シーバスとともにソルトFFの入門ターゲットとして定番のメバル。条件が良ければ管理釣り場のニジマスのような入れ食いになることも珍しくはない。漁港でのフライフィッシングそのものについてはこちらのエントリを!メバルの実際の釣り方に関してはこちらのエントリを!
巷の教科書ではメバルやアジ、カマスなど海小物のフライフィッシングには#6ロッドと、猫も杓子も記載がある。確かに、堤防から外向きに投げたり、足場が高いところのゲーム、アベレージが大きい場所、風の強い日、高いシンクレートのシンキングラインを引っ張るなら9フィートの#6あたりが無難だろう。私もメバルをフライで狙いはじめた当初はこの番手がメインだったし、いまでも状況によってはそのクラスのロッドを持ち出すことはある。
だが、そのようなセオリーには一石を投じたいと思う。
メバルに#6ロッドはオーバースペック
地方の恵まれた環境ならともかく、ショアから20cmを超えるメバルを釣るのが簡単ではない首都圏エリアでは、#6ロッドはオーバースペック。キャスティングだけではなく、足元を狙うような釣り、あるいは、係留してある漁船とそのロープをかわしながらの釣りとなると、いわゆる9フィート#6といった定番スペックでは取り回しが悪すぎる。広い場所やある程度投げての引っ張りの釣りなら問題ないだろうが、フライに向いたこじんまりとした漁港ではその長さと強さが仇になり、まったく使い物にならない。
メバル狙いのフライロッドは#4がベスト
個人的にメバル狙いのフライロッドは#4がベストだと信じて疑わない(異論は認める)。魚のサイズ的には#3でも十分だろうが、ウェイトの入ったフライを投げたり、ソルト特有の風、何がかかるかわからない、といった保険も含めて#4。長さは7フィート半から8フィートの間が取り回しがよいと思う。足元だけの釣りなら7フィート以下でもよいが、キャスティングして引っ張りの釣りをやろうとすると7フィート以下だとやや短い。ちなみに、このロッドのスペックはメバルに限らず、漁港の五目釣りにうってつけのスペックとも言える。アジ、カマスはもちろん、ムラソイやカサゴ、ムツ、メッキ、ネンブツダイ、ベラ、アナハゼ、その他諸々、このタックルでいける。
ラインはシューティングヘッドの#7-8を後端からロッドに合わせた適切な重量になるようにカットし、モノフィラ6号前後をランニングラインとして繋ぐ。これが最適な組み合わせ(もちろんフルラインでもOK)。シューティングヘッドのシンクレートはフローティングとインタミ/タイプ1とタイプ4があれば事足りる。タイプ6に関してはアジやカマスを狙わない限り必要性を感じない。メバルがライズしているときやうわずっているときは、フローティングのヘッドよりフルフローティングのフルラインのほうが使いやすいと伝えておこう。作るのが面倒な人は、漁港FF用シューティングライン一式(ヘッド+ランニング)をUNDERWATER ONLINEで購入!
テーパーリーダーは使わない
リーダーに関してはテーパーリーダーは使わず、フロロのティペットをバット部とティペット部にわけ、繋いで作る。3X-5Xのティペットを常用とした場合、バット部は0X程度で問題ない。バット部が太すぎると繊細な当たりが取れないが、重いフライを多用する場合はコントロールバットとしてバットを太くしたほうがよい。ただし、0Xに4Xや5Xを直接接続すると結束が甘くなるので、細めのティペットを使う場合は、スペーサーとして間に2Xや3Xを入れることをおすすめする。この場合はバット部1セクション+ティペット部2セクションにな)。2段落とし、たとえば、2Xに4X、3Xに5Xなら違和感なく結べるはず。極小のフライを結ぶときは7Xまで落とすこともある。一つ一つのティペット長さはそれぞれ1-3フィート以内にとどめ、すべてのティペットを繋いだリーダー全長は4-7フィートとかなり短くして使うことが多い。この長さだと慣れないうちはオーバーターンしやすいので、普段より力まず、瞬間的な力の入力ではなく、ややドリフト気味にキャストするとうまくいくはず。
このシステムの場合セクションが短いため、頻繁にティペットやフライを交換するならリーダー側にループを作るか、リーダー側とティペット側をループtoループにする方法で毎回短くなるリーダー側の結びシロを温存する方法もあるが、ノットが苦痛でなければ気にしなくてよい。
テーパーリーダーを使わないのは、バット部が水の抵抗をうけなじまないためで、リーダー全長が短いのは、長くすると当たりが取りづらいため。湖での引っ張りなどで棚ボケ回避のためテーパーリーダーを使わないことがあるのと同じ理由。長くする場合でも少なくともロッド全長より長くしないほうが無難。フルフローティングあるいはフローティングのヘッドの場合がもっとも長く、ヘッドのシンクレートが高くなるにつれ全長を短くするようにしている。
このシステムならキャスティングしての引っ張り、落とし込みのサイト、どちらでも対応できる。
と、一例を挙げたが、リーダーシステムはお好みでよい。ただし、市販のノットレスリーダーでも、自作のノッテッドリーダーでも、引っ張りの場合は全長を「短めに」というのがキモで、棚ボケを防ぐためシンクレートが高くなればなるほど全長を短くするというのが理想だ。なお、市販のノットレスリーダの場合は8フィート以下のもので、バットとティペット部をカットしてテーパー部だけ使う。
リールは手持ちの安物を流用しよう
リールは安物で構わない。ソルト対応のウン万円、下手すると10万円を超えるようなガチなリールは出番なし。シーバスやショゴのようなそれなりの外道がかからない限りリールファイトはまずあり得ない。フライを始めたときに買ったような安いリール、手元に残っていないだろうか。
フライに関してだが、これからメバルを始めるなら、まず最初は使い古しの渓流用のニンフでも構わない。小物専用漁港フライもあるので作るのが面倒な人はぜひ試してみてほしい。メバル用に新規にタイイングするなら、白っぽい小さいものからはじめてほしい。メインのサイズは#10-16番程度。思っているより小さいと感じるのではないだろうか。もちろん、シーバス用のゾンカーやクラウザーミノーなどで釣れないこともないし、大きいフライを使えば大きいメバルがかかるのも事実。
ただ、悲しいかな、、首都圏エリアでショア、特に漁港で釣れるメバルの多くは15-10cmが多く、下手をすると10cmもない...。釣りたいのならそれに合わせるのが吉。また、20cmを超えるようなメバルであっても、小さいベイトやプランクトンを捕食していることが多く、偏食しているときは対象物にサイズを合わせないとなかなかバイトに至らないことも多い。そう、そんな状況になると渓流のライズゲームとまったく同じ。なお、どんなフライがよいかわからない人はUNDERWATER ONLINEをどうぞ。勝手がわからない方へのガイドも行っているのでぜひどうぞ! 実際の釣り方に関してはメバルをフライで釣るコツを!
15cmもあれば#4ロッドをギュンギュン絞り込むだろう。同サイズのヤマメとは比較にならないほど引きが強い。パターンにハマると、ルアーフィッシングでは太刀打ちできないほど爆釣する。
渓流しか経験のない方こそ、この秋冬はメバルにチャレンジしてほしい。手持ちの渓流タックルがそのまま使えるが、ロングリーダー・ティペットを扱うことに長けたパラボリックなアクションのロッドや腰のないタイプのベナベナなグラスロッドだとシューティングヘッドのキャスティングでやや難儀するので、ミディアムファスト〜ファストのロッドをおすすめしたい。素材はグラファイトでもグラスでも構わない。
ソルト特有の注意点がある
ロッドにしろリールにしろ、使用後は必ず真水で洗浄すること。ロッドに関しては、ガイドリングのまわりやフットが塩ガミしやすいので指で丁寧に洗いたい(より丁寧にやるなら歯ブラシで)。海水が留まりやすいリールシートもしっかりと。リールに関しては、ドラグシステムの構造にもよるが、水に浸けるより高めの水圧で水を直接掛けたほうが確実。なお、ディスクドラグのリールならまとわりついた海水の浸透を避ける意味でドラグはMaxに締め込んでから行ってほしい。錆より怖いのが塩ガミで、一度固着すると取るのは難しい。ワンウェイクラッチが塩ガミしてしまうとそのリールはアウトだろう。煮沸することで塩ガミは解消できるケースがあるが自己責任で(汎用的なワンウェイクラッチであれば巷のアフターパーツで換装可能)。もちろん、ソルト対応リールだとしてもできるだけ海水にリールを浸けない・リールが海水を浴びないようにすることがもっとも重要かつ効果的な対策なのは間違いない。
フライラインはリールから引き出してお湯に浸けて洗浄しよう。洗浄した後のラインクリーニングを忘れずに。メバルゲームで使うリールに巻くバッキングラインは大した量ではないし、釣り場で引き出すこともないと思うが、紫外線と塩でそれなりに痛むので、釣行回数が多めの人は定期的に点検して必要に応じて新品と入れ替えよう。もったいないなら、別の渓流用のリールで使い倒したバッキングラインを転用してもOK。その頃にはシューティングヘッドのランニングラインもキンク癖がついて傷んでいるだろうから、こちらもついでに新品と入れ替えることをおすすめする。
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#4ロッドに合わせたシューティングヘッド作り方、すなわち、既製品のヘッドのカットと調整の仕方、メバル用フライついては、また別の機会に解説したい。実際の釣り方に関してはメバルをフライで釣るコツを参照願いたい。
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