温が下がるので比較的釣りやすい。

ちなみに、奄美も宮古も同様だが、八重山は梅雨時でも一日中雨ということは少なく、天気予報も当てにならない。梅雨時は航空券が安く実は狙い目。湿度が高く不快なのが唯一の難点か。ここ数年は梅雨らしさがなくなってきており、単なる雨季のような気がする。

ガチ釣りに疲れたらトロピカルフィッシュ五目釣りをどうぞ!

2021/07/15

宮古列島(宮古島〜下地島、多良間島)でフライフィッシングをやる場合の参考情報

<2024/01/22追記>
第一航空株式会社による石垣-多良間便が再開されました
https://dai1air.com/
https://dai1air.com/images/company/ishigaki_20231226.pdf

前回の奄美大島の続き、南西諸島における陸っぱりソルトウォーターフライフィッシングについてのお役立ち?情報。私が抱えている情報はロコアンゴラーやガイドの知識とは比較にならないほどちっぽけなものだし、私より詳しい遠征組は何人もいるだろうが、誰にも頼らずに自力で魚を釣りたい遠征組に少しでも役に立てばと。

今回は宮古列島(宮古島〜下地島)の情報をお届けする。

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

沖縄本島と八重山列島の中間に位置する宮古列島。宮古島といったほうがわかりやすいか。宮古島を核として、橋でアクセスできるサテライト的な島(池間島、伊良部島、下地島、来間島)、少し離れて多良間島、その他のプラスαな島がある。フライフィッシャーを見かけることはめずらしく、奄美より明らかにフライフィッシャーが少ない。宮古島にて新たなガイドサービスがローンチしたので、徐々にフライフィッシャーが増えているような印象。

勝手がわからない方向けに南西諸島のフライフィッシングガイドも実施しておりますので、ぜひどうぞ!

透明度の高さが特徴の宮古島

宮古列島の特徴は高い山がないことだ。山がないということは海への流入河川が皆無に等しい。その結果、海水の透明度は高く保たれ、きれいなサンゴ帯が広がる。八重山列島もきれいな海で同様に大規模なサンゴ帯があるが、石垣島と西表島に限っては山が高く土砂の流入もそれなりにあるため、河口付近の海の透明度は宮古列島と比較すると少し落ちてしまう。詳しい話は八重山列島編をご期待いただくとして、宮古列島の話に戻ろう。

まずは、宮古島から。

石垣島同様、離島バブルによって観光客が激増した印象がある。よい時期はホテルの空室がなく、料金も高くなってしまった。新型コロナ禍でここしばらくは落ち着いているとはいえ、今後客足が戻ってくると予約でまた苦戦するかもしれない。そんなこともあり、私自身、観光のみならともかく、釣りで訪島するときは基本的に8月は避けるようにしている。コスト面の理由もあるが、ハイシーズン中はリーフまわりも水遊びの観光客が多く釣りがしにくくなるのと高水温による魚の活性の低下(これは奄美も八重山も同様)、という理由もある。

さて本題の釣りに入ろう。

奄美のようにドシャローで広大なフラット(砂地・干潟)はあまりなく、水深のあるリーフが多い。対象魚としてはトレバリー、トリガーフィッシュ、クロダイ系、ハタ系、フエ系(フエフキ・フエダイ)といったところか。トレバリーに関してはオニヒラアジをメインとしてカスミアジ、GTがちらほら。トリガーフィッシュはゴマモンガラやキヘリモンガラなどの大型種とムラサメモンガラなどの小型種にわけられる。このあたりは南西諸島の他のエリアとさほど変わらず。クロダイ系に関してはミナミクロダイになるが、奄美や沖縄本島と比較するとサイズはよいが数は少ない印象。

エリア別の特徴だが、南側は断崖絶壁が多く、フライフィッシング可能なポイントは少ない。某リゾート周辺は比較的釣りやすいが、私有地だったり、水遊び含め観光客が多いため、ロッドが振れる場所は意外と少ない。南側エリアは捨ててしまってもよいと思う。

西側にある湾と北側のシャロー、マングローブ帯のシャローが3大エリア

フライフィッシングがしやすいのは西側にある湾と北側のシャロー、マングローブ帯のシャローになる。海水浴シーズンだと釣りは難しいが、東側にいくつかあるインリーフのドシャローも面白い。

リーフエッジが発達しているのは東側で、全体的にラグーンが深く潮位が低くならないと釣りがしにくいが、リーフの釣りをメインとしたい場合やトレバリーに集中したいのならおすすめ。トレバリー用のフライUNDERWATER ONLINEで!

ドシャローフラットのサイトにこだわるのなら北側エリアのシャローかマングローブ帯付近のシャロー、西側の湾などに絞ったほうがよい。いずれも全体的に浅いため、クロダイのサイトフィッシングにも最適。また、このエリアは順光のポジションが取りやすいことも付け加えておこう。

上記の3大エリア以外にも立ち込み可能なフラットはあり、いずれも対象魚は豊富で、サンゴ帯ならイメージ通りの南の島トロピカルフィッシュの五目釣りも楽しめる。他の島同様みんな大好きゴマモンガラも見かけるので、専門に狙ってみるのも面白いだろう。いずれにせよロッドは#8前後が万能で、時折回ってくる70cmを超えるようなトレバリーを狙うのであれば#10ロッドでも大げさに感じない。ミナミクロダイを専門に狙わない限り#6ロッドの出番は不要と感じる。もちろん、タックルは人それぞれなので、好きな番手で楽しんでほしい。トロピカルフィッシュ五目釣りには大きすぎないクラウザーミノーが効果的。

ボトムのマテリアルは奄美より単調

ボトムのマテリアルは奄美より複雑ではないので通常のフラットシューズでも問題ないが、万能なのはやはりフェルト底のシューズ。サンゴの多いリーフではスネを当てたり足を引っ掛けて転倒することがあるので、慣れていない人orケガが心配な人限定だが、夏の山岳渓流で使うゲーターを履くのをおすすめする。なにを大げさなと言われてしまうが、サンゴには刺胞毒がありサンゴ皮膚炎になることがあるので油断できない。ウェアも典型的な南の島ソルトFFスタイルでなんら問題ない。沖縄本島より若干暑く水温も高いので、東京が涼しくなっても宮古島はまだまだ暑い。

深いリーフが多いので立ち込み注意

全体的な注意点だが、海水浴シーズンはビーチでの釣りは避けてほしい。そもそも、その時期のビーチは釣り禁止が多い。それと奄美編でもお伝えしたが、リーフエッジ付近での釣りは要注意だ(詳細は奄美編を参照)。奄美と異なりラグーンが深い場所が多いので、エッジ付近までたどり着けない箇所も多い。言い方を変えると潮が上げてくるとあっという間に戻れなくなるので、沖まで歩くのなら東側の南寄りに集中する比較的浅いリーフを選んだほうが無難かもしれない。なお、浅場にはサンゴが多いので踏み潰さないようにしたい。

奄美は北東部エリアを集中して狙えばよいのだが、宮古島は西側の湾と北側のシャロー、そして東側のリーフがメインポイントのため、それほど距離はないにしても行ったり来たりは時間のロスが大きい(残念がら3箇所とも離れている)。場所の選定や移動に関しては、太陽の角度や天候、風向き、タイドをよく考えて判断したい。各エリアの間には釣り可能な小場所もあるので、時間がないのであればそこに行くのもありだ。潮が上げきってウェーディングできないようなリーフやもともと深くてウェーディングできないサーフであっても、岸沿いを歩きながらトレバリーを探して狙ったり、波打ち際に群れるコバンアジを狙うことも可能なので、タイドとポイントが噛み合っていない場合でも諦めるのは早計。

ちなみに、本州太平洋側〜南西諸島限定の話だが、秋の大潮は昼間の干潮はあまり下げない(夜間の干潮が大きく下がる)。そのため、春夏の干潮では浅すぎて時合が短いポイントが秋口にはよくなったりするので、季節によるポイント選択も重要。

なお、北側のシャローにある池間島大橋直前の宮古島側にあるやや深くて狭いチャンネルは、大潮の上げと下げのときは川のように潮が流れるので要注意。フラットからいきなり深くなって激流になるので、潮が動いているときは近寄らないようにしたい。

西側と北側を移動する際だが、変な時間に中心地(平良)を突っ切ると時間がかかるので、そのようなときは宮古空港の東側を抜けるように移動することをおすすめする。沖縄本島と同じくレンタカーが非常に多い。ここも例にもれず地元の車は島時間でノンビリだ。慌てずにこちらもノンビリを楽しもう。

奄美のビッグツーのような存在は少なくとも私にはないが、ある程度大きい街なので何か困っても何かしら手に入るだろう。釣具店は中心地にいくつかあるが、いずれも小規模だ。ルアー専門店が一箇所あった気がするが、フライショップはもちろんない。クローズが早く選択肢の少ない宮古空港の飲食店には苦労させられてきたが、2022年には空港にほど近い場所(徒歩可能)にショッピングモールがオープンしたので、帰りの飛行機待ちの合間に食事を摂ることが可能になった。お土産をそこで購入するのもおすすめ(無料段ボールありの宅配梱包カウンターあり)。

釣り場の近くは自販機の数が少なめ

コンビニは中心地に集中しているため、ホテルで朝食が出ない場合は釣り場に向かう前に食料を購入しておきたい。飲食店は中心地以外にもポツポツあり、有名店も散らばっているので昼食はなんとかなる(ただし、東側に飲食店は少ないので要注意)。釣り可能な場所のそばに自販機は意外と少ないので、ドリンクは買い込んでから立ち込みたい。

さて、次は池間島に話を移そう。

池間島はエントリーポイントが少ない

宮古島の北に位置し、橋でつながる池間島は、宮古島側を除きやや深めのリーフに囲まれている。そのため、大潮の干潮付近でないとフライフィッシングでの釣りは難しい。どちらかというと立ち込んでの釣りではなく岸からリーフ周りのブラインドによる五目釣りをするか、時折回ってくるトレバリーを狙い撃つ釣りが中心になる。フラットでの釣りがしたいのなら池間島大橋のたもと付近をおすすめする。ただし、位置関係からどうしても逆光向かい風になりやすいので、宮古島側から狙ったほうがよいかもしれない。つまり、前述した宮古島の北側のシャローのことだ。そもそも池間島は海へのエントリーポイントが少ない。飲食店は橋のたもとと港にいくつかあるが、自販機はほぼそのあたりにしかないので、奥の方で釣りをする場合は事前に買っておきたい。

次は来間島。

来間島は西側一択

美しい前浜ビーチの向かい側に位置する来間島もまた、深めのリーフが多い。宮古島から橋で渡れるこの島もエントリーポイントが少なめで、池間島と同じような釣りを強いられる。とはいえ、若干ではあるが池間島より立ち込んでの釣りが成立しやすい気がしている。ただし、こちらも大潮の干潮付近でないと深すぎて難しい。ちなみに、私がこの島で釣りをする場合は西側一択だ。車が止められる場所の真ん前は水遊びが多いので少し離れて釣りたい。一部のポイントは比較的浅場にサンゴが多いので踏み潰さないようにしてほしい。近年リゾート開発が進んでおり飲食店はいくつかあるが自販機はわずかなので、ドリンクは宮古島で買い込んでおくことをおすすめする。なお、来間島はウェーディング中に沖からの波を受けやすいので転倒に注意したい。

そして、伊良部島。

伊良部島は下地島とセットで考えるべし

伊良部大橋というインスタ映えスポットでつながる島は以前は船で行くしかなかった。そのため手つかずのポイントがあったはずだが、伊良部島に隣接する下地島空港で民間航空機の発着がはじまり観光地化されてきた印象がある。東側から北側にかけて険しい地形が連なるため、フライフィッシングでの釣りは事実上不可能。伊良部島で釣りになるのは下地島から続く広大なフラットと伊良部島と下地島を分け隔てる運河状の水道(正式名称は「入江」らしい)のみと考えてよい。この2つのエリアは下地島編で解説したい。

最後に下地島。

下地島は北側に広がる広大なフラットと運河筋(水道)がメイン

この下地島の一番のポイントは島北部の滑走路右側に広がる広大なフラットだろう。フラット自体は伊良部島とつながっているが、ベースとなる空港が下地島にあるのでここでは下地島として紹介する。リーフエッジ直前に深いラグーンがあるので前方礁原での釣りは難しいが、大潮の干潮であればかなり沖合まで歩いていける。ただし、ここはエッジから岸までの距離がある分、ある程度下げてしまうと一気に魚がいなくなる。逆に潮が上げてきても他のフラットと比較して魚の入りがやや遅い気がしている。それを踏まえて、ある程度潮が引いたら立ち込めるところまで一気に沖合に出ることをおすすめしたい。上げてきた際はいつでも後退できる体制でなるべくゆっくり岸へ戻ったほうが魚の姿は確認できるだろう。2022年には全体的にウィードが短くなってしまったが、2023年9月現在少しずつ復活している。それに伴い、砂地とウィードが絡むポイントを好むマトフエフキも戻ってきたようだ。

注意点としてはフラットの南端から(実際には深すぎて行けない)リーフエッジまでの距離があるため、フラットの地形をよく読まないと戻れなくなってしまうことだ。深いチャンネルは皆無だが、ところどころ深い窪みがあるので初見ではリスクが高いだろう。大潮のド干潮で行ける最先端から岸に向かって1/3の距離で東側に浜があるので、もし戻れそうもないと判断したのなら無理に南岸まで歩かずにその浜からあがることをおすすめしたい。なお、ド干潮の下げ止まり前後の短期決戦で挑むなら、この浜からエントリーしたほうが歩く距離は少なくなるのでおすすめ。それともうひとつ、巨岩(津波石)が点在しているので、大型魚とのファイトでラインを巻かれないように注意したい。

このフラットの魚種は宮古島の他の島と変わらないが、トレバリーの姿はよく見かけるのでトレバリー狙いに徹するのもアリだと思う。ゴマモンガラはかなりの大型がおり、ゴマモンガラに絞るならやや沖合のサンゴ帯に絞れるが、その付近はあまり浅くなく潮位がかなり下がる日以外はテイリングのチャンスは少なめ。ミナミクロダイはそれほど数が多くないので、ミナミクロダイを狙うのであれば、このフラットの沖合ではなく岸寄りか伊良部島と下地島の間の運河筋をおすすめする。それでも沖縄本島や奄美と比較して数は少ないので、あえてミナミクロダイを狙う必要もない気がする。ちなみに、このフラットでは、みんな大好きなあの魚もこの目でかつ至近距離で確認している。残念ながらそのときその魚は釣ってはいないが、私がこのフラットに訪れる理由の半分はそれを狙うためだったりする。

さて、上述した運河筋だが、一見エントリーポイントがなさそうで私有地に囲まれているように感じるが、釣り可能な箇所があり、いくつかかかる橋付近からエントリーできる。透明度が落ちるため満潮時に橋から覗くと深く感じて実際に深いのだが、浅いところはある。急に落ち込んでいる箇所が多いので、ウェーディングには十分注意してほしい。その落ち込んでいるエッジ沿いにトレバリーが入ってくるのでブラインドで狙うのもおすすめ。また、潮が動いているときは潮流が速いのでその点も注意したい。オカッパリだと岸沿いを通して歩くのが難しいが、ここは場所によってはマングローブがあり独特の雰囲気。こじんまりとした場所で静かに釣りをしたいのなら間違いなくおすすめポイント。一部を除きバックスペースを取りづらいのが難点(立入禁止に注意)。

余談だが、この運河筋の北側と広大なフラットへは頑張れば空港から徒歩でエントリーできるので、周辺の宿を拠点とすればレンタカーなしの低コスト遠征釣行も可能。6pcのロッド携行でバスケットなしウェーディングシューズなしで水陸両用サンダル代用で預け荷物を減らして安宿を利用すれば更にコストダウン可能で、それこそ超低コスト遠征釣行が可能かもしれない。とはいえ、すべて徒歩だと遠征組にとって貴重な時間を食いつぶすので、さすがにレンタサイクルくらいは借りたほうがよいだろう(空港と一部の宿にある)。水陸両用サンダルについて補足する。この場所のようなサンゴのきつくない混合フラットあるいはサンドフラットやマディフラットではほぼ問題ないが、ゴツゴツしたリーフフラットではくるぶしが覆われていないマリンシューズなどは避けたほうが無難。クロロプレーンソックスを履いていても簡単に怪我をする。

ちなみに滑走路北端西側にはインスタ映えするとても美しいフラットがありトレバリーが結構回ってくるが、干潮時は水遊びの観光客だらけでとても釣りをする雰囲気ではないので避けたほうが無難。人が少ないときなら釣りになるが、少ない時間帯は潮位が高すぎてあまりよくない。なお、滑走路側にテトラが敷き詰められているのでエントリする場合は十分気をつけてほしい。

下地島には飲食店が皆無だが、ほぼ同じ島と言える運河筋の伊良部島側と伊良部島東側にはいくつかあるので昼食は困らない。自動販売機はその周辺にある。大手コンビニとしては伊良部島の東側の集落にファミマがある。

多良間島はド干潮前後に絞って宮古島からの強行日帰りも可能(ただし、宮古島来島初日は無理)

宮古島から少し離れた多良間島は典型的な隆起サンゴの島であり、ウェーディングし易いリーフフラットが広がる。数多くのトゥブリ(小径)があるため海へのエントリーは比較的楽で、池間島や来間島よりエントリー場所が多い。

島の南東から南側はやや深く、北側が全体的に浅い。個人的には北西〜北側と、港を挟んで北東側をおすすめしたい。夏場は追い風になり順光のポジションも取りやすいが、下地島・伊良部島と同様に場所によっては巨岩(津波石)が点在しているので、大型魚とのファイトでは気をつけたい。南側はサンゴがきつい深場が多く、ウェーディングではなく岸からクルージングのトレバリー狙い撃ちがメイン。

北側エリアには春夏の大潮の干潮時にギリギリ露出するかしないかという付近に非常に脆い枝サンゴ?がテーブル状に広がる箇所があるが、上に乗るとズッポリ踏み抜くので乗らないようにしてほしい。そのエリアを避けるか、隙間の空いている箇所を歩いて移動してほしい。

他の島と比較してカスミアジの魚影が濃く、ゴマモンチャレンジも多め。たまたまなのかもしれないがこれまでミナミクロダイを一度も掛けたことがなく、テイリングも見たことがない。エリア的には生息域だろうが、この島に来るとミナミクロダイは眼中にないので、狙いもしないし、見つけようとも思わないので、気がついていないだけかもしれない。

船便もあるが飛行機を使えばすぐ。行きは10時前に多良間空港着、帰りは16時台に多良間空港発のフライトスケジュールで組めば、宮古島からの強行日帰もできなくはないだろう。飛行機なら八重山と違って船便で欠航になるリスクも低いので強行日帰りはしやすいはずだ。とはいえ、初めて訪れるならポイント調査で時間を食いつぶすし、360度広がるポイントを前に短時間で納竿するのはもったいないので最低1泊はおすすめする。宿が小さめで少ない割にダイビング客が多く工事関係者などの長期滞在も多いので、ハイシーズンなら宿の確保は早めに行いたい。

車で30分もあれば一周でき(野良ヤギに注意)、観光地化されていないためよい意味で何も無い島。コンビニはないが、島の北側の集落にこじんまりとしたスーパーが2軒ある。自販機もこのあたりに集中しているのでドリンク調達スポットとして立ち寄りたい。カードや電子マネーはごく一部でしか使用できないものと考えてよく、ほぼ現金決済の島だ。私のようなキャッシュレス派は現金を多めに持ち込もう。また、日曜日は営業していない店が多いので、前日の夕方にスーパーで食材を買い込むか、食事付きプランでの宿泊をおすすめする(それでも日曜ランチは難民必至)。どうにもならなければすまむぬたらまに駆け込もう。

羽田含む遠方からだとフライトスケジュール的に宮古島来島初日に多良間島で昼間の釣りをするのは難しいので、初日は移動で1日消費する覚悟が必要。なお、多良間島含む二次離島への遠征で悩むポイントのひとつとして荷物の持ち込みがあるが、多良間に関しては飛行機での渡島が容易なのであまり心配しなくてよい。多くの航空会社同様、同一航空会社はもちろんのこと、スルーチェックイン提携航空会社であれば、荷物は最終目的地まで運んでくれる(スルーバゲージ)。たとえば、ANAで羽田→(那覇)→宮古まで行き、宮古からはRAC(JAL)で宮古→多良間まで行く場合、羽田から多良間まで預け荷物の出し入れ無しで運んでくれる(RACの荷物制限は羽田から考慮しておく必要あり)。ただし、特殊預け荷物(ロッドチューブのような長尺物など)は、提携航空会社に乗り換える際に一度荷物を受け取り、乗り継ぎ便への搭乗手続時(ANA←→JALはスルーバゲージのみなので、特殊預け荷物の有無に関係なく搭乗手続き自体は必要)に再度荷物を預ける必要がある(この例の場合は宮古空港で行う)。

沖縄本島の離島や八重山の離島だど移動が船になり、ごく小さな離島だとレンタカーを使用しないこともある。長期滞在ならまだしも、2-3日の短期滞在の場合は荷物が足手まといになるので、目的地のみでしか釣りをしない場合はなるべく荷物を減らす努力がほしいが、多良間の場合はRACの荷物制限だけ気をつければ極端に減らす必要はない。

2024/01/22からは第一航空株式会社による石垣-多良間便が再開されたので、便数が少ないとはいえ石垣島からの航空路によるアプローチも可能になった。なお、水納島へはチャーター便の船でしか渡れないので注意。

主だった島は橋で繋がっているために様々な場所をめぐることができるのが最大のメリット

宮古列島は橋で繋がる島が多いため、時間さえあれば船を使わず様々な場所をめぐることができるのが最大のメリット。宮古空港から下地島空港からもアプローチしやすいので、レガシーキャリア(FSC)とMCC/LCCをうまく使い分けて遠征を組み立てられるのもよい。

色とりどりのポイントを車オンリーで巡る釣りがしたいのなら宮古列島をおすすめしたい。もちろん、短い日程で宮古列島すべて回るのは難しいが、ポイントを絞れば2泊程度でも十分楽しめる。ハブが生息していないことも、安心して楽しめるポイントの一つだ。

宿に関して。どうしてもポイントが散らばるので、ポイントを絞り込まないならどのエリアにも移動しやすい平良に宿泊するのが無難。飲食店も多いのでアフターも楽しめるだろう。奄美と比較してクレカが使える店舗が多いのも、キャッシュレス派の自分にとっても好都合だ。 

困ったことに石垣島のように観光地化が著しく、いままで入れたエントリー場所が立入禁止になったり私有地になったりと変化が激しい。釣行の際は十分注意してほしい。

なお、9月はもちろん10月になってもウェットウェーディングは余裕で楽しめるが、10月に入ると気圧配置が変わり、日によって北風が吹き出すことが多いので、アゲインストになりやすいポイントの多い宮古島と下地島、多良間島は少し釣りづらいかもしれない。 

コロナ禍で廃業や車両数見直し(島外へ回す)が相次いだようで、2022年はレンタカーの予約が難しい状況が続いた。2023年もレンタカーが少なく苦労した。この先も同じ状況が続くかどうかわからないが、航空券の手配が済んだら宿より先にレンタカーの予約をおすすめしたい。

ガチ釣りに疲れたらトロピカルフィッシュ五目釣りをどうぞ!


2021/04/12

奄美大島でフライフィッシングをやる場合の参考情報

以前、房総半島、三浦半島における漁港FFに役に立つ?情報を発信した。今回はその続きとして、伊豆半島といきたいところだが、ここしばらく伊豆半島で釣りをしていないので現在の状況がわからない。立ち入り禁止や釣り禁止のエリアが刻々と変わる漁港において、古い情報は混乱と(現地での)騒動を招くだけなので記述は諦める。

その代わりといってはなんだが、日本の南の島での陸っぱりソルトウォーターフライフィッシングについて、ロコアングラーやフィッシングガイド利用ではなく、遠征組の観点から遠征を予定している人に向けて役に立つ(かどうかわからないが)情報をお伝えする。本シリーズのコンセプトに則り、あくまでも「この島・エリアはこんな特徴があります」というお話であり、釣り場紹介ではないし釣り方の説明でもない。釣り方に関しては私よりはるかに現場経験値の高いロコガイドやロコアングラーにお任せしたい。

なお、概要や釣り方に関しては00年代後半から何度か発刊されたムック『Salt FlyFisher』や昨年話題になった『SALT & WARM WATER FLYFISHER』に記載されている内容に目を通していただければと思う。ここで私がウンチクを述べるよりはるかに有益な情報が満載だ。ここではそこには書かれていない内容や同じような内容でも少し違う角度から述べたい。

さて、日本の南の島といっても南西諸島と小笠原諸島に大きく分けられる。残念ながら小笠原諸島での釣りの経験はないので今回は省く。また一口に南西諸島といっても、種子島や屋久島あたりから与那国島までとてつもなくも広い。距離・エリアでいうと東北の渓流を端から端まで紹介しなくてはならないくらいの幅広さがあり、とてもではないが細かく説明できない。そもそもすべての島を制覇したわけではないので、それぞれの島について詳しく述べることもできない。なので、本シリーズでは奄美大島、沖縄本島、宮古列島(宮古島〜下地島)八重山列島(石垣島〜西表島)の4つエリアに絞ることにする。

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

まずは奄美大島から。

勝手がわからない方向けに南西諸島のフライフィッシングガイドも実施しておりますので、ぜひどうぞ!

奄美大島はシャローフラット天国


奄美大島は意外と広い。日本の島では佐渡の次に大きい第5位だ。九州本土と沖縄本島のちょうど中間地点に属し、本土と琉球の双方の文化が交じる。また、黒潮の本流が奄美大島と屋久島の間を流れ、生物分布境界線である渡瀬線も位置していることから、ここを境に南方系の生物に切り替わる。このように文化や生物といった境界線に位置する島であり、南西諸島の中でも特異な島といえる。気温も湿度も植生も集落も南国のそれだが、どことなく本州っぽい部分もあり、独特の雰囲気がある。

日本におけるソルトウォーターフライフィッシングシーンでいま一番アツいのは、なんといってもクロダイだろう。その4大聖地といえば、東から「多摩川河口(通称「TOKYO FLAT」)」「浜名湖」「大村湾」「奄美大島」といえる(私の勝手な意見だが)。木更津の盤州干潟や瀬戸内海といった場所もそれなりに有名だが、前述の4箇所はクロダイ・キビレFF好きならぜひ一度は訪れておきたいエリア。

その中でも奄美大島は「ミナミクロダイ」という、本土とは異なる種類のクロダイがターゲットになる。私の感覚だと、フライに対する反応は通常のクロダイより断然よく、大変アグレッシブに感じる。その反応はどちらかというとキビレに近いかもしれない。ただし、そこはクロダイ。アプローチが雑だとすぐにスプークする。

私自身これまで奄美大島から西表島までミナミクロダイを狙ってきた。チヌが入り込みやすいシャローが多いので魚影が目立つという理由もあると思うが、魚影は奄美がダントツといって間違いない。ミナミクロダイに絞った釣行を考えるのであれば、奄美以外に行く必要はないと感じるほど。ミナミクロダイ用のフライはUNDERWATER ONLINEで!

ミナミクロダイの魚影はすこぶる濃い

その日の状況にもよるが、(よほどのドシャローでないかぎりなるべく立ち込まないほうがいいが、)ウェーディングしていると360度ミナミクロダイだらけになることもあり、アプローチやランディングに失敗しても次の魚が待ち構えているため、魚を見つけることからアプローチ、フライへの反応、リトリーブ、フッキング、ランディングまで、とてもよい練習になる。浜名湖でコテンパンにやられている人が癒やしを求めるのにも丁度よい。

もちろんミナミクロダイ以外の魚も豊富。オニヒラアジやカスミアジ、GTといったトレバリーから、ゴマモンガラやキヘリモンガラなどのトリガーフィッシュ、サンゴやゴロタにはカンモンハタなどの根魚、河口付近にはコトヒキやマングローブジャックなど、沖縄に勝るとも劣らない、本当に様々な魚がいる。ギョッとするようなサイズの魚が目の前に現れることもしばしばで、沖縄と違って本州っぽいポイントも多くそのギャップに驚かされる。

さて、肝心の釣り場だが、いわゆる南の島のフラットフィッシングスタイルで釣りをするのであれば、北東部エリアに絞ってよいと思う。島の中ほどから南にかけては断崖絶壁や急深部、ゴロタやサンゴが多く、またどうしても逆光になるポイントも多く、フライで効率よく釣りになるポイントが少ない。もちろんないわけではないのだが、一つ一つのポイントがそれほど広くなく、またポイント同士が離れていることが多く移動に時間がかかる。そのため、じっくり狙うのも、ランガンスタイルでも不向きだろう。

1-2週間程度長期間滞在できるのであればポイント開拓がてら様々なエリアを巡るのも楽しいと思うが、3-4日程度しか滞在できないような通常の遠征では時間を食いつぶすだけなので、ガイドフィッシング以外ではおすすめできない。私の経験上現実的な話でいうと、短期遠征の人が南下して意味があるのは住用川の河口あたりまでと感じる。ただし、宿の拠点を南部に置くのなら南部エリアはもちろん加計呂麻島もターゲットになるだろう。

何度も奄美に訪れているなら、たまには北東エリアを捨て南部にしぼってもよいと思う。それでも奄美空港から加計呂麻島を望む瀬戸内町までは沖縄本島で那覇空港からやんばる方面までいくような時間を要する。もちろん観光なら気にならないが、釣りとなると釣りをする時間、ましてやソルトの場合タイドに合わせないと釣りにならないので、到着日などは移動時間を考慮した釣行スケジュールを立てないと時合を無駄にするので注意だ。

話を元に戻そう。

奄美は北東部エリアに絞って構わない

北東部エリアには浅くて広いフラットが多く、私が集中的に通うのもこのエリア。太平洋側と東シナ海側(厳密には東シナ海と太平洋の区切りが喜界島にあり、喜界島の東が太平洋で奄美本島は東シナ海に位置するという話もある)を容易に行き来することが可能で、太陽の角度や風向きに合わせてポイント移動も気兼ねなくできる。時間が限られている遠征組にとっては好条件。なお、フラットは無数にあるが、リーフエッジが発達しているのは空港南側から北部先端付近西側までの潮通しのよい場所に限られる。リーフに限らず、奄美においてフラットで容易に立ち込み可能な場所は北東部エリアに集中しているので、大前提の情報として押さえておきたい。

ポイント近くまで車が通れる道あるいは人が歩けるような道がないところもあるが、そのようなポイントは潮が上げてくるとフラット伝いあるいは岸沿いで戻ってくることができなくなる場所があり、最悪の場合は藪や山の中を突っ切ることになるだろう。山越えや崖の上り下りなどロックショアの釣りに長けているなら問題ないと思うが、崖からの滑落やハブ遭遇のリスクも高く、よほど熟知している場所でない限りまったくおすすめできない。

ボトムのマテリアルも様々で、沖縄本島〜宮古列島〜八重山列島あたりではあまりお目にかかれない変化に富んだポイントが続く。フラットの王道の釣りがサイトフィッシングだとすれば、実は思っているほどフライフィッシング向きのシャローフラットがない沖縄より適している。

とはいえ、典型的な南の島のイメージで行くと面食らうかもしれない。奄美は場所によってボトムの色が大きく異なるため、サイトフィッシングに慣れていないと大変苦戦する。私は魚を見つけることにある程度慣れているので終始1つで通してしまうことが多いが、可能であれば偏光グラスは複数用意し、状況に応じて替えたほうがよいと思う。

サイトフィッシングなら沖縄より奄美

リーフまわりのトロピカルフィッシュ含めた五目釣り、あるいは、トレバリーに集中するのであれば宮古列島〜八重山列島をおすすめするが、魚種問わずフラットでのサイトフィッシングにこだわるのであれば奄美をおすすめする。トロピカルフィッシュ五目釣り用のフライトレバリー用のフライUNDERWATER ONLINEで!

奄美大島は降雨量が多い。北東部を除くと平らな土地がほぼないため、雲が湧きやすい。中心地の名瀬や住用あたりのいわゆる中部エリアは北東部や南部と比較して特に雨が多い気がする。そのため、スカッと晴れた状態で釣りができないことが多い。森林の様子と雨の多さは、やんばる@沖縄本島や西表島とよく似ている。その、やんばる@沖縄本島や西表島も同様だが、大雨が続くと河川流れ込み付近の海は濁りやすい。そのような状況でも、経験上問題なく釣れているので安心してほしい。もちろん、魚体を確認してのサイトは厳しいが、ナーバスウォーターやテイリングを狙うか、ブラインドでなんとかなる。

曇天雨天はサイトフィッシングには大敵だが、ナーバスウォーターやテイリングは頻繁に見られるので、よほど状況が悪くない限りボウズはないだろう。魚影そのものを確認するには晴れていないと厳しいが、実はテイリングやナーバスウォーターに関しては晴れているより曇っているほうが見やすかったりする。空の色が水面に反射してグレーになり、尾びれや波と水面のコントラストが強くなるからだ。ブラインドでも釣れるが、魚をちらしてしまうためバイトの確率は低くなるし、なにより面白くない。 

ボトムがサンドのような明るいマテリアルであれば日が差している限り魚影の確認は比較的容易だが、少しでも曇ったり暗いボトムの場合、慣れていないとまったく見えず苦戦する。

もし釣りにならないようなら、素直にガイドフィッシングに切り替えたほうがよいと思う。幸い奄美には名ガイドがいる。このエントリに目を通すより明らかによいだろう。ガイドなしで自力で釣りたい遠征組向けのエントリなのでご容赦を!

タックルに関しては各々の考え方や好みがあるので特に説明しないが、ミナミクロダイを中心にするなら#6、トレバリーやトリガーフィッシュを相手にしたいなら#8-9あたりになるだろう。奄美に限らず、南西諸島のフラットフィッシングなら概ねこのあたりの番手がデファクトスタンダードといえる。

とはいえ、ミナミクロダイに絞って#4ロッドでとことん遊ぶのもよいだろうし、#10が欲しくなるトレバリーが目の前に現れることも数多あるのでヘビーなロッドで挑むのもよい。

正直、何が起きるか予測不能なのでなんでもあり。私自身とんでもない魚を見かけている。#4のグラスロッドを手にした私の数メートル先をメーターオーバーのGTがウロウロしていたなんてこともあるし、潜水艦のような巨大なバラクーダが浮いていたりする。宮古や石垣ならそれほどビックリすることではないが、本州っぽいポイントの多い奄美だと違和感が半端ない。

ミナミクロダイ狙いなら#6ロッドが最適だが、お好みでなんでもあり

ミナミクロダイを狙っていて突然オニヒラアジがフライを引ったくっていくこともあるし、やわなグラスの#6ロッドを振っていたら目の前でゴマモンガラがテイリングをはじめる場面に遭遇することもあり、その時に手にしているタックルで獲る(狙う)しかない。

ロッド2本持ちに関して。私もたまにやるが、トレバリーに関しては足が速すぎてタックルチェンジしている余裕はない。リーフエッジや少し深めのリーフまわりにてブラインドでフライを投げ続ける釣り方ならともかく、フラットにあがってきたトレバリーをサイトで狙うには、最初からトレバリーに絞ったタックル1本で勝負しないと数少ないチャンスを逃すだろう。ミナミクロダイ用+トレバリー用あるいはトレバリー用+ゴマモン用など2本持ちでもトレバリーがクルージングしてきたときは持ち替える時間がないので、今はトレバリー!と心に決めたなら手に持つのは最初からトレバリー用のタックルにしておかないと2本持ち出していたとしてもほとんど意味がない(これで何度も悔しい思いをしている)。

ウェーディングギアに関して。黒潮が近く緯度の割に水温が高いため、シーズン初期や終盤を除く5-10月なら平均水温25℃〜はある。もし、シーズン初期や終盤でウェットウェーディングとウェーダーで迷う場合は現地ダイビングショップ(スクール)の水温情報を参考にするとよい。これは奄美に限らず南の島でのフラットフィッシングにおけるTips!

トップシーズンであれば気温も日差しも沖縄と同じ程度で、かなり暑い。よって、典型的な南の島ソルトFFスタイルでなんら問題ない。10月に入ってもウェットウェーディングは可能だが、朝晩の外気温は同時期の沖縄より下がるので、雨天や風の強い日だとその時間帯は水から上がると少し冷えるかもしれない。ウェーダーはとても嵩張るのとどうしても足さばきが悪いので、水温低めの時期は沢登り用の保温性の高いタイツをおすすめしたい。なお、時期的に奄美含む南西諸島は北風が吹くことが多くなるので、その点も考慮したほうがよいだろう。

なお、冬でもフラットで釣ることはできる。ただし、(宮古も八重山も同様だが)奄美は南国フラットではあるが常夏ではない。水温が低くなる分フラットに上がってくる魚影は薄いし、本州に近い奄美は季節風による雲がなだれ込みやすく曇天が続くのでおすすめしない。どうしても冬にフラットで釣りがしたいというなら、奄美より水温が高くいくぶん晴れ間が多い、沖縄の離島(宮古、八重山)に行ったほうがよい。

足元はいわゆるソルト用のフラットシューズより、フェルト底のウェーディングシューズのほうが適していると感じる。ウィードやサンド、サンゴといった一般的な南の島のフラットのようなシチュエーションだけでなく岩やゴロタや小石まじりのボトムも多いため、ラジアル底はかなり滑る。

フラットに通い詰めるなら専用に一足用意するだろうが、はじめて挑むなら渓流で使い込んで退役間近のウェーディングシューズでもよいと思う。

リーフエッジ付近での釣りは十分注意してほしい

奄美に限ったことではないが、サンゴや岩礁の発達した南の島のリーフエッジ(礁縁)付近で釣りをする場合は、上げ潮と時折やってくる大きな波、そしてリーフカレント・リップカレント(離岸流)に十分注意してほしい。言うまでもなくリーフの沖は外海で一気にドロップオフしている。

大きな波は海が荒れているときや近海に台風がない限りあまり心配しなくてよいが、上げ潮は要注意だ。特に大潮のときの上げは怖い。例外はあるが、インリーフは岸とエッジの間の途中が深くなっているケースが多いので、まだ大丈夫だろうと釣りを続けていて、いざ戻ろうとしたとき途中でラグーン・タイドプール(礁池)にハマって帰れなくなる。エッジ手前のリーフフラット(前方礁原)が浅いので、釣りに夢中&そのことを知らないと気がつかない。

そして、リーフカレント。サーフのイメージがあるが、サンゴ帯でも発生する。サンゴのリーフギャップ(スリット)に沿って川のようなスピードで沖に流れるので近寄らないこと。上げでも下げでも発生し、上げの場合は外洋がやや荒れているとき、下げのときは水が少なくなってきたときに威力を増すので要注意。特にリーフエッジから岸近くまで深く切れ込んでいるスリットは強烈なリーフカレントが発生しやすいので安易に近寄らないようにしたい。

なお、リーフエッジの発達していないリーフでは沖からの波を直接カラダに受けやすいので、深くウェーディングしているときはバランスを崩さないように注意したい。水の抜けないラインバスケットを装着していると顕著。

万が一の時に浮き輪になる完全防水のバッグ(パタゴニアやストリームトレイルなど)やレスチューブがあると安心かもしれない。私はパタのバッグとレスチューブを装着しているが、このあたりの安全装備については後日新たなエントリで解説したい。

南の島フラットの釣りになれている人であればよいが、はじめての南の島フラットの釣りでいきなりリーフエッジを目指すのはおすすめしない。山岳渓流並みのリスクがあるので、経験者もしくはガイドとの同行がベスト。

奄美といえばビッグツー!?困ったときの駆け込み寺

もしウェーディングシューズやフラットシューズが壊れたらビッグツーでマリンシューズや釣り用のブーツを買うとよい。ただし、くるぶしが覆われていないローカットモデルや底の薄いシューズはサーフ以外では避けたほうが無難。ビッグツーには釣具コーナーもあり、さすがにフライ用品は置いていないがルアーは売っている。ディペットやショックリーダーが足りなくなったら釣り糸コーナーで、シャープナーを忘れた場合などは工具コーナーで代用品が手に入る。ビッグツーは衣類から食料品までなんでも揃い、見ているだけで楽しい。私も必ず立ち寄る大好きな場所。地元に人にとっては何の変哲もないホームセンターかもしれないが、東京の人間から見ると独特の雰囲気があるので、奄美を訪れたなら足を向けたい。特にお土産に関してはここで買うのが一番かと思われる。

なお、北東部エリアから最短でアクセスできる大手チェーンとしてのコンビニは、龍郷にあるファミマのみ。ローカルコンビニ(島人マート)も空港近くの笠利に1軒あるが、24時間営業ではない。龍郷のファミマの北にもローカルなコンビニがあり、その他の街の商店レベルの店も数件ある。少し走れば何でも揃うビッグツーに辿り着けるが、時間のないときの数少ない食料品その他購入スポットとして活用したい。飲食店の少ない北東部エリアとはいえ昼や夜ならなんとかなるが、朝食を摂ることのできる飲食店は皆無。宿で朝食が出ないときや夕マズメまで釣りをして近くの飲食店がクローズしてしまった場合はこれらのコンビニが重宝するはず。自販機は随所にあり、沖縄の離島と比較してポイントと集落の距離が近いことが多いので、潮が引いたフラットの奥まで行かない限り、ドリンク類は必要以上に買い込まなくてもよいだろう。

なお、私のようなキャッシュレス派は、現地でのキャッシュ切れに注意したい。現金決済のみの店舗が多いからだ。もっとも観光やグルメ目的ではなく釣りだけならほとんど現金は使わないと思う。もし足りなくなりそうだったら、ファミマのATMに走ろう。

ガイドフィッシングでない場合の移動は基本的にレンタカーになると思うが、奄美は沖縄以上にノンビリしており、また、沖縄と比較して観光客が少ないので、ノロノロ走る地元の車がどうしても目立ちやすい。大潮のような短い時合のときのポイント移動ではどうしてもアクセルを踏み込んでしまうが、ノンビリは島時間と考えてこちらも気持ちに余裕を持って運転したい。 それと、奄美に限ったことではなく国内海外問わず南の島にありがちだが、夏の満月大潮のときの満潮時(夕暮れ〜夜間)では海沿いの道路にカニ(アカテガニ)が多く出現する。可能であれば低速で避けながら走りたい(対向車に注意!)。

長期滞在あるいは様々なポイントを巡りたいなら宿は名瀬でもよい。特に食事や呑みを楽しみたいのなら名瀬一択になるが、北東部エリアを集中して狙いたい場合はポイントまでの移動時間のかかる名瀬は避けたほうがよい。

楽しみをもう一つ。奄美はもちろん南西諸島全般に言えるが、昼間にフラットの釣りで結果が出せなかったときは夜の漁港で五目釣りという手もある。普段から漁港のフライフィッシングを嗜んでいる人であれば一度試みてほしい。南の島だからといってイレグイになることはないが、意外と楽しめる。

奄美でのフライフィッシングはこの1-2年でプレゼンスが上がってきている。私が通い出した頃はガイドもおらずフライフィッシャーを見かけることは皆無で、居ても奄美FF開拓者などの地元の方だったが、今はガイド+ゲストはもちろん、遠征と思われる方を何人も見かける。よい時期のよい潮回りのメジャーポイントは先行者が居て入れないことも珍しくない。世界自然遺産に登録されたので観光客も格段に増えるだろう(石垣島のように観光地化された島が嫌いなら、まさしく今が旬)。まだ混んでいない今こそ、奄美に行こう!

ガチ釣りに疲れたらトロピカルフィッシュ五目釣りをどうぞ! 

<2025/05/07追記>
データを取っているわけではないので、あくまでもなんとなく...というレベルで感じていることだが、フライフィッシャーが増えるに従い、やや釣りにくくなってきた感がある。その原因が、単純なスレなのか、先行者によるプレッシャーなのか、魚が減ったのか、環境の変化なのか、自分が行くポイントだけなのかはわからない。南西諸島の他の島と比較してフライフィッシャーに遭遇する確率がかなり高いので、少なからずその影響があるのかもしれない。気のせいだとよいのだが。

2021/01/09

フライフィッシング系の雑誌ひいては他メディアや業界に関して苦言(もとい提言)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

いきなりケンカをうるようなタイトルだが、率直に申し上げたい。

誤解を避けるために先にいっておくが、特定の人やメディア、メーカーやショップに対しての意見ではない。私が常日頃なんとなく感じている(感じてきた)、喉の奥に小骨が刺さっているような、なにか引っかかるような違和感に対して意見を述べる。

新規参入者が乏しく高齢化が著しいフライフィッシングは、一見すると斜陽といってもよいかもしれない。フライフィッシングが大好きな自分がいうのは本当に悲しいが、概ねあたっているだろう。唯一の救いは、コロナ禍でアウトドア系アクティビティが注目され、釣りを始める人が増えていることだ。そのうちの何%がフライフィッシングをはじめてくれるのかはわからないが、ある程度期待はしたい。

アニメ『スローループ』の放映には新規参入者を増やすトリガーとしてうまく機能してほしかったが、残念ながらフライフィッシング業界あげてのコラボなどプロモーションはなかったようだ。若手やフライフィッシングに縁のなかった人にリーチする可能性の高い、せっかくの千載一遇のチャンスをうまく活かせなかった、いや、活かそうと思わなかったのだろうと言わざるをえない。もっというと、本当に新規参入を増やしたいと思っているのか?と疑ってしまうほどこの業界は無関心だったのではないかと本気で思うし、とてもがっかりしている。

フライフィッシングは新陳代謝の乏しい遊び

新規参入↓楽しんでいる人の年齢↑を考えれば、フライフィッシングは新陳代謝の乏しい遊びといえる。それは雑誌含むメディアにもいえることで、野外という季節性の高いフィールドが主戦場となるフライフィッシングにおいては、月刊・季刊に関わらず、毎年同じ時期に同じような特集が組まれることがどうしても多くなる。そのうえで、新陳代謝が乏しく人の入れ替わりが少ないとなると、メディアに登場する方も代わり映えしないということになる。メディアに登場しているプロの方はなんら悪くないのだが、メディアに登場する人もメディアから情報を得る人も、同じように歳を重ねていった先に何が待っているかは想像に難くない

とらえかたによっては、登場人物と季節モノの記事が長年アップデートされていないことが、雑誌がつまらなくなる最大の問題ともいえる。

過去にしがみつく旧態依然なフライフィッシング業界

音楽業界ではスタジアムツアーも難なくこなす大物アーティストもいればほぼ無名のアーティストもいて、リスナーはいちいち区別して考えていない(聴いていない)。それこそ、CDといった物理媒体ではなく配信が多くなり、SoundCloudやYouTubeなどで活躍するアーティストもたくさん出てきており、そこで発掘されるすばらしい曲やアーティストも多くなっている。TikTokで扱われた楽曲が大バズリして注目を浴びるアーティストなんて珍しくない。むしろそっちが主流の時代だし、プロとかアマとかの区別も曖昧。売る側も買う側も変化している。そしてそこにはメディアに露出しているアーティスト(のみ)が優れているといった情弱な評価はない。

フライフィッシング業界はどうか。

レジェンドたちの功績は揺るぎない確かなものではあるが、いつまで経ってもそれに頼っているようではこの業界は何も変わらない。20年も30年もこれまで一体この業界は何をしてきたのだと、小1時間いや四六時中問い詰めたい。敷居を低く、もっとフレンドリーに、もっと幅広い人達、特に若い人たちフォーカスを当てようではないか。

誤解されるかもしれないので補足するが「同じ人を何度もメディアに出したり、同じような記事を出したり、同じようなロッドを毎年出すな」ということではなく、「まだ見ぬ誰かや釣り方やフィールドや対象魚を発掘してほしい」ということ。音楽で喩えると、新しい楽曲やアーティストを発掘する=Digる(ディグる)行為を、メディアやメーカー側で(も)積極的に行ってほしいということだ。

特定のプロに対して一部に熱狂的ファン(悪く言えば信者)がいるが、フライフィッシングという遊びの中であり、他人に迷惑をかけていないなら問題ない。また、プロやメーカーなどが自分のお客様に対して手厚いサービスを提供したり、自社製品やサービスを積極的に売り込むことはビジネスという意味で至極当然のことであり、まったく問題ないし、好き嫌いはあれど誰も何もいわないだろう。

問題があるとすれば、そうした一部の方の情報(考え)やスタイルがあたかも普遍的であるように見立てて発信するメディアかもしれない。ただでさえ自分と違うスタイルに対して批判的になる人の多いフライフィッシングという遊びにおいて、偏った情報は分断を煽る原因にもなりかねない。この業界は狭く、◯◯さんの知り合いが◯◯さんだったりすことはよくあることで、だからこそ特定の人たちで楽しむ(≒楽しんでいるように見えるような)内輪ノリもやめたほうがよい。

みんなちがって みんないい

私の考えは常にこれだ(フライフィッシングという趣味に対してももちろん、仕事に対しても、生き方に対してもこの考えをベースにしている)。

キャスティングもタイイングも実釣も、一般的に「こうしたほうがよい、これが基本だ」というものが存在する。だが、最適解は人それぞれであり、自分自身がアジャストしていくものだと思う。しかし、フライフィッシングをはじめて間もない人や経験はあるがあまりやっていない人にとっては、普遍的な考えや基本的な考えというものがまだあやふやだ。

そうした人に対して、偏った情報(考え)や特定のスタイルをあたかもメインストリームのように一方的に垂れ流すのはやめるべきだと思う(ここでいう偏った情報というのは単に普遍的ではないという意味ではなく、販促ありきの広告的な情報という意味も含んでいる)。その一つとして、ロングリーダー・ロングティペットに関してここで私的見解を述べた。ソルトが大流行の昨今においては少なくなってきたとは思うが、この業界に根強くはびこるサケ・マス至上主義に対しても、折を見て話したい。

フライフィッシング関係に限らず、メディアに対してスポンサーがバックにいてスポンサーがいないと成り立たないことに関して消費者はみんな理解しているが、本当にそれがよいと思うのか、本当にそれが最適解なのか、今一度考えてほしい。お仕着せの情報を発信してもそれで騙せるのは経験の少ない方に対してであって、残念ながら経験者にはお見通しだろう。

インターネットには良い・悪い、本当・嘘という情報が散らばっている。何が真実なのか見抜く力は必要だが、よい意味で確実に「正しいマイナスな情報」はある。一方、雑誌含む旧メディアはどうか。

フライフィッシング系雑誌はつまらなくなった

日本のフライフィッシング系雑誌はほぼ創刊当時から読んでいるが、本当につまらなくなった。かつてのブームが去って消えていった雑誌もある。それは、自分の経験値が増してつまらなくなったということではないハズだ。初級者(というようなレベルのくくり方はあまり好きではないが)向けの内容ではないし、かといって、経験者を唸らせるような内容でもない。どちらかというと読み手のターゲットが絞れておらずニーズもつかめていないような、発信側の都合で構成された内容と感じる。一応断っておくが、上述したとおりスポンサーがいれば、発信側の都合で構成すること自体はなんら問題ない。

つまらない=目新しさがなくなった、とも捉えられるので、そういう意味では多少なりとも日本においてもフライフィッシングというものが成熟してきた証ともいえるが、言い方を変えると頭打ちになっているのだろう。

フライフィッシングには様々なカテゴリがあり、各々の好みも千差万別だ。それらをまんべんなく網羅しようとすると、どうしても大味になってしまうのが悩みであり、つまらなくなってしまう要因の一つなのだろうと推測する。渓流のフライフィッシングを嗜む人が多いと思うが、渓流はメソッドがほぼ確立されており目新しいトピックがない。それゆえに、渓流特集をやるとマンネリと云われ、ウェットフライや海外ソルトを特集すれば、嗜む人の割合が少ないゆえ興味ないと云われる。つまり、どんな記事にしてもつまらなくなってしまう。

個人的にはもうそれぞれのジャンルに絞った尖った内容でよいのではないかと思う。『SALT & WARM WATER FLYFISHER』がなぜこんなにも反響を呼んだのか、ヒントはここにある。渓流のフライフィッシングに関してはフライパターンもメソッドもほぼ出尽くしているが、ソルトウォーターに関してはまだまだ未開拓であり、可能性という伸びしろがかなり広いからではないだろうか。ルアーフィッシングやフライフィッシングの黎明期〜ではルアー&フライとしてまとめてしまっていた時代があった。書籍・雑誌も同様だ。いまは、ルアーフィッシングとフライフィッシングは明確に分けられていることが多く、専門誌の類も分けられている。ここから更に一歩踏み出して、フライフィッシングもジャンル別に分ける時期に入っていると確信している(ルアーフィッシングはすでにそうなっている)。

広告媒体と割り切るか、尖るか

釣り雑誌が売れない原因は単に出版不況だけではないと思う。もっと消費者に寄り添い、スポンサーの意向を汲み取った情報の垂れ流しではなく、業界を持ち上げていくつもりでやってほしいと切に願う。メディアだけではなく、メーカーもショップも同じだ。そうでないと、凝り固まった高齢者が高齢者に対して商売を行う、または、特定の派閥の中で内輪ノリで楽しむ、という完全なる斜陽産業に成り下がる。ピークアウトするのはコロナだけでいい。

詳しくは知らないし表現が不適切かもしれないが、誰かと誰かの関係があまりよくない話なども聞く。単なる商売敵であればお互いに切磋琢磨しあってよい方向へ進みそうだが、実際のところどうなのだろう。狭い業界の中でパイを奪い合うのではなく、パイの面積を広げることに注力してほしい。

各々のフライフィッシャーはそれぞれの嗜好があるので好きな釣りをやればよいし、特定のジャンルに特化したメディアやメーカーがあることは何ら問題ない。一方で、総合的なメディアやメーカーは業界を引っ張る立場にあるのだから、もっと幅広い視点をもってほしい。

サケ・マスにこだわりすぎていないだろうか?
フライフィッシングは気品が高い釣りだと、お高くとまっていないだろうか?

人口減は避けられないこの日本。どちらかというと年配の比率が高いフライフィッシングというジャンルにおいて、放っておけばこの先マーケットは必ず縮む。ブームは必ず去るし参入者が増えると様々な問題が起こるので無理やりブームを起こす必要はないが、専門誌も発刊できなくなるようなレベルまで落ちてしまってもよいのだろうか。フライフィッシング業界に携わる人はそれでもよいのかと、自問自答が必要だ。

フライフィッシング業界はマーケットを広げようとする意識が絶望的に足りない

一応補足しておくが、たまに出るムック系はとても面白いので、そうしたものは消費者のニーズに合っているのだろうと思う(前述の『SALT & WARM WATER FLYFISHER』がよい例)。また、インターネット(特に動画配信、インタラクティブな企画)をうまく使うなど、消費者へリーチさせる方法はいくらでもあるはずなので、紙媒体に限定しないほうがよいと感じる。IT化が遅れている産業でもあるのだから。

某誌の大台記念号の特集は大変よかったので(私のまわりでも評判よいようだ)、今後も尖った路線でよいのではと思う。もっともムック的な作りになってきている気がするので、なおさらマッチする。そうなるとこれからフライフィッシングをはじめようとする人たちには酷かもしれないが、それはそれでそれ用のムックを出せばよい(すでに某誌がやっている)。

ショップやメーカーが商品を売るために高価なフラッグシップモデルを推すことは当たり前。実際、最新のマテリアルに質の良いコスメでデコったロッドやリールはとても素晴らしい。ここぞというときににその性能は遺憾なく発揮することは、私自身実感している。ただ、、、普段の釣りでそこまでの性能が必要かどうかは考える余地がある。

USD1,000ロッドでもUSD100ロッドでも釣れる魚は同じ

中華の格安ロッドはモノはコピーしているがクオリティはコピーされていないので、耐久性や性能面では確実に劣る。なので、たとえば不安要素を減らしたい遠征やキャスティングインストラクター試験では使用を避けたいのは事実だ。えげつないコピー品も存在するので、気分的にも避けたい部分はある。しかし、ただ釣るだけなら中華モノで何ら問題ない。どうしてもそれが嫌なら各メーカーの廉価版という手もある。有名メーカーの廉価版は基本的にアジア製なので中華モノと大差ないかもしれないが、資本力ゆえに品質面はそれなりに担保されている。

単に性能面だけでなく、こだわり、嗜好、見栄、他者へのアピールなど、有名メーカーのフラッグシップモデルを使いたくなるのは重々理解しているし、よりよいものを使用することで気分があがるのも事実だし、趣味だからこそ大事な要素だろう。とはいえ、これからフライフィッシングを始めようとしている人に最初からそれを押し付けるのはよくない。

マーケットのパイが小さく利益率も決して高くないはずなので難しいのは承知の上だが、もっと低価格で手を出しやすい製品を出していかないと(宣伝しないと)、フライフィッシングをはじめたくても価格面で断念する人を掬いあげる(救いあげる)ことはできないだろう。

特に、遠くの渓流や湖までいかなくても、高い釣り券が必要な管理釣り場に行かなくても、安近短で手軽に手を出しやすい、バス・ギル・コイ・オイカワ・カワムツ・漁港の小物...このあたりを楽しめる格安タックルとその楽しみ方を伝える媒体が充実すれば新規参入は増えるはずだ。実際、ルアーフィッシング業界では、コイ科の小物をルアーで狙う釣りを「チャビング(Chubbing)」と称してマーケットを広げようとしている(もともと海外発祥だが)。「フライフィッシングは管釣りで練習して渓流で楽しむもの」という化石みたいな考え方、上品ぶった「サケ・マス至上主義」からの脱却は必至といえる。皆が皆、渓流へ行く必要なんてない。フライフィッシングはサケ・マスを釣る手段では決してない。

この業界の頭打ちを打破するための鍵となるのは「試行錯誤の余地」「可能性という伸び代」の二つだと思っている。それはおそらく一般的な渓流の釣りにはもうなく、マーケットがそこから抜け出さないとこの業界は廃れていく一方だろう。いくらメーカーが頑張っても、好奇心と開拓心が旺盛なフライフィッシャーはそこにはもういないし、この業界のプロモーション不足とマーケティング下手ゆえに「フライフィッシング=渓流でやるもの」と洗脳されてしまったフライフィッシングに興味がある潜在顧客も逃がしてしまうだろう。メディアや売り手側がそれに気づけなければ本当に終わる。

この業界の頭打ちを打破するには「試行錯誤の余地」「可能性という伸び代」にフォーカスすること

事情を知らない外野がゴタゴタ述べるなというのは理解しているが、消費者の一人として現状に危惧しているので一石を投じたい。

エントリの主旨から外れるが、少し追記したい。

残念ながら我々消費者側にも問題のある人がいるのも事実だ。自分と合わないスタイルを非難したりしていないだろうか。何かしら被害を被っているならともかく、同じ遊びを楽しむ同士なんだから気楽に楽しもうではないか。

それと、釣り情報ばかり追い求めていないだろうか。情報過多時代で答え(のみ)を求める人が多くなったような気がする。釣り場ガイド本や釣り場情報記事を載せた号の雑誌の売れ行きがよいといわれるが、裏を返せば我々消費者自身が雑誌をつまらなくしている一因でもある。巷のBlogも釣行記事が人気なのも納得できる。

フライフィッシングは過程を楽しむ釣りではなかったか。一番楽しいかもしれない試行錯誤というプロセスをすっ飛ばして早々と結果や答えを求めることが一概に悪いとは思わないが、そのプロセスは後に自分にとってかけがえのない財産になる。結果はお金で買えるが、経験はお金では買えない。

とまぁ、書きなぐったが、いちフライフィッシャーの戯言だと思って流してほしい。「自分と合わないスタイルを非難したりしていないだろうか」と書いている私自身がメディアをdisっているのだから(苦笑) 

嗚呼、なんというオチ...

P.S.
このエントリはうまくまとまらなかったので折を見て推敲しアップデートし続けたい

2020/12/16

三浦半島の漁港でフライをやる場合の参考情報

<注意> コロナ禍で釣りをする人が増えたことにより、トラブルが多く発生しているようです。その結果、立入禁止・釣り禁止・駐車禁止の漁港が増えています。くれぐれもマナー遵守でお願いします!釣行の際は最新情報をご確認ください!

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 
前回は房総半島について解説したので、今回は三浦半島の漁港でフライフィッシングをしてみようと思っている人向けに情報をお届けする(このシリーズ、需要あるのか??)。

漁港でのフライフィッシングそのものについてはこちらのエントリを!

三浦半島は房総半島よりずっと小さく、南房とほぼ同じサイズだ。海の近くまで住宅地が迫っている場所が多く、ダイナミックさも皆無で、やや趣に欠ける場所が多いのも事実。とはいえ、南側は房総半島に引けを取らないロケーションの漁港が多い。ただし、釣り禁止や立ち入り禁止の場所が目立ち、思っているより釣り場は多くない。そのため、(南端を除いて、)ランガンする場合は飛び飛びでの移動を強いられる。三浦半島自体が小さいので長距離移動にはならないが、意外と時間をロスする。それが三浦半島の難点かもしれない。

三浦半島を大きくエリア分けする場合は相模湾側と東京湾側への二分だろうが、その正確な分岐点を定義するのは難しい。南端の三崎港より西側は相模湾側と定義しても問題ないと思うが、東京湾側の判断が少々難しい。地理的な判断で行えば剱崎より東側が東京湾側と言えるだろうが、当ブログでは三崎港から東側を東京湾側と呼ぶことにする。

理由は後ほど説明するが、観光や他の用事に絡ませる、あるいはピンポイントで行きたい場所があるなど、特別な理由のない限りは南端直行でよいと思う。そこで釣果が出ない場合は相模湾側を北上あるいは東京湾側を北上しながらめぼしい場所を渡り歩き、帰路につくというパターンをおすすめする。

以下、相模湾側北部から南下し、先端から東京湾側へ入って北上するように解説する。

まずは相模湾側。

三浦半島の相模湾側中程より北はロコアングラー以外は無視してOK

エリア北部の逗子や葉山は観光地化されていることもあり、海沿いを行き交う車や人がとても多い。立入禁止場所が多く、昼間は観光客も多いため、落ち着いて釣りができる雰囲気ではない。場合によってはフライラインを振り回すのも気が引ける。釣り場としての魅力がないわけではないが、ロコアングラーでもない限り、わざわざ狙って出かけるほどの場所ではないと思う。私も他の場所で釣果が思わしくなかった場合の帰りがけにチョイ釣りするくらいだ。ターゲットとしてはアジやメバルになるだろう。なお、漁港の話から外れるが、小河川の流れ込み付近ではキビレやクロダイの魚影が濃い。

エリア中程も北部と同じような感じで、砂地に岩場が絡む浅場が多く、漁港も数えるほどしか無い。このあたりも通過点であり、わざわざ行く場所ではないような気がする。少なくともメインの釣り場として考えるには弱すぎる。ここでもアジやメバルが主なターゲットになるだろう。

次にエリア南部、陸上自衛隊駐屯地あたりから南になると面白くなる。いや、面白かったというのが適切か。というのは、このあたりからソレイユの丘あたりの漁港は軒並み釣り禁止あるいは立入禁止になってしまい、現在ではほぼ釣りができない。かつてはメバルの名ポイントが揃う楽しい場所だったが、いまでは見る影もない。残念だが釣りは諦めよう。釣りになるのはそこからさらに南に下ったあたりから。京急の三崎口駅あたりから釣り可能な場所が増えてくる。ターゲットとしてはアジやメバルがメインで、ムラソイやカサゴといった根魚も楽しい。クロダイの魚影も大変濃いので、うまく狙えば釣りになるだろう。

三浦半島でなにか釣ってみたいのなら三崎港+城ヶ島一択

そして、東京湾側との分岐点である三崎港と城ヶ島。名前を伏せる必要のないほど有名で、釣り場も広く、潮通しも抜群で、魚種も豊富。メバルはもちろん、アジ、カマス、カサゴ、ムラソイ、メッキ、セイゴ、サバ、、、ここは本当になんでも釣れる。三浦半島でなにか釣ってみたいのなら三崎港+城ヶ島をおすすめする。何かしら釣れるので、おそらくボウスはないハズだ。岸壁はサビキ釣りのファミリーが昼夜問わず多くフライを振る場所があまりなかったりするが、釣り場が大変広いので空いているところを探してほしい。三崎港あるいは地元の人は釣り人に比較的寛容なため、立入禁止区域はそれほど多くない。この場所の最大のメリットはどんな風向きでも対応できるということ。北風が強いときは三崎港、南風が強いときは城ヶ島に渡って北向きの岸壁から釣りをすればよい。なお、外向きの場所は比較的潮が速いので、潮が動いているときに沈める場合は普段よりシンクレート高めを意識するとよいだろう。

さて、東京湾側に進もう。

三崎港から剱崎周辺の漁港は静かで趣がある。いかにも釣れそうな漁港が多く、私も大好きなエリアだ。冬場は風裏になるので、北風が強いときのメバル釣りにはもってこいの場所。アジやカマスも比較的狙いやすい。クロダイも多いので、もしかすると、ドシャローでのサイトフィッシングが成り立つかもしれない(2024年夏、成り立つことを確認)。なお、漁港までの道が狭いところがあるので、運転には注意してほしい。

ここからは北上するが、東京湾側南部、つまり三浦海岸あたりは全域サーフで漁港が少なく釣り禁止なのでスルー。

そして発電所辺りまで来るとエリア中程になり、釣り禁止エリアはあるにせよ、釣りが可能な場所が出てくる。ただし、市街地感が出はじめ、南端エリアと比較すると魚種も減ってくる。メインはメバルかセイゴ、アジ程度だろうか。さらにこのあたりから猿島あたりまでも立入禁止の場所が多く、かろうじて護岸沿いが釣りになるくらいだ。ターゲットはメバルがメインになるが、意外と潮通しが良いのでアジや青物も多い。

東京湾側は比較的よいサイズのメバルが揃うが釣り場が少ない

さらに北上して、エリア北部。まずはじめは漁港というより軍事施設の港湾部になる。釣り禁止以前に立ち入り禁止区域が多くなるが、一部開放されている場所がある。ロコアングラー以外の人はアプローチしにくいが、人が少なめで穴場だ。メバルやアジがメインだろう。港湾部をさらに北上して八景島あたりになると趣が変わる。ドシャローのポイントが多くなるが、アマモが群生しているのでメバルの魚影は大変濃い(コロナ禍直前〜コロナ禍の時期にアマモがだいぶ減ってしまったが、2024年冬の時点でまた増えはじめている)。手前は浅すぎるので、ここでは9フィート#5クラスの遠投できるタックルがおすすめ(護岸際にもたくさんいるので、潮位が高いときのヘチ狙いなら短くてもよい)。あまり沈めすぎるとアマモに引っかかるので、フローティングもしくはインタミで十分だ。潮位が高くなる潮回りかつ満潮前後が狙い目で、それ以外は釣りにならない。干潟付近はクロダイやキビレのサイトフィッシングもよいだろう。

三浦半島の付け根は磯子付近と言われるが、当ブログにおける三浦半島東京湾側はこのあたりで終了とする。

なお、東京湾側のよいところは、サイズの良いメバルがあがるということだ。これは磯子や横浜、川崎あたりにもいえるが、下手に房総半島や三浦半島のいかにも釣れそうな漁港へ行くより良いサイズのメバルが上がる。おそらく、ショアから狙えるポイントが少なく魚が抜かれにくいこと、港湾部の護岸やテトラなど大きめのストラクチャーが多く魚がストックされやすいためだと思われる。漁港ではなく磯場でやれば大きいメバルは出るが、それなりに危険で難易度が高いので万人におすすめはしない。漁港ではなく工業地帯ではあるが、横浜〜川崎あたりは近年アジが増えているので、群れが入っているときはアジ狙いもよい。

話がいろいろとそれてしまったが、一口に三浦半島といっても、人口が多い横須賀を抱えていたり、のどかな畑が広がる三浦であったり、観光地化されている逗子や葉山であったり、海の前まで住宅地が迫っていたり、狭いエリアの割に多種多様なロケーションが多い。東京から近く、ランガンでも、観光ついででも、よい時間帯だけでも、各々のスタイルに合わせて使いやすいのが三浦半島だ。私自身、三浦半島で朝から晩まで丸一日釣りをすることはあまりない。

房総半島ほど気合?を入れなくてもよい釣り場なので、ぜひとも足を運んでほしい。勝手がわからない方へのガイドも行っているのでぜひどうぞ!

 

2020/12/15

房総半島の漁港でフライをやる場合の参考情報

<注意> コロナ禍で釣りをする人が増えたことにより、トラブルが多く発生しているようです。その結果、立入禁止・釣り禁止・駐車禁止の漁港が増えています。くれぐれもマナー遵守でお願いします!釣行の際は最新情報をご確認ください!

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

ここでは房総半島の漁港でフライフィッシングをしてみようと思っている人向けに参考になる(かどうかはわからない...)情報をお伝えしよう。

漁港でのフライフィッシングそのものについてはこちらのエントリを!

一言で半島といっても房総半島は日本で3番目に大きい半島ゆえ、エリアを絞って釣行しないと移動だけで朝から晩まで丸一日潰れてしまう。もっとも、エリアといっても外房、南房、内房とそれぞれがまた広い。餌釣りと違ってランガンが多いとはいえ、単一エリアをじっくり回ることでさえ一日では難しい。

まずは一つのエリア内で隣接する2-3つの漁港をピックアップし、現地にて、釣り人の数、潮の状況、風向き、魚の群れなどで判断して1つの漁港に絞り込むことをおすすめしたい。

それではエリアごとにそれぞれの特徴を述べる。なお、ここでは漁港名を出して釣り場の解説はしないので、他のサイトや釣り場情報関連の書籍からめぼしい場所をピックアップしてほしい。

外房、南房、内房といったエリア分け、境界線に関しては様々な解釈があるが、一般的には館山の洲崎より内側(東京湾側)を内房、外側(太平洋側)を外房と呼ぶ。そうなると南房が出てこないので、当ブログにおけるエリア分けとしては、富浦湾と館山湾を隔てる南房総市の大房岬を境として、それより北を内房、南を南房とする。また、南房と外房の境界は鴨川の南にある仁右衛門島として、それより南を南房、北を外房とする。

最初は外房。

外房の漁港でフライフィッシングをやるなら銚子は外し、エリア南側でアジ狙い

外房は北は銚子、南は鴨川までありエリアは相当広い。ただし、エリア中程の九十九里浜において私の知る限り漁港と呼べる規模のものは一つしかなく(間違っていたら申し訳ない)、他の漁港との距離も相当あるので対象外としてよいだろう。なので、銚子周辺とエリア南側(いすみ〜勝浦〜鴨川)のみを考慮すればよい。

銚子周辺はアジやショゴといった青物系とヒラメやイシモチといった砂物系、そしてセイゴが多い印象だ。ボトムは砂地が多く、他の場所と比較すると根魚系はあまり釣れない。

この付近で釣果が思わしくないときのエリア変更は容易ではなく、近くても鹿島あたりしかない(鹿島はアジ狙いではおすすめできる)。東京からのアクセスもあまり良いとはいえないため、個人的には特別な理由のない限り足を向けることはない。なお、銚子周辺だけでなく九十九里浜南端の付近の漁港にもいえるが、海が荒れ気味のときは港内が砂で濁り気味になることが多い。そんなときはアジやセイゴが爆釣するのでおすすめ。

一方、勝浦より南は漁港が多くランガンには適しているので、外房の漁港でフライフィッシングをやるならエリア南側をおすすめする。魚種は豊富でメバルからアジ、カマスやショゴ、なんでもありだが、アジ狙いでは特におすすめしたい。南房と同じく北風に強いので、冬場のアジ狙いでは重宝する。なお、南房や内房と比較して漁港への道が狭いところが多いので、運転には十分注意したい。

次に南房。

漁港のフライフィッシングで何か一匹釣りたいのなら南房一択

個人的に一番魚影が濃いと感じるのが南房だ。アクアラインが開通するまでは陸の孤島で、出かけるには気合が必要なエリアだった。温暖な気候を考えれば想像に難くないが、魚種はとても豊富だ。伊豆半島で釣れるような魚種が揃う。

とにかく漁港のフライフィッシングで何か一匹釣りたいのなら南房をおすすめしたい。アジ、カマスはもちろん、ヒラセイゴやメッキ、ショゴも狙いやすい。逆にメバル狙いにあまり向いていないのが南房。もちろん、生息域であり普通に釣れるが、外房や内房と比較すると明らかに数は少ない。メバラーもあまりいないのが事実。反面、南房は大きいサイズのアジが釣れることで有名なため、尺アジ狙いのアジンガーが多い。常夜灯のポイントは争奪戦必至だ。

なお、漁港そのものではないが、漁港に隣接した小規模な磯場が多くあり、カサゴやムラソイ狙いも楽しい。外房と同様に冬場は風裏になる漁港が多いが、夏場は波が出やすいので外向きの堤防や小磯での釣りは注意してほしい。

最後に内房。

房総半島において内房はもっともメバルが濃い

内房の場合どこまでを釣り場とするか悩むが、いわゆる漁港とした場合は富津周辺までだろう。それより湾奥は漁港というより工業地帯の港湾部。東京からも近く、日帰りでも長時間楽しめるだろう。

房総半島においては内房はもっともメバルが濃い印象があり、メバリングで有名な漁港が集中している。三浦半島の東京湾側は比較的サイズが揃う印象があるが、同じ東京湾側の内房は(少なくとも富津あたりまでの漁港での釣りに関しては)それほど大きいサイズは出ない。ただし、アマモが群生あるいは隣接している漁港では小さいながらも無限メバル状態になることもあり、房総半島でメバルが釣りたいなら内房一択でよい。

アジはエリア中程からやや北、カマスはエリア中程より南までが魚影が濃い。外房や南房と比較すると魚種は少なめで、エリア中程から上になるとそれがはっきりしてくる。東京湾側であり比較的波っ気は少ないが、西風に弱いので天気予報で西寄りの風が吹くときは要注意。

と、ここまで書いたが、魚種を選ばなければどんなエリアでも何か釣れるのが漁港のよいところ。気になったエリアや漁港があれば、ここで書いた情報に惑わされずにまずは行ってみることをおすすめする。勝手がわからない方へのガイドも行っているのでぜひどうぞ!

 

2020/12/07

漁港でフライフィッシングをやる場合の注意点

<注意> コロナ禍で釣りをする人が増えたことにより、トラブルが多く発生しているようです。その結果、立入禁止・釣り禁止・駐車禁止の漁港が増えています。くれぐれもマナー遵守でお願いします!釣行の際は最新情報をご確認ください!

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言 

漁港は一般的に足場がよくファミリーフィッシングのメッカでもあることから釣り人が多く、状況によっては釣座の確保に難儀することが多い。一方で、漁港はもともと漁業関係者の仕事の場であり、釣り禁止や立入禁止のエリアが多く、釣りができる場所も限られている。

そんな制約の多い漁港でのフライフィッシングについて、これからはじめようとしている人に向けて解説したい。どのフライラインを使えばよいのかわからないなら、漁港のフライフィッシングに適したフライラインとはを参照願いたい。なお、どんなフライがよいかわからない人はUNDERWATER ONLINEをどうぞ。また、勝手がわからない方へのガイドも行っているのでぜひどうぞ!

漁港では「釣り禁止」に細心の注意を払おう

まず、漁港で釣りをする上での大前提だが、釣り禁止・立入禁止には十分注意および厳守してほしい。釣り場案内の書籍やネット上で各々の漁港について解説しているものはたくさんあるが、釣り禁止や立入禁止についてはあくまでも書かれた時点での情報。また、ブログやSNSの情報は書いた人がきちんと確認をとったものなのかどうかもわからない。つまり、信憑性の低い情報が多い。

漁港についての禁止条項は変更が多く、釣り可能だった場所が釣り禁止になってしまうことが数多ある(その逆もしかり)。そのため、常に信頼できる最新の情報を入手し、心配なら役所や漁協、漁港管理を行っている組織などに問い合わせてほしい。事前に確認できればよいが、最終的には現地で確認するしかないだろう。漁港には謎のローカルルールがあるところも多く、その場でしか得られない情報がある。ただし、現地の人(特に現場で作業中の人)に直接確認する上での注意点がある。

一部を除き、漁業関係者は漁港での釣りにあまり好意的ではない(ことが多い)。

逆の立場で考えればわかるが、漁港は自分たちの仕事の場であり、釣り人は邪魔だ。場合によっては漁船や係留ロープ、漁具などを傷つけられることもあるのだろう。そのため、全域が釣りOKの漁港は意外と少なく、一部が釣り禁止になっている事が多い。また、事故があれば仕事そっちのけでその対応に追われることが予想されるので、よそ者に立ち入ってもらいたくないという気持ちもあるに違いない。

お行儀の悪い釣り人が多い場所は、敵対的対応を取られることもある。そのため、釣り禁止でない場所でも、釣りに好意的ではない漁業関係者から口頭で「釣り禁止」と言われることがある。この場合は公式に釣りがOKなのだから釣りはしてもよいのだが、気分はあまりよくないし、もしなにかトラブった場合(漁具を傷つけた、事故がおきた、など)が面倒なので、個人的にはそうした場所は避けるようにしている。

コロナの感染を防ぐ意味で閉鎖される漁港が増えたが、コロナ禍を口実として釣り禁止にしてしまう漁港もあると聞く。真偽の程はわからないが、ただでさえ少ない釣りOK漁港が減っていくことは危惧したい。

釣りOKの場所であっても、現場作業者の邪魔になるような場所での釣りは避けてほしい。漁師さんの大切な道具である網やブイなどを踏んづけたり、釣りに邪魔だからといって港の備品を勝手に動かしたりするのはNG。車の駐車場所にも十分注意してほしい。いうまでもなく駐車禁止場所はもちろん、作業車両の出入りや水揚げの邪魔になるような場所へ駐車しないよう配慮が必要だ。フライフィッシングの場合はランガンが多いので長時間駐車はほとんどないと思うが、あまり車から離れず、駐車によって他者に迷惑がかかりそうな場合はすぐ移動できるようにしたい。夜間は問題なくても、早朝から人の動きが激しくなることが多いので、その時間帯は特に要注意。

実釣に関してだが、フライフィッシングはその釣り方ゆえ、少なくとも背後に人がいてはダメ。できれば左右にも人がいないことが理想だが、サビキ釣りで混雑しているような堤防だとそれは難しいだろう。キャスティングに慣れている人であれば左右に人が詰まっていても人に当てずに釣りをすることは可能だと思うが、急な風向きの変化や横から飛んでくるルアー、釣りに慣れていない人のサビキ仕掛けが絡んでしまうことが想定される。そうしたアクシデントを避ける意味で、混雑している場合はなるべく端っこで釣るようにしたい。 

それと、人だけでなく係留ロープや漁船にも注意したい。係留ロープにフライが突き刺さるとまず外れない。ロープにティペットが絡んでロープ軸を中心にフライが回ってしまうことも多い。どうしても取れない場合だが、ロープを手前に寄せることができるのであれば可能な限り回収してほしい(ただし、ロープワークに長けていたとしても、他人の漁船の装備である係留ロープを解らんしてまで外すのはおすすめしない)。ナイトフィッシングで係留ロープ付近へキャストするのは難易度が高いので、キャスティングスキルに懸念があるのなら無理に狙わないほうが良いだろう。係留ロープに絡まった釣り針でケガをする漁師さんの話はよく聞くので、釣り禁にならないよう最大限の注意をお願いしたい。

多くの人はフライラインが後ろに飛んでくることを知らない

フライフィッシングは漁港ではとても珍しい釣り方だ。気がつくと後ろに人が立っていてこちらを見ていたりする。フライフィッシングという釣法を知らない人は後ろにラインが飛ぶとは思わないので、普段以上に後ろに気を配り、誰かが背後に立ってるようならひと声かけて注意を促したい。

昨今はコロナ禍で釣り人が増えており、堤防はサビキ釣りの人たちで連日大賑わいを呈している。感染対策はもちろんのこと、フライラインやフックなどが人に当たらないよう安全に十分配慮して楽しんでほしい。キャスティングに自信がある場合でも、可能であればバーブレスフックをおすすめする(このあたりは各々の考え方の違いなので強要はしない)。それから、言うまでもないことだし、ここで書くことも大変馬鹿らしいが、ゴミは絶対に捨てないでほしい。こうした悪質な行為が釣り禁止や立入禁止につながっていることを忘れてはならない。

そして最後に、自身の安全を。

場所にもよるが、足元はスニーカーやトレッキングシューズなどで構わないだろう。ただし、濡れている護岸やスロープ、ゴロタやテトラ(に乗ることは推奨しない)では、スパイクないしフェルトスパイクシューズを履くことをおすすめする。また、渓流以上にラインを引き出す上、障害物だらけの漁港では足元にラインは落とせないため、必然的にラインバスケットの携行が求められる。おすすめのラインバスケットはこちら

ライフジャケットは必携

それから、ライフジャケットは絶対。たとえロッドやリールを忘れても、これだけは忘れてはならない。 ライフジャケットを身に着けていれば絶対に安心安全だとは言わないが、落ちた場合の生存率は確実に高くなるはず。運悪く助からなかった場合、カラダが揚がらないと保険の申請が厄介という。待っている誰かのためにも絶対。安全装備に関してはここで詳しく紹介しているので参考にしてほしい。

2020/11/26

シンクレートの高いフルシンキングのラインがナイトゲームに向かない理由

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

フルフローティングにしろフルシンキングにしろWF構造の場合、一般的には前半9m前後のヘッドがあり、後半は一段細くなったランニングラインがつながっている。

ご存知の通り、ヘッドの重さは規格(AFFTA)で定められており、テーパーのないティップを除外した先端30ft(9m)の重さでランク付けされている。たとえば#4ラインなら許容範囲はあるが7.8g/120gr。

水に浮くフローティングラインと水に沈むシンキングラインの重さ(質量)は同じ

誤解する人は多いが、同じ番手なら、水に浮くフローティングラインと水に沈むシンキングラインの重さ(質量)は同じ。変わるのは体積や密度であって、質量が変わることはない。つまり、

質量 = 体積 x 密度

シンクレートが高いからといって重くなるわけでもない。同じ番手ならタイプ1とタイプ6のヘッド重量が変わることはない。もちろん、同じ番手でもラインメーカーやシリーズごとに微妙に重さが異なるので、違う銘柄だとまったく同じということにはならないが、それでも番手ごとの許容範囲であれば誤差の範囲内なのでその差は考慮しなくてよい(ただし、近年多い、意図的に規格を逸脱させたラインを除く)。

同一番手なら重さ(質量)は変わらないということを前提とし、

「物体は水に沈んでいる部分の体積が大きいほど浮力は大きい」

というアルキメデスの原理で考えた場合、浮力を得たいフローティングラインは体積を大きくし(密度が小さくなる)、沈ませなければならないシンキングラインはシンクレートが高くなるにつれて体積を小さくする(密度が大きくなる)のがライン設計の原則となる。

質量 = 体積 x 比重

でもある(標準物質を4℃の水とした場合)。ラインメーカーやシリーズごとに使用するコアやコンパウンドも様々で、各々比重も異なる。フローティングラインには浮力材を混入したり気泡を設けたり、シンキングラインには鉛やタングステンの粉末を混入したりして比重を調整している。ちなみに、フローティングラインの比重は一般的には0.9程度といわれている。

これらの考え方に基づいてフルシンキングのフライラインを作ると、通常はシンクレートが高ければ高いほどヘッドが細くなり、ヘッドとランニングラインの段差が少なくなる。

前置きが長くなったが、本題に入ろう。

フローティングあるいはシンクレートの低いインタミのようなラインならヘッドとランニングラインの段差は目視でも指の感覚でも容易に判断できるだろうが、シンクレートが高いと段差が少なくなるので、目視や指の感覚で境目を判断するのが難しくなる。シンクレートが高いほどダークカラーに塗られているものが多いため、暗闇だと余計にわかりにくい。タイプ6くらいになるとそれが顕著だ。漁港のライトゲームで使うような低番手のラインはもともと細いので、より困難になるだろう。

シンクレートの高いフルシンキングのフライラインは暗闇だとヘッドとランニングラインの境目がわかりにくい

昼間ならロッドティップから出ているヘッドの長さが目視できるので、ヘッドとランニングラインの境目がわからなくてもリリースポイントは容易に判断できる。問題は夜間だ。シンクレートの高いフルシンキングに慣れていれば暗闇でリリースポイントを目視できなくても、あるいは、境目が指の感覚でわからなくてもロッドにかかる負荷で判断できるが、慣れていない人にとってはそれは難しいだろう。ラインを出しすぎてしまい、フォルスキャストでラインを保持できずにループがグダグダになってしまうケースが多い。

それが、シンクレートの高いフルシンキングのラインに慣れていない人がナイトゲームで使うことをあまりおすすめしない理由。

シューティングラインなら夜間でもヘッドとランニングラインの継ぎ目がガイドに当たる感触ではっきりわかるので、慣れるまではシューティングシステムでの釣りをおすすめしたい。

もちろん、慣れたあとでも棚が頻繁にかわるカマスやアジを狙うなら、シンクレートを変えやすいシューティングシステムはおすすめ。ただし、例外はある。

堤防に腰を下ろして粘る場合など移動しないときは、シューティングシステムではなくフルシンキングのタックルをシンクレートごとに用意して使い分けたほうが手返しがよい。過去、ボートでブラックバスをルアーでやっていた人なら共感していただけるだろう。

とはいえ、ランガンのようにロッドを複数持ち歩くのが難しい場合がほとんどだと思うので、そうした場合はシューティングヘッドやフルライン問わずシンクレートごとにリールを準備して持ち歩き、ラインを変えたいときにリール(またはスプール)ごと替えるのが一番早い(ヘッドの交換は意外と時間がかかる)。ただし、荷物がかさばってしまうのがデメリット。

2020/11/20

アジをフライで釣るコツ

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

アジもカマスやメバルと同じ漁港の人気のターゲットだ。食卓に並ぶ魚の筆頭でもあり、サビキ釣りでの人気も高い。

アジのフライフィッシングではカマスで使うロッドよりより短く軽い番手がおすすめ

アジをフライで釣るためのタックルシステムはここで紹介したもので構わないが、カマスと同じである程度重いラインを投げることが多いため、専門に狙うなら9フィート#5あたりが妥当。ただし、どちらかというとカマスより小規模ポイントを攻めることが数多あるため、メバルと同じく7フィート半〜8フィート程度の#4ロッドが万能かもしれない。カマスと違って小さい当たりも多く、あまりヘビーなタックルだと掛けづらいという理由もある。

サーフェスでベイトやプランクトンを捕食しているときはフローティングもしくはインタミでよいが、カマスと同じくレンジが低いことが多いので、タイプ4かタイプ6を常用することが多い。昼間は特にレンジが低いので、浅いポイントでない限りタイプ6一択になるだろう。潮が速い場合もタイプ6がよい。シューティングヘッドでもフルシンキングでも構わないが、頻繁に変わる棚に合わせるため、シューティングシステムにしたほうが手返しよく釣ることができる。

キャストはカマスと同じく、沖に投げてカウントダウン。潮通しの良い場所にしかいないイメージがあるが、港内に群れが入っていれば係留してある船の間や奥まったスロープでも釣りになる。堤防でアジが入れ食っているときはサビキの人も多いハズで、まっすぐにしか投げられないことが多い。彼らの間に割って入って投げることはなるべく避け、少し離れたところで釣りたい。それは単に危険というだけではなく、コマセに狂ったアジはピンポイントにかたまってしまうことが多く、そうなってしまうと思うほどフライに反応しないからだ。もちろん、コマセが漂う場所に直接フライを投げるわけにもいかない。コマセに執着していないアジは周辺にいるので、それを狙ったほうが確実だろう。

リトリーブを止めたときにフォールするフライがよく効く

リトリーブはショートストローク、ロングストロークを組み合わせて、反応するアクションを探してほしい。高活性のときはリトリーブ中にひったくるように当たるが、多くはリトリーブを止めてフライがフォールしたときに当たる。そのため、フライにはウェイトを入れて、止めたときに沈むようにしたほうが好反応を得られる。ただし、見切られ防止のため、間(フォールの時間)はあまり取らないほうがよい。また、ソフトルアーと異なり咥えたとしてもすぐに吐き出すことが多く、たるみができやすいフライフィッシングだと手元に当たりが来ないこともしばしば。バイトを感じたら向こう合わせを期待せず、積極的にハリに掛けにいったほうが数が出る。

ちなみに本気でフォールの釣りをしようとするとアジングで使うような1g前後以上の重さのフライが必要になり、ライン番手を重くせざるを得なく、使うロッドが硬くなる。そうなると繊細なリトリーブ&フォールもできないし、あたりも取りづらくなり、魚がかかっても面白くない。硬いロッドは口切れも多発する。こうした理由からヘビータックルでの釣りはおすすめできない(尺アジが連発するようなシチュエーションなら楽しいかもしれないが)。

フライフィッシングは同じレンジを長く引けるのがメリットであるため、重いフライで無理に上下動の大きいフォールを演出するより、軽いラインで一定層を泳がせながら細かい上下の動きを演出したほうがよいだろう。

フライを丸呑みすることが多いが、ツンツンとジャレつくように当たることも多い。このようなあたりが多い場合は向こう合わせでのハリ掛かりも期待して、ファインワイヤでショートシャンクワイドゲイプのフックに巻いたやや小さめのフライがオススメ。ロッドをあおらずリトリーブは止めずにやや速く引いて誘おう。なお、速く引くと丸呑みされ、遅く引くと口先にかかることが多い。カマスも同じ傾向がある。

フライに関しては透過性のない白っぽいものとクリアそしてキラキラ(ギラギラはあまりよくない)しているものを使い分けたい。つまり、シルエットがはっきり出るものと曖昧なもの、時折キラッと光るものだ。高活性のときは差をあまり感じないが、状況がよくないときにはバイトの数に明らかに変化が出る。シラスやプランクトン、アミを捕食している場合は透過性のあるクリア系マテリアルで巻いたフライがよく効く。いずれも、フロントヘビーになるようにウェイトを入れた、細長いシルエットのものが使いやすい。シラスパターン蓄光パターンサスペンドパターンなど、アジ用のフライはUNDERWATER ONLINEで!

豆アジサイズになると大きいフライだとじゃれつくだけでなかなかフッキングしないので、#14フック以下で全長1インチ以下の細くて小さいフライが有効。それと、常夜灯下でプランクトンやアミを捕食しているアジに対しては#16-#20程度のスカッドが抜群に効くので、ぜひとも巻いておきたい。この場合、ティペットは7Xフロロ。このスカッドパターンは、同じような条件下のメバルにも効果絶大。

なお、常夜灯下でライズしているアジに関しては、特筆すべき注意点がある。

アジはフライラインの影を極端に嫌う

アジは想像以上にフライラインの影を警戒するので、見えているアジの群れあるいはライズしている場所ど真ん中になるべくフライラインが通らないように、一投一投慎重に投げてほしい。だが、それでも影響は避けられず、次第に群れのレンジが下がっていき、やがてライズは終わるだろう。他の魚種にはあまり感じないが、アジに関してはプレッシャーですぐにレンジが下がってしまうことが多い(余談だが、メバルの場合は活性が上がってアジとは逆に浮いてくることもある)。群れが去らない&捕食物がある限り、時間が経てばまたライズしはじめるので諦めないでほしい。そこは渓流のライズフィッシングと同じ。

水面付近での釣りでラインによる影響をできるだけ避けるためには、フローティングラインではなくインタミをおすすめする。フローティングラインは目立つカラーが多く、また、浮いている分どうしても水面に曳き波が出やすい。インタミならダークカラーが多く曳き波も立たないので、多少は影響を減らせるだろう。より慎重になるのであれば、外気温とラインの設定メモリ温度(ウォーム/コールド)のバランスに注意しつつ、フラットや湖で使うようなクリアなラインが有効。

アジの口は弱く、上顎にかかっていない限り強引にやり取りすると口切れを起こすので注意。20cmを超えてくるとかなり引くので、慎重にやり取りしたい。

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