2024/07/01

ユーロチヌ(ユーロニンフスタイルによる落とし込みチヌ・クロダイ釣り)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 

フライフィッシングで釣るクロダイに関しては、浜名湖をはじめとするシャローフラットでの釣りが王道かつ主流であることは誰も否めないだろう。いまでこそサイトでクロダイを釣ることが当たり前になっているが、それ以前はルアーフィッシングをマネてポッパーで狙ったり、落とし込み・ヘチ釣りをマネて重いイガイ・カニパターンをフライラインを使って当たりをとる釣りを行っていたと思う。

前者は主に関西方面で行われていたが、近年東京湾でも通用することがわかり、クロダイが多いエリアではルアーフィッシングだけでなくフライフィッシングでも行われるようになってきた。後者はどうか?ルアーフィッシングでは後述するクロダイの増加と投げ釣り禁止問題に伴い、ガンクロゲームや壁チヌといったスタイルが徐々に浸透しつつあるが、残念ながらフライフィッシングとしては以降の発展は乏しく、誰もやっていないのが現状だろう。

「シーバスに代わる東京湾奥のターゲット(クロダイ)を、釣り方の制限がある中でフライフィッシングで釣るにはどうすれば?」という問いに対する現時点での最適解

近年、東京湾奥ではシーバスの数が減って、クロダイが激増中である。壁沿いにシーバスが着けなくなるほどクロダイが増えた。一方で、投げ釣りが禁止されてしまったエリアが増えつつあり、ルアーはもちろんフライを振ることも難しくなってきた。サイドキャストに関してギリギリ暗黙でOKというところが多かったが、場所によっては明確にNGとされ、アンダーキャストかつ自分の前だけにキャストする場合のみOKになっている。もはや、ルアーフィッシングもフライフィッシングもオカッパリでは絶望的な状況と言えるのが東京湾奥だ。

夜な夜なフライでシーバスをオカッパリで楽しんでいた私は、東京湾でオカッパリができなくなってしまうと自宅から短時間で釣行可能な貴重なフィールドを失ってしまう。そこで、この状況の変化を悲しむのではなく、「どうにかして楽しむ方法はないか?」と考えた。

軽く細いタックル・ラインシステムがキモ

そんな中、昨今のユーロニンフの流行と、ガンクロゲームで使用するリアルではない擬似餌(「ルアー」ではなく、あえて「擬似餌」と書きたい)からヒントを得て、ユーロチヌというスタイルを考えた。もちろん、私が考えたというのはおこがましく、おそらく他の誰かも試みている(いた)と思うが、公な情報がないのでこのエントリで紹介したい。

他の方はご自身の考えがあると思うが、私は、

(1) 8フィート以下の短く張りのよいフライロッド
(2) なるべくなら特に何かに似せたものではないフライ
(3) 昔行われていたフライラインを用いた落とし込みではないモノフィラの細いラインシステム


この三つを基本としたユーロニンフのスタイルを軸にしている。

ナイトゲームでのUV効果は絶大

(1) に関しては4−5番程度のトラウトロッド。日本の渓流向きの柔らかいものでは合わせのパワーが伝わりにくくファイトでのされてしまうので、海外製のトラウトロッドやパンフィッシュ用のロッドがベスト。私はEchoのGeckoを使用している。

(2) に関してはサイト用より小さ目の伊勢尼7-8号にUVマテリアルを使用したもの。形状はなんでもよいと思うが、UVがキモでナイトゲームの場合はほぼ必須と考えた方がよい。私はUVのシェニールをぐるぐる巻きした簡素なものを使用している。具体的にはこちら。もちろん、カニやイガイ・ミジガイのイミテーションでも問題ないが、ナイトゲームで使用するならUVを入れたい。ユーロニンフといえばタングステンビーズだが、もちろんOKでテンションを掛けたいナイトゲームでは特に有効。ただし、沈下スピードが速すぎる嫌いがあり現場での重さの調整が難しいので、軽めのダンベルアイやチェーンボールで巻いておき、ガン玉で調整するほうが汎用的。もしタングステンビーズを使用する場合はあまり大きくないものをおすすめする(伊勢尼8号で4mmをMaxとして、3mmだと入らないことが多いので、その場合はチヌ針もしくはユーロニンフ用やジグ単用のフックを使用)。

(3) は落とし込み・ヘチ釣り用の道糸もしくはユーロニンフ用のサイターがベストで、太さはストラクチャーの多いところでは3号とし、万能なのは2.5号。フライラインは使用しないので、バッキングラインに直接接続でよい。もちろんユーロニンフのようにユーロニンフ用のラインを使用してもよいが、ユーロニンフのように放り投げることはしないのでラインとしては意味がない。ただし、ユーロニンフ用のラインを間に挟むとリールファイト中のハンドリングがよいのが利点といえる(サイターのような細いモノフィラだとユーロニンフ用のリールではない場合にリールファイトで噛んでしまうことがある、特にオープンフレーム)。

次にリーダーシステム。サイターとティペットはスイベル(スペイ用の極小スイベルがおすすめ)を介して結ぶ。ティペットがよれて回転しやすいフライ(カニパターンで顕著)は警戒されやすいためだが、ほとんど回転しないフライならティペットリングやスプリットリングでもよい。ナイロンのサイターとフロロのティペットなど、素材の異なる糸同士を直結すると抜けたり切れたりすることが多いので注意。

ティペットはナイトゲームでは2X-2.5Xで、デイゲームの場合はワンランク細くが基準。ティペットの長さは2フィートあれば十分で、長くても3フィート。なお、水面直下(特にナイトゲーム)で当たる場合はティペットが沈みきらずにサイターが視界に入らない。そのため1フィートにしてしまうこともある。

ナイトゲームの場合はケミホタル必須、ただしラインの位置と沈下スピードの確認が主な役割

そして、ナイトゲームの場合はサイター側にケミホタル(25)を装着したい。常夜灯カンカンの下ではサイターが見えるが、明暗の影になっている場所や常夜灯のない場所ではサイターがほとんど見えないので必須と考えてよい。ただし、後述しているとおりケミホタルそのもので当たりを取ることは少なく、ラインの位置と沈下スピードの確認が主な役割。

次に釣り方。落とし込み・ヘチ釣りのようにエサの重さでラインを引き出して沈めるようことはしない。フライリールではその釣り方はマネできないし、ユーロチヌはクロダイが上ずっている夏場を中心とした釣りなので、フライロッドの長さより深い場所は狙わない(狙えない)。もうおわかりのように、ティペットにフライを結んだ状態でフライをロッドのグリップエンドまで引っ張ったときに引き出されるサイター+ティペットの長さ、つまりフライロッドの全長のラインシステムだけで釣りをする。ただし、足場が高く海面まで距離がある場合は、リールからサイターを引き出して調整する。

具体的な釣り方はこうだ。

(1) 最初にラインシステムをフライロッドの長さと同じ状態まで引き出す(ナイトゲームの場合は後述するケミホタルのセッティングを行う)

(2) ポイントに対して垂直に落とす(デイゲームの場合はフリーフォールまたは軽めのテンションフォール、ナイトゲームの場合はガン玉で重さ調整をしつつ軽めのテンションフォールで行い、水面すぐ上のサイターに視線をフォーカスしつつケミホタルまでの間を視界に入れておく)

(3) 違和感(糸がたるむ、糸が横に動く、急に引っ張られる、コツンと当たるなど)を感じたら合わせる

(4) ロッド一本分(ケミホタルを装着している場合はケミホタルが水面に着く程度まで)落とし込んだらカラ合わせ(水切り音が出ない程度に軽く合わせ、重さを感じたら追い合わせ)

(4) のあと1-2歩(1m前後)前に進んでから(2)へ。あとはその繰り返し。(2)は壁際ギリギリが鉄則だが牡蠣殻やイガイが密集している場所だと引っかかりやすいのでナイトゲームなら少し離してもよい。なお、(4)でかかることも多く、当たりを取るのが難しい釣りだとつくづく痛感する。

このあたりは落とし込み・ヘチ釣りの情報を参考にしてほしいが、少し違うのは(2)の落とし方。ナイトゲームの場合は当たりが非常に取りづらいので、ガン玉を追加してリグ全体をやや重くしてテンションをかけながら落とす部分だ。この方法により糸ふけや手に感じる当たりを格段に捉えやすくなる。

ケミホタルは直接見ておらず水面側(水面の上)のラインを凝視している

ケミホタルを使用する場合はロッドティップから30cm〜50cmほど下の位置にくるようにセットしたい。Geckoならティップから約30cmの位置がデフォルトで、水面直下での当たりが多い場合はティップから60cm-70cmほどまで下げてしまうことも多い。いずれも、足場が高い場合はその分を考慮して、ケミホタルをティップからさらに下げる。なお、ケミホタルを付けてもそれを凝視することは少なく、ケミホタルと水面の間の水面側(水面の上)のラインの変化を感じる(「見る」というより「感じる」が適切)ようにしている。ケミホタルは視界の中になんとなく入っていれば十分である。

全体を通して細かいコツがいくつかあるが、大雑把に書くとこんな感じだ。

いかがだろうか。

ユーロニンフ自体が否定される昨今、これをフライフィッシングと呼ぶかは各々の考え・価値観次第なので、ここで言及も議論もするつもりはない。

ユーロチヌ、これはフライフィッシングなのか?

特筆すべきは、デイゲームだけではなく、ナイトゲームでもデイゲームと遜色ない釣果を得られることだ。いや、むしろナイトゲームで楽しむものかもしれないと思うほど夜によく釣れる。真夏の灼熱の東京で真っ昼間のデイゲームは辛いものがあるため、ナイトゲームがおすすめだ。もともと、オカッパリでシーバスを釣る時はもっぱら夜だったこともあり、同じ釣行スタイルでクロダイを釣りたいと考えていた。ユーロチヌはそれに見事にハマった。いまでこそフライフィッシングによるサイトフィッシングが一番面白いと思っており難しい釣りほど燃えるが、そこに至るまで様々な釣りを経験し、その中には渓流のミャク釣りもあった。「シンプルな仕掛を用い、ほとんどラインが見えない夜に、ブラインドで繊細な当たりを取る」というテクニカルな部分が、この私を掻き立てるのだろう。

ただでさえ当たりをとるのが簡単ではない夜の落とし込み・ヘチ釣りスタイルで、匂いも味もしないフライ、しかもガンクロゲームで使うルアーより小さ目で軽くアピール力のないものを使用してクロダイを釣ろうとするのだから、側からみたらエキセントリックな釣法に映るかもしれない。

サイトで使用するような6−8番ロッドだとクロダイをかけてもリールファイトになることはあまりないが、ユーロチヌで使用するロッドは柔らかく、ロッドの真下で掛けるため、毎回ほぼリールファイトになる。Geckoだと40cm程度のクロダイでもバットから曲がり、強引に止める(実際には魚が強すぎて止められない)とティペットが簡単に切れてしまうので、毎回ヒヤヒヤする(意訳: 楽しんでいる)。

以下余談。

私はサイトフィッシング中毒者なので、ガイドではないプライベートではサイトでの釣りを最優先にする人だ。渓流はドライフライ専門だし、湖も基本引っ張らずに浮きものしかやらない、南の島のフラットもサイトしかやらない。ライズやテーリングを狙ったり、魚体を直接目視して魚を釣りたい人である。とはいえ、サイトが難しい時間・条件・場所で釣りをしなければならないことだってある。

浜名湖より釣れるのは事実なので、フライで手軽にクロダイを釣りたいなら強くおすすめしたい

夜しか空いていない、遠出する時間がない、でもフライでクロダイが釣りたい、サイトが理想だがブラインドでも許す!というような人(そう私だ)にとってはユーロチヌ@ナイトゲームは救世主。時間あたりのヒット数だけで言えば浜名湖の数倍釣れる。

皆様、特に東京湾奥までさほど遠くないソルトフライフィッシャーはぜひ試してみて欲しい。ポイントや釣り方など勝手がわからない方向けにガイド 「湾奥クロダイ@フライフィッシングガイド」も行っているので、お気軽に!

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