2021/07/15

宮古列島(宮古島〜下地島、多良間島)でフライフィッシングをやる場合の参考情報

<2024/01/22追記>
第一航空株式会社による石垣-多良間便が再開されました
https://dai1air.com/
https://dai1air.com/images/company/ishigaki_20231226.pdf

前回の奄美大島の続き、南西諸島における陸っぱりソルトウォーターフライフィッシングについてのお役立ち?情報。私が抱えている情報はロコアンゴラーやガイドの知識とは比較にならないほどちっぽけなものだし、私より詳しい遠征組は何人もいるだろうが、誰にも頼らずに自力で魚を釣りたい遠征組に少しでも役に立てばと。

今回は宮古列島(宮古島〜下地島、多良間島)の情報をお届けする。

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

沖縄本島と八重山列島の中間に位置する宮古列島。宮古島といったほうがわかりやすいか。宮古島を核として、橋でアクセスできるサテライト的な島(池間島、伊良部島、下地島、来間島)、少し離れて多良間島、その他のプラスαな島がある。フライフィッシャーを見かけることはめずらしく、奄美より明らかにフライフィッシャーが少ない。宮古島にて新たなガイドサービスがローンチしたので、徐々にフライフィッシャーが増えているような印象。

勝手がわからない方向けに南西諸島のフライフィッシングガイドも実施しておりますので、ぜひどうぞ!

透明度の高さが特徴の宮古島

宮古列島の特徴は高い山がないことだ。山がないということは海への流入河川が皆無に等しい。その結果、海水の透明度は高く保たれ、きれいなサンゴ帯が広がる。八重山列島もきれいな海で同様に大規模なサンゴ帯があるが、石垣島と西表島に限っては山が高く土砂の流入もそれなりにあるため、河口付近の海の透明度は宮古列島と比較すると少し落ちてしまう。詳しい話は八重山列島編をご期待いただくとして、宮古列島の話に戻ろう。

まずは、宮古島から。

石垣島同様、離島バブルによって観光客が激増した印象がある。よい時期はホテルの空室がなく、料金も高くなってしまった。新型コロナ禍でここしばらくは落ち着いているとはいえ、今後客足が戻ってくると予約でまた苦戦するかもしれない。そんなこともあり、私自身、観光のみならともかく、釣りで訪島するときは基本的に8月は避けるようにしている。コスト面の理由もあるが、ハイシーズン中はリーフまわりも水遊びの観光客が多く釣りがしにくくなるのと高水温による魚の活性の低下(これは奄美も八重山も同様)、という理由もある。

私的には石垣島よりバブル感を感じる島であり、観光地化が著しく、場所によってはジェットスキーが騒がしく走り回っている。離れていても騒音が届くので、静かに釣りをしたい人にとっては酷な環境かもしれない。昔の静かな宮古島に戻ってほしいと強く願う。

さて本題の釣りに入ろう。

一部を除き奄美のようなドシャローで広大なフラット(砂地・干潟)はあまりなく、水深のあるリーフが多い。対象魚としてはトレバリー、トリガーフィッシュ、クロダイ系、ハタ系、フエ系(フエフキ・フエダイ)といったところか。トレバリーに関してはオニヒラアジをメインとしてカスミアジ、GTがちらほら。トリガーフィッシュはゴマモンガラやキヘリモンガラなどの大型種とムラサメモンガラなどの小型種にわけられる。このあたりは南西諸島の他のエリアとさほど変わらず。クロダイ系に関してはミナミクロダイになるが、奄美や沖縄本島と比較するとサイズはよいが数は少ない印象。

エリア別の特徴だが、南側は断崖絶壁が多く、フライフィッシング可能なポイントは少ない。某リゾート周辺は比較的釣りやすいが、私有地だったり、水遊び含め観光客が多いため、ロッドが振れる場所は意外と少ない。短期勝負なら南側エリアは捨ててしまってもよいと思う。

西側にある湾付近と北側のシャロー、マングローブ帯のシャローが3大エリア

フライフィッシングがしやすいのは西側にある湾付近と北側のシャロー、マングローブ帯のシャローになる。海水浴シーズンだと釣りは難しいが、東側にいくつかあるインリーフのドシャローも面白い。

リーフエッジが発達しているのは東側で、全体的にラグーンが深く潮位が低くならないと釣りがしにくいが、リーフの釣りをメインとしたい場合やトレバリーやゴマモンに集中したいのならおすすめ。トレバリー用のフライはUNDERWATER ONLINEで!

ドシャローフラットのサイトにこだわるのなら北側エリアのシャローかマングローブ帯付近のシャロー、西側の湾付近などに絞ったほうがよい。いずれも全体的に浅いため、クロダイのサイトフィッシングにも最適。また、このエリアは順光のポジションが取りやすいことも付け加えておこう。

上記の3大エリア以外にも立ち込み可能なフラットはあり、いずれも対象魚は豊富で、サンゴ帯ならイメージ通りの南の島トロピカルフィッシュの五目釣りも楽しめる。いずれにせよロッドは#8前後が万能で、時折回ってくる70cmを超えるようなトレバリーを狙うのであれば#10ロッドでも大げさに感じない。ストラクチャーの少ないフラットならともかく、サンゴがキツいリーフでは強引に止めなければならない場面もあり、そうしたフラットでは50-60cm程度のトレバリーやトリガーでも#10は欲しい。ミナミクロダイを専門に狙わない限り#6ロッドの出番は不要と感じる。もちろん、タックルは人それぞれなので、好きな番手で楽しんでほしい。トロピカルフィッシュ五目釣りには大きすぎないクラウザーミノーが効果的。

ボトムのマテリアルは奄美より単調

ボトムのマテリアルは奄美より複雑ではないので通常のフラットシューズでも問題ないが、万能なのはやはりフェルト底のシューズ。サンゴの多いリーフではスネを当てたり足を引っ掛けて転倒することがあるので、慣れていない人orケガが心配な人限定だが、夏の山岳渓流で使うゲーターを履くのをおすすめする。なにを大げさなと言われてしまうが、サンゴには刺胞毒がありサンゴ皮膚炎になることがあるので油断できない。ウェアも典型的な南の島ソルトFFスタイルでなんら問題ない。沖縄本島より若干暑く水温も高いので、東京が涼しくなっても宮古島はまだまだ暑い。

深いリーフが多いので立ち込み注意

全体的な注意点だが、海水浴シーズンはビーチでの釣りは避けてほしい。そもそも、その時期のビーチは釣り禁止が多い。それと奄美編でもお伝えしたが、リーフエッジ付近での釣りは要注意だ(詳細は奄美編を参照)。奄美と異なりラグーンが深い場所が多いので、エッジ付近までたどり着けない箇所も多い。言い方を変えると潮が上げてくるとあっという間に戻れなくなるので、リーフで沖まで歩くのなら東側の南寄りに集中する比較的浅いリーフを選んだほうが無難かもしれない。なお、浅場にはサンゴが多いので踏み潰さないようにしたい。

奄美は北東部エリアを集中して狙えばよいのだが、宮古島は西側の湾付近と北側のシャロー、そして東側のリーフがメインポイントのため、それほど距離はないにしても行ったり来たりは時間のロスが大きい。残念がら3箇所とも離れており、車での移動だけで30分ほどかかる。沖まで立ち込んでいたときは車まで戻るのに10−20分ほどかかることもあるので、その時間も考慮する必要あり。したがって、場所の選定や移動に関しては、太陽の角度や天候、風向き、タイドをよく考えて判断したい。短期間勝負の遠征組だと「移動しないほうがよかった...」という結果になることも。各エリアの間には釣り可能な小場所もあるので、時間がないのであればそこに行くのもありだ。潮が上げきってウェーディングできないようなリーフやもともと深くてウェーディングできないサーフであっても、岸沿いを歩きながらトレバリーを探して狙ったり、波打ち際に群れるコバンアジを狙うことも可能なので、タイドとポイントが噛み合っていない場合でも諦めるのは早計。

ちなみに、本州太平洋側〜南西諸島限定の話だが、秋の大潮は昼間の干潮はあまり下げない(夜間の干潮が大きく下がる)。そのため、春夏の干潮では浅すぎて時合が短いポイントが秋口にはよくなったりするので、季節によるポイント選択も重要。

なお、北側のシャローにある池間島大橋直前の宮古島側にあるやや深くて狭いチャンネルは、大潮の上げと下げのときは川のように潮が流れるので要注意。フラットからいきなり深くなって激流になるので、潮が動いているときは近寄らないようにしたい。2025年10月現在、池間大橋の橋脚の補修補強の影響で、このフラットへの降り口が閉鎖されており、降り口向かいの駐車スペースも工事車両専用になっており駐車もできない。このフラットで釣りがしたいなら、南側からのエントリになる。

西側と北側を移動する際だが、変な時間に中心地(平良)を突っ切ると時間がかかるので、そのようなときは宮古空港の東側を抜けるように移動することをおすすめする。沖縄本島と同じくレンタカーが非常に多い。ここも例にもれず地元の車は島時間でノンビリだ。慌てずにこちらもノンビリを楽しもう。

奄美のビッグツーのような存在は少なくとも私にはないが、ある程度大きい街なので何か困っても何かしら手に入るだろう。釣具店は中心地にいくつかあるが、いずれも小規模だ。ルアー専門店が一箇所あった気がするが、フライショップはもちろんない。クローズが早く選択肢の少ない宮古空港の飲食店には苦労させられてきたが、2022年には空港にほど近い場所(徒歩可能)にショッピングモールがオープンしたので、帰りの飛行機待ちの合間に食事を摂ることが可能になった。お土産をそこで購入するのもおすすめ。無料段ボールありの宅配梱包カウンターあり。

釣り場の近くは自販機の数が少なめ

コンビニは中心地に集中しているため、ホテルで朝食が出ない場合は釣り場に向かう前に食料を購入しておきたい。飲食店は中心地以外にもポツポツあり、有名店も散らばっているので昼食はなんとかなる。ただし、東側に飲食店は少ないので要注意。釣り可能な場所のそばに自販機は意外と少ないので、ドリンクは買い込んでから立ち込みたい。

さて、次は池間島に話を移そう。

池間島はエントリーポイントが少ない

宮古島の北に位置し、橋でつながる池間島は、宮古島側を除きやや深めのリーフに囲まれている。そのため、大潮の干潮付近でないとフライフィッシングでの釣りは難しい。どちらかというと立ち込んでの釣りではなく岸からリーフ周りのブラインドによる五目釣りをするか、時折回ってくるトレバリーを狙い撃つ釣りが中心になる。フラットでの釣りがしたいのなら池間島大橋のたもと付近をおすすめする。ただし、位置関係からどうしても逆光向かい風になりやすいので、宮古島側から狙ったほうがよいかもしれない。つまり、前述した宮古島の北側のシャローのことだ。そもそも池間島は海へのエントリーポイントが少ない。飲食店は橋のたもとと港にいくつかあるが、自販機はほぼそのあたりにしかないので、奥の方で釣りをする場合は事前に買っておきたい。全体的に岸沿いに横移動がしにくい島なので、エントリーポイント付近で釣りができそうもないなら(状況がよくない、観光客、水遊び)すぐに諦めた方がよい。

次は来間島。

来間島は西側一択

美しい前浜ビーチの向かい側に位置する来間島もまた、深めのリーフが多い。宮古島から橋で渡れるこの島もエントリーポイントが少なめで、池間島と同じような釣りを強いられる。とはいえ、若干ではあるが池間島より立ち込んでの釣りが成立しやすい気がしている。ただし、こちらも大潮の干潮付近でないと深すぎて難しい。ちなみに、私がこの島で釣りをする場合は西側一択だ。車が止められる場所の真ん前は水遊びが多いので少し離れて釣りたい。一部のポイントは比較的浅場にサンゴが多いので踏み潰さないようにしてほしい。近年リゾート開発が進んでおり飲食店はいくつかあるが自販機はわずかなので、ドリンクは宮古島で買い込んでおくことをおすすめする。なお、来間島はウェーディング中に沖からの波を受けやすいので転倒に注意したい。

そして、伊良部島。

伊良部島は下地島とセットで考えるべし

伊良部大橋というインスタ映えスポットでつながる島は以前は船で行くしかなかった。そのため手つかずのポイントがあったはずだが、伊良部島に隣接する下地島空港で民間航空機の発着がはじまり観光地化されてきた印象がある。東側から北側にかけて険しい地形が連なるため、一部(大潮ド干潮前後1時間のみの短時間勝負ポイント)を除きフライフィッシングでの釣りは事実上不可能。伊良部島で釣りになるのは下地島から続く広大なフラットと伊良部島と下地島を分け隔てる運河状の水道(正式名称は「入江」らしい)のみと考えてよい。この2つのエリアは下地島編で解説したい。

最後に下地島。

下地島は北側に広がる広大なフラットと運河筋(水道)がメイン

この下地島の一番のポイントは島北部の滑走路右側に広がる広大なフラットだろう。フラット自体は伊良部島とつながっているが、ベースとなる空港が下地島にあるのでここでは下地島として紹介する。リーフエッジ直前に深いラグーンがあるので前方礁原での釣りは難しいが、大潮の干潮であればかなり沖合まで歩いていける。ただし、ここはエッジから岸までの距離がある分、ある程度下げてしまうと一気に魚がいなくなる。逆に潮が上げてきても他のフラットと比較して魚の入りがやや遅い気がしている。それを踏まえて、ある程度潮が引いたら立ち込めるところまで一気に沖合に出ることをおすすめしたい。上げてきた際はいつでも後退できる体制でなるべくゆっくり岸へ戻ったほうが魚の姿は確認できるだろう。2022年には全体的にウィードが短くなってしまったが、2023年9月現在少しずつ復活している。それに伴い、砂地とウィードが絡むポイントを好むマトフエフキも戻ってきたようだ。2025年10月現在、全体的に魚が薄め。まだ全盛期の状態には程遠い印象を受けた。

注意点としてはフラットの南端から(実際には深すぎて行けない)リーフエッジまでの距離があるため、フラットの地形をよく読まないと戻れなくなってしまうことだ。深いチャンネルは皆無だが、ところどころ深い窪みがあるので初見ではリスクが高いだろう。大潮のド干潮で行ける最先端から岸に向かって1/3の距離で東側に浜があるので、もし戻れそうもないと判断したのなら無理に南岸まで歩かずにその浜からあがることをおすすめしたい。なお、ド干潮の下げ止まり前後の短期決戦で挑むなら、この浜からエントリーしたほうが歩く距離は少なくなるのでおすすめ。それともうひとつ、巨岩(津波石)が点在しているので、大型魚とのファイトでラインを巻かれないように注意したい。

このフラットの魚種は宮古島の他の島と変わらないが、トレバリーの姿はよく見かけるのでトレバリー狙いに徹するのもアリだと思う。ゴマモンガラに絞るならやや沖合のサンゴ帯に絞れるが、その付近はあまり浅くなく潮位がかなり下がる日以外はテイリングのチャンスは少なめ。ミナミクロダイはそれほど数が多くないので、ミナミクロダイを狙うのであれば、このフラットの沖合ではなく岸寄りか伊良部島と下地島の間の運河筋をおすすめする。それでも沖縄本島や奄美と比較して数は少ないので、あえてミナミクロダイを狙う必要もない気がする。ちなみに、このフラットでは、みんな大好きなあの魚もこの目でかつ至近距離で確認している。残念ながらそのときその魚は釣ってはいないが、私がこのフラットに訪れる理由の半分はそれを狙うためだったりする。

さて、上述した運河筋だが、一見エントリーポイントがなさそうで私有地に囲まれているように感じるが、釣り可能な箇所があり、いくつかかかる橋付近からエントリーできる。透明度が落ちるため(特に北側)満潮時に橋から覗くと深く感じて実際に深いのだが、浅いところはある。急に落ち込んでいる箇所が多いので、ウェーディングには十分注意してほしい。その落ち込んでいるエッジ沿いにトレバリーが入ってくるのでブラインドで狙うのもおすすめ。また、潮が動いているときは潮流が速いのでその点も注意したい。オカッパリだと岸沿いを通して歩くのが難しいが、ここは場所によってはマングローブもあり独特の雰囲気。こじんまりとした場所で静かに釣りをしたいのなら間違いなくおすすめポイント。一部を除きバックスペースを取りづらいのが難点(立入禁止に注意)。

余談だが、この運河筋の北側と広大なフラットへは頑張れば空港から徒歩でエントリーできるので、周辺の宿を拠点とすればレンタカーなしの低コスト遠征釣行も可能。6pcのロッド携行でバスケットなしウェーディングシューズなしで水陸両用サンダル代用で預け荷物を減らして安宿を利用すれば更にコストダウン可能で、それこそ超低コスト遠征釣行が可能かもしれない。とはいえ、すべて徒歩だと遠征組にとって貴重な時間を食いつぶすので、さすがにレンタサイクルくらいは借りたほうがよい(空港と一部の宿にある)。水陸両用サンダルについて補足する。この場所のようなサンゴのきつくない混合フラットあるいはサンドフラットやマディフラットではほぼ問題ないが、ゴツゴツしたリーフフラットではくるぶしが覆われていないマリンシューズなどは避けたほうが無難。クロロプレーンソックスを履いていても簡単に怪我をする。

ちなみに滑走路北端西側にはインスタ映えするとても美しいフラットがありトレバリーが結構回ってくるが、干潮時は水遊びの観光客だらけでとても釣りをする雰囲気ではないので避けたほうが無難。人が少ないときなら釣りになるが、少ない時間帯は潮位が高すぎてあまりよくない。なお、滑走路側にテトラが敷き詰められているのでエントリする場合は十分気をつけてほしい。もっとも、最近はジェットスキーも多く無法地帯となっているので、ここでの釣りは断念した方がよい。

下地島には飲食店が皆無だが、ほぼ同じ島と言える運河筋の伊良部島側と伊良部島東側にはいくつかあるので昼食は困らない。自動販売機はその周辺にある。大手コンビニとしては伊良部島の東側の集落にファミマがある。

多良間島はド干潮前後に絞って宮古島からの強行日帰りも可能(ただし、宮古島来島初日は無理)

宮古島から少し離れた多良間島は典型的な隆起サンゴの島であり、ウェーディングし易いリーフフラットが広がる。数多くのトゥブリ(小径)があるため海へのエントリーは比較的楽で、池間島や来間島よりエントリー場所が多い。

島の南東から南側はやや深く、北側が全体的に浅い。個人的には北西〜北側と、港を挟んで北東側をおすすめしたい。夏場は追い風になり順光のポジションも取りやすいが、下地島・伊良部島と同様に場所によっては巨岩(津波石)が点在しているので、大型魚とのファイトでは気をつけたい。南側はサンゴがきつい深場が多く、ウェーディングではなく岸からクルージングのトレバリー狙い撃ちがメイン。

北側エリアには春夏の大潮の干潮時にギリギリ露出するかしないかという付近に非常に脆い枝サンゴ?がテーブル状に広がる箇所があるが、上に乗るとズッポリ踏み抜くので乗らないようにしてほしい。そのエリアを避けるか、隙間の空いている箇所を歩いて移動してほしい。

他の島と比較してカスミアジの魚影が濃く、ゴマモンチャレンジも多め。たまたまなのかもしれないがこれまでミナミクロダイを一度も掛けたことがなく、テイリングも見たことがない。エリア的には生息域だろうが、この島に来るとミナミクロダイは眼中にないので、狙いもしないし、見つけようとも思わないので、気がついていないだけかもしれない。

船便もあるが飛行機を使えばすぐ。行きは10時前に多良間空港着、帰りは16時台に多良間空港発のフライトスケジュールで組めば、宮古島からの強行日帰もできなくはないだろう。飛行機なら八重山と違って船便で欠航になるリスクも低いので強行日帰りはしやすいはずだ。とはいえ、初めて訪れるならポイント調査で時間を食いつぶすし、360度広がるポイントを前に短時間で納竿するのはもったいないので最低1泊はおすすめする。宿が小さめで少ない割にダイビング客が多く工事関係者などの長期滞在も多いので、ハイシーズンなら宿の確保は早めに行いたい。

車で30分もあれば一周でき(野良ヤギに注意)、観光地化されていないためよい意味で何も無い島。コンビニはないが、島の北側の集落にこじんまりとしたスーパーが2軒ある。自販機もこのあたりに集中しているのでドリンク調達スポットとして立ち寄りたい。カードや電子マネーはごく一部でしか使用できないものと考えてよく、ほぼ現金決済の島だ。私のようなキャッシュレス派は現金を多めに持ち込もう。また、日曜日は営業していない店が多いので、前日の夕方にスーパーで食材を買い込むか、食事付きプランでの宿泊をおすすめする(それでも日曜ランチは難民必至)。どうにもならなければすまむぬたらまに駆け込もう。

羽田含む遠方からだとフライトスケジュール的に宮古島来島初日に多良間島で昼間の釣りをするのは難しいので、初日は移動で1日消費する覚悟が必要。なお、多良間島含む二次離島への遠征で悩むポイントのひとつとして荷物の持ち込みがあるが、多良間に関しては飛行機での渡島が容易なのであまり心配しなくてよい。多くの航空会社同様、同一航空会社はもちろんのこと、スルーチェックイン提携航空会社であれば、荷物は最終目的地まで運んでくれる(スルーバゲージ)。たとえば、ANAで羽田→(那覇)→宮古まで行き、宮古からはRAC(JAL)で宮古→多良間まで行く場合、羽田から多良間まで預け荷物の出し入れ無しで運んでくれる(RACの荷物制限は羽田から考慮しておく必要あり)。ただし、特殊預け荷物(ロッドチューブのような長尺物など)は、提携航空会社に乗り換える際に一度荷物を受け取り、乗り継ぎ便への搭乗手続時(ANA←→JALはスルーバゲージのみなので、特殊預け荷物の有無に関係なく搭乗手続き自体は必要)に再度荷物を預ける必要がある(この例の場合は宮古空港で行う)。

沖縄本島の離島や八重山の離島だど移動が船になり、ごく小さな離島だとレンタカーを使用しないこともある。長期滞在ならまだしも、2-3日の短期滞在の場合は荷物が足手まといになるので、目的地のみでしか釣りをしない場合はなるべく荷物を減らす努力がほしいが、多良間の場合はRACの荷物制限だけ気をつければ極端に減らす必要はない。

2024/01/22からは第一航空株式会社による石垣-多良間便が再開されたので、便数が少ないとはいえ石垣島からの航空路によるアプローチも可能になった。なお、水納島へはチャーター便の船または上陸ツアーでしか渡れないので注意。

主だった島は橋で繋がっているために様々な場所をめぐることができるのが最大のメリット

宮古列島は橋で繋がる島が多いため、時間さえあれば船を使わず様々な場所をめぐることができるのが最大のメリット。宮古空港から下地島空港からもアプローチしやすいので、レガシーキャリア(FSC)とMCC/LCCをうまく使い分けて遠征を組み立てられるのもよい。

色とりどりのポイントを車オンリーで巡る釣りがしたいのなら宮古列島をおすすめしたい。もちろん、短い日程で宮古列島すべて回るのは難しいが、ポイントを絞れば2泊程度でも十分楽しめる。ハブが生息していないことも、安心して楽しめるポイントの一つだ。

宿に関して。どうしてもポイントが散らばるので、ポイントを絞り込まないならどのエリアにも移動しやすい平良に宿泊するのが無難。予約を強くおすすめするが飲食店も多いのでアフターも楽しめるだろう。奄美と比較してクレカが使える店舗が多いのも、キャッシュレス派の自分にとっても好都合だ。 

困ったことに石垣島のように観光地化が著しく、いままで入れたエントリー場所が立入禁止になったり私有地になったりと変化が激しい。釣行の際は十分注意してほしい。

なお、9月はもちろん10月になってもウェットウェーディングは余裕で楽しめるが、10月に入ると気圧配置が変わり、日によって北風が吹き出すことが多いので、アゲインストになりやすいポイントの多い宮古島と下地島、多良間島は少し釣りづらいかもしれない。 八重山同様に場所によっては冬場は波打ち際に漂流物が多くなる。

コロナ禍で廃業や車両数見直し(島外へ回す)が相次いだようで、2022年はレンタカーの予約が難しい状況が続いた。2023年もレンタカーが少なく苦労した。2025年になってもほぼ改善せず。この先も同じ状況が続くかどうかわからないが、航空券の手配が済んだら宿より先にレンタカーの予約をおすすめしたい。

宮古島を車で走る際の注意点を一つ。

東側のリーフから幹線道路に戻ってくるときは左右の車に十分注意して欲しい。草木が邪魔して見通しの悪い信号ナシの交差点が多い。この場所以外でも注意が必要で、市街地を離れたら自分が優先道路(≒相手側に一時停止標識)であっても、交差点では徐行して左右を確認したい。平坦な島ゆえに縦横無尽に道路が張り巡らされているうえ、基本的に信号機がないからだ。石垣島もほぼ信号がないが、なぜか宮古島のほうがリスクを感じる。

ガチ釣りに疲れたらトロピカルフィッシュ五目釣りをどうぞ!


2021/04/12

奄美大島でフライフィッシングをやる場合の参考情報

以前、房総半島、三浦半島における漁港FFに役に立つ?情報を発信した。今回はその続きとして、伊豆半島といきたいところだが、ここしばらく伊豆半島で釣りをしていないので現在の状況がわからない。立ち入り禁止や釣り禁止のエリアが刻々と変わる漁港において、古い情報は混乱と(現地での)騒動を招くだけなので記述は諦める。

その代わりといってはなんだが、日本の南の島での陸っぱりソルトウォーターフライフィッシングについて、ロコアングラーやフィッシングガイド利用ではなく、遠征組の観点から遠征を予定している人に向けて役に立つ(かどうかわからないが)情報をお伝えする。本シリーズのコンセプトに則り、あくまでも「この島・エリアはこんな特徴があります」というお話であり、釣り場紹介ではないし釣り方の説明でもない。釣り方に関しては私よりはるかに現場経験値の高いロコガイドやロコアングラーにお任せしたい。

なお、概要や釣り方に関しては00年代後半から何度か発刊されたムック『Salt FlyFisher』や昨年話題になった『SALT & WARM WATER FLYFISHER』に記載されている内容に目を通していただければと思う。ここで私がウンチクを述べるよりはるかに有益な情報が満載だ。ここではそこには書かれていない内容や同じような内容でも少し違う角度から述べたい。

さて、日本の南の島といっても南西諸島と小笠原諸島に大きく分けられる。残念ながら小笠原諸島での釣りの経験はないので今回は省く。また一口に南西諸島といっても、種子島や屋久島あたりから与那国島までとてつもなくも広い。距離・エリアでいうと東北の渓流を端から端まで紹介しなくてはならないくらいの幅広さがあり、とてもではないが細かく説明できない。そもそもすべての島を制覇したわけではないので、それぞれの島について詳しく述べることもできない。なので、本シリーズでは奄美大島、沖縄本島、宮古列島(宮古島〜下地島)、八重山列島(石垣島〜西表島)の4つエリアに絞ることにする。

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

まずは奄美大島から。

勝手がわからない方向けに南西諸島のフライフィッシングガイドも実施しておりますので、ぜひどうぞ!

奄美大島はシャローフラット天国


奄美大島は意外と広い。日本の島では佐渡の次に大きい第5位だ。九州本土と沖縄本島のちょうど中間地点に属し、本土と琉球の双方の文化が交じる。また、黒潮の本流が奄美大島と屋久島の間を流れ、生物分布境界線である渡瀬線も位置していることから、ここを境に南方系の生物に切り替わる。このように文化や生物といった境界線に位置する島であり、南西諸島の中でも特異な島といえる。気温も湿度も植生も集落も南国のそれだが、どことなく本州っぽい部分もあり、独特の雰囲気がある。

日本におけるソルトウォーターフライフィッシングシーンでいま一番アツいのは、なんといってもクロダイだろう。その4大聖地といえば、東から「多摩川河口(通称「TOKYO FLAT」)」「浜名湖」「大村湾」「奄美大島」といえる(私の勝手な意見だが)。木更津の盤州干潟や瀬戸内海といった場所もそれなりに有名だが、前述の4箇所はクロダイ・キビレFF好きならぜひ一度は訪れておきたいエリア。

その中でも奄美大島は「ミナミクロダイ」という、本土とは異なる種類のクロダイがターゲットになる。私の感覚だと、フライに対する反応は通常のクロダイより断然よく、大変アグレッシブに感じる。その反応はどちらかというとキビレに近いかもしれない。ただし、そこはクロダイ。アプローチが雑だとすぐにスプークする。

私自身これまで奄美大島から西表島までミナミクロダイを狙ってきた。チヌが入り込みやすいシャローが多いので魚影が目立つという理由もあると思うが、魚影は奄美がダントツといって間違いない。ミナミクロダイに絞った釣行を考えるのであれば、奄美以外に行く必要はないと感じるほど。ミナミクロダイ用のフライはUNDERWATER ONLINEで!

ミナミクロダイの魚影はすこぶる濃い

その日の状況にもよるが、(よほどのドシャローでないかぎりなるべく立ち込まないほうがいいが、)ウェーディングしていると360度ミナミクロダイだらけになることもあり、アプローチやランディングに失敗しても次の魚が待ち構えているため、魚を見つけることからアプローチ、フライへの反応、リトリーブ、フッキング、ランディングまで、とてもよい練習になる。浜名湖でコテンパンにやられている人が癒やしを求めるのにも丁度よい。

もちろんミナミクロダイ以外の魚も豊富。オニヒラアジやカスミアジ、GTといったトレバリーから、ゴマモンガラやキヘリモンガラなどのトリガーフィッシュ、サンゴやゴロタにはカンモンハタなどの根魚、河口付近にはコトヒキやマングローブジャックなど、沖縄に勝るとも劣らない、本当に様々な魚がいる。ギョッとするようなサイズの魚が目の前に現れることもしばしばで、沖縄と違って本州っぽいポイントも多くそのギャップに驚かされる。

さて、肝心の釣り場だが、いわゆる南の島のフラットフィッシングスタイルで釣りをするのであれば、北東部エリアに絞ってよいと思う。島の中ほどから南にかけては断崖絶壁や急深部、ゴロタやサンゴが多く、またどうしても逆光になるポイントも多く、フライで効率よく釣りになるポイントが少ない。もちろんないわけではないのだが、一つ一つのポイントがそれほど広くなく、またポイント同士が離れていることが多く移動に時間がかかる。そのため、じっくり狙うのも、ランガンスタイルでも不向きだろう。

1-2週間程度長期間滞在できるのであればポイント開拓がてら様々なエリアを巡るのも楽しいと思うが、3-4日程度しか滞在できないような通常の遠征では時間を食いつぶすだけなので、ガイドフィッシング以外ではおすすめできない。私の経験上現実的な話でいうと、短期遠征の人が南下して意味があるのは住用川の河口あたりまでと感じる。ただし、宿の拠点を南部に置くのなら南部エリアはもちろん加計呂麻島もターゲットになるだろう。

何度も奄美に訪れているなら、たまには北東エリアを捨て南部にしぼってもよいと思う。それでも奄美空港から加計呂麻島を望む瀬戸内町までは沖縄本島で那覇空港からやんばる方面までいくような時間を要する。もちろん観光なら気にならないが、釣りとなると釣りをする時間、ましてやソルトの場合タイドに合わせないと釣りにならないので、到着日などは移動時間を考慮した釣行スケジュールを立てないと時合を無駄にするので注意だ。

話を元に戻そう。

奄美は北東部エリアに絞って構わない

北東部エリアには浅くて広いフラットが多く、私が集中的に通うのもこのエリア。太平洋側と東シナ海側(厳密には東シナ海と太平洋の区切りが喜界島にあり、喜界島の東が太平洋で奄美本島は東シナ海に位置するという話もある)を容易に行き来することが可能で、太陽の角度や風向きに合わせてポイント移動も気兼ねなくできる。時間が限られている遠征組にとっては好条件。なお、フラットは無数にあるが、リーフエッジが発達しているのは空港南側から北部先端付近西側までの潮通しのよい場所に限られる。リーフに限らず、奄美においてフラットで容易に立ち込み可能な場所は北東部エリアに集中しているので、大前提の情報として押さえておきたい。

ポイント近くまで車が通れる道あるいは人が歩けるような道がないところもあるが、そのようなポイントは潮が上げてくるとフラット伝いあるいは岸沿いで戻ってくることができなくなる場所があり、最悪の場合は藪や山の中を突っ切ることになるだろう。山越えや崖の上り下りなどロックショアの釣りに長けているなら問題ないと思うが、崖からの滑落やハブ遭遇のリスクも高く、よほど熟知している場所でない限りまったくおすすめできない。

ボトムのマテリアルも様々で、沖縄本島〜宮古列島〜八重山列島あたりではあまりお目にかかれない変化に富んだポイントが続く。フラットの王道の釣りがサイトフィッシングだとすれば、実は思っているほどフライフィッシング向きのシャローフラットがない沖縄より適している。

とはいえ、典型的な南の島のイメージで行くと面食らうかもしれない。奄美は場所によってボトムの色が大きく異なるため、サイトフィッシングに慣れていないと大変苦戦する。私は魚を見つけることにある程度慣れているので終始1つで通してしまうことが多いが、可能であれば偏光グラスは複数用意し、状況に応じて替えたほうがよいと思う。

サイトフィッシングなら沖縄より奄美

リーフまわりのトロピカルフィッシュ含めた五目釣り、あるいは、トレバリーに集中するのであれば宮古列島〜八重山列島をおすすめするが、魚種問わずフラットでのサイトフィッシングにこだわるのであれば奄美をおすすめする。トロピカルフィッシュ五目釣り用のフライもトレバリー用のフライもUNDERWATER ONLINEで!

奄美大島は降雨量が多い。北東部を除くと平らな土地がほぼないため、雲が湧きやすい。中心地の名瀬や住用あたりのいわゆる中部エリアは北東部や南部と比較して特に雨が多い気がする。そのため、スカッと晴れた状態で釣りができないことが多い。森林の様子と雨の多さは、やんばる@沖縄本島や西表島とよく似ている。その、やんばる@沖縄本島や西表島も同様だが、大雨が続くと河川流れ込み付近の海は濁りやすい。そのような状況でも、経験上問題なく釣れているので安心してほしい。もちろん、魚体を確認してのサイトは厳しいが、ナーバスウォーターやテイリングを狙うか、ブラインドでなんとかなる。

曇天雨天はサイトフィッシングには大敵だが、ナーバスウォーターやテイリングは頻繁に見られるので、よほど状況が悪くない限りボウズはないだろう。魚影そのものを確認するには晴れていないと厳しいが、実はテイリングやナーバスウォーターに関しては晴れているより曇っているほうが見やすかったりする。空の色が水面に反射してグレーになり、尾びれや波と水面のコントラストが強くなるからだ。ブラインドでも釣れるが、魚をちらしてしまうためバイトの確率は低くなるし、なにより面白くない。 

ボトムがサンドのような明るいマテリアルであれば日が差している限り魚影の確認は比較的容易だが、少しでも曇ったり暗いボトムの場合、慣れていないとまったく見えず苦戦する。

もし釣りにならないようなら、素直にガイドフィッシングに切り替えたほうがよいと思う。幸い奄美には名ガイドがいる。このエントリに目を通すより明らかによいだろう。ガイドなしで自力で釣りたい遠征組向けのエントリなのでご容赦を!

タックルに関しては各々の考え方や好みがあるので特に説明しないが、ミナミクロダイを中心にするなら#6、トレバリーやトリガーフィッシュを相手にしたいなら#8-9あたりになるだろう。奄美に限らず、南西諸島のフラットフィッシングなら概ねこのあたりの番手がデファクトスタンダードといえる。

とはいえ、ミナミクロダイに絞って#4ロッドでとことん遊ぶのもよいだろうし、#10が欲しくなるトレバリーが目の前に現れることも数多あるのでヘビーなロッドで挑むのもよい。

正直、何が起きるか予測不能なのでなんでもあり。私自身とんでもない魚を見かけている。#4のグラスロッドを手にした私の数メートル先をメーターオーバーのGTがウロウロしていたなんてこともあるし、潜水艦のような巨大なバラクーダが浮いていたりする。宮古や石垣ならそれほどビックリすることではないが、本州っぽいポイントの多い奄美だと違和感が半端ない。

ミナミクロダイ狙いなら#6ロッドが最適だが、お好みでなんでもあり

ミナミクロダイを狙っていて突然オニヒラアジがフライを引ったくっていくこともあるし、やわなグラスの#6ロッドを振っていたら目の前でゴマモンガラがテイリングをはじめる場面に遭遇することもあり、その時に手にしているタックルで獲る(狙う)しかない。

ロッド2本持ちに関して。私もたまにやるが、トレバリーに関しては足が速すぎてタックルチェンジしている余裕はない。リーフエッジや少し深めのリーフまわりにてブラインドでフライを投げ続ける釣り方ならともかく、フラットにあがってきたトレバリーをサイトで狙うには、最初からトレバリーに絞ったタックル1本で勝負しないと数少ないチャンスを逃すだろう。ミナミクロダイ用+トレバリー用あるいはトレバリー用+ゴマモン用など2本持ちでもトレバリーがクルージングしてきたときは持ち替える時間がないので、今はトレバリー!と心に決めたなら手に持つのは最初からトレバリー用のタックルにしておかないと2本持ち出していたとしてもほとんど意味がない(これで何度も悔しい思いをしている)。

ウェーディングギアに関して。黒潮が近く緯度の割に水温が高いため、シーズン初期や終盤を除く5-10月なら平均水温25℃〜はある。もし、シーズン初期や終盤でウェットウェーディングとウェーダーで迷う場合は現地ダイビングショップ(スクール)の水温情報を参考にするとよい。これは奄美に限らず南の島でのフラットフィッシングにおけるTips!

トップシーズンであれば気温も日差しも沖縄と同じ程度で、かなり暑い。よって、典型的な南の島ソルトFFスタイルでなんら問題ない。10月に入ってもウェットウェーディングは可能だが、朝晩の外気温は同時期の沖縄より下がるので、雨天や風の強い日だとその時間帯は水から上がると少し冷えるかもしれない。ウェーダーはとても嵩張るのとどうしても足さばきが悪いので、水温低めの時期は沢登り用の保温性の高いタイツをおすすめしたい。なお、時期的に奄美含む南西諸島は北風が吹くことが多くなるので、その点も考慮したほうがよいだろう。

なお、冬でもフラットで釣ることはできる。ただし、(宮古も八重山も同様だが)奄美は南国フラットではあるが常夏ではない。水温が低くなる分フラットに上がってくる魚影は薄いし、本州に近い奄美は季節風による雲がなだれ込みやすく曇天が続くのでおすすめしない。どうしても冬にフラットで釣りがしたいというなら、奄美より水温が高くいくぶん晴れ間が多い、沖縄の離島(宮古、八重山)に行ったほうがよい。

足元はいわゆるソルト用のフラットシューズより、フェルト底のウェーディングシューズのほうが適していると感じる。ウィードやサンド、サンゴといった一般的な南の島のフラットのようなシチュエーションだけでなく岩やゴロタや小石まじりのボトムも多いため、ラジアル底はかなり滑る。

フラットに通い詰めるなら専用に一足用意するだろうが、はじめて挑むなら渓流で使い込んで退役間近のウェーディングシューズでもよいと思う。

リーフエッジ付近での釣りは十分注意してほしい

奄美に限ったことではないが、サンゴや岩礁の発達した南の島のリーフエッジ(礁縁)付近で釣りをする場合は、上げ潮と時折やってくる大きな波、そしてリーフカレント・リップカレント(離岸流)に十分注意してほしい。言うまでもなくリーフの沖は外海で一気にドロップオフしている。

大きな波は海が荒れているときや近海に台風がない限りあまり心配しなくてよいが、上げ潮は要注意だ。特に大潮のときの上げは怖い。例外はあるが、インリーフは岸とエッジの間の途中が深くなっているケースが多いので、まだ大丈夫だろうと釣りを続けていて、いざ戻ろうとしたとき途中でラグーン・タイドプール(礁池)にハマって帰れなくなる。エッジ手前のリーフフラット(前方礁原)が浅いので、釣りに夢中&そのことを知らないと気がつかない。

そして、リーフカレント。サーフのイメージがあるが、サンゴ帯でも発生する。サンゴのリーフギャップ(スリット)に沿って川のようなスピードで沖に流れるので近寄らないこと。上げでも下げでも発生し、上げの場合は外洋がやや荒れているとき、下げのときは水が少なくなってきたときに威力を増すので要注意。特にリーフエッジから岸近くまで深く切れ込んでいるスリットは強烈なリーフカレントが発生しやすいので安易に近寄らないようにしたい。

なお、リーフエッジの発達していないリーフでは沖からの波を直接カラダに受けやすいので、深くウェーディングしているときはバランスを崩さないように注意したい。水の抜けないラインバスケットを装着していると顕著。

万が一の時に浮き輪になる完全防水のバッグ(パタゴニアやストリームトレイルなど)やレスチューブがあると安心かもしれない。私はパタのバッグとレスチューブを装着しているが、このあたりの安全装備については後日新たなエントリで解説したい。

南の島フラットの釣りになれている人であればよいが、はじめての南の島フラットの釣りでいきなりリーフエッジを目指すのはおすすめしない。山岳渓流並みのリスクがあるので、経験者もしくはガイドとの同行がベスト。

奄美といえばビッグツー!?困ったときの駆け込み寺

もしウェーディングシューズやフラットシューズが壊れたらビッグツーでマリンシューズや釣り用のブーツを買うとよい。ただし、くるぶしが覆われていないローカットモデルや底の薄いシューズはサーフ以外では避けたほうが無難。ビッグツーには釣具コーナーもあり、さすがにフライ用品は置いていないがルアーは売っている。ディペットやショックリーダーが足りなくなったら釣り糸コーナーで、シャープナーを忘れた場合などは工具コーナーで代用品が手に入る。ビッグツーは衣類から食料品までなんでも揃い、見ているだけで楽しい。私も必ず立ち寄る大好きな場所。地元に人にとっては何の変哲もないホームセンターかもしれないが、東京の人間から見ると独特の雰囲気があるので、奄美を訪れたなら足を向けたい。特にお土産に関してはここで買うのが一番かと思われる。

なお、北東部エリアから最短でアクセスできる大手チェーンとしてのコンビニは、龍郷にあるファミマのみ。ローカルコンビニ(島人マート)も空港近くの笠利に1軒あるが、24時間営業ではない。龍郷のファミマの北にもローカルなコンビニがあり、その他の街の商店レベルの店も数件ある。少し走れば何でも揃うビッグツーに辿り着けるが、時間のないときの数少ない食料品その他購入スポットとして活用したい。飲食店の少ない北東部エリアとはいえ昼や夜ならなんとかなるが、朝食を摂ることのできる飲食店は皆無。宿で朝食が出ないときや夕マズメまで釣りをして近くの飲食店がクローズしてしまった場合はこれらのコンビニが重宝するはず。自販機は随所にあり、沖縄の離島と比較してポイントと集落の距離が近いことが多いので、潮が引いたフラットの奥まで行かない限り、ドリンク類は必要以上に買い込まなくてもよいだろう。

なお、私のようなキャッシュレス派は、現地でのキャッシュ切れに注意したい。現金決済のみの店舗が多いからだ。もっとも観光やグルメ目的ではなく釣りだけならほとんど現金は使わないと思う。もし足りなくなりそうだったら、ファミマのATMに走ろう。

ガイドフィッシングでない場合の移動は基本的にレンタカーになると思うが、奄美は沖縄以上にノンビリしており、また、沖縄と比較して観光客が少ないので、ノロノロ走る地元の車がどうしても目立ちやすい。大潮のような短い時合のときのポイント移動ではどうしてもアクセルを踏み込んでしまうが、ノンビリは島時間と考えてこちらも気持ちに余裕を持って運転したい。 それと、奄美に限ったことではなく国内海外問わず南の島にありがちだが、夏の満月大潮のときの満潮時(夕暮れ〜夜間)では海沿いの道路にカニ(アカテガニ)が多く出現する。可能であれば低速で避けながら走りたい(対向車に注意!)。

長期滞在あるいは様々なポイントを巡りたいなら宿は名瀬でもよい。特に食事や呑みを楽しみたいのなら名瀬一択になるが、北東部エリアを集中して狙いたい場合はポイントまでの移動時間のかかる名瀬は避けたほうがよい。

楽しみをもう一つ。奄美はもちろん南西諸島全般に言えるが、昼間にフラットの釣りで結果が出せなかったときは夜の漁港で五目釣りという手もある。普段から漁港のフライフィッシングを嗜んでいる人であれば一度試みてほしい。南の島だからといってイレグイになることはないが、意外と楽しめる。

奄美でのフライフィッシングはこの1-2年でプレゼンスが上がってきている。私が通い出した頃はガイドもおらずフライフィッシャーを見かけることは皆無で、居ても奄美FF開拓者などの地元の方だったが、今はガイド+ゲストはもちろん、遠征と思われる方を何人も見かける。よい時期のよい潮回りのメジャーポイントは先行者が居て入れないことも珍しくない。世界自然遺産に登録されたので観光客も格段に増えるだろう(石垣島のように観光地化された島が嫌いなら、まさしく今が旬)。まだ混んでいない今こそ、奄美に行こう!

ガチ釣りに疲れたらトロピカルフィッシュ五目釣りをどうぞ! 

<2025/05/07追記>
データを取っているわけではないので、あくまでもなんとなく...というレベルで感じていることだが、フライフィッシャーが増えるに従い、やや釣りにくくなってきた感がある。その原因が、単純なスレなのか、先行者によるプレッシャーなのか、魚が減ったのか、環境の変化なのか、自分が行くポイントだけなのかはわからない。南西諸島の他の島と比較してフライフィッシャーに遭遇する確率がかなり高いので、少なからずその影響があるのかもしれない。気のせいだとよいのだが。

2021/01/09

フライフィッシング系の雑誌ひいては他メディアや業界に関して苦言(もとい提言)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

いきなりケンカをうるようなタイトルだが、率直に申し上げたい。

誤解を避けるために先にいっておくが、特定の人やメディア、メーカーやショップに対しての意見ではない。私が常日頃なんとなく感じている(感じてきた)、喉の奥に小骨が刺さっているような、なにか引っかかるような違和感に対して意見を述べる。

新規参入者が乏しく高齢化が著しいフライフィッシングは、一見すると斜陽といってもよいかもしれない。フライフィッシングが大好きな自分がいうのは本当に悲しいが、概ねあたっているだろう。唯一の救いは、コロナ禍でアウトドア系アクティビティが注目され、釣りを始める人が増えていることだ。そのうちの何%がフライフィッシングをはじめてくれるのかはわからないが、ある程度期待はしたい。

アニメ『スローループ』の放映には新規参入者を増やすトリガーとしてうまく機能してほしかったが、残念ながらフライフィッシング業界あげてのコラボなどプロモーションはなかったようだ。若手やフライフィッシングに縁のなかった人にリーチする可能性の高い、せっかくの千載一遇のチャンスをうまく活かせなかった、いや、活かそうと思わなかったのだろうと言わざるをえない。もっというと、本当に新規参入を増やしたいと思っているのか?と疑ってしまうほどこの業界は無関心だったのではないかと本気で思うし、とてもがっかりしている。

フライフィッシングは新陳代謝の乏しい遊び

新規参入↓楽しんでいる人の年齢↑を考えれば、フライフィッシングは新陳代謝の乏しい遊びといえる。それは雑誌含むメディアにもいえることで、野外という季節性の高いフィールドが主戦場となるフライフィッシングにおいては、月刊・季刊に関わらず、毎年同じ時期に同じような特集が組まれることがどうしても多くなる。そのうえで、新陳代謝が乏しく人の入れ替わりが少ないとなると、メディアに登場する方も代わり映えしないということになる。メディアに登場しているプロの方はなんら悪くないのだが、メディアに登場する人もメディアから情報を得る人も、同じように歳を重ねていった先に何が待っているかは想像に難くない。

とらえかたによっては、登場人物と季節モノの記事が長年アップデートされていないことが、雑誌がつまらなくなる最大の問題ともいえる。

過去にしがみつく旧態依然なフライフィッシング業界

音楽業界ではスタジアムツアーも難なくこなす大物アーティストもいればほぼ無名のアーティストもいて、リスナーはいちいち区別して考えていない(聴いていない)。それこそ、CDといった物理媒体ではなく配信が多くなり、SoundCloudやYouTubeなどで活躍するアーティストもたくさん出てきており、そこで発掘されるすばらしい曲やアーティストも多くなっている。TikTokで扱われた楽曲が大バズリして注目を浴びるアーティストなんて珍しくない。むしろそっちが主流の時代だし、プロとかアマとかの区別も曖昧。売る側も買う側も変化している。そしてそこにはメディアに露出しているアーティスト(のみ)が優れているといった情弱な評価はない。

フライフィッシング業界はどうか。

レジェンドたちの功績は揺るぎない確かなものではあるが、いつまで経ってもそれに頼っているようではこの業界は何も変わらない。20年も30年もこれまで一体この業界は何をしてきたのだと、小1時間いや四六時中問い詰めたい。敷居を低く、もっとフレンドリーに、もっと幅広い人達、特に若い人たちフォーカスを当てようではないか。

誤解されるかもしれないので補足するが「同じ人を何度もメディアに出したり、同じような記事を出したり、同じようなロッドを毎年出すな」ということではなく、「まだ見ぬ誰かや釣り方やフィールドや対象魚を発掘してほしい」ということ。音楽で喩えると、新しい楽曲やアーティストを発掘する=Digる(ディグる)行為を、メディアやメーカー側で(も)積極的に行ってほしいということだ。

特定のプロに対して一部に熱狂的ファン(悪く言えば信者)がいるが、フライフィッシングという遊びの中であり、他人に迷惑をかけていないなら問題ない。また、プロやメーカーなどが自分のお客様に対して手厚いサービスを提供したり、自社製品やサービスを積極的に売り込むことはビジネスという意味で至極当然のことであり、まったく問題ないし、好き嫌いはあれど誰も何もいわないだろう。

問題があるとすれば、そうした一部の方の情報(考え)やスタイルがあたかも普遍的であるように見立てて発信するメディアかもしれない。ただでさえ自分と違うスタイルに対して批判的になる人の多いフライフィッシングという遊びにおいて、偏った情報は分断を煽る原因にもなりかねない。この業界は狭く、◯◯さんの知り合いが◯◯さんだったりすことはよくあることで、だからこそ特定の人たちで楽しむ(≒楽しんでいるように見えるような)内輪ノリもやめたほうがよい。

みんなちがって みんないい

私の考えは常にこれだ(フライフィッシングという趣味に対してももちろん、仕事に対しても、生き方に対してもこの考えをベースにしている)。

キャスティングもタイイングも実釣も、一般的に「こうしたほうがよい、これが基本だ」というものが存在する。だが、最適解は人それぞれであり、自分自身がアジャストしていくものだと思う。しかし、フライフィッシングをはじめて間もない人や経験はあるがあまりやっていない人にとっては、普遍的な考えや基本的な考えというものがまだあやふやだ。

そうした人に対して、偏った情報(考え)や特定のスタイルをあたかもメインストリームのように一方的に垂れ流すのはやめるべきだと思う(ここでいう偏った情報というのは単に普遍的ではないという意味ではなく、販促ありきの広告的な情報という意味も含んでいる)。その一つとして、ロングリーダー・ロングティペットに関してここで私的見解を述べた。ソルトが大流行の昨今においては少なくなってきたとは思うが、この業界に根強くはびこるサケ・マス至上主義に対しても、折を見て話したい。

フライフィッシング関係に限らず、メディアに対してスポンサーがバックにいてスポンサーがいないと成り立たないことに関して消費者はみんな理解しているが、本当にそれがよいと思うのか、本当にそれが最適解なのか、今一度考えてほしい。お仕着せの情報を発信してもそれで騙せるのは経験の少ない方に対してであって、残念ながら経験者にはお見通しだろう。

インターネットには良い・悪い、本当・嘘という情報が散らばっている。何が真実なのか見抜く力は必要だが、よい意味で確実に「正しいマイナスな情報」はある。一方、雑誌含む旧メディアはどうか。

フライフィッシング系雑誌はつまらなくなった

日本のフライフィッシング系雑誌はほぼ創刊当時から読んでいるが、本当につまらなくなった。かつてのブームが去って消えていった雑誌もある。それは、自分の経験値が増してつまらなくなったということではないハズだ。初級者(というようなレベルのくくり方はあまり好きではないが)向けの内容ではないし、かといって、経験者を唸らせるような内容でもない。どちらかというと読み手のターゲットが絞れておらずニーズもつかめていないような、発信側の都合で構成された内容と感じる。一応断っておくが、上述したとおりスポンサーがいれば、発信側の都合で構成すること自体はなんら問題ない。

つまらない=目新しさがなくなった、とも捉えられるので、そういう意味では多少なりとも日本においてもフライフィッシングというものが成熟してきた証ともいえるが、言い方を変えると頭打ちになっているのだろう。

フライフィッシングには様々なカテゴリがあり、各々の好みも千差万別だ。それらをまんべんなく網羅しようとすると、どうしても大味になってしまうのが悩みであり、つまらなくなってしまう要因の一つなのだろうと推測する。渓流のフライフィッシングを嗜む人が多いと思うが、渓流はメソッドがほぼ確立されており目新しいトピックがない。それゆえに、渓流特集をやるとマンネリと云われ、ウェットフライや海外ソルトを特集すれば、嗜む人の割合が少ないゆえ興味ないと云われる。つまり、どんな記事にしてもつまらなくなってしまう。

個人的にはもうそれぞれのジャンルに絞った尖った内容でよいのではないかと思う。『SALT & WARM WATER FLYFISHER』がなぜこんなにも反響を呼んだのか、ヒントはここにある。渓流のフライフィッシングに関してはフライパターンもメソッドもほぼ出尽くしているが、ソルトウォーターに関してはまだまだ未開拓であり、可能性という伸びしろがかなり広いからではないだろうか。ルアーフィッシングやフライフィッシングの黎明期〜ではルアー&フライとしてまとめてしまっていた時代があった。書籍・雑誌も同様だ。いまは、ルアーフィッシングとフライフィッシングは明確に分けられていることが多く、専門誌の類も分けられている。ここから更に一歩踏み出して、フライフィッシングもジャンル別に分ける時期に入っていると確信している(ルアーフィッシングはすでにそうなっている)。

広告媒体と割り切るか、尖るか

釣り雑誌が売れない原因は単に出版不況だけではないと思う。もっと消費者に寄り添い、スポンサーの意向を汲み取った情報の垂れ流しではなく、業界を持ち上げていくつもりでやってほしいと切に願う。メディアだけではなく、メーカーもショップも同じだ。そうでないと、凝り固まった高齢者が高齢者に対して商売を行う、または、特定の派閥の中で内輪ノリで楽しむ、という完全なる斜陽産業に成り下がる。ピークアウトするのはコロナだけでいい。

詳しくは知らないし表現が不適切かもしれないが、誰かと誰かの関係があまりよくない話なども聞く。単なる商売敵であればお互いに切磋琢磨しあってよい方向へ進みそうだが、実際のところどうなのだろう。狭い業界の中でパイを奪い合うのではなく、パイの面積を広げることに注力してほしい。

各々のフライフィッシャーはそれぞれの嗜好があるので好きな釣りをやればよいし、特定のジャンルに特化したメディアやメーカーがあることは何ら問題ない。一方で、総合的なメディアやメーカーは業界を引っ張る立場にあるのだから、もっと幅広い視点をもってほしい。

サケ・マスにこだわりすぎていないだろうか?
フライフィッシングは気品が高い釣りだと、お高くとまっていないだろうか?

人口減は避けられないこの日本。どちらかというと年配の比率が高いフライフィッシングというジャンルにおいて、放っておけばこの先マーケットは必ず縮む。ブームは必ず去るし参入者が増えると様々な問題が起こるので無理やりブームを起こす必要はないが、専門誌も発刊できなくなるようなレベルまで落ちてしまってもよいのだろうか。フライフィッシング業界に携わる人はそれでもよいのかと、自問自答が必要だ。

フライフィッシング業界はマーケットを広げようとする意識が絶望的に足りない

一応補足しておくが、たまに出るムック系はとても面白いので、そうしたものは消費者のニーズに合っているのだろうと思う(前述の『SALT & WARM WATER FLYFISHER』がよい例)。また、インターネット(特に動画配信、インタラクティブな企画)をうまく使うなど、消費者へリーチさせる方法はいくらでもあるはずなので、紙媒体に限定しないほうがよいと感じる。IT化が遅れている産業でもあるのだから。

某誌の大台記念号の特集は大変よかったので(私のまわりでも評判よいようだ)、今後も尖った路線でよいのではと思う。もっともムック的な作りになってきている気がするので、なおさらマッチする。そうなるとこれからフライフィッシングをはじめようとする人たちには酷かもしれないが、それはそれでそれ用のムックを出せばよい(すでに某誌がやっている)。

ショップやメーカーが商品を売るために高価なフラッグシップモデルを推すことは当たり前。実際、最新のマテリアルに質の良いコスメでデコったロッドやリールはとても素晴らしい。ここぞというときににその性能は遺憾なく発揮することは、私自身実感している。ただ、、、普段の釣りでそこまでの性能が必要かどうかは考える余地がある。

USD1,000ロッドでもUSD100ロッドでも釣れる魚は同じ

中華の格安ロッドはモノはコピーしているがクオリティはコピーされていないので、耐久性や性能面では確実に劣る。なので、たとえば不安要素を減らしたい遠征やキャスティングインストラクター試験では使用を避けたいのは事実だ。えげつないコピー品も存在するので、気分的にも避けたい部分はある。しかし、ただ釣るだけなら中華モノで何ら問題ない。どうしてもそれが嫌なら各メーカーの廉価版という手もある。有名メーカーの廉価版は基本的にアジア製なので中華モノと大差ないかもしれないが、資本力ゆえに品質面はそれなりに担保されている。

単に性能面だけでなく、こだわり、嗜好、見栄、他者へのアピールなど、有名メーカーのフラッグシップモデルを使いたくなるのは重々理解しているし、よりよいものを使用することで気分があがるのも事実だし、趣味だからこそ大事な要素だろう。とはいえ、これからフライフィッシングを始めようとしている人に最初からそれを押し付けるのはよくない。

マーケットのパイが小さく利益率も決して高くないはずなので難しいのは承知の上だが、もっと低価格で手を出しやすい製品を出していかないと(宣伝しないと)、フライフィッシングをはじめたくても価格面で断念する人を掬いあげる(救いあげる)ことはできないだろう。

特に、遠くの渓流や湖までいかなくても、高い釣り券が必要な管理釣り場に行かなくても、安近短で手軽に手を出しやすい、バス・ギル・コイ・オイカワ・カワムツ・漁港の小物...このあたりを楽しめる格安タックルとその楽しみ方を伝える媒体が充実すれば新規参入は増えるはずだ。実際、ルアーフィッシング業界では、コイ科の小物をルアーで狙う釣りを「チャビング(Chubbing)」と称してマーケットを広げようとしている(もともと海外発祥だが)。「フライフィッシングは管釣りで練習して渓流で楽しむもの」という化石みたいな考え方、上品ぶった「サケ・マス至上主義」からの脱却は必至といえる。皆が皆、渓流へ行く必要なんてない。フライフィッシングはサケ・マスを釣る手段では決してない。

この業界の頭打ちを打破するための鍵となるのは「試行錯誤の余地」「可能性という伸び代」の二つだと思っている。それはおそらく一般的な渓流の釣りにはもうなく、マーケットがそこから抜け出さないとこの業界は廃れていく一方だろう。いくらメーカーが頑張っても、好奇心と開拓心が旺盛なフライフィッシャーはそこにはもういないし、この業界のプロモーション不足とマーケティング下手ゆえに「フライフィッシング=渓流でやるもの」と洗脳されてしまったフライフィッシングに興味がある潜在顧客も逃がしてしまうだろう。メディアや売り手側がそれに気づけなければ本当に終わる。

この業界の頭打ちを打破するには「試行錯誤の余地」「可能性という伸び代」にフォーカスすること

事情を知らない外野がゴタゴタ述べるなというのは理解しているが、消費者の一人として現状に危惧しているので一石を投じたい。

エントリの主旨から外れるが、少し追記したい。

残念ながら我々消費者側にも問題のある人がいるのも事実だ。自分と合わないスタイルを非難したりしていないだろうか。何かしら被害を被っているならともかく、同じ遊びを楽しむ同士なんだから気楽に楽しもうではないか。

それと、釣り情報ばかり追い求めていないだろうか。情報過多時代で答え(のみ)を求める人が多くなったような気がする。釣り場ガイド本や釣り場情報記事を載せた号の雑誌の売れ行きがよいといわれるが、裏を返せば我々消費者自身が雑誌をつまらなくしている一因でもある。巷のBlogも釣行記事が人気なのも納得できる。

フライフィッシングは過程を楽しむ釣りではなかったか。一番楽しいかもしれない試行錯誤というプロセスをすっ飛ばして早々と結果や答えを求めることが一概に悪いとは思わないが、そのプロセスは後に自分にとってかけがえのない財産になる。結果はお金で買えるが、経験はお金では買えない。

とまぁ、書きなぐったが、いちフライフィッシャーの戯言だと思って流してほしい。「自分と合わないスタイルを非難したりしていないだろうか」と書いている私自身がメディアをdisっているのだから(苦笑) 

嗚呼、なんというオチ...

P.S.
このエントリはうまくまとまらなかったので折を見て推敲しアップデートし続けたい