2020/11/26

シンクレートの高いフルシンキングのラインがナイトゲームに向かない理由

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

フルフローティングにしろフルシンキングにしろWF構造の場合、一般的には前半9m前後のヘッドがあり、後半は一段細くなったランニングラインがつながっている。

ご存知の通り、ヘッドの重さは規格(AFFTA)で定められており、テーパーのないティップを除外した先端30ft(9m)の重さでランク付けされている。たとえば#4ラインなら許容範囲はあるが7.8g/120gr。

水に浮くフローティングラインと水に沈むシンキングラインの重さ(質量)は同じ

誤解する人は多いが、同じ番手なら、水に浮くフローティングラインと水に沈むシンキングラインの重さ(質量)は同じ。変わるのは体積や密度であって、質量が変わることはない。つまり、

質量 = 体積 x 密度

シンクレートが高いからといって重くなるわけでもない。同じ番手ならタイプ1とタイプ6のヘッド重量が変わることはない。もちろん、同じ番手でもラインメーカーやシリーズごとに微妙に重さが異なるので、違う銘柄だとまったく同じということにはならないが、それでも番手ごとの許容範囲であれば誤差の範囲内なのでその差は考慮しなくてよい(ただし、近年多い、意図的に規格を逸脱させたラインを除く)。

同一番手なら重さ(質量)は変わらないということを前提とし、

「物体は水に沈んでいる部分の体積が大きいほど浮力は大きい」

というアルキメデスの原理で考えた場合、浮力を得たいフローティングラインは体積を大きくし(密度が小さくなる)、沈ませなければならないシンキングラインはシンクレートが高くなるにつれて体積を小さくする(密度が大きくなる)のがライン設計の原則となる。

質量 = 体積 x 比重

でもある(標準物質を4℃の水とした場合)。ラインメーカーやシリーズごとに使用するコアやコンパウンドも様々で、各々比重も異なる。フローティングラインには浮力材を混入したり気泡を設けたり、シンキングラインには鉛やタングステンの粉末を混入したりして比重を調整している。ちなみに、フローティングラインの比重は一般的には0.9程度といわれている。

これらの考え方に基づいてフルシンキングのフライラインを作ると、通常はシンクレートが高ければ高いほどヘッドが細くなり、ヘッドとランニングラインの段差が少なくなる。

前置きが長くなったが、本題に入ろう。

フローティングあるいはシンクレートの低いインタミのようなラインならヘッドとランニングラインの段差は目視でも指の感覚でも容易に判断できるだろうが、シンクレートが高いと段差が少なくなるので、目視や指の感覚で境目を判断するのが難しくなる。シンクレートが高いほどダークカラーに塗られているものが多いため、暗闇だと余計にわかりにくい。タイプ6くらいになるとそれが顕著だ。漁港のライトゲームで使うような低番手のラインはもともと細いので、より困難になるだろう。

シンクレートの高いフルシンキングのフライラインは暗闇だとヘッドとランニングラインの境目がわかりにくい

昼間ならロッドティップから出ているヘッドの長さが目視できるので、ヘッドとランニングラインの境目がわからなくてもリリースポイントは容易に判断できる。問題は夜間だ。シンクレートの高いフルシンキングに慣れていれば暗闇でリリースポイントを目視できなくても、あるいは、境目が指の感覚でわからなくても、ロッドにかかる負荷で判断できるが、慣れていない人にとってはそれは難しいだろう。ラインを出しすぎてしまい、フォルスキャストでラインを保持できずにループがグダグダになってしまうケースが多い。

それが、シンクレートの高いフルシンキングのラインに慣れていない人がナイトゲームで使うことをあまりおすすめしない理由。

シューティングラインなら夜間でもヘッドとランニングラインの継ぎ目がガイドに当たる感触ではっきりわかるので、慣れるまではシューティングシステムでの釣りをおすすめしたい。

もちろん、慣れたあとでも棚が頻繁にかわるカマスやアジを狙うなら、シンクレートを変えやすいシューティングシステムはおすすめ。ただし、例外はある。堤防の足元を狙う場合はもちろん、堤防に腰を下ろして粘る場合など移動しないときは、シューティングシステムではなくフルシンキングのタックルをシンクレートごとに用意して使い分けたほうが手返しがよい(過去、ボートでブラックバスをルアーでやっていた人なら共感していただけるだろう)。ヘッドの交換は意外と時間がかかり、時合を逃すことが多い。

2020/11/20

アジをフライで釣るコツ

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アジもカマスやメバルと同じ漁港の人気のターゲットだ。食卓に並ぶ魚の筆頭でもあり、サビキ釣りでの人気も高い。

アジのフライフィッシングではカマスで使うロッドよりより短く軽い番手がおすすめ

アジをフライで釣るためのタックルシステムはここで紹介したもので構わないが、カマスと同じである程度重いラインを投げることが多いため、専門に狙うなら9フィート#5あたりが妥当。ただし、どちらかというとカマスより小規模ポイントを攻めることが数多あるため、メバルと同じく7フィート半〜8フィート程度の#4ロッドが万能かもしれない。カマスと違って小さい当たりも多く、あまりヘビーなタックルだと掛けづらいという理由もある。

サーフェスでベイトやプランクトンを捕食しているときはフローティングもしくはインタミでよいが、カマスと同じくレンジが低いことが多いので、タイプ4かタイプ6を常用することが多い。昼間は特にレンジが低いので、浅いポイントでない限りタイプ6一択になるだろう。潮が速い場合もタイプ6がよい。シューティングヘッドでもフルシンキングでも構わないが、頻繁に変わる棚に合わせるため、シューティングシステムにしたほうが手返しよく釣ることができる。

キャストはカマスと同じく、沖に投げてカウントダウン。潮通しの良い場所にしかいないイメージがあるが、港内に群れが入っていれば係留してある船の間や奥まったスロープでも釣りになる。堤防でアジが入れ食っているときはサビキの人も多いハズで、まっすぐにしか投げられないことが多い。彼らの間に割って入って投げることはなるべく避け、少し離れたところで釣りたい。それは単に危険というだけではなく、コマセに狂ったアジはピンポイントにかたまってしまうことが多く、そうなってしまうと思うほどフライに反応しないからだ。もちろん、コマセが漂う場所に直接フライを投げるわけにもいかない。コマセに執着していないアジは周辺にいるので、それを狙ったほうが確実だろう。

リトリーブを止めたときにフォールするフライがよく効く

リトリーブはショートストローク、ロングストロークを組み合わせて、反応するアクションを探してほしい。高活性のときはリトリーブ中にひったくるように当たるが、多くはリトリーブを止めてフライがフォールしたときに当たる。そのため、フライにはウェイトを入れて、止めたときに沈むようにしたほうが好反応を得られる。ただし、見切られ防止のため、間(フォールの時間)はあまり取らないほうがよい。また、ソフトルアーと異なり咥えたとしてもすぐに吐き出すことが多く、たるみができやすいフライフィッシングだと手元に当たりが来ないこともしばしば。バイトを感じたら向こう合わせを期待せず、積極的にハリに掛けにいったほうが数が出る。

ちなみに本気でフォールの釣りをしようとするとアジングで使うような1g前後以上の重さのフライが必要になり、ライン番手を重くせざるを得なく、使うロッドが硬くなる。そうなると繊細なリトリーブ&フォールもできないし、あたりも取りづらくなり、魚がかかっても面白くない。硬いロッドは口切れも多発する。こうした理由からヘビータックルでの釣りはおすすめできない(尺アジが連発するようなシチュエーションなら楽しいかもしれないが)。

フライフィッシングは同じレンジを長く引けるのがメリットであるため、重いフライで無理に上下動の大きいフォールを演出するより、軽いラインで一定層を泳がせながら細かい上下の動きを演出したほうがよいだろう。

フライを丸呑みすることが多いが、ツンツンとジャレつくように当たることも多い。このようなあたりが多い場合は向こう合わせでのハリ掛かりも期待して、ファインワイヤでショートシャンクワイドゲイプのフックに巻いたやや小さめのフライがオススメ。ロッドをあおらずリトリーブは止めずにやや速く引いて誘おう。なお、速く引くと丸呑みされ、遅く引くと口先にかかることが多い。カマスも同じ傾向がある。

フライに関しては透過性のない白っぽいものとクリアそしてキラキラ(とはいえ、あまりギラギラしているものはよくない気がする)しているものを使い分けたい。つまり、シルエットがはっきり出るものと曖昧なもの、時折キラッと光るものだ。高活性のときは差をあまり感じないが、状況がよくないときにはバイトの数に明らかに変化が出る。シラスやプランクトン、アミを捕食している場合は透過性のあるクリア系マテリアルで巻いたフライがよく効く。いずれも、フロントヘビーになるようにウェイトを入れた、細長いシルエットのものが使いやすい。シラスパターン蓄光パターンサスペンドパターンなど、アジ用のフライはUNDERWATER ONLINEで!

豆アジサイズになると大きいフライだとじゃれつくだけでなかなかフッキングしないので、#14フック以下で全長1インチ以下の細くて小さいフライが有効。それと、常夜灯下でプランクトンやアミを捕食しているアジに対しては#16-#20程度のスカッドが抜群に効くので、ぜひとも巻いておきたい。この場合、ティペットは7Xフロロ。このスカッドパターンは、同じような条件下のメバルにも効果絶大。

なお、常夜灯下でライズしているアジに関しては、特筆すべき注意点がある。

アジはフライラインの影を極端に嫌う

アジは想像以上にフライラインの影を警戒するので、見えているアジの群れあるいはライズしている場所ど真ん中になるべくフライラインが通らないように、一投一投慎重に投げてほしい。だが、それでも影響は避けられず、次第に群れのレンジが下がっていき、やがてライズは終わるだろう。他の魚種にはあまり感じないが、アジに関してはプレッシャーですぐにレンジが下がってしまうことが多い(余談だが、メバルの場合は活性が上がってアジとは逆に浮いてくることもある)。群れが去らない&捕食物がある限り、時間が経てばまたライズしはじめるので諦めないでほしい。そこは渓流のライズフィッシングと同じ。

影響をできるだけ避けるためには、フローティングラインではなくインタミをおすすめする。フローティングラインは目立つカラーが多く、また、浮いている分どうしても水面に曳き波が出やすい。インタミならダークカラーが多く曳き波も立たないので、多少は影響を減らせるだろう。より慎重になるのであれば、外気温とラインの設定メモリ温度(ウォーム/コールド)のバランスに注意しつつ、フラットや湖で使うようなクリアなラインが有効。

アジの口は弱く、上顎にかかっていない限り強引にやり取りすると口切れを起こすので注意。20cmを超えてくるとかなり引くので、慎重にやり取りしたい。

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2020/11/19

カマスをフライで釣るコツ

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連発するときはワンキャストワンヒットも珍しくなく、食べて美味しいカマス。秋冬の楽しいターゲットだ。

カマスのフライフィッシングはタイプ6のシンキングラインがベスト

特に何を狙うわけでもないような漁港の五目釣りの最中にカマスを狙う場合は、ここで解説したタックルシステムで問題ない。ただし、カマスだけを集中して狙いたいのであれば、9フィートの#5〜6があたり妥当だろう。港湾内外に限らずカマスは堤防から開けた場所に投げることが多く、またフルシンキングのタイプ6というロッドに負荷のかかるライン(理由は別の機会に解説したい)を常用することが多いこと、それと、同じレンジを長く引きたいので遠投できるタックルのほうが有利というのがその理由。

夏場のピンカマスや夜間から早朝にかけてうわずっている場合にインタミを使うことはあるが、カマスのレンジはおおむね低いので、手返しよく探るためにもタイプ6がよい。シューティングヘッドでもフルシンキングでもよいのだが、思っているより足元にいることも多いので、専門に狙うのであれば、リトリーブ最後に浮き上がりにくく手前を探りやすいようフルシンキングをおすすめする(堤防によっては手前に捨て石が沈んでいる場所もあるので、そうした場所ではヘッドにするか9フィート程度の長めのロッドのほうが根がかりを回避しやすい)。ただし、慣れないと真っ暗闇でシンクレートの高いフルシンキングのラインは使いづらいかもしれない。その理由は別の機会に解説する

手前を探れるフルシンキングがおすすめ

群れが寄っているときは真っ昼間でも釣れるし、夜間は浅めのレンジでベイトを追いかけ回しているときもあるが、連発する当たりはマズメ時に集中する。経験上、デイゲームとナイトゲームではデイゲームのほうが釣りやすい印象があるが、数を釣りたいのであればデイでナイトとでもなくマズメ一択(ただし、マズメ以外のときに爆釣することもあり謎が多い)。朝マズメの場合は日が昇るにつれ浅めのレンジから深いレンジへ探り、夕マズメの場合はその逆になる。

基本的には沖に向かってまっすぐ投げ、カウントダウンして探っていく。人の少ない場所であれば、扇状に投げながら群れを探るのがよいだろう。ストラクチャーに着く魚ではないので、護岸際を平行にリトリーブするようなことは不要。

アジだとコマセ+サビキには負けてしまうが、カマスに関しては餌釣りやルアーよりフライのほうが明らかに釣れるので、漁港のフライフィッシングで爆釣を経験したいのならカマスは大変オススメできる。アジと異なりコマセにあまり群がらないので、その点もフライで釣りやすい理由だろう。なお、夏場のピンカマスはトップウォーターで爆釣することがあるので、機会を見て紹介したい。

カマスにはロングストロークが効く

リトリーブはロングストロークがよい。食わせの間も特に必要ないと感じる。アジやメバルは横の動きと縦の動きをうまく組み合わせてアピールさせるが、カマスは横一直線のほうが反応がよいことが多い。

フライはなんでもよいが、キラキラしているものだと尚可。できれば、アイ付近にチェーンボールを装着したものやウェイトを巻いたような上下に動きやすいものより、横方向に姿勢が安定しやすい巻き方や一般的なストリーマー的なものをおすすめする。カマスの鋭い歯からティペットを守るため、ロングシャンクのフックに巻くか、マテリアルをシャンク後半に巻き止め、サイズも小さすぎないほうがよい。カマス用のフライはUNDERWATER ONLINEで!

ティペットは太めで

ティペットは太めにしたいが、あまり太すぎるとフライの姿勢が安定しない。細すぎると切られるので下限は1-2Xあたりが無難で、フリーノットが条件になるが心配なら02X程度までは太くしてもよいと思う(シューティングシステムだと根掛りしたときにフライを回収できずにヘッドを失うこともあるので要注意。この場合はクラスティペットとして弱いセクションを入れたい)。一匹釣ったら必ずティペットをチェックしよう。少しでも傷が入っていたら即交換したい。太めのティペットでも一発で食いちぎられることもあるので、油断してはならない。

引きは決して強くはないが、釣れ盛ることが多く、また、そのようなときはエサやルアーより断然フライのほうが釣れるので、普段難しい釣りをしている人にとっては癒やしの釣りでもある。30-35cmくらいの食べて美味しいサイズが揃うので、キャッチアンドイートを目的とした釣行もアリだろう。なお、暴れるカマスからフックを外す際にカマスの鋭い歯があたって指を怪我するので、フィッシュグリップとフォーセップは必携。

余談だが、ここ数年東京湾奥までカマスが入ってくることが多く、私自身シーバスを狙っているときの外道で45cmほどのぶっといカマスを釣っている。 

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2020/11/18

メバルをフライで釣るコツ

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メバルのフライフィッシングに関してはある程度認知されているので、巷には釣り方に関しての情報は多い。特に、一般的な引っ張りの釣りに関しては、ここでいまさら語るまでもないだろう。 

メバルは短距離走者

ひとつ言えるとすれば、メバルはフライを長い距離追うような魚ではないということ。フライの後ろを付かず離れずで1-2メートルほどついてくることはもちろんあるが、距離は長くない。

フラットのクロダイのように、長い距離を執拗に追いかけてくることはあまり無い。タフコンディションでない限りメバルはフライを見つけるとすっ飛んできて一気に食いつくが、自分のポジションからはあまり離れない。エサを見つけて遠くから泳いで食べにいくのではなく、エサが目の前に近づいてきたタイミングで襲いかかる。いわゆるカサゴやムラソイといった根魚系バイトが多く、典型的なスプリンタータイプの捕食行動である。そのため、デイゲームの場合は、ストラクチャーあるいはメバルのすぐそばをフライが通過するようにしないと反応しないことが多い。ナイトゲームの場合であっても、あまり離れたところを引いても反応しない。壁際含むストラクチャーを狙う場合、デイゲームならストラクチャーから横10cm以内、ナイトゲームでも横20-30cm以内を目安に攻めたい。

もちろん、これは絶対ではなく例外もある。

たとえば、ナイトゲームにおけるシャローエリアの常夜灯下。その場合は魚が散っているのでオープンウォーターにブラインドで適当に投げても食ってくる。ただし、シャローというのがキーで、水深があるポイントはたとえベイトやプランクトンが湧いていたとしてもオープンウォーターかつサーフェスには魚が着いていないことが多い。その点は、ベイトさえいれば水深のある沖のオープンウォーターでも食ってくるシーバスとは異なる。ライズしているときも同様で、ライズリング付近に適当に投げて漂わせたり軽く引いてくれば、どこからともなく食いあげてくる。

リトリーブに関しては、使用するラインやフライの特性、魚の活性、ポイントの状態、潮の速さ、明るさ(デイゲーム、常夜灯まわり、完全な闇)などで変わってくるが、速めよりは遅めを基準としたい。

ラインの選択として重要な点をひとつ挙げる。メバルは自分が居るレンジより下のエサに対してはあまり見ておらず、自分と同じレンジかそれより上を見ていることが多い(その点はヤマメに似ている)。そのため、引っ張りの場合はメバルが居る(と思われる)レンジよりやや上を引けるシンクレートにするのが理想。たとえば、タイプ2で引けるレンジに魚が居る(と思われる)のであれば、(タイプ2がダメなわけではないが、)インタミ/タイプ1でよい。水面でライズしている場合はフローティングでOK。

メバルをサイトフィッシングで釣るためには

引っ張りの釣りに関しての注意点はこんなところだが、デイゲームあるいはナイトゲームにおける常夜灯下での落とし込みのサイトフィッシングについて語りたい。落とし込みの場合もメバルの目の前にフライを持っていく基本は変わらない。

注意点は二つ。

まず一つ目、しっかりウェイトの入ったフライを使うこと。クロダイの落とし込みは沈下スピードが重要で、遅すぎても速すぎてもダメなためにフライの重さに細心の注意を払う必要があるが、メバルに関しては軽すぎるよりは重すぎるくらいのフライでちょうどよい。そもそも使うフライが小さい分、自分が思っているより沈んでいかない。

二つ目、フローティングやインタミなどではなく、シンクレートの高めのシンキングラインを使うこと。落とし込みなのでシンクレートは無関係に思えるが、リーダーシステム(詳しくはこちらを参照)の全長より深い場所まで落とすこともあり、フライラインがフローティングだったりシンクレートが低いものだと影響が大きい。フライ→ティペット部→バット部と、順々にすーっと落とし込み、バット部が終わりフライラインに差し掛かったときに、沈まないあるいは沈みが遅いラインだと沈下スピードにブレーキが掛かってしまう。これはクロダイの落とし込み釣りで不穏な沈下で魚がスプークしてしまうのと同じ。フライが不自然な動きをするために見切られやすいということもあるが、なにより思ったとおりに沈まないと釣り人側にストレスが溜まる。

いずれも小さなことだが、手返しよく釣るためには手間を惜しみたくない部分である。実際にはここまで神経質にならなくても釣れてしまうのがメバルのよいところでもあるが、「釣れた」ではなく「釣った」は重要なので、ここは妥協したくない。

落とし込みはフライフィッシングっぽくないので嫌がる人も多いと思うが、デイゲームのサイトフィッシングではかかせないテクニックだし、昼夜問わず、引っ張りの釣りとうまく使い分けるとどんなポイントでも釣りが可能になる。メバルに関しては引っ張りだけでは釣りにならないと思ったほうがよい。常夜灯に照らされたすぐ足元の明暗部キワ、特に一番明るい部分の護岸側(暗い側)壁際の中層〜底層に良型が潜んでいることが多いので、ぜひとも、そーっと落とし込んでみてほしい。留守でなければ手元にゴゴン!っとあたりがくるはずだ。

最後にひとつ。

引っ張りにしろ落とし込みにしろサイトで釣っているとよくわかるのだが、活性の低いときはテイルをつまんでモゴモゴするだけで食い込まない甘噛バイトも多い。こうした捕食をする個体は粘ってもなかなかフッキングに至らないことが多いので、別の魚を探したほうが勝負が早い。

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2020/11/17

#4ロッドからはじめるメバルのフライフィッシング

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シーバスとともにソルトFFの入門ターゲットとして定番のメバル。条件が良ければ管理釣り場のニジマスのような入れ食いになることも珍しくはない。漁港でのフライフィッシングそのものについてはこちらのエントリを!メバルの実際の釣り方に関してはこちらのエントリを!

巷の教科書ではメバルやアジ、カマスなど海小物のフライフィッシングには#6ロッドと、猫も杓子も記載がある。確かに、堤防から外向きに投げたり、足場が高いところのゲーム、アベレージが大きい場所、風の強い日、高いシンクレートのシンキングラインを引っ張るなら9フィートの#6あたりが無難だろう。私もメバルをフライで狙いはじめた当初はこの番手がメインだったし、いまでも状況によってはそのクラスのロッドを持ち出すことはある。

だが、そのようなセオリーには一石を投じたいと思う。

メバルに#6ロッドはオーバースペック

地方の恵まれた環境ならともかく、ショアから20cmを超えるメバルを釣るのがそれほど簡単ではない首都圏エリアでは、#6ロッドはオーバースペック。キャスティングだけではなく、足元を狙うような釣り、あるいは、係留してある漁船とそのロープをかわしながらの釣りとなると、いわゆる9フィート#6といった定番スペックでは取り回しが悪すぎる。広い場所やある程度投げての引っ張りの釣りなら問題ないだろうが、フライに向いたこじんまりとした漁港ではその長さと強さが仇になり、まったく使い物にならない。

メバル狙いのフライロッドは#4がベスト

個人的にメバル狙いのフライロッドは#4がベストだと信じて疑わない(異論は認める)。魚のサイズ的には#3以下だろうが、ウェイトの入ったフライを投げたり、ソルト特有の風、何がかかるかわからない、といった保険も含めて#4。長さは7フィート半から8フィートの間が取り回しがよいと思う。足元だけの釣りなら7フィート以下でもよいが、キャスティングして引っ張りの釣りをやろうとすると7フィート以下だとやや短い。ちなみに、このロッドのスペックはメバルに限らず、漁港の五目釣りにうってつけのスペックとも言える。アジ、カマスはもちろん、ムラソイやカサゴ、ムツ、メッキ、ネンブツダイ、ベラ、アナハゼ、その他諸々、このタックルでいける。

ラインはシューティングヘッドの#7-8を後端からロッドに合わせた適切な重量になるようにカットし、モノフィラ6号前後をランニングラインとして繋ぐ。これが最適な組み合わせ(もちろんフルラインでもOK)。シューティングヘッドのシンクレートはフローティングとインタミ/タイプ1とタイプ4があれば事足りる。タイプ6に関してはアジやカマスを狙わない限り必要性を感じない。メバルがライズしているときやうわずっているときは、フローティングのヘッドよりフルフローティングのフルラインのほうが使いやすいと伝えておこう。作るのが面倒な人は、漁港FF用シューティングライン一式(ヘッド+ランニング)をUNDERWATER ONLINEで購入!

テーパーリーダーは使わない

リーダーに関してはテーパーリーダーは使わず、フロロのティペットをバット部とティペット部にわけ、繋いで作る。3X-5Xのティペットを常用とした場合、バット部は0X程度で問題ない。バット部が太すぎると繊細な当たりが取れない(例外はあり、重いフライを多用する場合はコントロールバットとしてバットを太くしたほうがよい)。ただし、0Xに4Xや5Xを直接接続すると結束が甘くなるので、細めのティペットを使う場合は、スペーサーとして間に2Xや3Xを入れることをおすすめする(この場合、 バット部1セクション+ティペット部2セクションになる)。2段落とし、たとえば、2Xに4X、3Xに5Xなら違和感なく結べるはず。極小のフライを結ぶときは7Xまで落とすこともある。一つ一つのティペット長さはそれぞれ1-3フィート以内にとどめ、すべてのティペットを繋いだリーダー全長は4-7フィートとかなり短くして使うことが多い。この長さだと慣れないうちはオーバーターンしやすいので、普段より力まず、瞬間的な力の入力ではなく、ややドリフト気味にキャストするとうまくいくはず。

このシステムの場合セクションが短いため、頻繁にティペットやフライを交換するならリーダー側にループを作るか、リーダー側とティペット側をループtoループにする方法で毎回短くなるリーダー側の結びシロを温存する方法もあるが、ノットが苦痛でなければ気にしなくてよい。

テーパーリーダーを使わないのは、バット部が水の抵抗をうけなじまないためで、リーダー全長が短いのは、長くすると当たりが取りづらいためだ(湖での引っ張りなどで棚ボケ回避のためテーパーリーダーを使わないことがあるのも同じ理由)。長くする場合でも少なくともロッド全長より長くしないほうが無難。フルフローティングあるいはフローティングのヘッドの場合がもっとも長く、ヘッドのシンクレートが高くなるにつれ全長を短くするようにしている。

このシステムならキャスティングしての引っ張り、落とし込みのサイト、どちらでも対応できる。 

と、一例を挙げたが、リーダーシステムはお好みでよいと思う。ただし、市販のノットレスリーダーでも、自作のノッテッドリーダーでも、引っ張りの場合は全長を「短めに」というのがキモで、棚ボケを防ぐためシンクレートが高くなればなるほど全長を短くするというのが理想だ。なお、市販のノットレスリーダの場合は8フィート以下のもので、バットとティペット部をカットしてテーパー部だけ使う。

リールは手持ちの安物を流用しよう

リールは安物で構わない。ソルト対応のウン万円、下手すると10万円を超えるようなガチなリールは出番なし。リールファイトも大きな外道(シーバスのようなそれなりのサイズの魚がかかることもある)がかからない限りまずあり得ない。フライを始めたときに買ったような安いリール、手元に残っていないだろうか。

フライに関してだが、これからメバルを始めるなら、まず最初は使い古しの渓流用のニンフでも構わない。小物専用漁港フライもあるので作るのが面倒な人はぜひ試してみてほしい。メバル用に新規にタイイングするなら、白っぽい小さいものからはじめてほしい。メインのサイズは#10-16番程度。思っているより小さいと感じるのではないだろうか。もちろん、シーバス用のゾンカーやクラウザーミノーなどで釣れないこともないし、大きいフライを使えば大きいメバルがかかるのも事実。

ただ、悲しいかな、、首都圏エリアでショア、特に漁港で釣れるメバルの多くは15-10cmが多い(下手をすると10cmもない...)。釣りたいのならそれに合わせるのが吉。また、20cmを超えるようなメバルであっても、小さいベイトやプランクトンを捕食していることが多く、偏食しているときは対象物にサイズを合わせないとなかなかバイトに至らないことも多い。そう、そんな状況になると渓流のライズゲームとまったく同じ。なお、どんなフライがよいかわからない人はUNDERWATER ONLINEをどうぞ。勝手がわからない方へのガイドも行っているのでぜひどうぞ! 実際の釣り方に関してはメバルをフライで釣るコツを!

15cmもあれば#4ロッドをギュンギュン絞り込むだろう。同サイズのヤマメとは比較にならないほど引きが強い。パターンにハマると、ルアーフィッシングでは太刀打ちできないほど爆釣する。

渓流しか経験のない方こそ、この秋冬はメバルにチャレンジしてほしい。手持ちの渓流タックルがそのまま使えるが、ロングリーダー・ティペットを扱うことに長けたパラボリックなアクションのロッドや腰のないタイプのベナベナなグラスロッドだとシューティングヘッドのキャスティングでやや難儀するので、ミディアムファスト〜ファストのロッドをおすすめしたい。素材はグラファイトでもグラスでも構わない。

ソルト特有の注意点がある

ロッドにしろリールにしろ、使用後は必ず真水で洗浄すること。ロッドに関しては、ガイドリングのまわりやフットが塩ガミしやすいので指で丁寧に洗いたい(より丁寧にやるなら歯ブラシで)。海水が留まりやすいリールシートもしっかりと。リールに関しては、ドラグシステムの構造にもよるが、水に浸けるより高めの水圧で水を直接掛けたほうが確実。なお、ディスクドラグのリールならまとわりついた海水の浸透を避ける意味でドラグはMaxに締め込んでから行ってほしい。錆より怖いのが塩ガミで、一度固着すると取るのは難しい。ワンウェイクラッチが塩ガミしてしまうとそのリールはアウトだろう。煮沸することで塩ガミは解消できるケースがあるが自己責任で(汎用的なワンウェイクラッチであれば巷のアフターパーツで換装可能)。もちろん、ソルト対応リールだとしてもできるだけ海水にリールを浸けない・リールが海水を浴びないようにすることがもっとも重要かつ効果的な対策なのは間違いない。

フライラインはリールから引き出してお湯に浸けて洗浄しよう。洗浄した後のラインクリーニング(コーティング)を忘れずに。メバルゲームで使うリールに巻くバッキングラインは大した量ではないし、釣り場で引き出すこともないと思うが、(デイゲームが多いと、紫外線と)塩でそれなりに痛むので、釣行回数が多めの人は定期的に点検して必要に応じて新品と入れ替えよう。もったいないなら、別の渓流用のリールで使い倒したバッキングラインを転用してもOK。その頃にはシューティングヘッドのランニングラインもキンク癖がついて傷んでいるだろうから、こちらもついでに新品と入れ替えることをおすすめする。

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#4ロッドに合わせたシューティングヘッド作り方、すなわち、既製品のヘッドのカットと調整の仕方、メバル用フライついては、また別の機会に解説したい。実際の釣り方に関してはメバルをフライで釣るコツを参照願いたい。