2021/10/11

八重山列島(石垣島〜西表島)でフライフィッシングをやる場合の参考情報

<2024/01/22追記>
第一航空株式会社による石垣-波照間便が再開されました
https://dai1air.com/
https://dai1air.com/images/company/ishigaki_20231226.pdf
 

前回の宮古列島の続き、南西諸島における陸っぱりソルトウォーターフライフィッシングについてのお役立ち?情報。

今回は八重山列島(石垣島・西表島)の情報をお届けする。


Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

宮古列島のさらに先にある八重山列島。台湾に近いこともあり、ここまで来ると日本のはて感がある。宮古列島と同じくサテライト的な島(竹富島、小浜島など)が群がっているが、宮古列島と異なり橋でのアクセスはできず、各島間の移動は船を利用することになる。橋でつながっておらず島が隔離されていることから他の島の影響をあまり受けておらず、それぞれの島の個性が際立っている。フライフィッシング対応のガイドサービスも二、三あるので宮古列島と比較してフライフィッシャーは多い印象。それでも、奄美と比較するとかなり少なく、ガイドとゲストの組み合わせがほとんどで、ソロのフライフィッシャーに出会うことは少ない。

多彩な環境が特徴の八重山

八重山列島の特徴はその多彩さにある。石垣島や西表島には山が存在し、マウンテンアクティビティも盛ん。西表島はいわずとしれた秘境でもあり、海岸線の半分は道がなく陸路でのアプローチが難しい。また、石垣島と西表島はそれなりの河川が海に流れ込んでおり、河口部付近の海はやや透明度が落ちる。一方、竹富島に代表されるサンゴで形成される平坦な島もあり、宮古島同様、島全体に美しいサンゴに囲まれた透明度の高い海が広がる。ただし、宮古島某所のようなホワイトサンドの広大なドシャローは期待しないほうがいい。

まずは、石垣島から。

石垣島の北半分は山なので意外と雲が湧きやすい

宮古島同様ここも離島バブルによって観光客が激増した印象がある。新型コロナ禍でここしばらくは落ち着いているとはいえ、シーズン中は有名な飲食店への予約無しでの訪問はまず不可能なレベルだ。リゾート開発が進んでおり八重山の渡船基地でもあるため宮古島より観光客が多い印象があり、ハイシーズン中はリーフまわりも水遊びの観光客が多く釣りがしにくくなる。

さて本題の釣りに入ろう。

宮古列島と同様にドシャローで広大なフラットはあまりなく水深のあるリーフが多いが、感覚的な部分が多いとはいえリーフに関しては宮古島より立ち込みやすい印象がある。対象魚も宮古列島と同様にトレバリー、トリガーフィッシュ、クロダイ系、ハタ系、フエ系(フエフキ・フエダイ)になる。河川の河口付近や港周辺、マングローブ帯ではターポンが狙える。クロダイ系に関してはミナミクロダイとナンヨウチヌになるが、ミナミクロダイが多い印象。それでも、奄美や沖縄本島と比較すると数は少ない。

沖縄県最高峰の於茂登岳を抱える石垣島。西表島ほどではないが、山が多く雲が湧きやすい傾向にある。エリア別の特徴として、北側から南側にかけての島の東側はリーフエッジがしっかり発達したサンゴ帯が広がるため、カスミや大型トリガーは狙い目。また、小規模ではあるが途中いくつか存在する河川流れ込み付近にサイトがしやすい砂州や干潟のフラットが広がるので、リーフの潮位が高いときにおすすめ。西側は有名なビーチ付近を除きリーフエッジの発達していない海岸線が多く、比較的急深な箇所が多いが、フライで狙いやすい広いシャローもいくつか点在する。

島西側に広大なシャローが広がる

ドシャローフラットでのサイトフィッシングをメインにするなら西側の超広大な湾、超有名な某湾付近のシャローに絞るか、各所インリーフ内にいくつか存在する流れ込み付近の砂州がよいだろう。西側の湾は大潮のときの干潮時に広大なシャローが広がり、太陽の角度や風向きに合わせてポジションも取りやすいので、私はここに一日入り浸ってしまうことも多い。ここはミナミクロダイとフエ系、トレバリーがメインになる。この広大なシャローは大潮の干潮時には数百メートル沖まで歩けるが、潮が完全に引ききらない場合は広すぎ+単調ゆえにポイントが絞りにくいので初見だと苦労するかもしれない。2024年6月現在、チャンネル付近は全体的にウィードが短くなってしまい、泥をかぶって枯れてしまったような様子。しばらくすれば復活するだろうが、五目系の魚影が薄くなってしまった印象をうけた。

なお、上述したが、インリーフでの釣りは宮古島よりしやすい(と思っている)。潮位次第だが、砂州や干潟のフラットでの釣果が思わしくないなら、島西側北向きのインリーフか東側のインリーフで五目釣りをしつつ、トレバリーのサイトフィッシングに勤しむのもよいと思う。ゴマモンガラやカスミを狙いたいならむしろこっちがメインと言える。

いずれのエリアも対象魚は豊富で、インリーフではトロピカルフィッシュの五目釣りも楽しめる。タックルは好みだが、ここも例にもれずロッドは#8前後としたい。ミナミクロダイの数は多くないので、宮古列島同様にクロダイ系を専門に狙わない限り#6ロッドは不要だと感じる。

ちなみに、石垣島に限ったことではないが、少々規模のある河川下流域やマングローブ帯は陸路でのアプローチが困難なことが多く、カヌーやカヤックがないと釣りにならないポイントも多い。干潮時には河口から歩いていけるが、河川のチャンネルを読み違えると潮位が高くなったときに陸路で帰れなくなるので、地形と退路を把握している場所以外ではおすすめしない。ヤブを突っ切るのはハブ遭遇の可能性が高い。なお、大きめの河川は大潮の下げで激流になるので注意してほしい(激流の中にも魚がおり、トップで喰ってくる...)。

ボトムのマテリアルは宮古島より複雑

河川の流れ込みが多いため宮古島よりボトムのマテリアルが豊富だが、奄美ほど複雑ではないので通常のフラットシューズで問題ない。とはいえ、万能なのはやはりフェルト底のシューズ。慣れていない人orケガが心配な人限定だが、サンゴの多いリーフではスネを守るため夏の山岳渓流で使うゲーターを履くのをおすすめする。なにを大げさなと言われてしまうが、サンゴには刺胞毒がありサンゴ皮膚炎になることがあるので油断できない。ウェアは典型的な南の島ソルトFFスタイルでなんら問題ない。宮古島同様に沖縄本島より若干暑く水温も高い。

リーフでの立ち込みは十分注意してほしい

奄美編でも宮古列島編でも触れているが、リーフでの釣りは経験者との同行をおすすめする。宮古島と比較して深く切れ込んだリーフギャップ(スリット)の数が多いので要注意。慣れてくればソロでもいけるが、山岳渓流と同じ程度のリスクはあるので、十分な安全対策とリーフに関する知識は頭にインプットしておいたい。シュノーケリングに適したビーチは岸近くまで生きたサンゴが多く、魚種が豊富で魚影も濃い分釣りには適しているが、ここもやはり海水浴シーズンでの釣りは難しい。

飲食店に関しては、中心部はもちろん各所に散らばっているので困ることはないと思う。ただし、最北端付近には少ないので注意したい。自販機も困らない程度にはあるが、集落を離れると皆無なのでドリンクは買い込んでおいたほうがよい。ちなみに北端の平久保エリア東側の道路は原則としてゲートで閉められておりアプローチが困難なので対象外エリアとしてよいだろう。

なお、奄美や宮古と比較して漁港が少な目なので、フラットの釣りが思わしくなかった場合などの夜のチョイ釣りはあまり期待しないほうがよい。

次は西表島。

西表島は駐車スペースが少なくエントリーが難しい

いかにも熱帯雨林的な様相は、やんばる@沖縄本島や奄美が好きな人にはベストマッチな島かもしれない。説明するまでもないと思うが雨が多い。少なくとも私が訪れた際、スカッと晴れたことが一度もない。

陸路かつショアからのウェーディングではこの島の魅力とポテンシャルの半分も理解できないまま終わるだろう。残念ながら私もそうだ。

まず、道路が島半分(南東側から北西側)しかない。そのため、道が通っていないエリアは捨てることになる。道路がないエリアは船でしかアプローチできない干潟とリーフがほとんどで、南岸は断崖絶壁かつ陸付近にかろうじてリーフがある程度なので、船を使わず足で稼ぐショアからのフライフィッシングに限定すれば無視しても問題ない。

また、集落以外の道中で車を止められる箇所がほとんどないのと、海まで出られる小径もあまりないことから、エントリーポイントが限られる。そのため、エントリーポイントから大きく横移動してしまうと、潮があげてきたときに陸へあがるルートが閉ざされてしまうことがあるので注意したい。特に大潮のときは油断できない。

南東から北側にかけては手前がマディフラットで奥がリーフフラットといったポイントが多く、北西側は比較的手前からサンド→リーフが多い。

大きな島なのでポイントは多いのだが、遠征組がふらっと訪れて安心して釣りができるポイントは意外と少ない。個人的に安心して釣りができると感じるのはその北西部のリーフと北西部集落手前の干潟、その手前に各所ある北向きの干潟〜リーフ。干潟ではナンヨウチヌやミナミクロダイ、オニヒラアジのテーリング狙い。リーフではトロピカル五目とトレバリー、トリガーとなる。ちなみに、北西部集落手前の干潟は大潮の干潮になるとほぼ水がなくなり釣りにならないので、ド干潮を外した下げ7分〜上げ2分〜がおすすめ。

西表島はインリーフやフラット、干潟でのサイトフィッシングを楽しむ島というよりは、マングローブを船(カヌーやカヤック)で攻める島だと感じる。そうなると自艇を持ち込める人以外はガイドフィッシングがメインになるだろう。私はフラットでのウェーディングを好むためカヤックフィッシングの経験がなく詳細はわからないのだが、ナンヨウチヌやミナミクロダイ、マングローブジャックやターポン、メッキあたりがメインになるのではないかと思う。ソルトな魚にこだわらなければ、川を遡ってオオクチユゴイもターゲットになる。カヤックフィッシングをはじめとして様々なスタイルで釣りをするのならともかく、南の島感たっぷりのインリーフでの釣りを望むなら西表島は外してもよい。ただし、ナンヨウチヌを狙いたいならほぼ西表島一択になるので、その場合は西表島を外すことは考えられない。

ちなみに、島の規模に対して飲食店はとても少なく、その多くは北西部に集中している。自販機もかなり少なく、ドリンクは事前に買い込んでおくか飲食店でまかないたい。それと、西表島は御存知の通りイリオモテヤマネコの生息地であり、車による交通事故も多い。セマルハコガメも道路にいるので、時速40キロ以下での走行を心がけたい。西表島で本気で釣りをしたいなら、石垣島から日帰りで訪島するのではなく宿泊を前提としたほうがよい。船の時刻表的には十分日帰り可能だが、後述する欠航のリスクがあるので弾丸釣行はおすすめできない。

西表島マナーブック

そして、竹富島。

竹富島はリゾート感たっぷりで釣りをする雰囲気ではない

いわずとしれたリゾート島、竹富島(支払い義務はないが、入島料300円)。ここに来る人は某高級リゾート目当てに宿泊するか、石垣島に宿泊して日帰りで訪島するかが多いだろう。宮古島と同じくサンゴ礁が隆起してできた平坦な島であり、周辺の海はとてもきれいだ。そのため、観光客と水遊び客がとても多く、ロッドを振るのをためらってしまうシチュエーションが多い(ただし、騒がしいのは最終の船便が出るまでの昼間だけ)。シャローが多いためサイトフィッシング好きにはたまらない環境だが、個人的には釣りのため(だけ)に訪島することは避けたい島だ。西側と東側の一部を外せば人は少ないので、どうしても釣りがしたいならそのあたりになるだろう。ただし、南側のリーフはやや深いので、大潮の干潮付近での釣りをおすすめする(立入禁止区域注意)。飲食店は石垣に囲まれた雰囲気のよい中心部に集中しており、困ることはない。ただし、自販機は多くないので注意したい。

その他の島々。

他のサテライト的な島は観光ついでならともかく釣りメインでいくほどではないかも

申し訳ないが、黒島や小浜島、波照間島に関しては私自身釣りはしていないので情報は持ち合わせていない。黒島は多良間島よりワンサイズ小さく、石垣島からふらっと日帰りで訪れても攻めやすいはずだ(一部界隈で注目度が高まっている印象)。竹富島よりは観光客が少ないので釣りはしやすいはず。他にも小規模な島があるが、一般人が気軽に行けない島だったり立入禁止区域があったりするため対象外としてよいが、誰も来ないところで釣りがしたいのならオススメ。小さい島とはいえ観光客はそれなりに渡ってくるので、島の規模に対して飲食店は意外とある(とはいえ、多良間と同程度)。最後に与那国島。ここは私にとって未踏の地なので情報がない...。島の周囲のほとんどは断崖絶壁だと思うので、フラットでのフライフィッシングの対象にはならない気がする。フロンティアスピリットの持ち主ならガチ探釣もアリだと思うが、観光に訪れたときにサーフ付近で竿を出せるかもしれない程度と考えてよいだろう。

北風による船舶の欠航に注意

八重山列島は各島が橋でつながっていないため、宮古列島のように気軽にポイント移動することはできない。そのため短期遠征で島々を巡って釣りをするのは難易度が高いが、石垣島からの船がしっかりあるので、スケジュールをうまく組めば2泊3日程度でも2-3島は制覇できるだろう。ただし、石垣島だけでも1日でまわるのは難しいので、まずは石垣島をくまなく回ってみて、次回の遠征から足を広げていくパターンをおすすめしたい。波照間島に関しては延期となっている石垣―波照間路線の運航が再開すれば再開されたのでアクセスが容易になるだろう(ただし便数は少ない)。

なお、石垣島宿泊基準で各島を日帰り渡島する場合、荷物はできるだけ減らした方がいい。西表島以外はレンタサイクルやレンタバイクが基準で、場合によっては徒歩になるからだ。私はスペアロッドもラインバスケットも持ち込まないことが多い。

海のキレイさとスカッと晴れた南の島を味わいたいのなら、河川が多くまた雲がかかりやすい石垣島と西表島ではなく、竹富島や黒島、波照間島などの隆起サンゴで形成された小規模な島をおすすめする。宮古ブルーが好きな人には共感していただけると思う。

なお、船は天候による欠航や最終便繰り上げが多い。石垣島へ帰島できなくなり訪島した場所で強制1泊(では済まない場合も...)を強いられる可能性もあるので、スケジュールには余裕を持たせたい。特に10月〜4月頃までは北風が強く吹く気圧配置になることが多く、西表島の場合は北向きに開けた港から北ルートで航行するルートは高い確率で欠航になるので十分注意したい。北ルートが欠航になると南ルートでしか帰れなくなる。北ルートで帰島する予定で北西部で釣りをしている場合、北ルートで予約していても南ルートで帰るために島半分を走行して南側の港まで移動しなければならない。思っているより時間がかかるので(時速40キロ以下で!)、釣りをしている最中も欠航情報(メール登録 or Twitter通知)には常に目をやりたい。

このようなケースが多いことから、レンタカー会社によっては予定していた営業所への返車ではない営業所への返車(たとえば、南ルートで訪島して北ルートで帰る予定の場合は北ルートの港付近の営業所への返車となるが、南ルートでしか帰れなくなった場合に元々の営業所へ返車)も可能としている。ちなみに、北ルートも南ルートも海が荒れてなくてもそれなりに揺れるので、心配な方は酔い止め薬を忘れずに。

運航状況メール配信サービス@安栄観光

運航状況@八重山観光

個人差はあるが、日差しが強く立ち込んで寒くないと感じるのは5月からで、10月になってもウェットウェーディングは余裕で楽しめる。ただし、ここも10月に入ると気圧配置が変わり、日によって北風が吹き出すことが多いので、北向きのポイントが集中している西表島は特に厳しくなる。どういうわけか南西諸島の島々は北向きにフライ向きのフラットが広がる傾向があり、夏場は順光追い風で釣りやすいが、秋冬はポイント選択に苦労する。

八重山とはいえ常夏ではないので、冬場に訪れても寒くないグアムやサイパンのイメージで行くと失敗する。真冬はフラットに上がってくる魚が少ないため厳しくなるが、秋は11月いっぱいくらいまで、春は3月くらいから釣りになる。ただし、この早期・終盤の時期は天候次第で寒さを感じることが多く、個人的にはおすすめしない。いわゆる熱帯の島でのソルトFF感を味わいたいのなら暑さを感じる5月〜10月が適しており、基本的に私が好んで通うのはこの時期だ(正しく言うと、南の島FFは暑くないと気分が乗らないので釣欲がわかない限り基本的には行かない笑)。これまでは海水温上昇と観光客の問題から8月は避けていたが、ここ2-3年の海水温を考えると台風後を除き7月も厳しくなってきた印象がある(シャローはほぼお湯)。今後は7月も避けるかもしれない(9月は台風に悩まされるが、引っ掻き回されて水温が下がるので比較的釣りやすい)。

ちなみに、奄美も宮古も同様だが、八重山は梅雨時でも一日中雨ということは少なく、天気予報も当てにならない。梅雨時は航空券が安く実は狙い目。湿度が高く不快なのが唯一の難点か。

ガチ釣りに疲れたらトロピカルフィッシュ五目釣りをどうぞ!

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