2022/09/20

フライフィッシングによるバチ抜けシーバス考察(東京湾奥運河筋限定のお話)

 

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

バックスペースや飛距離、低いアピール度などルアーフィッシングと比較して制約の大きいフライフィッシングにおいて、スレっスレの東京湾港湾部かつオカッパリでシーバスを釣るのは難易度が高いといえる。ルアーで何度か釣った経験のある人が実績のあるポイントを攻めるのであればそれなりに結果が出るが、ルアーでのシーバスはもちろんソルトFFもやらずにいきなり港湾部オカッパリシーバスFFで結果を出すのは相当難しいと思う(ボートシーバスはイージーなので、まず1匹ならガイド付きのボートフィッシングをオススメ)。

バチ抜けシーズンはオカッパリでもっともイージーに魚を手にすることができる時期

港湾部でのオカッパリによるシーバスフィッシングにおいてバチ抜けシーズンはもっともイージーに魚を手にすることができる時期でもある。特にフライフィッシングで狙う場合、バチ抜けシーズンは絶対に見逃すことができない。シーバスフィッシングにおけるお祭りといえばバチ抜けなのは間違いないだろう。特に港湾部の運河筋で起こるバチ抜け水面勝負になることが多く、エキサイト極まりない。

ここではそんなバチ抜け時期のシーバスをフライフィッシングで狙う場合のヒントをお伝えする。

なお、ここで話すのは東京湾奥の小規模運河、具体的には東京湾の江東区〜品川区にかけての運河筋におけるバチ抜けフライフィッシングの話であり、河川(隅田川や荒川、江戸川や中川、小櫃川や養老川など)や干潟(盤州干潟、三番瀬など)のバチ抜けに関してはシーズンもバチの種類も釣り方も変わってくるため割愛する。

バチの生態やバチ抜け全般の話に関してはルアーフィッシング系の雑誌・ムックやネット上の記事が詳しいため、そちらを参照してほしい。2022年4月号の『つり人』の特集がまさに「バチ抜けから始める!春シーバス超入門」なのでぜひ読んでほしい。少し(だいぶ?)古くなるが、2008年発刊の別冊釣り人『バチ抜け地獄』はかなりの良書なので、古本で手に入るならオススメしたい。いずれもルアーの記事が基本で『バチ抜け地獄』に関してはイマドキのスタイルとは多少異なるが参考になる情報が満載なので、バチ抜けあるいはルアーによるシーバス経験のない方は読んだほうがよいだろう。

本題に入ろう。

ミミズやゴカイ、ナメクジやヒルなどの生き物が大嫌いな私が、キモいのを承知でバチ抜けシーバスにとち狂うのは、その高いゲーム性にある。もちろん、単純に釣りやすい時期・パターンだからという理由もあるが、一見簡単そうに見えてフライパターンやレンジ、アクション(ドリフト)が魚のお気に召さないとまず釣れないという、渓流のスレッカラシヤマメのライズゲームと全く同じシチュエーションと難易度を体験できることが最大の理由。ドライフライに出ても乗らず、ドリフトやフライパターンが決まったときはすんなりフッキングするという、まさにそれである。

渓流のライズゲームが好きな人なら絶対にハマる

渓流のライズゲームと同じといってしまうと「バチ抜けシーバスは難しんじゃないか?」と思われてしまうが、バチ抜け時期のシーバスは固まっていることが多く、パターンにハマれば連発するので、渓流魚より数は出しやすいかもしれない。筆者の経験だとフライパターンと魚の数・活性が高ければ、一晩でツ抜けすることは決して珍しいことではない。

他のシーズンだとルアー有利だが、バチ抜けに限ってはフライが断然有利。飛距離不要、水面あるいは水面直下勝負、フライはルアーと違ってスレにくいという点が大きい。バチをイミテートしやすいからという理由も間違ってはいないが、実はここにバチ抜けフライで皆がやらかしてしまうミスが潜んでいる。

引き波を出さないバチや釣り方の場合を除き、実際にイミテートするのはバチ本体ではなく「引き波」である。ボディの形状やカラーにこだわる前に、引き波をうまく演出できるようなパターンに注力すべきだろう。引き波をうまく演出できれば程度の差はあれどどんなフライでもバイトを誘う。これはフライに限ったことではなくルアーも同じ。

引き波系バチでの釣りは「引き波」の演出で結果が分かれる

逆にどんなにリアルにバチ本体を表現できたとしても、引き波に違和感があればバイトの数が激減する。

バチに対するシーバスの捕食を明るいところで観察するとよくわかるが、バチの後ろを着いてきてバイトするケースとバチの下から突然突き上げてバイトするケースに二分される。

この2パターンを考えると、リアフックを付けてボディ中程にもフックを付けたくなるが、これで効果があるのはフライを疑うことなくバイトしてくる場合と考えてよい。リアフックなしでヘッド付近のみにフックがあるパターンよりフッキング率は確かに向上するが、それでもバイトの数に対してフッキング率は低いままだろう。

事故的フッキングの改善はフック位置ではなくフライの泳ぎの違和感をなくすこと

多少動きがおかしくても(=スピードや引き波が不自然でも)コンディションがよいと何発もバイトを得られるが、そのような違和感を醸し出していると信じられないほど乗らない(トップウォータの釣りはもともと乗りが悪いがそれを差し引いても、である)。残念ながら引き波をうまく演出できなければフライを変えても何も変わらないことが多い。

この引き波はフライパターンによってでき方が変わってくるが、鋭角的な波、喩えるならクロダイのナーバスウォーターのような角が立った状態が好ましい。ボラのナーバスウォーターのように丸っこい波やハクの群れのようなチラチラした小さい波が出てしまうフライパターンだとバイト率が落ちる。

さらに難しくするのは引き波だけでなく動きだ。本物の引き波系バチの泳ぎを観察すればわかるが、種類よって多少異なるものの一定のスピードでジグザグに水面をすべるように泳ぐ。さすがにジグザグを演出するのは難しいが、フライを一定のスピードで引くことには最大限こだわりたい。ラインハンドだけでのリトリーブだとこれができない。

コツとしてはロッドを脇に挟んだ状態での両手でのハンドリトリーブ。ただ、運河に多い柵からの釣りだと足元がやりづらいので、両手でのハンドリトリーブで手前まで引いてきたら最後にロッドをスーッっと動かしてフライを引きながらピックアップしたい。リトリーブの途中で止めたり急な速度変化を与えたりするのは厳禁で、そのような泳ぎだとフッキング以前に極端にバイト率が落ちる。

合わせは魚の重みが乗ってからで問題ない。ザバっ!と水面が炸裂するとびっくりしてロッドで合わせたり手が止まったりするが、出ても乗らないことのほうが多いのでそのままリトリーブを続けることが重要。乗らなければ追い食いしてくるし、何よりリトリーブを止めると見切られてスレてしまうし、ロッドであおってしまうとラインで水面を荒らしてしまう。湖の引っ張り同様にそのままリトリーブして魚の重みを感じたらラインを引きながらロッドをあおって合わせる。

バチが広範囲に抜けているときはオープンウォーターに適当に投げても出るが、足元に明暗がはっきり出ているポイントではピックアップ寸前に水面が炸裂することも多いので最後まで気を緩めないでほしい。

潮がかなり速い場合はほっとけメソッドでアップクロス〜ダウンクロスで流すことでもバイトを得られないこともないが、流れがそんなに速くないあるいはほとんどない場合はほっとけメソッドはあまり効果がないので要注意。河川や干潟に生息するバチは遊泳力のない水中流下タイプのバチのためドリフトが効果的だが、積極的に泳ぐバチがメインの運河では単純なドリフトでの反応が鈍い。

引き波パターンにはもうひとつ重要な点がありそれはレンジだ。引き波バチには大きく分けると2種類おり、水面から頭を出して蛇のように泳ぐタイプ、あまり顔を出さずに泳ぐタイプがいる。前者は目立つので多少暗くてもすぐにわかるが、後者はある程度明るい場所でないとわからないかもしれない。この2種類が混在して抜けている場合もあるし、どちらか1種類がメインという場合もある。シビアな状況だと引き波を合わせないと反応が鈍い。大きく引き波が出るタイプ、あまり出ないタイプというように、フライパターンを準備して挑みたい。

クルクルバチパターンを制するものが運河筋のバチ抜けを制する

さて、ここまでは主に引き波を出すタイプのバチパターンについて解説してきたが、重要な話をしていない。そう、クルクルバチだ。

バチ抜けシーズン後半になると、水面下をクルクル回る小型の遊泳力のあるバチが幅を利かせてくる。引き波バチが出る前や出終わった後、小潮や長潮といったダルい潮回りでもこのクルクルバチは出現するので時合が長い。特にシーズン後半の運河筋では最重要種のバチになるのでこのパターンは必携としたい。

水面を泳ぐこともあり、その場合はごく小さな引き波を発生させているが、基本的には水面直下〜やや深めのレンジをクルクルまわりながら忙しなく泳いでいる。その予測できない泳ぎからトリッキーバチとも呼ばれる。大きさは1-4cmほどで、水中にいるときはピンク・オレンジっぽく見えるが、見慣れていないと小さなベイトフィッシュにしか見えないだろう。

このバチを捕食しているシーバスを通常の引き波系パターンで釣るのは難しい。釣れないわけではないが格段にバイト率が落ちる。ボイルはあるけど激しくない、シーズン後半、引き波系バチが抜けるタイミングの前後、あるいは、水面直下でシーバスが反転しているようならクルクルバチを捕食していると思ってほぼ間違いないが、時期的にアミの場合もあるので、渓流のライズゲーム同様に捕食物はよく観察したい。

クルクルバチパターンは小さいこともあり、ボイルしたところにダイレクトにキャストしないと気が付かれず反応しないことが多い。シーバスが群れている・あちらこちらに散っていると思われる場合は引き波パターン同様に適当に投げても食ってくるが、シーバスが固まっていると思われる場合はボイル狙い撃ちを原則としたい。

クルクルバチパターンは少し速めのショートストロークをメインに、時々ロングストロークやリトリーブスピードの強弱をつけながらリトリーブする。狙うレンジは水面直下で問題ないので、着水後すぐリトリーブしよう。引き波パターンのように一定のスピードでゆっくりリトリーブする必要はないが、リトリーブ中のポーズの時間はできるだけ短くしたいので(つまり、停止しない減速→加速のイメージが正しい)、やはり両手でリトリーブをおすすめする。ラインハンドでのリトリーブがNGというわけではないが、その場合は手が止まっている時間を作らないようにしたい。スースースーという動き、あまり止まらないベイトフィッシュのような動きを意識するとイメージしやすいかもしれない。

バイトはゴン!ドスン!ガツガツ!のように手元に伝わるので、引き波パターン同様にそのままリトリーブして魚の重みを感じたらラインを引きながらロッドをあおって合わせる。引き波パターンと比較してフッキング率はかなり高い。

このクルクルバチパターンを制する者が運河筋のバチ抜けを制すると信じて疑わない。
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リーダーやティペットは引き波パターンのときはナイロン一択、クルクルバチパターンはナイロンでもフロロでもOK

バチ抜けのときのラインシステムだが、水面勝負の引き波パターンはもちろん水面下を引っ張るクルクルバチパターンもフローティングラインで問題ない。リーダーやティペットは引き波パターンのときは沈ませない理由とショートバイトでのフッキングミスを避けるためナイロン一択、クルクルバチパターンはナイロンでもフロロでも構わない。

オフシーズン中のエントリになってしまったが、来春はぜひともバチ抜けシーバスを楽しんでほしい。なお、漁港も同様だが運河も立入禁止や釣り禁止や投釣り禁止(この場合はオーバヘッドキャストは不可なので、ペンデュラムキャストのようにループをアンダーで作るかロールキャストもしくはテクトロに限定される)が増えているので十分注意してほしい。Underwaterではバチ抜けシーバスのガイドを行っているので、勝手がわからない方はぜひどうぞ!

2022/01/29

フライフィッシングにおけるリーダーの長さについて私的見解(渓流編)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

渓流におけるロングリーダー・ロングティペットシステム(以降、ロングティペットシステムと呼ぶ)が提唱されてからかなりの年月が経過した。

私がフライフィッシングをはじめたころは7.5フィートや9フィートのリーダーが全盛期で、先端が短くなったら同じ太さorワンランク細い糸を継ぎ足していた。それでも、短くなった分だけ足す程度で、リーダー全長が12フィートを超えるようなことはほぼなかったと記憶している。少なくとも私はそうだった。

ヤマメは毛鉤を咥えてから吐き出すまで0.2秒

しかし、このシステムだと魚は出てもフッキングがうまくいかないことが多く、それを補うためにどうしても早合わせ気味になってしまう。当時は「ヤマメは毛鉤を咥えてから吐き出すまで0.2秒」とテンカラ師の間で云われていた時代。フライをはじめる前からエサやルアーでかなりの数のヤマメは釣っていたので、すばしっこい魚だとは理解しつつも自分のフライ経験の少なさやテクニック以前に釣り方が噛み合っていない気がしていた。

そんな中、某氏をはじめとするロングティペットシステム提唱者がこぞってメディアで発信しはじめ、それに触発された私もいつしか「長いリーダー」を扱うようになった。メインだったロッドをオービスから国産のスローな柔らかいものに切り替えたのもこの頃だ。

しばらくはロングティペットシステムの意味をほとんど理解しないまま「長いリーダー」であればよいのだろうとターンさせることに躍起になっていたが、ターンせずにフワリと落ちたとき、具体的には当時の感覚としてプレゼンテーションをミスしたときのほうがフッキングがよいことに次第に気づくようになっていた。自らの経験に基づき導き出した答えは、、、「必要なのは長いリーダーではなく長いティペット」ということ。

もはや当たり前になっている周知の事実であるし、それなりに長い渓流経験のあるベテランなら「はっ?」「えっ?」と思うだろうが、笑わないでほしい。

いまと違って情報量の少ない時代にタイイングもキャスティングも誰にも教わったことがなく我流でやっていた私にとっては、このことが大きな発見だったのだ。

「ロングリーダー・ロングティペット」というキーワードの「ロング」ばかりに気を取られ、「全体を長くする」という意味と捉えてしまい、本質を見失っていたのだと思う。

当時の私と同じようにいまでも誤解している方もいると思うが、「ロングリーダーではなくロングティペット」が重要。

誤解している方、Underwaterのフライフィッシングガイド・フライフィッシングスクールに参加してモヤモヤを解消!

ロングリーダーではなくロングティペット

なぜ「ロングティペット」なのか。

言うまでもない、本物のエサが流れるようにドライフライを流すため。上述した「吐き出すまで0.2秒」はあながち嘘ではない。主な原因は魚がニセモノと疑って警戒しながら咥えているからだろう。いまでこそテンカラも自然に流す風潮があるが、昔はそうでもなかったはずなので、その点でも不自然さを醸し出していたのだと思う。不自然さをなくせば、慌てて咥えることもなく、離すまでの時間も長いし、飲まれることも多い。

以降、ドライフライフィッシングの話に限定して記述する。ドライフライ以外でも通じる話もあるし、ドライフライでも意図的にドラッグをかける釣り方もあるが、ここでは深く言及しない。

不自然さを醸し出す原因の多くは二つ。 一つ目はフライそのものが不自然な場合、二つ目は流れ方が不自然な場合。

前者はフライパターンやサイズ、フライを流すステージ(水面ぽっかり、水面張り付き、水面ぶら下がりなど)が原因なのでそれを解消する必要があるが、後者はリーダーシステムとプレゼンテーションの改善が必要。

後者の対策としては水の抵抗が少ない細いティペットを長くとることだ。理論上細ければ細いほどよいが、実際の釣りでは限界がある。フライラインの先端からフライまで一直線にして水面に落としてしまうと細くて長いティペットの意味がなくなるので、通常はプレゼンテーションでティペットにスラックを入れたりカーブさせたり、場合によってはリーダー全体やフライライン先端付近も曲げて落とす。

スラックの入れ方も狙うポイントの流れの状態と自分の立ち位置、ドリフトの距離や使用するフライによって変える必要があり、直線的にスラック(イメージとしては縮れ)を入れる、V字に折って落とす、U字曲げて落とす、場合によってはティペットを団子状にして落とすなど様々な方法で対処しなければならない。

このようなことを行うにはティペットが細く長くないと難しい。

ただし、これは渓流でのドライフライフィッシングかつ釣り上がりにおいて有効な話で、渓流でもダウンでのライズ狙いや流速差のあまりないフラットな本流域での釣りやドライフライ以外の釣りではまた異なる。

本題に入る前に話が逸れてしまうが、そもそも何をもってロングティペットシステムというかの定義は難しい。上述したとおり重要なのはティペットの長さであり、リーダー全長だけではロングティペットシステムかどうか判断できない。リーダー全長に対してティペット部がどの程度を占めるかが重要になる。もっというと、考え方は人それぞれなのでそんな定義など不要だろう。あくまでもマーケティング的要素、他人に説明する上でのキーワードでしかない。

リーダーシステムが全体的に長めになっている昨今あえていうのであれば、バット+テーパーの12フィートに4フィートのティペットを繋いだ16フィート程度だとロングティペットシステムというのは少し無理があり、バット+テーパーの12フィートに6フィートのティペットを繋いだ18フィートやバット+テーパーの14フィートに6フィートのティペットを繋いだ20フィートのような長さがロングティペットシステムになるのだろう(ただし、市販のリーダーはバットやティペット部をある程度カットして使うことが多いと思うので、パッケージから出した状態のママ使うことは少ないと思う)。ロングリーダー・ロングティペット提唱者だと、ティペットが6フィートあっても全長18フィートだと許せないのかもしれないが(笑)

私は「リーダー全体が長い」とういうロングティペットシステム一辺倒な人ではないので、フリーストーンの釣り上がりに関しては川の規模に応じて全長7フィート程度から21フィートくらいまで使い分けている。長さに幅があるのは、ドラッグを回避できるだけの必要最低限のティペットがあればヨシとしているからだ。その根底にはリーダーシステムに限らず、フライフィッシングにおいて「トラブルを可能な限り減らしたい」という考えがある。

極端にいうと、バット部がほぼない。もちろん全体が長めの場合はバット部はそれなりに取るが、バット部やテーパー部に対してティペットを長くとるシステムにしている(#1といったウルトラライトラインを使う場合は、そのライン径からフライラインそのものをリーダーのバットと見做すこともある)。具体的には「ヘビーショートリーダー(テーパー)」+「ロングティペット」が自分の中でスタイルとして確立されている。

ただし、この「ヘビーショートリーダー(テーパー)」+「ロングティペット」のシステムはターン性の強いラインだとフライライン先端〜リーダーのバット・テーパー側が水面に突っ込みやすいので、力加減には注意したい。ラインを置く位置もよく考えないと水面を荒らしやすく流れにも食われやすいので、フライだけでなくライン先端までの正確なコントロールが求められる。このシステムの場合は横のメンディングはあまり向いていないため、縦にロールを入れるかラインの先端を上に跳ね上げるメンディングを多用する。

広い川で複雑な流れであればリーダー全長が長めでティペットも長めの20フィート前後くらいのほうがドラッグは回避しやすいが、広い川でも水面から頭を出している石がたくさんあって少しでも長く流そうとすると石で引っかかりドリフトの邪魔をするような川ではティペットは長めでもリーダー全長は短いほうが扱いやすい。通常のドラッグ回避のように石の上にラインやリーダーを置くようにキャストすることで長いリーダーでもドリフトしやすくなるが、そもそもの話しとしてもしそうするなら必要以上に長いリーダーは不要で、素直に石の上にラインを置けばよいしそのほうが圧倒的にトラブルが少ない。 

ロングティペットが本当の意味で有効なのはフリーストーンのラフな水面のみ(私的見解)

ダウンでのライズ狙いや鬼怒川のように広い川でもフラットなポイントが多い場所だとティペットはあまり長くせず、リーダー全長も12フィートや14フィート程度にしてドンと投げて小細工せずにそのまま流すことも多い。鯉釣りの場合も同様。忍野のような流れでライズを狙う場合はドリフト距離を極力短くしたくリーダー全長9フィート程度のときもあるほどで、対岸のピンポイントをロールキャストで狙う場合は6-7フィートのときもある。ボトムに張り付いている魚や極端にスレた魚を引き出す場合は長めのドリフトを必要とするが、やる気のある浮いている魚なら短いドリフトでドラッグが掛かる前に勝負したい。

(ザワザワした流れでなく、波が立たないフラットな水面での話になるが、)なぜなのか。

アップ(+クロス)でもダウン(+クロス)でもフラットな流れ(に限ったことではないが...)でシビアなライズを狙うときはフライ先行が原則。スレていない魚ならあまり関係ないが、フラットな流れのスレた魚はティペットそのものや屈折によるティペットの影(このことについては別のエントリで話したい)を見破るので団子状のスラックは禁物。そうなると、ダウンだとストレートやカーブ気味でフライ先行、アップだとU字やV字でフライ先行にすることがどうしても求められる。

ダウンの場合は必要以上にティペットの長さはいらない。長いドリフトでライズ地点まで流し込むような釣り方、具体的には魚の視野に入らない距離からフライを流さないと喰わない場合や立ち位置の都合上そのようにしか流せない場合などもあるが、水面がある程度安定している場所やフィーディングレーンにフライからライン先端まで乗せられるような直線的な流れがないと難しいことが多い。安定した流れであればティペットが暴れにくいので、長いティペットにスラックを入れて長い距離を流し込むことは可能。ただし、ただ単に一直線に流すなら長いティペットはあまり意味がない。フライラインの存在を遠ざけるなら意味はあるが、その場合はティペットの長さというよりリーダーの長さやリーダーとラインを置く場所の問題だ。

必要以上に長いドリフトはティペットがナイロンだろうがフロロだろうが、ライズ地点に到達する前にドラッグがかかってしまったり、ライズ地点を通過する際にティペットが団子状になってしまうことがある。つまり、水面の微妙な流速差でティペットの至る所が右往左往し、フライ先行にならない状態でドラッグがかかる。スリックウォーターだとこれが顕著で、そうなると長いティペットもあまり意味をなさない。

アップの場合はダウンよりは長めのティペットが有効だが、フラットな水面ならフリーストーンで使うような長いティペットはいらない。ダウンの場合はフライがフィーディングレーンの延長線上を少し超えるようにキャストし、着水直前(フライの浮力や魚への影響が少なければ着水後にでも)に少し引き戻してプレゼンテーション位置をコントロールすることも多いが、アップの場合にこれをやると当然ながらティペットが張ってしまいスラックが入らずフライ先行にもならないし、そんなことはまずやらないだろう。したがってV字かU字で落とすことになる。あくまでもダウンと比較してというレベルでの話になるが、アップの場合はティペットを張りながらプレゼンテーションすることがほぼないのでフライの着地地点をコントールしにくい。そのため必要以上にティペットが長いとライズ地点までのレーンからズレやすくなるし、長いドリフトもダウンの場合と同じ懸念がある。

結果、フラットな水面でのライズゲームは釣り上がりのときよりティペットが短くなり、それに応じてリーダー全長も短くなる。ただし、その場合でもティペットがピンと張った状態でのドリフトは好ましくない。ドラッグ回避は勿論だが、魚がフライを咥えたときにティペットに緩みがあったほうがフッキングしやすい。水の抵抗が少なく吸い込みやすいからだ。特にダウンだとすっぽ抜けしやすい。

川の規模に関係なくリーダーやティペットの長さがほぼ固定の人もいると思う。考え方は人それぞれなので否定はしないし、遊びなんだから好きにやればいい。私の極端な?スタイルも上述したが、あくまでもそれは私の好みであり、私の考えが正しくて他がダメだとは微塵も思わない。

ただ、、、少なくともフライをはじめて間もない人が無闇に全長18フィートを超えるようなロングリーダー・ロングティペットシステムを使うのだけはおすすめしない。特に小渓流・狭い川では論外だ。ロッド先端からラインが出ていない・出せない状態でのキャスティングを強いられるシチュエーションが多く、相当難儀するだろう。硬いロッドなら尚更。慣れていないからこそ長いティペットの意味を理解できるよう、適材適所で調整したほうがよい。それを経て、自分のスタイルに合ったリーダーシステムがわかってくる。

フライをはじめた人に対して最初からロングリーダー・ロングティペットを使わせる風潮には異議を唱えたい

フライをはじめた人が魚を釣る前にリーダーシステムのトラブルで戦意喪失してしまうことが「めんどくせー、もうフライやーめた!」にも繋がりかねないと本気で危惧している。長いティペットの効果やドリフトの重要性などを未経験および経験の少ない人に説いてもすんなり理解できないはず。難しいテクニックや方法論は慣れてからで十分間に合うし、そのほうが実体験として理解しやすい。

主観が入りすぎて!?話が逸れたのでまとめる。

一般的な渓流におけるロングティペットシステムの釣り方に限って言えば、重要なのは自分が必要とするスラックを入れられるだけのティペットの長さであり、リーダー全長の長さではなくバット+テーパー部とティペット部の比率の問題。別の言い方をすると「ターンオーバーさせようと思えばできるが、あえてしない」を実現できるシステム。このことを理解していないと「釣れないのでとりあえずバットもテーパーもティペットも含めて全体が長いリーダー」という短絡的な考えで釣りをしかねない。

メンディングしたときにフライが動かない長さがあれば十分

慣れないうちは適切なティペットの長さがわからないと思うが、「メンディングしたときにフライが動かない長さ」で考えれば目安になるだろう。プレゼンテーション後にメンディングを多用する人もいればほとんどしない人もいるが、ドラッグを回避しようとラインやロッドを動かしたときにフライが引っ張られなければよしと考える。更にいうと「使うであろう最大サイズ(最大空気抵抗)のフライをターンさせられる長さ」ともいえる。

そもそも、ライン側をカーブさせたり(具体的にはシュート時にラインごと前方に送り込んで先端数フィートを曲げる)、スラックを巧みに入れてドラッグを回避している人もいるとおり、テクニックさえあれば必要以上に長いリーダーやティペットを使わなくても釣りは可能だし魚も問題なく出る。個人的にはこのほうがテクニカルで好きだ。

車で喩えるのであれば、、、

<ロングリーダー・ロングティペット>
→AT車。投げられさえすれば特に何もしなくても魚が出る。

<ショートリーダー・ショートティペット>
→MT車。ライン操作がうまくできないと魚が出ない。

<ショートリーダー・ロングティペット>
→パドルシフト付きAT車。そのままでも魚を出しやすいが、適材適所で積極的にライン操作。

だろうか。

ロングティペットシステムはドラッグを回避するためにもっとも簡単で効率的かつ合理的な最適解であり、扱いに慣れてしまえば魚を引き出しやすいシステムなのは紛れもない事実。ゆえに、現代の渓流FFにおける(おそらく、)「マーケティング上の」メインストリームではあるが、皆が皆、長いリーダー+長いティペットで釣りをしているわけではないので注意したい。

ちなみに個人的に考えるロングティペットシステムのデメリットとしては、キャスティング時のトラブルより、ショートロッド(7フィート以下)で近距離を釣るときの合わせにある気がしている。たっぷりスラックが入っている場合、リーチの足りない短いロッドで近距離だと合わせのパワーがフックまでうまく伝わらず、慌てて追い合わせのようにラインを引っ張っる羽目になり、どうしてもワンテンポ遅れがちになる。特にファイバーグラスのロッドで顕著。結果バレやすい。もっとも、このようなロッドを使うシチュエーションでは必要以上に長いティペットは使わないと思うので、懸念として挙げるほどではないかもしれない。

誤解を招くエントリなので念のため追記しておく。

ロングリーダー・ロングティペットを否定しているわけではない。何が何でも全長がやたら長いロングリーダー・ロングティペットではなく、適材適所で使い分けるべき、ということ。そして、重要なのはリーダー全長の長さではなくティペットの長さということ。上述したとおり私自身はロングリーダー・ロングティペットのときもあるし、ショートリーダー・ロングティペットのときもあるし、ショートリーダー・ショートティペットのときもある。

人それぞれ十人十色、マーケットやメディアの情報を鵜呑みにせず、各々の考え方や好みで自由に楽しめばよい

そのうえで、「必要以上に長いリーダーはトラブルが多くなるが、長いティペットは有効」という考えがあるので、自分の中で基準とする最適解としてヘビーショートリーダー(テーパー)+ロングティペットに落ち着いたということ。極端に狭い川や広い川、特殊な釣り方の場合を除き、具体的には(市販の7.5フィートのバット部カット or 市販の5フィートそのままの)5フィートリーダー+結び代スペーサー1フィート+ティペット6フィート(結び代スペーサーを入れない場合はその分ティペットを長く)の全長12フィートが基準で、状況によってティペットの長さを4フィート〜8フィートとしている。つまり、リーダーシステム全体の長さが10フィートから14フィート。この長さだと必要以上にスラックが入らないのでのけぞるような大げさな合わせは不要だし、狙ったところにスパスパ入るし、何よりトラブルレスでストレスフリーなのが気持ちいい。

普段ロングリーダー・ロングティペットを使用して、釣りをしている時間より絡まったリーダーシステムを解いている時間のほうが多い人、騙されたと思ってショートリーダー+ロングティペットを試してほしい。トラブルが減って、プレゼンテーションの回数が増え、アキュラシー精度も高くなり、釣果Up!(笑)

推敲しないままのなぐり書き状態かつ読みにくい文章かつ長文で失礼しました!

ここで解説した内容は身をもって体験するのが最も効果的。Underwaterのフライフィッシングガイド・フライフィッシングスクールではフライフィッシングのトレンドは勿論のこと、トレンドやメディアに左右されない基本の「キ」も!

一方で、ロング"ティペット"ではなく、ロング"リーダー"が効果的な場面がある。その多くは湖やソルトウォーターになるが、これについてはまた別のエントリで解説したい。

2021/11/09

釣りをするうえでのライフジャケットやクマ鈴など安全装備や保険に関して私的装備の紹介

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

ヒヤリ・ハットの経験は数え切れないほどある。幸い大きな怪我や事故は一度もないが、ヤバいかも...と思った体験は何度かあり、その度に安全装備や保険の重要性をひしひしと感じてきた。

これまでに様々なアイテムを試してきたが、今現在使用・契約しているモノやコトについてジャンルに分けて説明したい。ディスコンになっていないものに関しては、アイテムへのリンクもはっておく(アフィリエイトリンクではないので安心?!してほしい)。

なお、フライフィッシングに特化した内容ではないので、釣行時における安全装備と保険という観点でルアーフィッシングや餌釣り師にも参考になると思う。

ここで説明するのは私自身今現在導入している装備や契約している保険であり、過去に導入していたものは省く。把握していないモノ・コトに関しては詳しくないので、詳しい記事を見つけるかご自身で試してほしい。また、あくまでも私自身での利用方法であり、他の方の考え方や使い方とは一致しない部分もあると思う。異論は認めるし、その点をふまえて読んでほしい。

水の事故に備える

水に対する備えとしてはライフジャケットやフローティングベストの類が筆頭に上がるだろう。ライフジャケットに関しては3タイプ、フローティングベストは1タイプ、それ以外の浮力体として1タイプ導入している。

まずはライフジャケット。

ボートシーバスやバスフィッシングなどボートフィッシングでは主に肩掛け式(桜マーク付き船舶検査適合品/タイプA)を使用している。自動膨張式と手動膨張式があるが、肩掛け式に関しては手動膨張式を使用している。ボートでは波をかぶることが多く、また、降雨状況に左右されたくないというのがその理由。自動膨張式は波をかぶったり通常の雨では膨らまない仕様だと思うが、不安要素は極力排除したいので手動膨張式にしている。なお、肩掛け式は肩がこり、夏はとても暑いのがデメリット。

漁港や港湾部のシーバスゲームではウエストベルト式を使用している。バックパックやショルダーバッグを装備していても装着可能な点がポイント高い。このタイプでは自動膨張式と手動膨張式の2つを運用しているが、いまは自動膨張式をメインで使用している。防波堤のような高い場所から転落した際に気を失う可能性があり、手動で紐を引けないことが想定されるためだ。

本流域や流れの強い川、深い場所の多い川では、鮎師向け?の襟巻き式を使用している。このタイプはベストを着ていてもショルダーバッグをかけていても邪魔にならないため重宝する。フライフィッシングだとライフジャケットでは取り回しが悪く、フローティングベストでは大げさすぎるようなシーンは多く、本流域はまさにそれだが、そんなシチュエーションにぴったりだと思っている。
VARIVASライフジャケット ショートタイプ

次にフローティングベスト。

荒々しくない小磯やサーブゲームではフローティングベストを使用している。これに関してはいわゆるロックショアゲーム(磯でのルアーフィッシング)で使うような前面がスッキリしたタイプを使用している。私はルアーフィッシング用を使用しているが、カヤックフィッシング用のものでも代用できるだろう。シーバスのウェーディングゲームで使う一般的なフローティングベストは前面にタックルを収納するための出っ張りがあり、足元がよく見えないうえに、身体の前で腕を動かす動作の多いフライフィッシングでは非常に使いづらいのでまったくオススメしない。
ダイワ タクティカル ゲームベスト

そして浮力体。

厳密に言うとライフジャケットではないので浮力体としたが、簡易的なものとはいえあるのとないとでは大きな差があるので紹介したい。具体的にはレスチューブ一択になるが、これは渓流域や南の島でのフラットフィッシングで使用している。ライフジャケットは必要ないが、万が一のときになにかあれば、という不安感を解消してくれるオススメアイテムだと思う。私自身これを導入してから気持ちが楽になった。
レスチューブ

漁港行脚でフェルトスパイクシューズ。

スパイクのみかフェルト+スパイクかの判断だが、磯場がメインならスパイクまたはスパイクフェルト、堤防主体ならフェルトスパイクが好ましい。なので、漁港ならフェルトスパイクシューズがベストと判断している。車でのランガンがメインならペダル操作を考えてなおさら(スパイクフェルトでもよいが、製品によってはペダルに引っかかりやすいのであまりおすすめできない)。単に漁港だけであればスニーカーやトレッキングシューズでもよいのだが、波をかぶった場所やスロープは通常のシューズだとかなり滑る。そうした場所に入らなければ問題ないが、安心して釣りをしたいのなら必携だろう。私自身もう無理?をしなくなったのでフェルトスパイクシューズはあまり履かなくなってきているが、スロープでの釣りもするのであればあったほうがよいと感じる。漁港に隣接する危険性の低い小磯に立ち入ることも叶う。ただし、小磯がメインになるならフェルトスパイクよりスパイクフェルトがおすすめ。

転ばぬ先の杖、ウェーディングスタッフ。

本流域や流れの速い川、地形が読めない湖やアカエイに怯える干潟など、ウェーディングスタッフが活躍する場面は多い。以前は必要ないと思っていたが、歳を重ねるたび、あるいは、様々なフィールドで様々なシチュエーションを経験し、次第になくてはならない存在になった。本流では必携と考えた方がよいし、アカエイの多い水域でエイガードを装着しないのであればあったほうがよい。ただし、ソルトで使う場合は塩ガミや腐食でどうしても痛むので、ソルト用には中韓からたくさん出ているトレッキング用の安物を流用し、本流域ではしっかりとしたフォルスタッフと、用途に応じて使い分けている。
FOLSTAF WADING STAFF 

補足として、完全防水のバッグ。

パタゴニアやストリームトレイルあたりが定番かつ先駆者的なアイテムだが、昨今様々なブランドから出ているので選択肢は増えた。私はパタのロールトップとショルダー、ヒップパックバッグを荷物の量で使い分けている。空気を含ませてzipを完全に閉じれば浮力体になるので便利。本流域では流されたとき、あるいは、フラットフィッシングで潮が満ちてきて腹〜胸まで浸かってしまったことを考え、完全防水のバッグで釣りをするのはリスクへの対処としてオススメできる。

危険生物に備える

アカエイから物理的に防御するエイガード。

干潟や河口付近でのウェーディングゲームでは必須ともいえるアイテム。ウェーダーの中で履くタイプと外側に装着するタイプがある。どちらもシーバスのウェーディングゲームを想定したものであり、軽快に歩き回るフラットのフライフィッシングにはいまいちマッチしない。私は前者を導入しているが、本来はウェーダーの中に装着する前提のものであるため、これをむき出しで使用するフラットでのウェットウェーディングスタイルだと諸々考慮が必要。原則として水に浸けることは想定していないため、耐水性のある素材を使ったものが前提。そのうえで、併せて使用するシューズと足のサイズとのバランス(サイズ感だけでなく、足元を締めた場合にバックルや紐などのパーツが干渉しないかどうかも)を取る必要がある。軽快さ・耐水性・信頼性を考えると、フライフィッシングにおいては事実上パズデザインの「RAY GUARD」一択のような気がしてならない。
RAY GURRD Ⅱ

クマ鈴。

渓流域あるいは山深いところにある湖への釣行ではクマ鈴必携がデフォルトだろう。私はチーンと鳴る周波数の高いものとガラガラと連続音が鳴る周波数の低いものを使用している。リスクの高いエリアではその両方を同時に着けることもある。クマ鈴は川の音にかき消されやすいのと、立ち止まっていると鳴らないため、時折手で揺らして音を出すことにしている。なお、北海道釣行では航空機でクマスプレーを持ち込めないため(後述)、その代用として強力な音が出る防犯用の電子アラーム(防水タイプ)をメインに使用している。なお、熊鈴は立ち止まっていると音が出ないのと渓流だと音がかき消されてしまうので、ホイッスルも併用している。
クツワ スターライン 防犯アラーム

そして迎撃用のクマスプレー。

クマスプレーは最後の砦ともいえる武器になる。クマだけでなくイノシシやサルにも有効だろう。航空機で輸送できないため(陸送は可能なので事前に宿へ送ることもできるが、帰るときの手続きが面倒なので二の足を踏む)本当に必要な北海道で運用したことはないが、本州では過去何度か構えたことがあり、野反湖では安全ピンを抜いたことが一度だけある。クマ鈴と比較して高額だが、何度かクマに遭遇している身としてはクマ出没エリアでは身につけていないと不安で仕方のないカラダになってしまった。ちなみに、クマの襲撃に備えるにはすぐに取り出せるようにしておかないと意味がないので、ホルスターないしそれに準ずるホルダーはセットで用意しておきたい。
カウンターアソールト

そしてスズメバチやアブへの対処。

ほぼ渓流での携行となり、意外とかさばるのであまり持ち歩かないが、過去一度スズメバチに刺されているため二度目のアナフィラキシーショックが怖く、夏から秋にかけて不安なときはスズメバチ撃退スプレーを持ち歩くこともある。エピペンを処方してもらうかどうか、長年迷っている。
スーパースズメバチジェットミニ
エピペン

それからマダニ。

過去マダニが腕に付着していたことがあり(幸い吸血前だった)、感染症対策として、それ以来マダニ除去ツールをエマージェンシーキットに入れて持ち歩いている。クマザサの藪漕ぎでは特に注意したい。
ドクターシェック ティック・ツウィーザー ウルトラ

ヤマビル。

私はナメクジやカタツムリなどが大の苦手。そのため、ヤマビル被害が想定される場所へ行くことは基本的にないので特に対策は行っていない。過去の話をすると、フライを始めた頃に丹沢の渓流に何度か行くことがあり、当時は食塩水を持参していた。いまはヤマビル忌避剤が各社から出ているので、それを使用したほうが確実だろう。なお、丹沢ではないが一度だけ腕を這われたことがある。近年ヤマビルの生息地が広がっているので注意したい。私がよく通う山梨の旧武川町〜韮崎市の山側エリア(具体的には石空川〜小武川周辺)で広がりを見せているので危惧している。私自身このエリアでまだ遭遇していないが、今シーズン又聞きでの吸血被害やこのエリアで贔屓にしているキャンプ場での被害を聞いたので、もうこのエリアで釣りはしないと誓ったくらいヤマビルが大嫌いだ。正直、ヤマビルはどうにもならないので、最大の対策はヤマビル生息地へは行かないことだろう。

ハブクラゲやアンドンクラゲなどの毒クラゲ。

南の島でのフライフィッシングでは毒クラゲに注意したい。水遊びならともかく釣り人ではまずいないと思うが、上半身裸で短パンに素足はよくない。最低でも上半身はラッシュガードやフィッシング用の速乾性シャツ、足はタイツかロングパンツでかためたい。なお、渓流のウェットウェーディングで使うゲーターを履けば、クラゲや毒魚からの防御はもちろん、サンゴに足を引っ掛けたときのケガも防止できる(私は慣れてしまったのでほぼ履かなくなったが)。そもそもの話として、海中の危険生物やケガ以前に日焼けを避けるため素肌はできるだけ露出しないことだ。
パタゴニア トロピック・コンフォート・フーディII
リトルプレゼンツ ウエットゲーター 

刺されてしまったらポイズンリムーバー。

意味がないと云われることも多いポイズンリムーバーだが、器具を使わずに口で吸い出すほうが危険ではあるので持ち歩いている。幸いいままで出番は一度もない。基本的には毒虫を想定したものだが、マムシやハブなど毒蛇に噛まれた場合でも使えるだろう。
ドクターヘッセル インセクトポイズンリムーバー

ケガや遭難に備える

まずは遭難保険。

ケガへの対処としては通常の医療保険でまかなえるだろう。ほとんどの人は契約しているのではないだろうか。ただし、野外活動を考えた場合は少し弱いかもしれない。ケガは医療保険でもよいが、遭難したときの補償は付帯されていない。捜索費用はばかにならない。ヘリを使った場合は最低でも数十万〜、すぐに救助されればよいが長引けばそれだけ費用がかさみ、100万、200万はあっという間だろう。専門の保険が各社から出ているので、釣行が多い人は(保険金の合計金額に注意しつつ、)別途契約することをおすすめする。数日のみの短期契約と年間契約がある。私は通常の医療保険はもちろん、野外活動専門の保険にも年間で2つ(ケガに特化したものと、レスキューに特化したもの)契約している。なお、保険あるいは特約付帯によっては携行品も補償対象になり、ロッドやリールの破損や紛失、盗難もサポートしているものがあるのでぜひ検討してほしい。
モンベル傷害総合保険
jRO

そしてビーコン。

遭難関連でもう一つ。これは一択でしか無いが、ココヘリを契約している。私はULスタイルでのハイキングと山岳キャンプも嗜むため山に入ることが多く、釣りに関係なく契約している。ココヘリは沢登りや渓流釣りも補償対象としているので、山岳渓流や山深いところにある湖への釣行でも必ず身につけている。かなり優れたサービスなので、山岳渓流を嗜む人はぜひ検討してほしい。なお、すぐに退渓できるプチ山岳渓流ならともかく、ガチな山岳渓流に入る場合は登山届を出してほしい。いくつかサービスがあるが、私はコンパスを利用している。
ココヘリ
コンパス

飲料水確保のための浄水器。

基本的にキャンプやハイクで山に入るときにしか持ち歩かないが、ガチ山岳渓流釣行で遭難したときを想定し、バックパックの中に入れることがある。私は一般的なハンディタイプとエマージェンシー用ストロータイプの二つ運用しており、釣りの場合は軽量でかさばらないストロータイプを持ち出すことが多い。難点としては直接飲むかたちになるので煮沸処理ができないこと(ハンディタイプの場合は浄水器で濾過してから煮沸することが多い)。話が逸れるが、ハンディタイプは携行しやすいので海外旅行でも重宝するだろう。私は海外はもちろん日本でも生水をそのまま飲むことはほぼなく(自宅では必ず浄水器を使用)、アジア圏では氷が入ったドリンクは絶対に避けるくらい警戒するので出番はないかもしれないが、どうしてもミネラルウォーターが手に入らないときの保険になる。
KATADYN Befree
HYDROBLU Sidekick Straw Water Filter

エマージェンシーブランケット。

日帰り山岳渓流釣行でのビバークを想定(テン泊ならテントやシュラフがあるので携行しない)。山岳キャンプあるいはテン泊でのハイクを行っている人であればわかるが、標高千数百メートル超えは盛夏でも朝晩かなり冷える。
SOL ヒートシート エマージェンシーヴィヴィ
 

なお、今後追加しようとしているアイテムに山岳用の発煙筒がある。実は過去に自動車装備用の発煙筒の携行を検討したことがあるのだが、重いので断念していた。
山岳用小型発煙筒(ポッケム)
赤色発煙筒「ココデス」

それと、最近気になっているのは、落水検知サービス。
JM-Safety
淡水域はサポート外とのことなので、ガイド船を使わずにレンタルボートでのボートシーバスゲームやオフショアでのシイラ・カツオゲームが我々フライフィッシャーの利用シチュエーションか。私はやらないが、沖堤とかでも。頻繁に水に浸かるようなフラットでは意味がなさそうだ。

もう一つ気になるサービスがある。

IBUKI
トレイルランナー界隈で有名なGPSトラッカーだが、リアルタイムに現在地共有が可能なのと、専用デバイスゆえにスマホのバッテリーに影響を与えない。現在地の共有という意味では、ココヘリより即効性が高いかもしれない。

 

...と、ここまで私が今現在実際に運用している安全装備と保険などについて紹介した。他にもあったような気がするが、思い出したら書き足したい。

こうやって書き出してみると、水の事故はもちろんだが、生命の危機という意味で山岳渓流のリスクが高いことをあらためて感じた。

また、幸いそれぞれ一度だけや一回だけということも多くそれ以降危ない目には遭っていないが、たまたま運がよかっただけど思うようにして警戒心と緊張感を保ちながら楽しむようにしている。

基本的にチキンで心配性なのであれもこれもと備えてしまうが、万が一のときを考えここは妥協できない。また、フィッシングガイドでもあるので、備えは万全にしなければならない。お金で買える安心安全は惜しまないのが持論。いずれも出番がないのが理想であり、これらを過信しないことが最大の保険だということは肝に銘じておきたい。