2023/06/07

南の島でのフライフィッシングによるトロピカルフィッシュ五目釣りのコツ


Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 

奄美や沖縄本島、宮古島石垣島など、南の島フラットでの本命はトレバリーであり、対抗としてトリガーだろうか。どちらも簡単ではない上に、ガチで狙っても遠征中に1匹も手中に収めることができないという結果になることも珍しくない。

トレバリーのクルージング待ちやトリガーのテーリング待ちで手持ち無沙汰のときに相手してくれるのが、フラットに生息する小型魚だ。多くは20-30cm程度、まれに40cm超程度のサイズということもありどうしても外道扱いされることが多いが、南の島特有の色彩豊かな魚種が楽しませてくれる。潮位が高めの場合はブラインドが主体になるが、干潮前後や状況によっては魚体を確認できるので、サイトフィッシングでも楽しめる。

ムラサメモンガラ、マトフエフキ、カンモンハタ…癒やしの五目釣り

ムラサメモンガラ、マトフエフキ、カンモンハタ、モチノウオ、オジサン、コーフ...何が釣れるかわからないのも魅力である。十数センチほどの魚もたくさんいるが、フライをかなり小さくしなければならないのと、そこまでしてわざわざ狙うほどのサイズではないのでここでは対象外としたい。

フラットにはサンドフラット、マディフラット、リーフフラット、それらの混在など、ボトムのマテリアルに応じて多彩なポイントが広がり、明るい水色も相まって魚がたくさんいるように感じる。南の島なら簡単に釣れるだろうと思ってしまうが、実際にはそう簡単ではない。 サンドフラットでもマディフラットでも魚はいるが、サンゴやウィードなどの混在ボトムを除き五目釣りにはあまり向かない。いかにもといったトロピカルフィッシュを釣りたい!と思うならリーフフラットを強くおすすめする。サンドフラット、マディフラットよりポイントを絞りやすく、魚種も豊富だからだ。おそらく皆さんの頭の中で想像している南の島での釣りのイメージそのものになるだろう。イメージは南の島での五目フライフィッシングをどうぞ!

フラットでは「変化」を狙おう

コバンアジやコーフのように移動を繰り返す魚もいれば、ムラサメモンガラやカンモンハタのように定着性の強い魚もいるのでポイントを一括りにはできないが、どちらの魚を狙うにしても最重要要素として考えなければならないのは「変化」である。

潮の流れや潮目(ウェーディングしているときに感じる水温の変化やスカムラインで判別できる)、岩やサンゴ、ウィードなどのストラクチャー、カケアガリや窪み、ボトムマテリアルの違いなど、これらすべて「変化」として捉えたい。その「変化」に潮の流れが加わっていれば一級ポイント間違いなし。潮通しの良い場所は良型の強い魚が多い。

「変化」というと何やら難しく思えてしまうが、渓流や湖でのポイントの見極めと全く同じ。南の島だとどこにでも魚がいるように錯覚してしまうので、いつも以上に「変化」を意識したい。

魚が着くのはこうした「変化」なので、フライを投入するのは「変化」に絞りたい。適当に投げても釣れないことはないが、無駄なキャストが増えることで魚が警戒してしまうのでおすすめしない。

また、ポイントに近づきすぎるのもよくなく、10メートルは離れて狙いたい。渓流以上、フラットのサイトフィッシング未満の距離感といえばイメージしやすいかもしれない。もっとも、コントロールできる範囲で距離は取ったほうが有利なことは間違いない。

ド干潮以外では魚影を確認するのが難しいことが多いのでアプローチは気が緩みがちだが、五目釣りと舐めてかかると痛い目に遭う。移動するときはバシャバシャ音を立てるのではなく、ソロリソロリと足を運びたい。活きたサンゴが多い場所では踏み潰さないように、サンゴの間を縫って歩いてほしい。サンゴの上には決して乗らないこと。このあたりは通常のフラットフィッシングと同じ。

強すぎじゃないか?と思ってしまうが8番ロッドが最適

タックルに関して。サンドフラットやマッディフラットならほぼ根もないので6番で問題ないが、いかにもといったトロピカルフィッシュが生息するリーフフラットでは8番は欲しい。リーフに生息する多くの魚種はファイト中にサンゴの穴やウィードに突っ込もうとするのと、フッキング直後のファーストランをかわすためにもバットパワーが必要だ。トレバリーやトリガーを狙っている合間の五目釣りならそれ相応のロッドを使用していると思うので問題ないだろう。

ラインはフローティング、リーダーはナイロンで全長は9-12フィート程度、ティペットはフロロ20ポンド一択でよい。経験上ティペットを細くしたところで釣果が変わる印象はない。根掛かりや根ズレ、歯による損傷を考えると魚の大きさに対して太めを推奨したい。トレバリーやトリガー狙いならティペットそのままでフライだけ変えれば済むという理由もある。なお、ド干潮あたりのスネ下潮位の場合は、クリアティップのラインもしくはリーダー長めをおすすめしたい。

ロッド8番+ティペット20ポンド+小さくても太軸のフライフックなら不意にトレバリーや大型トリガーが現れてもそのまま狙うことができるので、安心して五目釣りに専念できるだろう。

なんでも釣りたいならフックは小さめがおすすめ

フライは太軸の#8前後が理想。ゲイプ幅でいうとTMC811S換算で#8、管付き伊勢尼換算で7-8号あたりか。それより大きいサイズ、例えば#4や#2でも食ってくるフエ系・フエフキ系やハタ系のような魚はいるが、ムサラメモンガラやモチノウオのように魚体の割に口の小さい魚も多いので、特に狙う魚が定まっておらずとりあえずなんでも釣りたいなら小さめをおすすめする。

また、口の硬い魚も多いので細軸フックは避けたほうが良い。細い分刺さりは良いが、ファイト中やフックを外すときに折れたり曲がったりするのと、根掛かりした場合の回収率が極端に下がる(太いティペットで太軸のフックなら回収できることが多い)。小さくても8番ロッドを絞り込むパワーがあるので侮ってはいけない。

サンドフラットやマッディフラットではなくリーフフラットの場合はフライにガードは必須。サンゴは想像以上に引っかかりやすい。なお、エダサンゴに引っかかっているとわかっている場合は、ラインを引っ張らずに手で外しに行こう。エダサンゴはとても折れやすい。

使用するフライや狙う魚、ポイントにもよるが、スースー、チョンチョンのような喰わせの間を入れる単純なリトリーブでよい。サンドフラットやマディフラットならボトムトレースでよいが、リーフフラットはボトムを取る必要はないのでストラクチャー脇の中層を泳がすイメージでよい。

なお、リーフフラットの場合はサンゴや岩のすぐ脇を通したい(サンゴの窪みを狙う場合はエッジ付近の窪み側)。ウィードの場合も脇でよいが、ウィード上端と水面の間がある程度ある場合はウィードの真上を通すこともおすすめしたい。

魚種別のポイント違いだと、ムラサメモンガラやマトフエは砂地にウィードとサンゴや岩が絡む場所。モチノウオやオジサンもムラサメモンガラやマトフエと同じようなストラクチャーにいるが、ムラサメモンガラよりやや潮通しの良い場所を好むので、流れのあるチャンネル付近やリーフエッジに近い沖目がよい。ムネアカクチビも潮通しのよい場所。カンモンハタは潮間帯より下に多いので、波っ気の少ないやや水深のある根を狙おう(ド干潮の水深20cmでも根があれば居る)。

また、下げからド干潮はボトムの窪みに魚が溜まりやすく、上げのときはチャンネルから魚が差してくるので積極的に狙いたい。それと潮位が若干高めのときに現れる潮目付近も重要で、ゴミが集まっている筋や水温が急に変わる付近は魚が溜まりやすい。

潮位的には低めが狙いやすく、個人的にはナーバスウォーターを出しながらストラクチャー周りをウロウロするムラサメモンガラをサイトで狙いやすいド干潮潮止まり前後が一番楽しいと感じる。

きちんとターンオーバーはさせること

いずれにせよ、テーリング狙いのようにアキュラシーに神経質になる必要はないが、きちんとターンオーバーはさせたい。浅い分ループが乱れたままの着水はやはり警戒されやすいのと、落パクで喰ってくるときもあるからだ。

バイトは比較的明確で、ゴゴゴ!やドスン!という感じで手元に来るので、そのまま2-3回ストリッピングで合わせてからロッドで追い合わせするイメージでよい。バイトの瞬間にロッドを立てるとバレることが多い。このあたりはテーリング狙いのクロダイ、トリガーはもちろんのこと、湖での引っ張りと同様。リーフフラットの場合はフッキングしたらすぐに寄せにかからないと根に入られるので注意、ランディング寸前までは油断できない。

歯の鋭い魚や棘のある魚が多いのでランディング時はフィッシュグリップを使うか、余裕があればネットで掬いたい。毒魚もいるので同定できない怪しい魚がつれたら直接触らないようにしたい。

根掛かりした場合は糸を切らずに可能な限り回収してほしい。五目釣りの場合は潮位が低いときに行うことが多いので、フライを回収することは容易だ。 

ストラクチャーに逃げ込まれた場合はラインのテンションを抜いてしばらく放置していれば魚のほうから出てくるので、無理に引っ張らないようにしたい。どうしても出てこない場合は魚体を掴んで引っ張り出そう。ムラサメモンガラのように棘のある魚は棘で、カンモンハタのような根魚は胸鰭で引っかかっているので、棘や鰭を掴んで折りたためば抜ける。

なお、手で引っ張り出す場合、魚が確認できているなら問題ないのだが、見えない場合は噛まれないように注意。フッキングした魚以外にも攻撃してくる魚や毒魚などもいるので注意してほしい。少なくとも素手ではなくグローブを嵌めた状態をおすすめする。

貴重な資源なのでリリースしてほしい

それと、強要するつもりはないが、いずれの魚もリリースを前提としてほしい。特にカンモンハタのような成長が遅くテレトリー意識の高い魚に与える影響はとても大きい。

いかがだろうか。

標準的なタックルに関しては上述したとおりだが、各々好きなタックルで楽しんでほしい。特にフラットシューズを履いた状態でくるぶしくらいの低潮位の場合は5番前後の軽いラインのほうがラインインパクトも少なく場を荒らしにくい。私自身、4番のグラスロッドで楽しむこともある。

よいポイントに当たると連発するので、トレバリーやトリガー狙いの合間だけに留めず、トロピカルフィッシュを専門に狙うのも大いにありだ。観光ついでに短時間で楽しめるので、ガチ釣行がなかなか叶わないお父さんが家族サービスの合間にチョイ釣りをしたり、普段渓流しかやらない人にも最適だろう。そうした釣りなら管釣り用の5番前後のタックルで十分楽しめる。沖縄出張ついでの「出釣」にも相性がいい。

南の島での五目フライフィッシングをどうぞ!

トロピカル五目釣りに限った話ではないが、最後に注意点をひとつ。

多くの場合はレンタカー含め車での釣行になると思うが、車を停める場所に注意したい。南西諸島は観光地化が進み私有地への違法駐車や海岸への乗り入れが問題になっている(特に宮古島・伊良部島、石垣島)。首都圏近郊の漁港ほどではないが、以前駐車できた場所が駐車禁止や進入禁止になったり変化が激しい。

不安ならポイントから離れた場所でも公共の駐車場に停めるか、近くに止められる場所がないならいっそ諦めるくらいの心構えで挑んでほしい。

「ここいい感じだなぁ〜」と思っても近くに車を停める場所が見当たらないことも多いので、現地住民に訊くのもありだ。その方が釣りをする人なら有益な情報も聞き出せるかもしれない。

2022/09/20

フライフィッシングによるバチ抜けシーバス考察(東京湾奥運河筋限定のお話)

 

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

バックスペースや飛距離、低いアピール度などルアーフィッシングと比較して制約の大きいフライフィッシングにおいて、スレっスレの東京湾港湾部かつオカッパリでシーバスを釣るのは難易度が高いといえる。ルアーで何度か釣った経験のある人が実績のあるポイントを攻めるのであればそれなりに結果が出るが、ルアーでのシーバスはもちろんソルトFFもやらずにいきなり港湾部オカッパリシーバスFFで結果を出すのは相当難しいと思う(ボートシーバスはイージーなので、まず1匹ならガイド付きのボートフィッシングをオススメ)。

バチ抜けシーズンはオカッパリでもっともイージーに魚を手にすることができる時期

港湾部でのオカッパリによるシーバスフィッシングにおいてバチ抜けシーズンはもっともイージーに魚を手にすることができる時期でもある。特にフライフィッシングで狙う場合、バチ抜けシーズンは絶対に見逃すことができない。シーバスフィッシングにおけるお祭りといえばバチ抜けなのは間違いないだろう。特に港湾部の運河筋で起こるバチ抜け水面勝負になることが多く、エキサイト極まりない。

ここではそんなバチ抜け時期のシーバスをフライフィッシングで狙う場合のヒントをお伝えする。

なお、ここで話すのは東京湾奥の小規模運河、具体的には東京湾の江東区〜品川区にかけての運河筋におけるバチ抜けフライフィッシングの話であり、河川(隅田川や荒川、江戸川や中川、小櫃川や養老川など)や干潟(盤州干潟、三番瀬など)のバチ抜けに関してはシーズンもバチの種類も釣り方も変わってくるため割愛する。

バチの生態やバチ抜け全般の話に関してはルアーフィッシング系の雑誌・ムックやネット上の記事が詳しいため、そちらを参照してほしい。2022年4月号の『つり人』の特集がまさに「バチ抜けから始める!春シーバス超入門」なのでぜひ読んでほしい。少し(だいぶ?)古くなるが、2008年発刊の別冊釣り人『バチ抜け地獄』はかなりの良書なので、古本で手に入るならオススメしたい。いずれもルアーの記事が基本で『バチ抜け地獄』に関してはイマドキのスタイルとは多少異なるが参考になる情報が満載なので、バチ抜けあるいはルアーによるシーバス経験のない方は読んだほうがよいだろう。

本題に入ろう。

ミミズやゴカイ、ナメクジやヒルなどの生き物が大嫌いな私が、キモいのを承知でバチ抜けシーバスにとち狂うのは、その高いゲーム性にある。もちろん、単純に釣りやすい時期・パターンだからという理由もあるが、一見簡単そうに見えてフライパターンやレンジ、アクション(ドリフト)が魚のお気に召さないとまず釣れないという、渓流のスレッカラシヤマメのライズゲームと全く同じシチュエーションと難易度を体験できることが最大の理由。ドライフライに出ても乗らず、ドリフトやフライパターンが決まったときはすんなりフッキングするという、まさにそれである。

渓流のライズゲームが好きな人なら絶対にハマる

渓流のライズゲームと同じといってしまうと「バチ抜けシーバスは難しんじゃないか?」と思われてしまうが、バチ抜け時期のシーバスは固まっていることが多く、パターンにハマれば連発するので、渓流魚より数は出しやすいかもしれない。筆者の経験だとフライパターンと魚の数・活性が高ければ、一晩でツ抜けすることは決して珍しいことではない。

他のシーズンだとルアー有利だが、バチ抜けに限ってはフライが断然有利。飛距離不要、水面あるいは水面直下勝負、フライはルアーと違ってスレにくいという点が大きい。バチをイミテートしやすいからという理由も間違ってはいないが、実はここにバチ抜けフライで皆がやらかしてしまうミスが潜んでいる。

引き波を出さないバチや釣り方の場合を除き、実際にイミテートするのはバチ本体ではなく「引き波」である。ボディの形状やカラーにこだわる前に、引き波をうまく演出できるようなパターンに注力すべきだろう。引き波をうまく演出できれば程度の差はあれどどんなフライでもバイトを誘う。これはフライに限ったことではなくルアーも同じ。

引き波系バチでの釣りは「引き波」の演出で結果が分かれる

逆にどんなにリアルにバチ本体を表現できたとしても、引き波に違和感があればバイトの数が激減する。

バチに対するシーバスの捕食を明るいところで観察するとよくわかるが、バチの後ろを着いてきてバイトするケースとバチの下から突然突き上げてバイトするケースに二分される。

この2パターンを考えると、リアフックを付けてボディ中程にもフックを付けたくなるが、これで効果があるのはフライを疑うことなくバイトしてくる場合と考えてよい。リアフックなしでヘッド付近のみにフックがあるパターンよりフッキング率は確かに向上するが、それでもバイトの数に対してフッキング率は低いままだろう。

事故的フッキングの改善はフック位置ではなくフライの泳ぎの違和感をなくすこと

多少動きがおかしくても(=スピードや引き波が不自然でも)コンディションがよいと何発もバイトを得られるが、そのような違和感を醸し出していると信じられないほど乗らない(トップウォータの釣りはもともと乗りが悪いがそれを差し引いても、である)。残念ながら引き波をうまく演出できなければフライを変えても何も変わらないことが多い。

この引き波はフライパターンによってでき方が変わってくるが、鋭角的な波、喩えるならクロダイのナーバスウォーターのような角が立った状態が好ましい。ボラのナーバスウォーターのように丸っこい波やハクの群れのようなチラチラした小さい波が出てしまうフライパターンだとバイト率が落ちる。

さらに難しくするのは引き波だけでなく動きだ。本物の引き波系バチの泳ぎを観察すればわかるが、種類よって多少異なるものの一定のスピードでジグザグに水面をすべるように泳ぐ。さすがにジグザグを演出するのは難しいが、フライを一定のスピードで引くことには最大限こだわりたい。ラインハンドだけでのリトリーブだとこれができない。

コツとしてはロッドを脇に挟んだ状態での両手でのハンドリトリーブ。ただ、運河に多い柵からの釣りだと足元がやりづらいので、両手でのハンドリトリーブで手前まで引いてきたら最後にロッドをスーッっと動かしてフライを引きながらピックアップしたい。リトリーブの途中で止めたり急な速度変化を与えたりするのは厳禁で、そのような泳ぎだとフッキング以前に極端にバイト率が落ちる。

合わせは魚の重みが乗ってからで問題ない。ザバっ!と水面が炸裂するとびっくりしてロッドで合わせたり手が止まったりするが、出ても乗らないことのほうが多いのでそのままリトリーブを続けることが重要。乗らなければ追い食いしてくるし、何よりリトリーブを止めると見切られてスレてしまうし、ロッドであおってしまうとラインで水面を荒らしてしまう。湖の引っ張り同様にそのままリトリーブして魚の重みを感じたらラインを引きながらロッドをあおって合わせる。

バチが広範囲に抜けているときは適当に投げても出るが、ピックアップ寸前に水面が炸裂することも多いので最後まで気を緩めないでほしい。バチ抜けのときは比較的オープンウォーターでもガンガン出るがそこはシーバスで、明暗がはっきり出ているポイントは足元でのバイトも多い。

潮がかなり速い場合はほっとけメソッドでアップクロス〜ダウンクロスで流すことでもバイトを得られないこともないが、流れがそんなに速くないあるいはほとんどない場合はほっとけメソッドはあまり効果がないので要注意。河川や干潟に生息するバチは遊泳力のない水中流下タイプのバチのためドリフトが効果的だが、積極的に泳ぐバチがメインの運河では単純なドリフトでの反応が鈍い。

引き波パターンにはもうひとつ重要な点がありそれはレンジだ。引き波バチには大きく分けると2種類おり、水面から頭を出して蛇のように泳ぐタイプ、あまり顔を出さずに泳ぐタイプがいる。前者は目立つので多少暗くてもすぐにわかるが、後者はある程度明るい場所でないとわからないかもしれない。この2種類が混在して抜けている場合もあるし、どちらか1種類がメインという場合もある。シビアな状況だと引き波を合わせないと反応が鈍い。大きく引き波が出るタイプ、あまり出ないタイプというように、フライパターンを準備して挑みたい。

クルクルバチパターンを制するものが運河筋のバチ抜けを制する

さて、ここまでは主に引き波を出すタイプのバチパターンについて解説してきたが、重要な話をしていない。そう、クルクルバチだ。

バチ抜けシーズン後半になると、水面下をクルクル回る小型の遊泳力のあるバチが幅を利かせてくる。引き波バチが出る前や出終わった後、小潮や長潮といったダルい潮回りでもこのクルクルバチは出現するので時合が長い。特にシーズン後半の運河筋では最重要種のバチになるのでこのパターンは必携としたい。

水面を泳ぐこともあり、その場合はごく小さな引き波を発生させているが、基本的には水面直下〜やや深めのレンジをクルクルまわりながら忙しなく泳いでいる。その予測できない泳ぎからトリッキーバチとも呼ばれる。大きさは1-4cmほどで、水中にいるときはピンク・オレンジっぽく見えるが、見慣れていないと小さなベイトフィッシュにしか見えないだろう。

このバチを捕食しているシーバスを通常の引き波系パターンで釣るのは難しい。釣れないわけではないが格段にバイト率が落ちる。ボイルはあるけど激しくない、シーズン後半、引き波系バチが抜けるタイミングの前後、あるいは、水面直下でシーバスが反転しているようならクルクルバチを捕食していると思ってほぼ間違いないが、時期的にアミの場合もあるので、渓流のライズゲーム同様に捕食物はよく観察したい。

クルクルバチパターンは小さいこともあり、ボイルしたところにダイレクトにキャストしないと気が付かれず反応しないことが多い。シーバスが群れている・あちらこちらに散っていると思われる場合は引き波パターン同様に適当に投げても食ってくるが、シーバスが固まっていると思われる場合はボイル狙い撃ちを原則としたい。

クルクルバチパターンは少し速めのショートストロークをメインに、時々ロングストロークやリトリーブスピードの強弱をつけながらリトリーブする。狙うレンジは水面直下で問題ないので、着水後すぐリトリーブしよう。引き波パターンのように一定のスピードでゆっくりリトリーブする必要はないが、リトリーブ中のポーズの時間はできるだけ短くしたいので(つまり、停止しない減速→加速のイメージが正しい)、やはり両手でリトリーブをおすすめする。ラインハンドでのリトリーブがNGというわけではないが、その場合は手が止まっている時間を作らないようにしたい。スースースーという動き、あまり止まらないベイトフィッシュのような動きを意識するとイメージしやすいかもしれない。

バイトはゴン!ドスン!ガツガツ!のように手元に伝わるので、引き波パターン同様にそのままリトリーブして魚の重みを感じたらラインを引きながらロッドをあおって合わせる。引き波パターンと比較してフッキング率はかなり高い。

このクルクルバチパターンを制する者が運河筋のバチ抜けを制すると信じて疑わない。
クルクルバチパターンUNDERWATER ONLINEで!

リーダーやティペットは引き波パターンのときはナイロン一択、クルクルバチパターンはナイロンでもフロロでもOK

バチ抜けのときのラインシステムだが、水面勝負の引き波パターンはもちろん水面下を引っ張るクルクルバチパターンもフローティングラインで問題ない。リーダーやティペットは引き波パターンのときは沈ませない理由とショートバイトでのフッキングミスを避けるためナイロン一択、クルクルバチパターンはナイロンでもフロロでも構わない。

オフシーズン中のエントリになってしまったが、来春はぜひともバチ抜けシーバスを楽しんでほしい。なお、漁港も同様だが運河も立入禁止や釣り禁止や投釣り禁止(この場合はオーバヘッドキャストは不可なので、ペンデュラムキャストのようにループをアンダーで作るかロールキャストもしくはテクトロに限定される)が増えているので十分注意してほしい。Underwaterではバチ抜けシーバスのガイドを行っているので、勝手がわからない方はぜひどうぞ!

2022/01/29

フライフィッシングにおけるリーダーの長さについて私的見解(渓流編)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

渓流におけるロングリーダー・ロングティペットシステム(以降、ロングティペットシステムと呼ぶ)が提唱されてからかなりの年月が経過した。

私がフライフィッシングをはじめたころは7.5フィートや9フィートのリーダーが全盛期で、先端が短くなったら同じ太さorワンランク細い糸を継ぎ足していた。それでも、短くなった分だけ足す程度で、リーダー全長が12フィートを超えるようなことはほぼなかったと記憶している。少なくとも私はそうだった。

ヤマメは毛鉤を咥えてから吐き出すまで0.2秒

しかし、このシステムだと魚は出てもフッキングがうまくいかないことが多く、それを補うためにどうしても早合わせ気味になってしまう。当時は「ヤマメは毛鉤を咥えてから吐き出すまで0.2秒」とテンカラ師の間で云われていた時代。フライをはじめる前からエサやルアーでかなりの数のヤマメは釣っていたので、すばしっこい魚だとは理解しつつも自分のフライ経験の少なさやテクニック以前に釣り方が噛み合っていない気がしていた。

そんな中、某氏をはじめとするロングティペットシステム提唱者がこぞってメディアで発信しはじめ、それに触発された私もいつしか「長いリーダー」を扱うようになった。メインだったロッドをオービスから国産のパラボリックな柔らかいものに切り替えたのもこの頃だ。

しばらくはロングティペットシステムの意味をほとんど理解しないまま「長いリーダー」であればよいのだろうとターンさせることに躍起になっていたが、ターンせずにフワリと落ちたとき、具体的には当時の感覚としてプレゼンテーションをミスしたときのほうがフッキングがよいことに次第に気づくようになっていた。自らの経験に基づき導き出した答えは、、、「必要なのは長いリーダーではなく長いティペット」ということ。

もはや当たり前になっている周知の事実であるし、それなりに長い渓流経験のあるベテランなら「はっ?」「えっ?」と思うだろうが、笑わないでほしい。

いまと違って情報量の少ない時代にタイイングもキャスティングも誰にも教わったことがなく我流でやっていた私にとっては、このことが大きな発見だったのだ。

「ロングリーダー・ロングティペット」というキーワードの「ロング」ばかりに気を取られ、「全体を長くする」という意味と捉えてしまい、本質を見失っていたのだと思う。

当時の私と同じようにいまでも誤解している方もいると思うが、「ロングリーダーではなくロングティペット」が重要。

誤解している方、Underwaterのフライフィッシングガイド・フライフィッシングスクールに参加してモヤモヤを解消!

ロングリーダーではなくロングティペット

なぜ「ロングティペット」なのか。

言うまでもない、本物のエサが流れるようにドライフライを流すため。上述した「吐き出すまで0.2秒」はあながち嘘ではない。主な原因は魚がニセモノと疑って警戒しながら咥えているからだろう。いまでこそテンカラも自然に流す風潮があるが、昔はそうでもなかったはずなので、その点でも不自然さを醸し出していたのだと思う。不自然さをなくせば、慌てて咥えることもなく、離すまでの時間も長いし、飲まれることも多い。

以降、ドライフライフィッシングの話に限定して記述する。ドライフライ以外でも通じる話もあるし、ドライフライでも意図的にドラッグをかける釣り方もあるが、ここでは深く言及しない。

不自然さを醸し出す原因の多くは二つ。 一つ目はフライそのものが不自然な場合、二つ目は流れ方が不自然な場合。

前者はフライパターンやサイズ、フライを流すステージ(水面ぽっかり、水面張り付き、水面ぶら下がりなど)が原因なのでそれを解消する必要があるが、後者はリーダーシステムとプレゼンテーションの改善が必要。

後者の対策としては水の抵抗が少ない細いティペットを長くとることだ。理論上細ければ細いほどよいが、実際の釣りでは限界がある。フライラインの先端からフライまで一直線にして水面に落としてしまうと細くて長いティペットの意味がなくなるので、通常はプレゼンテーションでティペットにスラックを入れたりカーブさせたり、場合によってはリーダー全体やフライライン先端付近も曲げて落とす。

スラックの入れ方も狙うポイントの流れの状態と自分の立ち位置、ドリフトの距離や使用するフライによって変える必要があり、直線的にスラック(イメージとしては縮れ)を入れる、V字に折って落とす、U字曲げて落とす、場合によってはティペットを団子状にして落とすなど様々な方法で対処しなければならない。

このようなことを行うにはティペットが細く長くないと難しい。

ただし、これは渓流でのドライフライフィッシングかつ釣り上がりにおいて有効な話で、渓流でもダウンでのライズ狙いや流速差のあまりないフラットな本流域での釣りやドライフライ以外の釣りではまた異なる。

本題に入る前に話が逸れてしまうが、そもそも何をもってロングティペットシステムというかの定義は難しい。上述したとおり重要なのはティペットの長さであり、リーダー全長だけではロングティペットシステムかどうか判断できない。リーダー全長に対してティペット部がどの程度を占めるかが重要になる。もっというと、考え方は人それぞれなのでそんな定義など不要だろう。あくまでもマーケティング的要素、他人に説明する上でのキーワードでしかない。

リーダーシステムが全体的に長めになっている昨今あえていうのであれば、バット+テーパーの12フィートに4フィートのティペットを繋いだ16フィート程度だとロングティペットシステムというのは少し無理があり、バット+テーパーの12フィートに6フィートのティペットを繋いだ18フィートやバット+テーパーの14フィートに6フィートのティペットを繋いだ20フィートのような長さがロングティペットシステムになるのだろう(ただし、市販のリーダーはバットやティペット部をある程度カットして使うことが多いと思うので、パッケージから出した状態のママ使うことは少ないと思う)。ロングリーダー・ロングティペット提唱者だと、ティペットが6フィートあっても全長18フィートだと許せないのかもしれないが(笑)

私は「リーダー全体が長い」とういうロングティペットシステム一辺倒な人ではないので、フリーストーンの釣り上がりに関しては川の規模に応じて全長7フィート程度から21フィートくらいまで使い分けている。長さに幅があるのは、ドラッグを回避できるだけの必要最低限のティペットがあればヨシとしているからだ。その根底には「トラブルを可能な限り減らしたい」という考えがある。

極端にいうと、バット部がほぼない。もちろん全体が長めの場合はバット部はそれなりに取るが、バット部やテーパー部に対してティペットを長くとるシステムにしている(#1といったウルトラライトラインを使う場合は、そのライン径からフライラインそのものをリーダーのバットと見なすこともある)。具体的には「ヘビーショートリーダー(テーパー)」+「ロングティペット」が自分の中でスタイルとして確立されている。

ただし、この「ヘビーショートリーダー(テーパー)」+「ロングティペット」のシステムはターン性の強いラインだとフライライン先端〜リーダーのバット・テーパー側が水面に突っ込みやすいので、力加減には注意したい。ラインを置く位置もよく考えないと水面を荒らしやすく流れにも食われやすいので、フライだけでなくライン先端までの正確なコントロールが求められる。このシステムの場合は横のメンディングはあまり向いていないため、縦にロールを入れるかラインの先端を上に跳ね上げるメンディングを多用する。

広い川で複雑な流れであればリーダー全長が長めでティペットも長めの20フィート前後くらいのほうがドラッグは回避しやすいが、広い川でも水面から頭を出している石がたくさんあってドリフトの邪魔(少しでも長く流そうとすると石で引っかかる)をするような川ではティペットは長めでもリーダー全長は短いほうが扱いやすい。通常のドラッグ回避のように石の上にラインやリーダーを置くようにキャストすることで長いリーダーでもドリフトしやすくなるが、そもそもの話しとしてもしそうするなら必要以上に長いリーダーは不要で、素直に石の上にラインを置けばよいしそのほうが圧倒的にトラブルが少ない。 

ロングティペットが本当の意味で有効なのはフリーストーンのラフな水面のみ(私的見解)

ダウンでのライズ狙いや鬼怒川のように広い川でもフラットなポイントが多い場所だとティペットはあまり長くせず、リーダー全長も12フィートや14フィート程度にしてドンと投げて小細工せずにそのまま流すことも多い。鯉釣りの場合も同様。忍野のような流れでライズを狙う場合はドリフト距離を極力短くしたくリーダー全長9フィート程度のときもあるほどで、対岸のピンポイントをロールキャストで狙う場合は6-7フィートのときもある。ボトムに張り付いている魚を引き出す場合は長めのドリフトを必要とするが、浮いている魚なら短いドリフトでドラッグが掛かる前に勝負したい(ここでいう「長いドリフト」とは広いポイントで数m以上流すようなレベルの話であり、一般的なドリフトの長さよりずっと長いものを意味している)。

(ザワザワした流れでなく、波が立たないフラットな水面での話になるが、)なぜなのか。

アップ(+クロス)でもダウン(+クロス)でもフラットな流れ(に限ったことではないが...)でシビアなライズを狙うときはフライ先行が原則。スレていない魚ならあまり関係ないが、フラットな流れのスレた魚はティペットそのものや屈折によるティペットの影(このことについては別のエントリで話したい)を見破るので団子状のスラックは禁物。そうなると、ダウンだとストレートやカーブ気味でフライ先行、アップだとU字やV字でフライ先行にすることがどうしても求められる。

ダウンの場合は必要以上にティペットの長さはいらない。長いドリフトでライズ地点まで流し込むような釣り方、具体的には魚の視野に入らない距離からフライを流さないと喰わない場合や立ち位置の都合上そのようにしか流せない場合などもあるが、水面がある程度安定している場所やフィーディングレーンにフライからライン先端まで乗せられるような直線的な流れがないと難しいことが多い。安定した流れであればティペットが暴れにくいので、長いティペットにスラックを入れて長い距離を流し込むことは可能。ただし、ただ単に一直線に流すなら長いティペットはあまり意味がない。フライラインの存在を遠ざけるなら意味はあるが、その場合はティペットの長さというよりリーダーの長さやリーダーとラインを置く場所の問題だろう。

必要以上に長いドリフトはティペットがナイロンだろうがフロロだろうが、ライズ地点に到達する前にドラッグがかかってしまったり、ライズ地点を通過する際にティペットが団子状になってしまうことがあるからだ。スリックウォーターだとこれが顕著で、そうなると長いティペットもあまり意味をなさない。

アップの場合はダウンよりは長めのティペットが有効だが、フラットな水面ならフリーストーンで使うような長いティペットはいらないだろう。ダウンの場合はフライがフィーディングレーンの延長線上を少し超えるようにキャストし、着水直前(フライの浮力や魚への影響が少なければ着水後にでも)に少し引き戻してプレゼンテーション位置をコントロールすることも多いが、アップの場合にこれをやると当然ながらティペットが張ってしまいスラックが入らずフライ先行にもならないし、まずやらないだろう。したがってV字かU字で落とすことになる。つまりアップの場合はダウンと比較してフライの着地地点をコントールしにくい(あくまでもダウンと比較してという話で、通常はコントロールに問題が生じるレベルではないが...)。そのため必要以上にティペットが長いとライズ地点までのレーンからズレやすくなるし、長いドリフトもダウンの場合と同じ懸念がある。

結果、フラットな水面でのライズゲームは釣り上がりのときよりティペットが短くなり、それに応じてリーダー全長も短くなる。ただし、その場合でもティペットがピンと張った状態でのドリフトは好ましくない。ドラッグ回避は勿論だが、魚がフライを咥えたときにティペットに緩みがあったほうがフッキングしやすい。水の抵抗が少なく吸い込みやすいからだ。特にダウンだとすっぽ抜けしやすい。

川の規模に関係なくリーダーやティペットの長さがほぼ固定の人もいると思う。考え方は人それぞれなので否定はしないし、遊びなんだから好きにやればいい。私の極端な?スタイルも上述したが、あくまでもそれは私の好みであり、私の考えが正しくて他がダメだとは微塵も思わない。

ただ、、、少なくともフライをはじめて間もない人が無闇に全長18フィートを超えるようなロングリーダー・ロングティペットシステムを使うのだけはおすすめしない。特に小渓流・狭い川では論外だと思う。ロッド先端からラインが出ていない・出せない状態でのキャスティングを強いられるシチュエーションが多く、相当難儀するだろう。硬いロッドなら尚更(細長いティペットに対するスラックを自在にコントロールするには硬いロッドは明らかに向いていない)。慣れていないからこそ長いティペットの意味を理解できるよう、適材適所で調整したほうがよい。それを経て、自分のスタイルに合ったリーダーシステムがわかってくる。

フライをはじめた人に対して最初からロングリーダー・ロングティペットを使わせる風潮には異議を唱えたい

フライをはじめた人が魚を釣る前にリーダーシステムのトラブルで戦意喪失してしまうことが「めんどくせー、もうフライやーめた!」にも繋がりかねないと本気で危惧している。長いティペットの効果やドリフトの重要性などを未経験および経験の少ない人に説いてもすんなり理解できないはず。難しいテクニックや方法論は慣れてからで十分間に合うし、そのほうが実体験として理解しやすい。

主観が入りすぎて!?話が逸れたのでまとめる。

一般的な渓流におけるロングティペットシステムの釣り方に限って言えば、重要なのは自分が必要とするスラックを入れられるだけのティペットの長さであり、リーダー全長の長さではなくバット+テーパー部とティペット部の比率の問題。別の言い方をすると「ターンオーバーさせようと思えばできるが、あえてしない」を実現できるシステム。このことを理解していないと「釣れないのでとりあえずバットもテーパーもティペットも含めて全体が長いリーダー」という短絡的な考えで釣りをしかねない。

メンディングしたときにフライが動かない長さがあれば十分

慣れないうちは適切なティペットの長さがわからないと思うが、「メンディングしたときにフライが動かない長さ」で考えれば目安になるだろう。プレゼンテーション後にメンディングを多用する人もいればほとんどしない人もいるが、ドラッグを回避しようとラインやロッドを動かしたときにフライが引っ張られなければよしと考える。更にいうと「使うであろう最大サイズ(最大空気抵抗)のフライをターンさせられる長さ」ともいえる。

そもそも、ライン側をカーブさせたり(具体的にはシュート時にラインごと前方に送り込んで先端数フィートを曲げる)、スラックを巧みに入れてドラッグを回避している人もいるとおり、テクニックさえあれば必要以上に長いリーダーやティペットを使わなくても釣りは可能だし魚も問題なく出る。個人的にはこのほうがテクニカルで好きだ。

喩えるのであれば、、、

<ロングリーダー・ロングティペット>
→AT車。投げられさえすれば特に何もしなくても魚が出る。

<ショートリーダー・ショートティペット>
→MT車。ライン操作がうまくできないと魚が出ない。

<ショートリーダー・ロングティペット>
→パドルシフト付きAT車。そのままでも魚を出しやすいが、適材適所で積極的にライン操作。

だろうか。

ロングティペットシステムはドラッグを回避するためにもっとも簡単で効率的かつ合理的な最適解であり、扱いに慣れてしまえば魚を引き出しやすいシステムなのは紛れもない事実。ゆえに、現代の渓流FFにおける(おそらく、)「マーケティング上の」メインストリームではあるが、皆が皆、長いリーダー+長いティペットで釣りをしているわけではないので注意したい。

ちなみに個人的に考えるロングティペットシステムのデメリットとしては、キャスティング時のトラブルより、ショートロッド(7フィート以下)で近距離を釣るときの合わせにある気がしている。たっぷりスラックが入っている場合、リーチの足りない短いロッドで近距離だと合わせのパワーがフックまでうまく伝わらず、慌てて追い合わせのようにラインを引っ張っる羽目になり、どうしてもワンテンポ遅れがちになる。特にファイバーグラスのロッドで顕著。結果バレやすい。もっとも、このようなロッドを使うシチュエーションでは必要以上に長いティペットは使わないと思うので、懸念として挙げるほどではないかもしれない。

誤解を招くエントリなので念のため追記しておく。

ロングリーダー・ロングティペットを否定しているわけではない。何が何でも全長がやたら長いロングリーダー・ロングティペットではなく、適材適所で使い分けるべき、ということ。そして、重要なのはリーダー全長の長さではなくティペットの長さということ。上述したとおり私自身はロングリーダー・ロングティペットのときもあるし、ショートリーダー・ロングティペットのときもあるし、ショートリーダー・ショートティペットのときもある。

人それぞれ十人十色、マーケットやメディアの情報を鵜呑みにせず、各々の考え方や好みで自由に楽しめばよい

そのうえで、「必要以上に長いリーダーはトラブルが多くなるが、ロングティペットは有効」という考えがあるので、自分の中で基準とする最適解としてヘビーショートリーダー(テーパー)+ロングティペットに落ち着いたということ。極端に狭い川や広い川、特殊な釣り方の場合を除き、具体的には(市販の7.5フィートのバット部カット or 市販の5フィートそのままの)5フィートリーダー+結び代スペーサー1フィート+ティペット6フィート(結び代スペーサーを入れない場合はその分ティペットを長く)の全長12フィートが基準で、状況によってティペットの長さを4フィート〜8フィートとしている。必要以上にスラックが入らないのでのけぞるような大げさな合わせは不要だし、狙ったところにスパスパ入るし、何よりトラブルレスでストレスフリーなのが気持ちいい。

推敲しないままのなぐり書き状態かつ読みにくい文章かつ長文で失礼しました!

ここで解説した内容は身をもって体験するのが最も効果的。Underwaterのフライフィッシングガイド・フライフィッシングスクールではフライフィッシングのトレンドは勿論のこと、トレンドやメディアに左右されない基本の「キ」も!

一方で、ロング"ティペット"ではなく、ロング"リーダー"が効果的な場面がある。その多くは湖やソルトウォーターになるが、これについてはまた別のエントリで解説したい。