2021/01/09

フライフィッシング系の雑誌ひいては他メディアや業界に関して苦言(もとい提言)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

いきなりケンカをうるようなタイトルだが、率直に申し上げたい。

誤解を避けるために先にいっておくが、特定の人やメディア、メーカーやショップに対しての意見ではない。私が常日頃なんとなく感じている(感じてきた)、喉の奥に小骨が刺さっているような、なにか引っかかるような違和感に対して意見を述べる。

新規参入者が乏しく高齢化が著しいフライフィッシングは、一見すると斜陽といってもよいかもしれない。フライフィッシングが大好きな自分がいうのは本当に悲しいが、概ねあたっているだろう。唯一の救いは、コロナ禍でアウトドア系アクティビティが注目され、釣りを始める人が増えていることだ。そのうちの何%がフライフィッシングをはじめてくれるのかはわからないが、ある程度期待はしたい。

アニメ『スローループ』の放映には新規参入者を増やすトリガーとしてうまく機能してほしかったが、残念ながらフライフィッシング業界あげてのコラボなどプロモーションはなかったようだ。若手やフライフィッシングに縁のなかった人にリーチする可能性の高い、せっかくの千載一遇のチャンスをうまく活かせなかった、いや、活かそうと思わなかったのだろうと言わざるをえない。もっというと、本当に新規参入を増やしたいと思っているのか?と疑ってしまうほどこの業界は無関心だったのではないかと本気で思うし、とてもがっかりしている。

フライフィッシングは新陳代謝の乏しい遊び

新規参入↓楽しんでいる人の年齢↑を考えれば、フライフィッシングは新陳代謝の乏しい遊びといえる。それは雑誌含むメディアにもいえることで、野外という季節性の高いフィールドが主戦場となるフライフィッシングにおいては、月刊・季刊に関わらず、毎年同じ時期に同じような特集が組まれることがどうしても多くなる。そのうえで、新陳代謝が乏しく人の入れ替わりが少ないとなると、メディアに登場する方も代わり映えしないということになる。メディアに登場しているプロの方はなんら悪くないのだが、メディアに登場する人もメディアから情報を得る人も、同じように歳を重ねていった先に何が待っているかは想像に難くない

とらえかたによっては、登場人物と季節モノの記事が長年アップデートされていないことが、雑誌がつまらなくなる最大の問題ともいえる。

過去にしがみつく旧態依然なフライフィッシング業界

音楽業界ではスタジアムツアーも難なくこなす大物アーティストもいればほぼ無名のアーティストもいて、リスナーはいちいち区別して考えていない(聴いていない)。それこそ、CDといった物理媒体ではなく配信が多くなり、SoundCloudやYouTubeなどで活躍するアーティストもたくさん出てきており、そこで発掘されるすばらしい曲やアーティストも多くなっている。むしろそっちが主流の時代だし、プロとかアマとかの区別も曖昧。売る側も買う側も変化している。そしてそこにはメディアに露出しているアーティスト(のみ)が優れているといった情弱な評価はない。

フライフィッシング業界はどうか。

レジェンドたちの功績は揺るぎない確かなものではあるが、いつまで経ってもそれに頼っているようではこの業界は何も変わらない。20年も30年もこれまで一体この業界は何をしてきたのだと、小1時間いや四六時中問い詰めたい。敷居を低く、もっとフレンドリーに、もっと幅広い人達、特に若い人たちフォーカスを当てようではないか。

誤解されるかもしれないので補足するが「同じ人を何度もメディアに出すな」ということではなく、「まだ見ぬ誰かを発掘してほしい」ということ。音楽で喩えると、新しい楽曲やアーティストを発掘する=Digる(ディグる)行為を、メディア側で(も)積極的に行ってほしいということだ。

特定のプロに対して一部に熱狂的ファン(悪く言えば信者)がいるが、フライフィッシングという遊びの中であり、他人に迷惑をかけていないなら問題ない。また、プロやメーカーなどが自分のお客様に対して手厚いサービスを提供したり、自社製品やサービスを積極的に売り込むことはビジネスという意味で至極当然のことであり、まったく問題ないし、好き嫌いはあれど誰も何もいわないだろう。

問題があるとすれば、そうした一部の方の情報(考え)やスタイルがあたかも普遍的であるように見立てて発信するメディアかもしれない。ただでさえ自分と違うスタイルに対して批判的になる人の多いフライフィッシングという遊びにおいて、偏った情報は分断を煽る原因にもなりかねない。この業界は狭く、◯◯さんの知り合いが◯◯さんだったりすことはよくあることで、だからこそ特定の人たちで楽しむ(≒楽しんでいるように見えるような)内輪ノリもやめたほうがよい。

みんなちがって みんないい

私の考えは常にこれだ(フライフィッシングという趣味に対してももちろん、仕事に対しても、生き方に対してもこの考えをベースにしている)。

キャスティングもタイイングも実釣も、一般的に「こうしたほうがよい、これが基本だ」というものが存在する。だが、最適解は人それぞれであり、自分自身がアジャストしていくものだと思う。しかし、フライフィッシングをはじめて間もない人や経験はあるがあまりやっていない人にとっては、普遍的な考えや基本的な考えというものがまだあやふやだ。ある程度経験しないとアジャストの仕方もわからない。一応、このBlogはそうした方に対してのアジャストの仕方を助言している(つもりだ)。

そうした人に対して、偏った情報(考え)や特定のスタイルをあたかもメインストリームのように一方的に垂れ流すのはやめるべきだと思う(ここでいう偏った情報というのは単に普遍的ではないという意味ではなく、販促ありきの広告的な情報という意味も含んでいる)。その一つとして、ロングリーダー・ロングティペットに関してここで私的見解を述べた

フライフィッシング関係に限らず、メディアに対してスポンサーがバックにいてスポンサーがいないと成り立たないことに関して消費者はみんな理解しているが、本当にそれがよいと思うのか、本当にそれが最適解なのか、今一度考えてほしい。お仕着せの情報を発信してもそれで騙せるのは経験の少ない方に対してであって、残念ながら経験者にはお見通しだろう。

インターネットには良い・悪い、本当・嘘という情報が散らばっている。何が真実なのか見抜く力は必要だが、よい意味で確実に「正しいマイナスな情報」はある。一方、雑誌含む旧メディアはどうか。

フライフィッシング系雑誌はつまらなくなった

日本のフライフィッシング系雑誌はほぼ創刊当時から読んでいるが、本当につまらなくなった。かつてのブームが去って消えていった雑誌もある。それは、自分の経験値が増してつまらなくなったということではないハズだ。初級者(というようなレベルのくくり方はあまり好きではないが)向けの内容ではないし、かといって、経験者を唸らせるような内容でもない。どちらかというと読み手のターゲットが絞れておらずニーズもつかめていないような、発信側の都合で構成された内容と感じる。一応断っておくが、上述したとおりスポンサーがいれば、発信側の都合で構成すること自体はなんら問題ない。

つまらない=目新しさがなくなった、とも捉えられるので、そういう意味では多少なりとも日本においてもフライフィッシングというものが成熟してきた証ともいえるが、言い方を変えると頭打ちになっているということだ。

フライフィッシングには様々なカテゴリがあり、各々の好みも千差万別だろう。それらをまんべんなく網羅しようとすると、どうしても大味になってしまうのが悩みであり、つまらなくなってしまう要因の一つなのだろうと推測する。渓流のフライフィッシングを嗜む人が多いと思うが、渓流はメソッドがほぼ確立されており目新しいトピックがない。それゆえに、渓流特集をやるとマンネリと云われ、ウェットフライや海外ソルトを特集すれば、嗜む人の割合が少ないゆえ興味ないと云われる。つまり、どんな記事にしてもつまらなくなってしまう。

個人的にはもうそれぞれのジャンルに絞った尖った内容でよいのではないかと思う。『SALT & WARM WATER FLYFISHER』がなぜこんなにも反響を呼んだのか、ヒントはここにありそうだ。

広告媒体と割り切るか、尖るか

釣り雑誌が売れない原因は単に出版不況だけではないと思う。もっと消費者に寄り添い、スポンサーの意向を汲み取った情報の垂れ流しではなく、業界を持ち上げていくつもりでやってほしいと切に願う。メディアだけではなく、メーカーもショップも同じだ。そうでないと、凝り固まった高齢者が高齢者に対して商売を行う、または、特定の派閥の中で内輪ノリで楽しむ、という完全なる斜陽産業に成り下がるだろう。ピークアウトするのはコロナだけでいい。

詳しくは知らないし表現が不適切かもしれないが、誰かと誰かの関係があまりよくない話なども聞く。単なる商売敵であればお互いに切磋琢磨しあってよい方向へ進みそうだが、実際のところどうなのだろう。狭い業界の中でパイを奪い合うのではなく、パイの面積を広げることに注力してほしい。

人口減は避けられないこの日本。どちらかというと年配の比率が高いフライフィッシングというジャンルにおいて、放っておけばこの先マーケットは必ず縮む。ブームは必ず去るし参入者が増えると様々な問題が起こるので無理やりブームを起こす必要はないが、専門誌も発刊できなくなるようなレベルまで落ちてしまってもよいのだろうか。フライフィッシング業界に携わる人はそれでもよいのかと、自問自答するべきだろう。

フライフィッシング業界はマーケットを広げようとする意識が絶望的に足りない

一応補足しておくが、たまに出るムック系はとても面白いので、そうしたものは消費者のニーズに合っているのだろうと思う(前述の『SALT & WARM WATER FLYFISHER』がよい例)。また、インターネット(特に動画配信、インタラクティブな企画)をうまく使うなど、消費者へリーチさせる方法はいくらでもあるはずなので、紙媒体に限定しないほうがよいと感じる。IT化が遅れている産業でもあるのだから。

某誌の大台記念号の特集は大変よかったので(私のまわりでも評判よいようだ)、今後も尖った路線でよいのではと思う。もっともムック的な作りになってきている気がするので、なおさらマッチする。そうなるとこれからフライフィッシングをはじめようとする人たちには酷かもしれないが、それはそれでそれ用のムックを出せばよい(すでに某誌がやっている)。

事情を知らない外野がゴタゴタ述べるなというのは理解しているが、消費者の一人として現状に危惧しているので一石を投じたい。

エントリの主旨から外れるが、少し追記したい。

残念ながら我々消費者側にも問題のある人がいるのも事実だ。自分と合わないスタイルを非難したりしていないだろうか。何かしら被害を被っているならともかく、同じ遊びを楽しむ同士なんだから気楽に楽しもうではないか。

それと、釣り情報ばかり追い求めていないだろうか。情報過多時代で答え(のみ)を求める人が多くなったような気がする。釣り場ガイド本や釣り場情報記事を載せた号の雑誌の売れ行きがよいといわれるが、裏を返せば我々消費者自身が雑誌をつまらなくしている一因でもある。巷のBlogも釣行記事が人気なのも納得だ。

フライフィッシングは過程を楽しむ釣りではなかったか。一番楽しいかもしれない試行錯誤というプロセスをすっ飛ばして早々と結果や答えを求めることが一概に悪いとは思わないが、そのプロセスは後に自分にとってかけがえのない財産になる。結果はお金で買えるが、経験はお金では買えない。

とまぁ、書きなぐったが、いちフライフィッシャーの戯言だと思って流してほしい。「自分と合わないスタイルを非難したりしていないだろうか」と書いている私自身がメディアをdisっているのだから(苦笑) 

嗚呼、なんというオチ...

P.S.
このエントリはうまくまとまらなかったので折を見て推敲しアップデートし続けたい