2020/12/24

ランニングラインのループにおけるガイドに引っかからない末端処理

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

ヘッドとランニングライン、フライラインとバッキングライン、リーダーとフライラインなどラインを結ぶ機会は多いだろう。周知の通り接続方法はいくつかあり、なるべくガイドに引っかからないように、あるいは、ヘッドの交換がしやすいような方法をいくつか使い分けている人は多い。接続方法に関してはググればすぐにたくさん出てくるので詳細はそちらに譲るとして、あまり書かれていないちょっとしたTipsを紹介しよう。

接続方法のひとつにループトゥループがあり、そのループはフライラインに溶接されたループであったり、ランニングラインの先端に自ら作ったループかもしれない。後者の場合、なるべく結び目を小さくしたいのでパーフェクションループでループを作っている人が多いと思う。

モノフィラの場合はパーフェクションループ(ノット)が多いと思うがそこに一工夫

私もそんな一人だが、リーダーやランニングラインなどループ本体がナイロンやフロロの場合にある工夫を加えている。

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皆さん、末端つまり余りをこんな感じでカットしていないだろうか。

写真では説明のためループを大きくし余りをやや長めに残しているが、通常はこれより小さく少し短いだろうか(人によっては余りをなくして瞬間接着剤で固定するだろう)。

余りが多少あっても細いラインで結び目が小さい場合は結びコブも小さいので、この状態でもガイドへの引っ掛かりは少なくストレスもあまりない。だが、パーフェクションループであっても、少し太いラインだとコブが大きくなり、精神衛生上問題になるレベルになる。

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そんなときはこのように余りを大きく残してみてほしい。

なぜなのか。

説明しやすいように便宜上以下「余り」を「ヒゲ」と表現する。

ヒゲが短いとコブとヒゲのL字(結び方によってはV字)の部分がガイドワイヤーに挟まるように引っかかる

ガイドにコブが引っかかる場合の多くは、コブに近い部分のヒゲがガイドに当たるケースが多い。ギリギリでカットしたヒゲは当然ながら短いため、しなやかさは皆無で張りがとても強くなる。フロロだとなおさら。

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その結果、コブとヒゲのL字(結び方によってはV字)の部分が丁度ガイドワイヤーに挟まるように引っかかることが多い。これがガイドに引っかかる不快の一因。

ヒゲが長いとコブとヒゲの間の部分がガイドワイヤーに挟まらずにスムーズに通過する

ヒゲを長めにするとどうか。コブがガイドを通過する際、適度なしなやかさと張りのあるヒゲの部分がガイドワイヤーに当たってコブが反対側に押し付けられる。

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その結果、ヒゲは反対側(つまりロッド先端側)に開いた角度で倒れるため、コブとヒゲの付け根の部分が挟まることが少なくなる。

このようにほんのチョットの差で快適さに差が出る。

もちろん、このような工夫を施しても毎回まったく引っかからないかといえば決してそんなことはないが、引っかかる回数は減るし、引っかかったとしてもすり抜けやすい。そもそも、ループのノット部分(コブ)ではなく、ループ同士の接続部分が段差になって不快になっているケースもあるだろう。

なお、結びコブが大きくなるノットや市販リーダーのバット部では結びコブ自体がガイドに引っかかりやすいので、この方法もあまり意味がない。また、トップガイドの角度やスネークガイドの形状によっても合う合わないがあり、ラインの太さや素材、リトリーブ方法やスピード、外気温や水温によっても微妙に感触が変わるので必ずしも万能ではないが、ガイドへの引っ掛かりが気になって仕方のない方はぜひ試してほしい。ヒゲの長さは素材やガイドの形状に合わせて調整し、都度最適解を探ることをおすすめする。

2020/12/16

三浦半島の漁港でフライをやる場合の参考情報

<注意> コロナ禍で釣りをする人が増えたことにより、トラブルが多く発生しているようです。その結果、立入禁止・釣り禁止・駐車禁止の漁港が増えています。くれぐれもマナー遵守でお願いします!

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 
前回は房総半島について解説したので、今回は三浦半島の漁港でフライフィッシングをしてみようと思っている人向けに情報をお届けする(このシリーズ、需要あるのか??)。

漁港でのフライフィッシングそのものについてはこちらのエントリを!

三浦半島は房総半島よりずっと小さく、南房とほぼ同じサイズだ。海の近くまで住宅地が迫っている場所が多く、ダイナミックさも皆無で、やや趣に欠ける場所が多いのも事実。とはいえ、南側は房総半島に引けを取らないロケーションの漁港が多い。ただし、釣り禁止や立ち入り禁止の場所が目立ち、思っているより釣り場は多くない。そのため、(南端を除いて、)ランガンする場合は飛び飛びでの移動を強いられる。三浦半島自体が小さいので長距離移動にはならないが、意外と時間をロスする。それが三浦半島の難点かもしれない。

三浦半島を大きくエリア分けする場合は相模湾側と東京湾側への二分だろうが、その正確な分岐点を定義するのは難しい。南端の三崎港より西側は相模湾側と定義しても問題ないと思うが、東京湾側の判断が少々難しい。地理的な判断で行えば剱崎より東側が東京湾側と言えるだろうが、当ブログでは三崎港から東側を東京湾側と呼ぶことにする。

理由は後ほど説明するが、観光や他の用事に絡ませる、あるいはピンポイントで行きたい場所があるなど、特別な理由のない限りは南端直行でよいと思う。そこで釣果が出ない場合は相模湾側を北上あるいは東京湾側を北上しながらめぼしい場所を渡り歩き、帰路につくというパターンをおすすめする。

以下、相模湾側北部から南下し、先端から東京湾側へ入って北上するように解説する。

まずは相模湾側。

三浦半島の相模湾側中程より北はロコアングラー以外は無視してOK

エリア北部の逗子や葉山は観光地化されていることもあり、海沿いを行き交う車や人がとても多い。立入禁止場所が多く、昼間は観光客も多いため、落ち着いて釣りができる雰囲気ではない。場合によってはフライラインを振り回すのも気が引ける。釣り場としての魅力がないわけではないが、ロコアングラーでもない限り、わざわざ狙って出かけるほどの場所ではないと思う。私も他の場所で釣果が思わしくなかった場合の帰りがけにチョイ釣りするくらいだ。ターゲットとしてはアジやメバルになるだろう。なお、漁港の話から外れるが、小河川の流れ込み付近ではキビレやクロダイの魚影が濃い。

エリア中程も北部と同じような感じで、砂地に岩場が絡む浅場が多く、漁港も数えるほどしか無い。このあたりも通過点であり、わざわざ行く場所ではないような気がする。少なくともメインの釣り場として考えるには弱すぎる。ここでもアジやメバルが主なターゲットになるだろう。

次にエリア南部、陸上自衛隊駐屯地あたりから南になると面白くなる。いや、面白かったというのが適切か。というのは、このあたりからソレイユの丘あたりの漁港は軒並み釣り禁止あるいは立入禁止になってしまい、現在ではほぼ釣りができない。かつてはメバルの名ポイントが揃う楽しい場所だったが、いまでは見る影もない。残念だが釣りは諦めよう。釣りになるのはそこからさらに南に下ったあたりから。京急の三崎口駅あたりから釣り可能な場所が増えてくる。ターゲットとしてはアジやメバルがメインで、ムラソイやカサゴといった根魚も楽しい。クロダイの魚影も大変濃いので、うまく狙えば釣りになるだろう。

三浦半島でなにか釣ってみたいのなら三崎港+城ヶ島一択

そして、東京湾側との分岐点である三崎港と城ヶ島。名前を伏せる必要のないほど有名で、釣り場も広く、潮通しも抜群で、魚種も豊富。メバルはもちろん、アジ、カマス、カサゴ、ムラソイ、メッキ、セイゴ、サバ、、、ここは本当になんでも釣れる。三浦半島でなにか釣ってみたいのなら三崎港+城ヶ島をおすすめする。何かしら釣れるので、おそらくボウスはないハズだ。岸壁はサビキ釣りのファミリーが昼夜問わず多くフライを振る場所があまりなかったりするが、釣り場が大変広いので空いているところを探してほしい。三崎港あるいは地元の人は釣り人に比較的寛容なため、立入禁止区域はそれほど多くない。この場所の最大のメリットはどんな風向きでも対応できるということ。北風が強いときは三崎港、南風が強いときは城ヶ島に渡って北向きの岸壁から釣りをすればよい。なお、外向きの場所は比較的潮が速いので、潮が動いているときに沈める場合は普段よりシンクレート高めを意識するとよいだろう。

さて、東京湾側に進もう。

三崎港から剱崎周辺の漁港は静かで趣がある。いかにも釣れそうな漁港が多く、私も大好きなエリアだ。冬場は風裏になるので、北風が強いときのメバル釣りにはもってこいの場所。アジやカマスも比較的狙いやすい。クロダイも多いので、もしかすると、ドシャローでのサイトフィッシングが成り立つかもしれない。なお、漁港までの道が狭いところがあるので、運転には注意してほしい。

ここからは北上するが、東京湾側南部、つまり三浦海岸あたりは全域サーフで漁港が少なく釣り禁止なのでスルー。

そして発電所辺りまで来るとエリア中程になり、釣り禁止エリアはあるにせよ、釣りが可能な場所が出てくる。ただし、市街地感が出はじめ、南端エリアと比較すると魚種も減ってくる。メインはメバルかセイゴ、アジ程度だろうか。さらにこのあたりから猿島あたりまでも立入禁止の場所が多く、かろうじて護岸沿いが釣りになるくらいだ。ターゲットはメバルがメインになるが、意外と潮通しが良いのでアジや青物も多い。

東京湾側は比較的よいサイズのメバルが揃うが釣り場が少ない

さらに北上して、エリア北部。まずはじめは漁港というより軍事施設の港湾部になる。釣り禁止以前に立ち入り禁止区域が多くなるが、一部開放されている場所がある。ロコアングラー以外の人はアプローチしにくいが、人が少なめで穴場だ。メバルやアジがメインだろう。港湾部をさらに北上して八景島あたりになると趣が変わる。ドシャローのポイントが多くなるが、アマモが群生しているのでメバルの魚影は大変濃い。手前は浅すぎるので、ここでは9フィート#5クラスの遠投できるタックルがおすすめ(護岸際にもたくさんいるので、潮位が高いときのヘチ狙いなら短くてもよい)。あまり沈めすぎるとアマモに引っかかるので、フローティングもしくはインタミで十分だ。潮位が高くなる潮回りかつ満潮前後が狙い目で、それ以外は釣りにならない。干潟付近はクロダイやキビレのサイトフィッシングもよいだろう。

三浦半島の付け根は磯子付近と言われるが、当ブログにおける三浦半島東京湾側はこのあたりで終了とする。

なお、東京湾側のよいところは、サイズの良いメバルがあがるということだ。これは磯子や横浜、川崎あたりにもいえるが、下手に房総半島や三浦半島のいかにも釣れそうな漁港へ行くより良いサイズのメバルが上がる。おそらく、ショアから狙えるポイントが少なく魚が抜かれにくいこと、港湾部の護岸やテトラなど大きめのストラクチャーが多く魚がストックされやすいためだと思われる。漁港ではなく磯場でやれば大きいメバルは出るが、それなりに危険で難易度が高いので万人におすすめはしない。漁港ではなく工業地帯ではあるが、横浜〜川崎あたりは近年アジが増えているので、群れが入っているときはアジ狙いもよい。

話がいろいろとそれてしまったが、一口に三浦半島といっても、人口が多い横須賀を抱えていたり、のどかな畑が広がる三浦であったり、観光地化されている逗子や葉山であったり、海の前まで住宅地が迫っていたり、狭いエリアの割に多種多様なロケーションが多い。東京から近く、ランガンでも、観光ついででも、よい時間帯だけでも、各々のスタイルに合わせて使いやすいのが三浦半島だ。私自身、三浦半島で朝から晩まで丸一日釣りをすることはあまりない。

房総半島ほど気合?を入れなくてもよい釣り場なので、ぜひとも足を運んでほしい。勝手がわからない方へのガイドも行っているのでぜひどうぞ!

 

2020/12/15

房総半島の漁港でフライをやる場合の参考情報

<注意> コロナ禍で釣りをする人が増えたことにより、トラブルが多く発生しているようです。その結果、立入禁止・釣り禁止・駐車禁止の漁港が増えています。くれぐれもマナー遵守でお願いします!

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ここでは房総半島の漁港でフライフィッシングをしてみようと思っている人向けに参考になる(かどうかはわからない...)情報をお伝えしよう。

漁港でのフライフィッシングそのものについてはこちらのエントリを!

一言で半島といっても房総半島は日本で3番目に大きい半島ゆえ、エリアを絞って釣行しないと移動だけで朝から晩まで丸一日潰れてしまう。もっとも、エリアといっても外房、南房、内房とそれぞれがまた広い。餌釣りと違ってランガンが多いとはいえ、単一エリアをじっくり回ることでさえ一日では難しい。

まずは一つのエリア内で隣接する2-3つの漁港をピックアップし、現地にて、釣り人の数、潮の状況、風向き、魚の群れなどで判断して1つの漁港に絞り込むことをおすすめしたい。

それではエリアごとにそれぞれの特徴を述べる。なお、ここでは漁港名を出して釣り場の解説はしないので、他のサイトや釣り場情報関連の書籍からめぼしい場所をピックアップしてほしい。

外房、南房、内房といったエリア分け、境界線に関しては様々な解釈があるが、一般的には館山の洲崎より内側(東京湾側)を内房、外側(太平洋側)を外房と呼ぶ。そうなると南房が出てこないので、当ブログにおけるエリア分けとしては、富浦湾と館山湾を隔てる南房総市の大房岬を境として、それより北を内房、南を南房とする。また、南房と外房の境界は鴨川の南にある仁右衛門島として、それより南を南房、北を外房とする。

最初は外房。

外房の漁港でフライフィッシングをやるなら銚子は外し、エリア南側でアジ狙い

外房は北は銚子、南は鴨川までありエリアは相当広い。ただし、エリア中程の九十九里浜において私の知る限り漁港と呼べる規模のものは一つしかなく(間違っていたら申し訳ない)、他の漁港との距離も相当あるので対象外としてよいだろう。なので、銚子周辺とエリア南側(いすみ〜勝浦〜鴨川)のみを考慮すればよい。

銚子周辺はアジやショゴといった青物系とヒラメやイシモチといった砂物系、そしてセイゴが多い印象だ。ボトムは砂地が多く、他の場所と比較すると根魚系はあまり釣れない。

この付近で釣果が思わしくないときのエリア変更は容易ではなく、近くても鹿島あたりしかない(鹿島はアジ狙いではおすすめできる)。東京からのアクセスもあまり良いとはいえないため、個人的には特別な理由のない限り足を向けることはない。なお、銚子周辺だけでなく九十九里浜南端の付近の漁港にもいえるが、海が荒れ気味のときは港内が砂で濁り気味になることが多い。そんなときはアジやセイゴが爆釣するのでおすすめ。

一方、勝浦より南は漁港が多くランガンには適しているので、外房の漁港でフライフィッシングをやるならエリア南側をおすすめする。魚種は豊富でメバルからアジ、カマスやショゴ、なんでもありだが、アジ狙いでは特におすすめしたい。南房と同じく北風に強いので、冬場のアジ狙いでは重宝する。なお、南房や内房と比較して漁港への道が狭いところが多いので、運転には十分注意したい。

次に南房。

漁港のフライフィッシングで何か一匹釣りたいのなら南房一択

個人的に一番魚影が濃いと感じるのが南房だ。アクアラインが開通するまでは陸の孤島で、出かけるには気合が必要なエリアだった。温暖な気候を考えれば想像に難くないが、魚種はとても豊富だ。伊豆半島で釣れるような魚種が揃う。

とにかく漁港のフライフィッシングで何か一匹釣りたいのなら南房をおすすめしたい。アジ、カマスはもちろん、ヒラセイゴやメッキ、ショゴも狙いやすい。逆にメバル狙いにあまり向いていないのが南房。もちろん、生息域であり普通に釣れるが、外房や内房と比較すると明らかに数は少ない。メバラーもあまりいないのが事実。反面、南房は大きいサイズのアジが釣れることで有名なため、尺アジ狙いのアジンガーが多い。常夜灯のポイントは争奪戦必至だ。

なお、漁港そのものではないが、漁港に隣接した小規模な磯場が多くあり、カサゴやムラソイ狙いも楽しい。外房と同様に冬場は風裏になる漁港が多いが、夏場は波が出やすいので外向きの堤防や小磯での釣りは注意してほしい。

最後に内房。

房総半島において内房はもっともメバルが濃い

内房の場合どこまでを釣り場とするか悩むが、いわゆる漁港とした場合は富津周辺までだろう。それより湾奥は漁港というより工業地帯の港湾部。東京からも近く、日帰りでも長時間楽しめるだろう。

房総半島においては内房はもっともメバルが濃い印象があり、メバリングで有名な漁港が集中している。三浦半島の東京湾側は比較的サイズが揃う印象があるが、同じ東京湾側の内房は(少なくとも富津あたりまでの漁港での釣りに関しては)それほど大きいサイズは出ない。ただし、アマモが群生あるいは隣接している漁港では小さいながらも無限メバル状態になることもあり、房総半島でメバルが釣りたいなら内房一択でよい。

アジはエリア中程からやや北、カマスはエリア中程より南までが魚影が濃い。外房や南房と比較すると魚種は少なめで、エリア中程から上になるとそれがはっきりしてくる。東京湾側であり比較的波っ気は少ないが、西風に弱いので天気予報で西寄りの風が吹くときは要注意。

と、ここまで書いたが、魚種を選ばなければどんなエリアでも何か釣れるのが漁港のよいところ。気になったエリアや漁港があれば、ここで書いた情報に惑わされずにまずは行ってみることをおすすめする。勝手がわからない方へのガイドも行っているのでぜひどうぞ!

 

2020/12/07

漁港でフライフィッシングをやる場合の注意点

<注意> コロナ禍で釣りをする人が増えたことにより、トラブルが多く発生しているようです。その結果、立入禁止・釣り禁止・駐車禁止の漁港が増えています。くれぐれもマナー遵守でお願いします!

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漁港は一般的に足場がよくファミリーフィッシングのメッカでもあることから釣り人が多く、状況によっては釣座の確保に難儀することが多い。一方で、漁港はもともと漁業関係者の仕事の場であり、釣り禁止や立入禁止のエリアが多く、釣りができる場所も限られている。

そんな制約の多い漁港でのフライフィッシングについて、これからはじめようとしている人に向けて解説したい。なお、どんなフライがよいかわからない人はUNDERWATER ONLINEをどうぞ。また、勝手がわからない方へのガイドも行っているのでぜひどうぞ!

漁港では「釣り禁止」に細心の注意を払おう

まず、漁港で釣りをする上での大前提だが、釣り禁止・立入禁止には十分注意および厳守してほしい。釣り場案内の書籍やネット上で各々の漁港について解説しているものはたくさんあるが、釣り禁止や立入禁止についてはあくまでも書かれた時点での情報。また、ブログやSNSの情報は書いた人がきちんと確認をとったものなのかどうかもわからない。つまり、信憑性の低い情報が多い。

漁港についての禁止条項は変更が多く、釣り可能だった場所が釣り禁止になってしまうことが数多ある(その逆もしかり)。そのため、常に信頼できる最新の情報を入手し、心配なら役所や漁協、漁港管理を行っている組織などに問い合わせてほしい。事前に確認できればよいが、最終的には現地で確認するしかないだろう。漁港には謎のローカルルールがあるところも多く、その場でしか得られない情報がある。ただし、現地の人(特に現場で作業中の人)に直接確認する上での注意点がある。

一部を除き、漁業関係者は漁港での釣りにあまり好意的ではない(ことが多い)。

逆の立場で考えればわかるが、漁港は自分たちの仕事の場であり、釣り人は邪魔だ。場合によっては漁船や係留ロープ、漁具などを傷つけられることもあるのだろう。そのため、全域が釣りOKの漁港は意外と少なく、一部が釣り禁止になっている事が多い。また、事故があれば仕事そっちのけでその対応に追われることが予想されるので、よそ者に立ち入ってもらいたくないという気持ちもあるに違いない。

お行儀の悪い釣り人が多い場所は、敵対的対応を取られることもある。そのため、釣り禁止でない場所でも、釣りに好意的ではない漁業関係者から口頭で「釣り禁止」と言われることがある。この場合は公式に釣りがOKなのだから釣りはしてもよいのだが、気分はあまりよくないし、もしなにかトラブった場合(漁具を傷つけた、事故がおきた、など)が面倒なので、個人的にはそうした場所は避けるようにしている。

コロナの感染を防ぐ意味で閉鎖される漁港が増えたが、コロナ禍を口実として釣り禁止にしてしまう漁港もあると聞く。真偽の程はわからないが、ただでさえ少ない釣りOK漁港が減っていくことは危惧したい。

釣りOKの場所であっても、現場作業者の邪魔になるような場所での釣りは避けてほしい。漁師さんの大切な道具である網やブイなどを踏んづけたり、釣りに邪魔だからといって港の備品を勝手に動かしたりするのはNG。車の駐車場所にも十分注意してほしい。いうまでもなく駐車禁止場所はもちろん、作業車両の出入りや水揚げの邪魔になるような場所へ駐車しないよう配慮が必要だ。フライフィッシングの場合はランガンが多いので長時間駐車はほとんどないと思うが、あまり車から離れず、駐車によって他者に迷惑がかかりそうな場合はすぐ移動できるようにしたい。夜間は問題なくても、早朝から人の動きが激しくなることが多いので、その時間帯は特に要注意。

実釣に関してだが、フライフィッシングはその釣り方ゆえ、少なくとも背後に人がいてはダメ。できれば左右にも人がいないことが理想だが、サビキ釣りで混雑しているような堤防だとそれは難しいだろう。キャスティングに慣れている人であれば左右に人が詰まっていても人に当てずに釣りをすることは可能だと思うが、急な風向きの変化や横から飛んでくるルアー、釣りに慣れていない人のサビキ仕掛けが絡んでしまうことが想定される。そうしたアクシデントを避ける意味で、混雑している場合はなるべく端っこで釣るようにしたい。 

それと、人だけでなく係留ロープや漁船にも注意したい。係留ロープにフライが突き刺さるとまず外れない。ロープにティペットが絡んでロープ軸を中心にフライが回ってしまうことも多い。どうしても取れない場合だが、ロープを手前に寄せることができるのであれば可能な限り回収してほしい(ただし、ロープワークに長けていたとしても、他人の漁船の装備である係留ロープを解らんしてまで外すのはおすすめしない)。ナイトフィッシングで係留ロープ付近へキャストするのは難易度が高いので、キャスティングスキルに懸念があるのなら無理に狙わないほうが良いだろう。係留ロープに絡まった釣り針でケガをする漁師さんの話はよく聞くので、釣り禁にならないよう最大限の注意をお願いしたい。

多くの人はフライラインが後ろに飛んでくることを知らない

フライフィッシングは漁港ではとても珍しい釣り方だ。気がつくと後ろに人が立っていてこちらを見ていたりする。フライフィッシングという釣法を知らない人は後ろにラインが飛ぶとは思わないので、普段以上に後ろに気を配り、誰かが背後に立ってるようならひと声かけて注意を促したい。

昨今はコロナ禍で釣り人が増えており、堤防はサビキ釣りの人たちで連日大賑わいを呈している。感染対策はもちろんのこと、フライラインやフックなどが人に当たらないよう安全に十分配慮して楽しんでほしい。キャスティングに自信がある場合でも、可能であればバーブレスフックをおすすめする(このあたりは各々の考え方の違いなので強要はしない)。それから、言うまでもないことだし、ここで書くことも大変馬鹿らしいが、ゴミは絶対に捨てないでほしい。こうした悪質な行為が釣り禁止や立入禁止につながっていることを忘れてはならない。

そして最後に、自身の安全を。

場所にもよるが、足元はスニーカーやトレッキングシューズなどで構わないだろう。ただし、濡れている護岸やスロープ、ゴロタやテトラ(に乗ることは推奨しない)では、スパイクないしフェルトスパイクシューズを履くことをおすすめする。また、渓流以上にラインを引き出す上、障害物だらけの漁港では足元にラインは落とせないため、必然的にラインバスケットの携行が求められる。おすすめのラインバスケットはこちら

ライフジャケットは必携

それから、ライフジャケットは絶対。たとえロッドやリールを忘れても、これだけは忘れてはならない。 ライフジャケットを身に着けていれば絶対に安心安全だとは言わないが、落ちた場合の生存率は確実に高くなるはず。運悪く助からなかった場合、カラダが揚がらないと保険の申請が厄介という。待っている誰かのためにも絶対。安全装備に関してはここで詳しく紹介しているので参考にしてほしい。

2020/12/02

シンクレートの高いシンキングラインがロッドに対して高負荷になる理由

Underwater フライフィッシング

シューティングヘッドにしろフルシンキングにしろ、シンクレートの高いラインを振ったときに「重い」と感じたことはないだろうか。

もちろん、ここで解説したとおり、シンクレートが高いとラインが重くなって(=質量が増えて)自分がそう感じる、、、わけではない。

シューティングヘッドを使う場合はロッドの指定番手から1-2番手ほど重いラインを用いましょう。ただし、シンクレートがそれほど高くないものならそれでよいですが、シンクレートが高い場合はロッドの指定番手通りをおすすめします。


教科書にはこのようなニュアンスで書かれていることが多い。

理由は簡単。

まず、ヘッドの場合はフルシンキングと比較してランニングラインが細い。細いということはフルシンキングより軽くてロッドへの負荷が低くなる(ヘッドなのでそんなにオーバーハングはとらないと思うが...)。

この前提に対して、今度はシンクレートの高低が関わってくる(どちらかというとこちらの理由が大きい)。

シンクレートが高いライン

ヘッドのライン径が細くなる

キャスト時の空気抵抗が減る

ラインスピードが上がる

ロッドへの負荷が大きくなる


こうなる。

ロッドへの負荷が大きくなるということは、より曲がるということ。逆に言うと、ロッドへの負荷が少ない場合はあまり曲がらないということ。

空気抵抗が少ないからロッドに負荷がかかる

ここまでの話をまとめると、シンクレートに関わらず同じ程度のロッド負荷を得るためには、空気抵抗が大きくラインスピードが上がりにくいシンクレートの低いものは番手を上げたヘッドを用い、空気抵抗が小さくラインスピードが上がりやすいシンクレートの高いものは番手通りのヘッドを用いればよい。ちなみに、シンクレートが高いヘッドの場合に投射角度を上げるのは、空気抵抗がないぶん下に落ちやすいから。

つまり、上述した教科書的なライン選択は概ね正しい。

とはいえ、ツーハンドのロッドとラインの選択が多種多様化して、もはや標準が何なのかわからなくなっているのと同じで、シューティングヘッドおよびシンクレートに関する教科書的なライン選択は、あくまでも基準であって、絶対ではない。シューティングヘッドでの解説になったが、フルシンキングも基本的に同じと考えてかまわない。

最終的にはロッドのアクションやヘッドの長さ、規格から意図的に外して設計されているラインなのか否か、キャスターの力量あるいは好みで調整することになるだろう。

余談になるが、昨今素早くロードをかけられるようにフロントよりに重心を置くように設計されたラインがある。このようなラインはあまりラインを出さずにクイックにキャストできるようになっているため、ヘッドをすべて出してキャストしようとするとループが破綻することが多い。こうしたラインを使う場合はあまりヘッドを出さず、かつ、無駄なフォルスキャストをせずに速いテンポでキャストしたほうがよい。釣り方・使い方によってはロッドの番手を一つ上げるか、ラインの番手を一つ下げるのもあり。

昨今、特化されたラインが大変多く、特性を理解している経験者にとっては特定のシチュエーションにドンピシャなラインが容易に手に入る一方、フライフィッシングをはじめたばかりに人にとってはライン選択の難易度があがってしまっているのが気がかりだ。